796 :影響を受ける人:2014/11/02(日) 22:41:38
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第三十四話 ―異なる翼は共に飛びⅤ―



北郷章香と江藤敏子は、胃が痛い状況に置かれている。
原因は・・・

「ウメ、最近太ったんじゃないかい?」
「そうかな? そう言うアンタは酒の飲み過ぎが心配です。
 主にお腹が。」

水瀬ササリ大佐VS田中ウメ大佐が目の前で行われているからだ。
この二人、仲が悪いとしか言いようがないほど、出会うとお互いを罵り合う。
生まれてこの方同じ町内出身、同じく導術士学校卒業生。
海軍と陸軍に分かれたが、幼いころから競争するように育っているので、罵り合うのは普通なのだ。
が、それを知っても胃が痛い。

最近は、空に関しては陸軍・海軍の垣根は無いほどに交流が進んでいる。
その証拠と言うわけではないが、章香と敏子は御酒を酌み交わすほど仲がいい。
しかし上司の、この罵りあいを見ると御互いに申し訳なくなって胃が痛い。
視線を横に向けると目が合った。

(何とかならないか?)
(無理。そっちはどうなのよ!)
(・・・無理だ。大佐には逆らえん。)

内心で大きく溜息を吐いて、今の不遇を嘆く。
御互いこの上司達に可愛がられてここまで出世できた恩がある。
更に言えば、章香は中佐に昇進しているので言えない。

「しかし、品が無いですね。」
「そうかい? あれぐらい元気な方がいいね。」

上空では陸軍ウィッチ六名VS海軍ウィッチ六名の団体戦が行われている。
陸軍側で出ている狐火隊隊長の穴吹智子が、先頭に立って攻撃しているが・・・
海軍の問題児にして高火力の持ち主、真嶋志麻が鮫島トミをお供にして疑似椀部を入れた六つの腕で弾幕を張っていた。

 ギァァハハハハハハハハ!!
 チョッ! アワァァァァ!!

最大でも二丁の銃でしか攻撃できないウィッチだが、志麻には通じない。
自分の腕力と同じくらいしか持てない疑似椀部。しかし筋肉女である彼女にはそうでもないのだ。
六丁もの弾幕に覆われそうになった智子は慌てて逃げ出す。

「彼女、弱点があるのでしょう?」
「ああ、そうだよ。それが?」
「よくもまぁ、あそこまで大立ち回りが出来ますね。」
「性格だろうね。」

呑気に話しているが、後ろの二人はハラハラしっぱなしだ。
敏子は最初の勝利こそ褒められたが、直属の部下二人を投入した二種目目では惨敗している。
しかも目の前で智子が攻めあぐねているので、更に胃が痛い。
この後、絶対何か言われるのを覚悟せねばならないだろう。
そしてそれは章香にも言える。

最初は仕方がないとして、元部下である志麻の矯正は失敗に終わっている。
元々同期であるというのもあるが、どうやってもあの性格は治らなかった。
しいて言うなら、先輩格のサエの躾の方が効いていた。
二人で胃のあたりを撫でる。

797 :影響を受ける人:2014/11/02(日) 22:42:11


 おおっ!
 弾切れ! 集中攻撃!!
 あと、頼むぞ。
 逃げるなぁぁぁ!!
 逃げねぇよ! 鮫島、弾薬装填だ。
 ウチ、帰りてぇずらァァァァァ!!

「鮫島は、度胸が足んないね。」
「それでも、味方の為に弾薬を運んでくれます。」

上司の呟きに、元隊長はフォローを入れる。
鮫島トミ自身は法術士学校出身である。
戦闘に関しては目を覆うくらい酷いモノだが、シールドに関しては隊の内で随一だった。
それを生かして弾薬運搬を行っていた。
しかしみての通り泣き虫で、常に弱気な事を言う。

それでもしっかり職務を全うするので、信頼されているし、なくてはならない人物だ。
臆病ゆえに回避能力も高いので、一度も撃墜されていないという実績もある。

 あ、あぶね。
 ヒギャァァァァァ!!
 み、味方を振り回して盾にした!!
 何するダァァァァァ!!
 俺のシールド特性知っているだろうが!
 ウチは物でねえズラァ!!

ただ、いろんな“交じり方言モドキ”を使うので、話がし辛いという面も有る。

「智子は成長しましたね。前なら接近戦を無駄に選んでいましたが。」
「昔とは違い、今は隊長です。一隊率いるものとして、成長してもらわないと・・・」
「ですが・・・調子に乗って、失敗するのは治っていませんね。」
「・・・申し訳ありません。」

最初の激突で、志麻に二人落とされたのを指摘された。
というか、志麻は普段は鉞・機関銃二丁である。
まさかシールドを捨てて、疑似椀部を四本にしての弾幕を張るとは思わなかったのだ。
智子は咄嗟に躱せたが、後ろにいた二人は被弾して撃墜判定を喰らってしまう。
その後は志麻のペースで戦闘が進んでいる。

「それにしても欧州組が負けるとは思わなかったね。」
「それに関しては同意します。しかし必然では?」
「・・・機材が違うから、連携も大変か。」

チーム総当たり戦第一試合欧州VSリベリオンはリベリオン組が勝利している。
田中ウメが言った通り、敗因は機材の違い。
欧州各国からやってきた彼女等は、最初はそれなりの機材が有ったので問題なかった。
しかし思った以上の激戦区であった為に、消耗が早かった
急ぎ部品調達を打診したが、国家としては遠い戦場よりも、近くの戦場を優先しなければならない。

その為、一時的に出撃が出来なくなりそうだった。
何とかビスや、ネジと言った部品だけ・・・でも思ったが、規格違いが発生して整備も進まなくなってしまった。
国別に、バラバラであるという事が足を引っ張ったのだ。
扶桑国の好意により、何とか部品調達を行えた欧州組であったが、性能を十分発揮できても問題があった。

性能違いにより、編隊飛行戦闘が難しかったのだ。
下手に違う国でペアーなど組めない状況で、更に整備時間で飛行時間も変わった。
これを見た扶桑国の軍需の人々と観戦武官は、部品共通化を急ぐことになる。
とりあえず性能が似通ったものを選びだし、現在カールストラント・ブリタニアの二機種に絞って数を揃えている。
しかし、今回の競技においては国別に使用しているストライカーになっていた。

なぜなら、それが国からの指示だったからだ。
もちろん彼女等は抗議したが、要求をのまざるおえなかった。
いそいで習熟に入ったが、時間が圧倒的に足りず。
六人中二人以外、バラバラのストライカーで戦わなければならなかったのだ。
二種目目は全員カールストラント人だったので勝てた。

798 :影響を受ける人:2014/11/02(日) 22:42:49

「ああいう要求は聞きたくないね。」
「同感です。」

上司二人は御茶を飲んで一息ついた。

―――――

「ゲハハハハハァッッ!!」
「悔しい・・・」

豪快に笑う大女の前で、穴吹智子は睨みつけながらも出されたお茶をチビチビ飲む。

「最後は怖かったぜぇぇ!! 被弾気にせず突っ込んでくるんだからよっ!」
「そうですか・・・」

肩をバンバン叩いて勇気を称えるが、智子としては嬉しくない。
何せ後もう少しという所で鮫島トミに、シールドで吹き飛ばされたのだから。
幸い咄嗟自分もシールドを張ったので問題ないが、下手したら大けがモノだ。
そのせいで、彼女は先程まで田中ウメ大佐に御小言を貰っていた。
同様に、トミも水瀬ササリ大佐に怒られている。

「次はリベリオン相手だけど大丈夫なの?」
「んぅ? 負けるつもりはねぇぜ。」
「欧州組だって弱くはないのよ。
 それを連携で打ち破ったチームワークは、目を見るものだと思うけど?」
「むぅ・・・ それを言われると、弱いな。
 俺等は今でこそチームワークだが、以前は個人技だったからな。」

ネウロイとの本格戦闘が始まる前は、どちらかと言うと個人戦闘が主な感じだった。
これはウィッチの戦闘要員が少なく、質を高めた結果故に起こった事だ。
今では大群で攻めてくる敵に対して、個人で突っ込んでいくのは自殺行為に等しい。
自然とチームワークをとる様になったのだ。
そんな中で見たリベリオンのチーム戦は、目を見る張る物であり、大いに参考になった。

「二人一組は基本だけど、あそこまで徹底するとはね。」
「どっかの連中が言っていたな。俺等扶桑のウィッチは“スタンドプレーから発生するチームプレイ”だとかなんとか・・・
 正直言って、あっちの方がそうだと思うんだがな。」

真嶋志麻も副隊長、学ぶことはまだ多い。
そしてそれは智子にも言える。

「そうね・・・」

感慨深く頷くと、志麻が立ち上がった。

「そんじゃ、いくぜ。」
「負けたら承知しないわよ。」
「やるからにゃぁ、勝ちに行くぜ!」

そう言って、豪快に笑いながら待機所を出ていく。
その背中を悔しそうに、でも、頼もしそうに見つめて送り出す智子であった。



以上です。
次回は北郷章香の戦闘をしっかり描きたいな・・・

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最終更新:2016年02月14日 02:15