723 :影響を受ける人:2014/09/21(日) 22:50:20
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第二十八話 ―戦乙女の休日Ⅱ―



北郷隊が休暇に出た翌日、大隊長である江藤敏子は狐狸部隊の隊長陣を呼び出した。
会議室に集められて面々は、何事かと内心困惑していた。
廊下側になる右側に穴吹智子・加東圭子が、窓側に左に加藤武子・黒江綾香が座っている。
最後に入ってきた敏子は隊長陣がいるのを確認し、一番前の机に座ってもうすでに入れてあった御茶で喉を潤してから口を開いた。

「さて、集まってくれてありがとう。」
「待機中なのにいいんですか?」

暇そうに腕を組んでいた智子がすぐに突っ込んだ。
真っ直ぐな所は好感が持てるが、真っ直ぐすぎて調子に乗るのがいけい所だなとやっぱり思う。

「かまわない。この会議室はハンガーに近いしな。」
「はぁ・・・」

事実ではある。出撃の事も考え、この会議室はそういう配置となっているのだ。

「昨日、大佐から手紙が来た。」
「げっ!大佐から・・・」

一同の顔が一気に顰め面になる。
田中大佐・・・扶桑陸軍大佐:田中ウメ・・・は、このメンツにとっては頭が上がらない上官だ。
敏子にしても、中佐まで昇進させていただいた大恩人。
泣かされたが。
北郷と知り合ってからは、お互いに上司に対して愚痴ったものだ・・・

その大佐から何かしらが来た。
そう思うと、皆逃げ出したくなると言うモノ。

「皆が思うような悪い事じゃないぞ。特に智子にとってはな。」
「私・・・ですか?」
「ああ、義勇飛行隊はしっているな?」

問うと加藤が答える。

「ええ、何度か共同で当たっていますし。交流もあります。
 それがなにか?」
「うむ、彼女等は来てすぐに実戦を始めた。
 一応歓迎式典はかなり簡略されたが、おこなわれている。
 しかしだ・・・それを天皇陛下が不満を覚えたらしい。」
「陛下が、ですか?」

綾香がかしげると、大隊長は頷いた。

「彼女等の活躍は本土でも有名だ。
 違う国の為に奮戦している彼女等に礼がしたいというのが、事の発端らしい。
 確かに礼もそうだが、ちゃんとした歓迎式典もやりたいし。
 襲撃が無さすぎて、気が抜けている部隊の引き締めも兼ねて競技も行う。」

話を終えて皆を見ると、案の定智子は目を輝かせている。
その後ろで圭子が「面白そう。」と呟き、狸釜隊長・副隊長は顔を見合わせていた。

「戦線縮小に伴い、各部隊が後方で休養と錬成を行っている。
 その部隊と交代で、私たち狐狸部隊が陸軍代表として出場する事が決定した。」
「おおおおお!!」

不敵に笑うと、興奮した智子が立ち上がって目をキラキラと輝かせた。
その横で、冷静に話を聞いていた綾香が手を上げた。

724 :影響を受ける人:2014/09/21(日) 22:50:53

「狐狸部隊全員が出場ですか?」
「そうだ。個人格闘戦で智子。スピード競技で圭子と残り。総当たりチーム戦で狸釜隊をだす。」
「それはまた・・・」

決定事項であろうその配分に、武子は冷や汗を流す。
狐狸部隊は田中大佐肝煎りの部隊でもある。
自信があるから自分達が選ばれた。それはとても名誉なことだ。
しかし・・・

「陛下が見られるのですよね?」
「そうだ。陛下も観戦なされる。」

プレッシャーがかかった。
ある意味扶桑代表として出場するわけだから、その緊張は生半可なものではない。
二人の会話の意味に気が付いた智子と綾香は、顔を真っ青にした。
特に智子は青すぎる顔で力なく席に座り込む。
以外に繊細な彼女の心は、鷲掴みされたように締め付けられている事だろう。
それを後ろから察した圭子は、慌てて手を上げる。

「本当に陛下が大陸に来るのですか?」
「来る。」

敏子は断言した。
大陸は最前線の戦場。
そんな危険地帯に、扶桑の宝ともいえる天皇陛下が来る。
恐らくは現地に入植した民間人の慰撫もあるのだろうが、いくら何でも無茶だと思う。
武子の視線から彼女が思った危惧に気が付き、補足説明をする。

「その日はどこも厳戒態勢で待機する。
 もし、襲撃があったならば陛下はすぐに脱出する。」
「どのようにしてですか?」
「それはわからんが・・・おそらくは飛行機だろう。
 船舶はあり得ない。」
「そうですか。わかりました。」

―――――

あの後、二三質問のやり取りをしてから解散となった。
しかし敏子が退室しても、四人は残ったままだ。

「う~どうするのよ?」
「陛下が見られるっていうのは・・・緊張するよね。」

苦笑する圭子の横で、智子は机に突っ伏して呻いている。
対面では、チーム戦に出場する二人が対ネウロイ・フォーメーションの変更をどうしようか相談している。
その話を聞いていた智子は、見た目は平然としている副隊長を睨んだ。

「圭子は緊張しないの?」
「多少はしているわよ。」
「怪しい・・・」
「怪しくないってば・・・」

ジト目でこちらを見る隊長に、冷や汗を流しながら頬をかく。

「緊張しすぎても良い事無いんだし。
 それに、陛下に良い所を見せたいと思わないで、自分が納得できる動きをすればいい。
 駄目な時は駄目だし、良い時は良い。
 その時の状況を、どこまで自分の味方にするか!・・・よ」

いう事はもっともだ。
しかしメンタル的な弱さを抱える智子にとっては、雲の上の様な存在である天皇陛下に対して腰が引けてしまう。
こうなると、目の前の副隊長が羨ましい。

「いいなぁ・・・」
「何がいいのよ。」

725 :影響を受ける人:2014/09/21(日) 22:51:28

―――――

北郷隊休暇三日目。
既に彼女等はトラックに乗って期間途中だった。
助手席に章香は座らず、荷台にサエと隣り合って座っていた。
荷物が大量に満載されているので、とても狭いが別に苦しくは無い。
が、二日目の最後にとんでもないトラブルがあり、頭を抱える事態となった。

「まさか、美緒ちゃんがあんなにお酒に弱いとは・・・」
「・・・未成年。」

冷静なツッコミに苦笑するしかない。
怪しい露天商から飲み物を買い込んだ美緒・徹子・醇子は、皆に気前よく振舞った。
最初こそ皆和やかに、楽しそうにしていたのだが・・・
急に小毬が徹子に絡んだのが始まりだった。
ベランメ口調となった小毬の迫力は凄まじく、普段の彼女からは想像もできないような形相で怒鳴り始めた。

助けを求めた徹子は視線を走らせるが、いつの間にか凛は眠りこけ。
泣き上戸だったらしい里子の愚痴を、醇子が顔を引き攣らせながら相槌をうっていた。
役に立たない三人に見切りをつけ、美緒を探すと彼女は立ち上がって俯いていた。
どうしたのだろうと思っていると、こちらを向いた美緒の顔が見えた。
そして奇声を上げると部屋中を走り始める。

慌てて醇子が取り押さえようとしたが、里子が離してくれないのでどうする事もできない。
かと言って徹子は怒り狂う小毬をどうにかしないといけなくてはいけなく、まったく手が出ない。
どたどた暴れた美緒は、部屋の高そうなもの一切壊さずに外に出ていってしまう。

『もうだめだ。御終いだ。』

暴走機関車となった彼女を止める事などできない。
絶望しながら出て行った先を見ていたのだが、宙ぶらりんとなった美緒が帰ってきた。
宙づりにしているのは旗本サエ。
その顔は・・・夜叉のごとき怒りがにじみ出ていた。
彼女は静かに、強く、怒りを込めて全員を正座させる。

そして、静かな怒号の説教が開始されたのだった。

「・・・帰ったら厳しく教える。」
「ほ、ホドホドにお願いします・・・ね?」
「・・・考慮する。」

取りあえず言質は取ったが、「おそらく容赦するまい。」と思った。
あの騒動で記憶を有していたのは、正気を保っていた二人だけ。
後は覚えていなかった。自業自得である。

「・・・出場は決めたのか?」
「ある程度は大佐が決めます・・・が、陸軍から江藤が出るかもしれないとなると、自分も出ないといけないかもしれません。」

昨日「自分は出ない」と言った章香だが、江藤敏子が出るとなると話は変わる。
今でこそ大隊長として書類格闘をしているが、戦場に出れば自分と互角に戦える猛者だ。
困ったように言っている章香だが、不敵な笑みを浮かべているのをサエは見逃さなかった。



以上です。
突貫工事で作ったから、すかすかだ。
次回は交流会だぜ!

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年02月14日 01:59