424 :影響を受ける人:2014/10/19(日) 21:50:27
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第三十二話 ―異なる翼は共に飛びⅢ―



第二種目チーム対抗スピード勝負。
参加人数は四人で、最後の直線で交代していくと言うモノだ。
コースも上下運動を殆ど無くして、単純に水平飛行に絞っている。
というよりも・・・コースをそのまま流用していると言った方がいい。
最初は直線を飛行して上昇、規定高度に達したら水平になる。

緩やかなS字カーブ短い直線を飛行し、四か所のバルーンを鋭角的にWの様に曲がる。
そして円を書く様に大きく回り、最後の直線に入るのだ。
無論ただのスピード勝負では面白くない為、妨害有りとなっている。
ポイントは入らないが、飛行進路を限定する事が出来るので、どのポイントで妨害するかがカギとなる。

一番手は、どの飛行隊も最初は有名所ではない。
見どころは終盤・・・

海軍:旭川梨奈
陸軍:加藤武子
欧州義勇飛行隊:アドルフィーネ・ガランド
リベリオン義勇飛行隊:エリス・グリンフィールド

陸軍は三番手に黒江綾香を入れていることからも、気合の入れ具合がわかる。
恐らく総合優勝を狙っているのだろう事もわかった。
その為か、海軍は急遽三番手を旗本サエに切り替えている。

「そちらは本気みたいだな。」

既にストライカーの前でスタンバイして待機しているアドルフィーネは、横に座っている武子にニヤリと笑って見せる。

「まあ、やるからには本気で行きますよ。」
「そうでなくては面白くない。」
「・・・ウチは勘弁してほしいけどね。」

不敵な笑みと強烈な闘志を受けてか、エリスはげんなりと項垂れている。

「あははははぁ。気楽にいきましょうよ?」
「ありがとう・・・気休めにもならないわ。」

お気楽そうに笑っている梨奈を、恨めし気に睨んでから溜息を吐く。
エリスはスピード競技にいて、不利は否めないと思っている
と言うのも扶桑両軍のストライカーは最新鋭。
リベリオンよりも最初に技術提供を受けていた欧州も最新鋭。
リベリオンは少しで遅れており、背中の発動機は無いとはいえ機動力に問題があった。

なによりも合理性を重んじる国柄である。
大国とはいえ、数少ないウィッチの生存性を高めるためにシールド補正が高い。
そのせいで加速性能と、旋回能力が完全に駄目だった。
旋回能力は扶桑が良く、加速性能は欧州が秀でている。
既に本国では、エリスの報告を受けて最新型の製造を始めているらしいが、何時になる事やら・・・

「お、そろそろ出た方がよさそうだな。」
「いきますかねぇ。」

深く考え込んでいたエリスだが、さすがに現場の空気を読み切れないわけではない。
他のメンバーがストライカーに乗り込み始めたのを感じ取り、自分も装着する。
使い魔の耳がぴょこんと飛び出し、尻尾が飛び出る。
銃を受け取り、状態を視認で確かめた。

「問題なし。」

425 :影響を受ける人:2014/10/19(日) 21:51:04

小さく呟くとアドルフィーネが飛び出した。
次に武子が飛び出し、梨奈も飛び出す。

「エリス・グリンフィールド。出る!」

最後にエリスも出力を上げて飛び出していく。
飛び出した順番はあっている。
先頭は欧州組が取っているからだ。
と言ってもすぐに交代するわけではない、軽く一周してタイミングを合わせるのだ。
最後の直線のみ銃撃不可となっているので、ここでお互いの手を叩いて合図を出す。

それで交代となるわけだ。
しかしなぜ欧州組が先頭にいるかと言うと、妨害がうまくいったから。
一周目は三番手に甘んじていた欧州組だが、二週目に投入した人材は“追撃戦が得意”なウィッチだったのだ。
一気に追い上げ、妨害して先頭に躍り出る・・・事はせずに先頭を飛行していた陸軍ウィッチと平行に飛んだ。
追撃戦は得意だが、後ろに向かって打つのは不得意。

故に三番手に後を任せる。
そして三番手は・・・なんと、武器無しでシールドが得意なウィッチ。
弾薬係を請け負っていたウィッチで、追撃されるのは慣れている。
更に銃撃の衝撃まで利用して逃げはじめると、綾香は銃撃できなくなってしまった。
代わりに追い上げてきたサエに執拗に攻撃され、反撃している間に距離を開けられてしまう。

そのままでは欧州組に逃げられるわけだが、サエは狙撃を敢行して欧州組の妨害も開始した。
遅延展開シールドと言う高度な魔法を銃弾に込め、いきなり出現する妨害壁として用いてきた。
こんな魔法があるなんて知らない欧州組は、慌てて回避する。
そのせいで、旋回性能が足かせとなって距離を離せなかった。

アドルフィーネとしてはこのまま逃げ切りたい。
横並びとなっているから、梨奈と武子は出し抜きたい。
エリスはもう勝負を捨てているが、ベストは尽くしたい。
それぞれの思いを抱いて三番手と交代をする。
アドルフィーネは大方の予想通りスピードを上げて逃げはじめた。

「ごめん、差が・・・!」
「ご苦労様、綾香。後は任せて!!」

悔しさを顔に出す綾香をねぎらい、追撃を開始する。

「・・・任せる。」
「まかせてねぇん♪」

サエはいつも通りの鉄仮面であるが、その顔に梨奈はニヤリとした笑顔で答える。
そしてエリスは・・・

「すみません総隊長!」
「銃ちょうだい。」
「え? あっはい・・・どうぞ・・・・・・??」

二丁持ちとなってギラリと先頭の三人を睨んだ。
発せられた殺気に三人が振り返ると、エリスの目は赤く光っているように見え。
表情は暗い影に隠れて見えないが、喰いしばるような笑顔に戦慄する。
そして両腕の銃を前方に向けて発砲した。

「オチロォォォォォォ!!!」
「うわぁぁぁぁ!」
「うひゃぁぁぁぁ」

最初に獲物となってしまったのは梨奈と武子。
弾幕を必死に回避し、最初のコーナーに入った。
INコースで攻めていくが、防御しながらではスピードが落ちてしまう。
だからといって、しなければ弾幕に絡め取られてしまう。
何時か切れるのがわかっているとはいえ、戦闘を悠々と飛行するアドルフィーネには追いつけない。

その状況から最初に逃げ出したのは梨奈だった。
銃をしまって両手を自由にし、両手を前方に翳して円錐状のシールドを展開する。

426 :影響を受ける人:2014/10/19(日) 21:51:34

「おさきぃ~」
「え、ちょ!」

いきなり加速し始めたライバルに驚く武子を尻目に、梨奈はそのまま前方に飛んで行った。
彼女がやったのは真空空間を作る事。
前方に円錐式立体式シールドを作るが、その内側には空気が無いようにして作る。
最後に円錐の底を空気を入れる様にし、円錐部分を空気を排出するようにすれば加速装置の出来上がりだ。
これも高等テクニックであり、実戦においてはかなりの練度と魔力が必要なために、全然使われない魔法だ。

加速も急加速と言うほどではなく、+10%くらいだ。
それでもこの競技においては重用だ。
充分距離を離すことに成功し、武子を生贄にした梨奈は猛然とアドルフィーネを追いかけはじめた。
それを見ていたアドルフィーネはタラリと冷や汗を流す。

(むごい・・・)

視線の先では必死に避ける武子がいて、猛然と弾幕を張るエリスがいる。
しかしそればかりを見るわけにはいかない。
殺気を感じ取ってシールドを展開する。

「ありゃぁ。」
「ふふふ。」

攻撃を防ぎ、突き出した腕から青白い炎が上がる。
術符が燃える現象であるこの炎に熱は無い。
既に上がりを迎えつつある自分にとって、この術符は有り難い存在。
なにせ普通にシールド展開すれば10減る魔力が、術符で“増幅”“拡大”“硬化”を用いれば5の消費で同じシールドが展開できる。
弱くなっていくシールドを見て、溜息を吐いていたのが嘘のようだ。

だから自然と笑ってしまう。
それにこの国は面白い。
シールド技術が、多種多様にここまで発展しているのはこの国だけだろう。
もっと学び、もっと知りたい!
喜々と、獰猛に笑いながら梨奈に銃を向ける。

「私を越えられるか!」
「やってみましょぉ!」



以上です。
戦闘シーンを書くのはやっぱり大変だ・・・
次はもっちゃん達書きたい。

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最終更新:2016年02月14日 02:13