839 :影響を受ける人:2014/09/28(日) 22:00:22
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
――カコン・・・・・・
東京の某所。
料亭が自慢する日本庭園が見える場所で、古くから日本を支える家系が三人集まっていた。
海軍軍令部総長 九鬼嘉明(くき よしあき)大将
陸軍参謀総長 柴田勝義(しばた かつよし)大将
前総理大臣 織田信平(おだ のぶひら)
いずれもこの国において、発言力のある人物たちである。
三人のうちの一人、最も年齢が高い信平が御猪口をテーブルに勢い良く叩きつける。
「くそ! 秀文め・・・ 自分の意見も真っ当に言えんのか?」
現政権を担っている豊臣秀文(とよとみ ひでふみ)は幼いころから知っている。
押しが弱い所があるのは承知していたが、こうも状況に流されているというのを見ると面白くない。
それを見た三歳年下の勝義がたしなめる。
「信平殿、落ち着いて。」
「ぬぅぅぅ・・・」
「気持ちはわからんでも無いですな。
いくら有効手段であるとはいえ、ウィッチ確保の為に学徒徴兵は・・・」
「それもあるがな。最近は九曜殿も動いているらしいではないか?」
信平が苦虫を潰したように言うと、二人は目線のみを合わせる。
「そうですな。」
「ですが、あくまで“お願い”ですぞ?」
九曜葛葉の動きはかなり活発だ。
一応派閥の上層に働きかけているだけとはいえ、影響力はこの場にいる者達よりもある。
「ふん! あの方が現政権に良い思いをしていないのはワシにもわかる。
しかしだな。今まで干渉を控えていたのに、何で今になってこんなに動くのだ?!」
信平はそう言うと、お酒を御猪口に注ぐことすらやめて徳利から直接飲む。
天皇家に仕え、この国の発展を影ながらに補助してきた九曜葛葉。
しかし、決して政権の方針に逆らうようなことや、捻じ曲げる事はしてこなかった。
常に一歩も二歩も下がった位置での助言に終始している。
それが現代において、この戦時中において積極的に動いている。
「野心が無いというのはわかる。
有ったならば今頃この国は、とうの昔に傀儡となっているはずだからな。」
暴言ともとれる発言に、嘉明は目を剥いた。
「信平殿!」
思わず責める様に怒鳴ったが、目の前の男は全く動揺しない。
「お主らにも接触していたのだろう?
ワシの所にもきたわい。断ったが・・・」
「断ったのですか?」
「そうよ。勝義よ・・・お主はどうなのだ?」
「自分は・・・
提案された案件は、元々考えていた事だったのでそのまま了承しました。
新興企業の倉崎重工は新しすぎて、信用できかねましたが・・・」
「九鬼も同じであろう。」
「自分は間違いを正す機会と、戦場で奮戦する子女の手助けが出来ればと思ってです。」
840 :影響を受ける人:2014/09/28(日) 22:00:52
胸を張って答える二人に、信平は冷たい視線を向けるのみ。
「だが、結局は九曜殿のいう事を聞いたのだろう?」
「「・・・・・・」」
つまらなさそうに酒を飲む。
「さっきも言ったがな。あの方に野心は無い、それはわかっている。
邪まな感情もないとな。
しかし・・・だからこそワシは危惧している。
あの方が、どこかしらの組織に肩入れしているという未確認情報。
この情報が無ければ、ワシはここまであの方を否定はせんかった。
政治において何が必要かわかるか?
常に最善を示し、大を生かし、小を切り捨てる覚悟。
己の手を血で濡らす事に躊躇しないだけの器。
国の為に、世界を見ながらにして判断できる能力。
己を捨てる事が出来る精神力・・・
挙げればきりがないが、あの方にはそれらが全てそろっている。
信長公は言ったそうだ・・・
『九曜葛葉が政(まつりごと)に関して万が一動いた時、我が家系は反対に回れ。
あ奴はこの国のため動くだろう。しかしだ、なんでも「はい」と言ってはいかんのだ。
一人くらい反対に回り、押さえつけなければならぬ。』
とな・・・」
一気に語り終え、渇いたのどに御酒を流し込む信平を見詰める。
九曜は確かにこの国の守護神として活動してきた。
その為、自分達は「この方に間違いはない」と勝手に判断していたのかもしれない。
しかしそれでも、自分で決断したのだからその責任は自分達が持つ。
それに・・・
「九曜殿・・・・・・」
「寝てしまいましたな・・・」
「仕方がないでしょう。秀文に対して相当イラついていたようですし。」
「最初はその愚痴ばかりだったな。」
「左様。っと、ここで寝かせるわけにもいかんな。」
二人は料亭の従業員を呼ぶと、隣の部屋に布団を敷かせてもらった。
そしてそのまま信平を寝かせ、二人だけで飲み直した。
勝義が嘉明の御猪口に御酒を入れながら口を開いた。
「やれやれ、幼馴染三人での酒宴だったというのに・・・」
「ははは・・・ ああ、ストライカー装備はどうだ?」
「何とかなっているな。陸戦ウィッチは魔力さえ使えばある程度の重量を無視できる。
だから大の男が使う武器も扱えるのが良い。」
「ウチとしても共通武装が使えるから安上がりだ。
特にあの機関銃。倉崎は良い物作るな。」
「墳進砲はこっちにも回して貰えんか? あれがあると中型相手に楽なんだが。」
「【アホウドリ】を仕留めるのにしか使っていないから、回せられると思う。」
「ありがたい。」
「・・・しかし信平殿の危惧もわかる。」
「倉崎重工・・・あ奴らのアイディアには驚かされるな。これも九曜殿の肩入れだろうか?」
「わからん・・・ とりあえず、あの組織はバランス感覚に優れているというのはわかっている。」
「ああ、まさか海軍将校まで取り込んだ組織だとは知らなかったぞ。」
「うむ・・・」
二人は酒を飲みほして溜息を吐く。
「今、大陸は小康状態だ。この間に備蓄を済ませておかんと・・・」
「そうだな。そう言えば例の交流会。誰を選抜するのだ?」
「それはお楽しみだ。田中ウメ大佐に任せているから問題ないだろう。
お前だって、水瀬大佐に任せているんだろう?」
「うぐ・・・」
酒宴は夜遅くまで続いた・・・
―――――
841 :影響を受ける人:2014/09/28(日) 22:01:27
皇居の某所。
天皇陛下の書斎で、九曜葛葉が仁王立ちしていた。
部屋の主は椅子に座っているが、目を潤ませている。
「駄目か?」
「駄目です。」
即答で断じられた。
「せめて、艦上から見学してもいいではないのか?」
「駄目です。」
回答は同じだ。
「ぐぬぅ・・・」
「唸っても駄目です。」
ションボリと肩を落とした陛下の前で、溜息を軽く吐く。
「陛下・・・確かに今大陸は小康状態です。
だからと言って、大陸おこなう交流会に出席するなど、許可できかねます。
ネウロイがどのように行動するかわからない以上、貴方様の身の安全を守るのがどれだけ大変か。
私も共に参っても良いですが。最悪の場合は貴方様のみを抱えて脱出せねばなりません。」
「そうか・・・」
目の前で気落ちする陛下を見ると、ちょっとだけ罪悪感が浮かぶ。
しかしこれは重要な事だ。
この国の象徴たる天皇がもし死んでしまったら・・・その影響は計り知れない。
それゆえに反対するのだ。
「わかって頂いて、ありがとうございます。」
「・・・わが娘は行くのになぁ。」
「分体を12体護衛に着けます。それで問題ないかと・・・」
未練がましく呟く陛下に、さすがの九曜も悪い気がしたのでお願いを一つだけ聞く事にした。
「おお! ほんとうか!!」
「大陸に行く事以外ならば・・・」
「ならば参加する者達すべてに、そなたの御菓子をやって欲しい!」
「ゑっ!」
「無論、朕が試食して合格した物だけだ。」
お願いは単純な・・・ しかし参加者全員となると、その量は半端じゃない。
九曜は何度目かの後悔をするのであった。
以上です。
夢幻会、たまには出さなくてもいいよね!
オジサンたちの御話でそんなに面白くないかもしれない。
次回は交流会に入るぜ!
最終更新:2016年02月14日 01:59