109 :影響を受ける人:2014/11/09(日) 21:45:29
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第三十五話 ―異なる翼は共に飛びⅥ―



二度目の哨戒を終えた美緒達は、待機所に戻って休憩していた。
と言っても、緊急事態にすぐ対応できるようにはしていたが。
これも戦場生活の影響だろう。自然とそうなっていた。

「次は最後の競技ですわね。」

双眼鏡で会場となっている上空を仰ぎ見る凛の隣で、徹子も双眼鏡をのぞきながら同意した。

「チーム戦は惜しかったな。」
「・・・っていうか、真嶋さんのゴリ押しがすごかっただけッスよ。」
「あの弾幕はちょっとね・・・」

里子はげんなりした様に言い、醇子は乾いた笑いをするしかなかった。
噂には聞いていた重火力のウィッチ存在、それが真嶋志麻だと知ったときは納得したものだ。
あの筋肉量から重火器を運用しているのからだと思っていたが、能力による通常戦闘機にも劣らない弾幕が売りだったのは予想外ではあったが。
それでも「ああ、あの人なら・・・」と、実際にあった六人はすんなり受け入れた。

それでも技量と質を、チームワークで埋めるリベリオン組には負けた。
チームの弱点である鮫島トミに狙いをさだめ、早々に撃墜してした。
こうなると重火力を発揮する真嶋の価値は激減する。
元々狙いが荒い彼女は、弾薬補給係がいないとただのお荷物になってしまう。
接近戦を禁じられていたのもあって、得意の獲物である鉞を振るえなかったのも大きいだろう。

なによりも、彼女のストライカーは補給係が使用している【鍾馗】のカスタム・ストライカーを使用しているので燃費も悪い。
そう言う理由から負けてしまった。
次に当たった欧州組もそこを狙ったものの、学習した真嶋は機関銃を四丁に変更して鮫嶋を背中に貼り付けて戦闘を行うという暴挙に出たため、諦めて周りの敵を撃ち落として判定勝ちに持ち込んだ。
真嶋はその後、水瀬大佐に呼び出されてこってり怒られたという。

それはさておいて。

この場にいるのはいつもの学兵メンバーと、ミチルがいるだけだ。
ミチルと同僚の学兵は知り合いがいたので、そっちに行ってしまってこの場に居ない。
真面目なミチルも、何もしていないというのはさすがに暇なので、美緒達同様に見物人となっている。

「最後は隊長陣の総当たり戦・・・誰が勝つと思う?」
「「「「「「北郷先生です!」わ!」ッス!」だ!」」」
「そ、そうか・・・」

皆揃って言うと、驚いて唖然としてしまう。
まあ、それだけ慕われているという事だ。
はた目から見ても北郷章香の訓練は、自分が受けた訓練以上にきついものがあったと思う。
いや、きつくしなければならなかったのだ。
聞けば訓練期間は自分よりも短い期間だった。

そうなると、必然的に切り捨てられる部分が出てくる。
切り捨てられるのは当然、訓練についていけない者達。
そして与えられたのは、軍隊としての必要最低限の知識。
一時的な志願学兵とはいえ、本当の戦場に放り込まなければならない以上、必要な事だけは教え込まなければならない。
そうしてやってきたのが彼女等だ。

彼女達には・・・才能が有った。
そこまで考慮して、北郷章香は選んだわけではないだろうが。
しかし・・・
不敵に笑うと、美緒達が目を見開いた。

110 :影響を受ける人:2014/11/09(日) 21:46:03

「江藤大隊長も負けていないぞ。」
「あれ、贔屓ッスか?」
「ちがうな・・・ 一度だけ、訓練の戦闘を見たんだが。」

視線を滞空する大隊長に合わせ。

「あの人は別格だったよ。」

そう呟いた。

「美緒ちゃん。私、先輩が笑う所初めて見たかも。」
「そうですね・・・」
「醇子に小毬もひどいと思うよ。先輩は人なんだから。」
「美緒・・・ お前も十分酷いぞ・・・・・・」
「皆さん・・・早良先輩が肩を震わせておりますわ。」
(アタイは何もいわないッス・・・)

―――――

闘技場となる空中で陸軍が誇るウィッチと、海軍が誇るウィッチが対峙している。
両者ともに本土では有名であり、希望の星だ。

「こうして交えるのは久しぶりだな。」
「そうね・・・まだこんなえらい階級じゃなかった頃は、よく刀を交えたわよね。」

二人は過去の出来事を思い出して、懐かしそう笑う。

「五十戦二十三勝二引き分け・・・」
「ここで勝たせていただきましょうか。」

二人の笑みがにやりとした不敵なものに変わる。

「ぬかせ。私が勝ち越させてもらうぞ。」

北郷章香はそう言って、唯一の武器である刀・・・ではなく木刀を引き抜く。
対して江藤敏子も獲物である木刀を構えた。
お互いに銃器は持っていない・・・
完全な接近戦勝負だ。
そのままお互いに構えに入り・・・

「いざ・・・」
「参る!!」

激突した。
元々距離的にはそんなでも無かった、ゆえに衝突は早かった。

「ゼェイ!」
「ふっ!」

章香の上段からの斬撃を、滑らせるようにして右に逸らす。
そしてそのまま無防備な頭部・・・ではなく肩を狙うが、章香は倒立するようにして体を捻って避ける。
左の発動機を弱め、右を強くする。それでその場での倒立が可能となる。
ウィッチならでは・・・ストライカーが双発と言う特性の回避方法だ。
しかもそのまま横薙ぎに移行するが、敏子とって負けてはいない。

同じ様に発動機の出力調整で回転し、木刀を逆手持ちにして滑らせるようにして受ける。
木刀が接触し、受けた勢いを利用して大きく下がる。
それを猛追する章香・・・しかし、突等に右に大きく避けた。
経験と嫌な予感で避けたが、それは正しかった。

「っく!」
「忘れたの? この距離が私の間合いよ!!」

見れば敏子は左腕を突きだしている。
彼女御得意のシールド攻撃。見えざるシールドの棍が付きだされていたのだ。

「ああ、忘れていたよ! お前は陸軍一のシールドの使い手だと言うのを・・・っな!!」

負けじと、魔力斬撃を繰り出してリーチを伸ばす。
慌てて避ける。流石にこの攻撃は受けたくない。

111 :影響を受ける人:2014/11/09(日) 21:46:34

「ちょっ! それは反則よ!!
 受けたら死んじゃう!!」
「本気で来ている相手に手加減など無用だ!」

元々二人は相反する特技を持っていた。
敏子はシールドが得意。
章香は魔力撃が得意。
攻撃と防御・・・だからなかなか勝負がつかず。何時も時間切れでの判定となっていた。

「今日こそは、しっかり勝たせてもらうぞ!」
「それはこっちのセリフ!!」
「「大佐に弄られるのは嫌だ!」なのよ!」

      • 二人の戦う理由は同じで、くだらないが必死だ。
それに、そうでなくても決着をつけたいとも思っているのは事実。
故に真剣に、しかし楽しく大空を舞う。

「イッヤァッ!」
「っっ!!」

見えざるシールド棍を、空中制御で操作して足払いを掛ける。
己はそのまま上段切りで肩狙い。
章香は棍を木刀で防ぎ、脇差代わりの短い木刀で上段切りを防ぐ。
と同時に小刀に魔力を流して鋭利にする。
それに気が付き、受け止められていた棍を掴みとり、空間固定して一気に伸ばして後ろに下がる。

追撃で小木刀に込めていた魔力撃を、放射状にして撃ち放つ。
威力は無いが判定を大きくとられてしまう。
仕方なく棍を丸めていたのをやめて、大きく広げて防ぐ。
そこに章香が斬り込むが、敏子は大きく広げたシールドを突進させて近づけさせない。
仕方なくシールドを切り裂いて突撃するが、途中で止まる。
「おいおい・・・」

目の前には魔力の光を放つ、見えるようになった棍が六つ浮かんでいた。

「いつの間にそれだけ制御できるようになった。」
「あら心外ね。私がデスクワークだけしかしていないと思っていたの?」
「うむ。」

ガックリと前のめりになってしまう。
この脳筋一歩手前は・・・・・・
眉間をモミモミして頭痛を和らげる。こんなことを気にしていたら身が持たない。
それは部隊を纏める上で経験してきた事だ。
そんな思いを知らない章香は、息を整えると眼前のライバルを見据える。

「それが今のお前の最高か・・・ならば、こちらも見せようか。」
「え?」

章香は木刀をしまうと、小木刀をもう一本取り出した。
そして、

「ぬぅぅぅぅ!!!」

魔力を両手に持った小木刀、両肘、ストライカーの先、使い魔の尻尾に集中させた。
それぞれの場所が、魔力撃を伴った狂気に変貌したのだ。
全身凶器と化したライバルに、敏子も苦笑い。

「さて、待たせたか?」
「いいえ。再開しましょうか!」
「そうしよう!」

二人はそのまま、最初の様にぶつかりあった。



以上です。中途半端になってしまったけど、次回も続くんじゃ。
と言うかしっかり勝敗を決めたい。

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最終更新:2016年02月14日 02:43