406 :影響を受ける人:2014/09/07(日) 22:00:34
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
―皇居―
北郷隊が休暇をとるかなり前の日にまで遡る。
その夜、皇居のある場所で天皇陛下が月を肴にして晩酌していた。
おつまみは九曜製。
御酒は納められた一品であるが、最高級品だ。
もっとも、個人的に気に入った一般的な御酒も、取り揃えてあるのだが。
「ふぅ・・・」
程よく冷やされた酒は喉を潤し、辛みを舌で味わう。
透き通る様な味の日本酒は、海外でも高く売れる。
陛下としては九曜製果実酒が好みなのだが、そんなに数が作れないから特別な時にしか出してくれない。
そんな思いを抱いている陛下の横で、九曜葛葉は月琴を弾いて歌っている。
その姿は月明かりに照らされて、より美しく見えた。
「・・・」
その歌声は良く通り、心地よい空間を作り出している。
元々九曜はそんなに楽器も歌もうまくない。
ただひたすらに長い年月をかけて上手くなっただけ。
本来なら侍従長がする事ではない。
繋がりが最も古く、強い彼女だからこそだ。
静かに歌を聴きながら酒を飲む。
先代も、先々代も、同じようにして酒を飲んだことだろう。
歌が終わり、ちょっと休憩をはさんだ九曜に向き直る。
「のう、九曜よ。」
「なに様で御座いましょうか。」
九曜は楽器を置いて姿勢を正す。
「今、大陸は落ち着いていると聞く。そなたはどう見るか?」
「確かに今は落ち着いていましょう。
しかし、それは一時的なモノかと・・・」
「で、あるか。」
問うた天皇陛下に対し、九曜は簡潔に述べる。これは
夢幻会も同様の判断だ。
一時的な大攻勢で押し込んだのは良いが、その後の反攻が予想以上に小さい。
恐らく、今まで以上の圧力を受ける可能性があるとして、大陸からの撤退と避難を急がせようとしている。
しかし、今は圧力が小さい為に民間人の避難がそれほど進んでいないのが現状だ。
九曜も気にはしているが、こればかりは夢幻会だよりにするしかない。
「だが、今ならば多少の時間はあるのだな?」
「そうですね・・・
私の予測だと、早ければ今月中には攻勢に出る可能性は有りますが、末日くらいになるかと思っています。」
「そうか、そうか。」
九曜は内心で「また何か、考えているのか?」と困り、頭痛を覚えた。
陛下は時折突拍子もない事を言って自分を困らせる。
皇女も同じなんだから、頭を抱えてしまう。
「義勇飛行隊が派遣されて来ているのは知っておろう。」
「はい、有り難い事です。」
「その交友会を開こうと思っているのだが・・・どう思う?」
「それは・・・」
407 :影響を受ける人:2014/09/07(日) 22:01:09
陛下の提案は良い事のように思えた。
義勇飛行隊は二隊あり、リベリオン義勇飛行隊・欧州合同義勇飛行隊が派遣されている。
人数はどちらも多いと言えるほどではないが、今まで生き残った彼女等はまさにベテランと言えるほどの技量となっていた。
元々両隊とも、欧州より激戦地となった大陸方面での戦訓と、扶桑の技術目的、国際的な目論見で派遣されている。
欧州組は後発だったものの、実際にネウロイの脅威にさらされていたせいか最初から問題は無かった。
リベリオンは最初に大打撃を受けてしまったが、立ち直りが早いのは「流石チート国家
アメリカが元ネタの国だ。と感心するほど。
本当ならば来てくれた時に、盛大な出迎えなどをすればよかったのだが、時期的にそのまま加わって戦闘してもらわないといけなかった。
落ち着いた今ならば、救援に来てくれたお礼などが行える。
「それは良いかと思われます。」
「おお、そうか!」
内心ちょっと不安だった陛下は、九曜が賛成してくれたことで大喜びする。
何せ九曜は、この扶桑で唯一天皇陛下に拳骨を振るい、怒鳴る事が出来る。
それはかなり怖く、代々伝わっている事だった。
―――――
時間は巻戻り、北郷章香と旗本サエは、共に昼食を食べていた。
昼食をとっている場所は山田里子が調べた一軒のお店。
小道に有り、中は小さかったものの味は良かった。
「これは、当たりだな。」
「・・・うむ。」
二人で豚骨ラーメンを食べながら話す。
「里子ちゃんのリサーチも捨てたもんじゃないな。」
「・・・替え玉おかわり。」
店の亭主が無言で替え玉を、サエの器に入れた。
「・・・それで、交友会はいつだ?」
「この休暇が終わって二日後ですよ。あ、替え玉下さい。
あと・・・餃子も追加で!」
「・・・誰が出る?」
「ウチは出ません。出すのは大佐が決めるそうです。」
替え玉を受け取り、啜る。
「・・・ふむ。・・・有力なのは、真嶋か?」
「でしょうね。個人火力はかなりありますし、本能的な回避もありますから。
あとは有名所から二・三人。あ、私は出ませんよ?」
「・・・・・・あとは陸軍。」
餃子が運ばれてきたので、サエは半ライスを頼んだ。
「狐狸部隊が選ばれるでしょうね。」
「・・・だな。」
散々食い漁った二人は、ちゃんとお金を払って出て行った。
大通りに出るまで並んで話す。
「これからどうしますか?」
「・・・本土と連絡を取る。」
それを聞いてすぐに把握する。
サエは本土に許婚がいるという。その連絡の為だろう。
マメに手紙を送っているのに・・・
「いいですね~。自分はまだまだですよ。」
「・・・大佐が世話をしてくれる。」
「私はこれから同期に会ってきます。昨日はそんなに話が出来なかったので。」
「・・・良い装備を頼む。」
「了解です。」
二人は大通りに出ると、二手に分かれていった。
北郷章香・替え玉×5 餃子×3 炒飯×1
旗本サエ・替え玉×6 餃子×2 半ライス×1 豚韮炒め×1
である。
409 :影響を受ける人:2014/09/07(日) 22:01:39
―――――
場面はうつり。
坂本美緒・若本徹子・竹井醇子三人は昼食を食べ終えて歩いていた。
「お刺身美味しかったね。」
「旅館とは違ったものだった。また食べたいな~」
「俺は骨煎餅が気に入った。まさか姿造りで来て、その後揚げてくれるとは思わなかったぜ。」
里子リサーチに満足していた三人はそのまま歩いていく。
しばし他愛もない会話が続いていたが、徹子はあえて切り出した。
「なぁ。先輩の事どう思うよ?」
「先輩・・・ ミチルさんこと?」
醇子が表情を暗くして問うと、徹子は頷いた。
「正直言ってさ、想像できないんだ。
あの人、何かとつけていろいろ駄目出ししてくるじゃないか。
最初は反発していたけど、よくよく考えると最もな事だしな・・・」
「そうだね。でも・・・だからこそじゃないかな。」
美緒は考えつつ言う。
「何かしらの原因があった。どんな小さなことでも、自分のせいだと思ってしまう。
ネウロイの核調査で部隊を回ったから、わかる気がする。
ミチル先輩みたいに、必死に何かをしている人。
もしくは周りを拒絶する人。
ただ必死に、生き残ろうとする人・・・」
どこか遠くを見ながら言う親友に、二人は只静かにして聞く。
「私達は先輩の立場になっていないからわからない。
先生の言うとおり、あまり聞かない方がいいし、喋らない方がいいと思う。」
「そうだね・・・」
三人は基地にいるミチルを思うが、その心だけはわからない。
暗くなった場を払拭する為、徹子は何かないかと視線を周りに向ける。
「お、なんかあるぜ!」
「ちょっと徹子ちゃん!」
「ま、まって・・・」
少し先に屋台を見つけ、走っていく。
それに置いて行かれるまいと、二人も走り始めた。
屋台には、ちょっと怪しそうなおじさんがいて「なかなか売れないネ~」と呟いていた。
店先を見ると、瓶に詰められた何かを売っている。
「オッチャン、これなんだ?」
「ン? おお、小さなお客さんネ!
これは自家製の飲み物ヨ~。とっても美味しいヨ~。」
「ジュース・・・なのかな?」
「そうヨ~。」
「よっしゃ買うぜ!」
最初は気が付かなかったが、少女達の衣装が海軍ウィッチ戦闘服でるとわかった。
同時に志願学兵だという事も。
売れ残っていたものなので、格安で売ってあげて上機嫌で故郷に戻っていった。
本人は良い事をしたと喜んでいたが・・・
旅館で皆と飲んだ美緒達は、僅かなアルコールで暴走してしまい。
旅館に迷惑を掛けてしまった。
盛大に隊長陣から拳骨と、お仕置きを言い渡されてしまう事になるとは、まったく想像・・・出来るわけなかった。
以上です。
最初の方が書きたかっただけ。
美緒ちゃん達のネタが無かったとは決していわない。
御酒ネタをもう少し書きたかったが、お酒飲めないから経験無いので書けなかった。
さて次は留守番組に焦点を当てたい・・・なぁ・・・
最終更新:2016年02月14日 13:14