268 :影響を受ける人:2014/11/16(日) 22:00:12
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
上空で行われている激しい攻防を、アドルフィーネ・ガランド大佐とエリス・グリンフィールド大佐見ていた。
視線の先の戦闘はあり得ないほどの接近戦で、あり得ないほどの技術が盛り込まれたものだった。
「あはははは。なにあれー。」
「・・・凄まじいとしか言えんな。」
エリスは呆れ、多少知っているガランドはそれでも冷や汗を流している。
現代において銃器が主流となっている戦闘だが、扶桑においては“飛来する銃弾”をはじき返す・・・もしくは切り裂く猛者のウィッチがいた。
その中のでも最高峰と言うのが上空で戦う二人だ。
流石に剣の腕前は北郷章香の方が上だ。
しかし、江藤敏子も見切りに関しては旨い。
短刀をはじき返し、肘打ちが来ても冷静にさばく。
回転鋸+鉄棍棒となっている魔力撃を込めたストライカーすら、柔らかく受け止めては反撃している。
対する章香はほとんど勘で避けていた。
「あれが本来の戦闘スタイルか?」
見上げるに疲れたガランドは、傍にいる副隊長の旗本サエに問いかける。
椅子に座って熱い御茶を飲んでいたが、何時もの鉄皮面のままであった顔を少しだけ上げる。
「・・・否。 ・・・本来はいつもの刀を使う。
・・・二刀流もできるが、一本で戦うのが普通だ。」
「となると、あれは・・・」
「・・・今回の為に作ったやり方だろう。」
サエは立ち上がると、上空を見上げた。
「・・・江藤中佐も本来は違う。」
「へぇ、どんなの?」
「・・・小型のシールドブレードを四枚展開、身の周囲を旋回させて切り刻む。」
興味本位で聞いてみたが、想像してエリスは「うぇ~」と顰め面になった。
それをチラリ見した後、サエは呟くように喋る。
「・・・元々対人戦用の技術。 ・・・ネウロイには、効果が薄い。」
「だろうな。」
「・・・おたがいに好敵手。 ・・・手の内は知りつくしている。」
「故に、か・・・・・・」
上空で戦う二人は八の字を描く様に飛行し、時折逃げては途中で交差するようにぶつかり合う。
「・・・短期決戦を意識しているだろう。」
「やはり、疲れるのか?」
「・・・バカみたいな魔力が無い限り、無理だ。」
―――――
「クシュン!クシュン!クシュン!」
「む、九曜。大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。 ・・・風邪ではないようですね。」
「そうか、身を大事にせよ。」
「お気遣い、有難うございます。」
269 :影響を受ける人:2014/11/16(日) 22:00:42
―――――
鍔迫り合いを切り上げた二人はそのまま離れ、荒い息を整える。
汗が大量に出てきているが、気分は高揚してとても良い。
「ぜぇ・・・ ぜぇ・・・」
「ふぅ・・・ ふぅ・・・」
二人とも魔力の残量が少なくなっている。
章香の全身凶器化もそうだが、敏子の完全制御シールド棍も、多大な消費が付いて回る。
故に二人とも悟っていた。
次のぶつかり合いが、最後の攻防となるのを・・・
「よくもまあ、魔力が持つのね。」
「お前も、シールドの操作と制御・・・一度も間違えないじゃないか。」
「当たったら死んでしまうからね。」
「・・・ダイジョウブダ。コロシハセンヨ。」
「棒読みになるな。後、こっちを見なさい。」
真剣勝負に熱くなりすぎて手加減を忘れていた章香は、先程とは違う汗を大量に流し始める。
そんな彼女を見て呆れつつも、途中からへし折れて使い物にならなくなった木刀を腰に差し込む。
そしてシールド棍を両手に持ち、本数を四本に変更して少し短くした。
章香も小太刀のみに魔力を回し、後は解除する。
軍人である身だ。魔力全損なんて事態は回避しなければならず。
余力を残しつつ勝負を決めなければならない事に、少々不満があるが仕方がない。
最後の一撃を決めるべく、お互いの“起こり”を見極めるべく集中する。
思えば長い付き合いだ。
最初は陸軍・海軍のウィッチを集めての、技術的な交換が目的だった。
その時のお互いのエースとして紹介されたのが二人。
地上での軽い手合わせから始まり。
旧ストライカーでの戦闘訓練。
交流会以外にもたびたび競い合った。
もはや腐れ縁と言っていいだろう。
ニヤリと笑うと、敏子も不敵に笑った。
「参る!」
ストライカーに魔力を注ぎ込み、一気に加速する。
それを見た敏子は右腕を前にだし、左腕を僅かに後ろに下げる。
左右に置いておいた棍は、何時でも繰り出せられるように前方に置いておく。
この迎撃のスタイルも、何時もの光景だ。
二人の間の距離は一気に縮まり、叩き落とさんと章香が突進する。
最初に接触したのは宙に浮く右側の棍。
突き出された棍は、真っ直ぐに眉間を狙い撃ちにしてきた。
だが章香は右の小木刀で斬り砕く。
間髪入れずに左も突進するが、棍の状態を止めてシールドとして障害物なった。
「っち!」
僅かに鋭く息を吐き、左を下側に突き出してそのまま突き刺した。
そして上に思いっきり切り上げるが、敏子はそのままの勢いを利用してシールドを上に持って行く。
追従するように引っ張り上げられてしまった為、章香の体勢が崩れた。
「ハッ!」
好機を逃がさず、左手で薙ぎ払う。
章香も負けてはいない。咄嗟に左手を小木刀から手を離しつつ、戻していた右手の小木刀でもって下から迎撃した。
僅かに拮抗するが、込めていた魔力量の違いにより棍の方が先に砕かれる。
しかし代償に右手の小木刀が砕け散った。
度重なる打ち合いと、注がれた魔力に耐久力が撃ち負けたのだ。
使えなくなった獲物をそのまま投げ捨て、左手を手刀にして袈裟懸けに切り掛かる。
敏子も残していた棍を突きだす。
到達するのは敏子が早い、得物を残していた分リーチもある。
故に「勝った!」と思った・・・が、相手に先に到達するはずの棍の間合いが開いた。
「えっ?」
270 :影響を受ける人:2014/11/16(日) 22:01:18
驚いてしまったが何の事は無い。章香が下がっただけだ。
左手の手刀を中断し、小さいシールドを展開して、左手で自分を押し下げたのだ。
無茶な動きをした左手に異常を覚えるが、あえて無視をする。
稼いだ距離と時間を活かし、右手を戻して腰に差した木刀を逆手で引き抜く。
しかし、少し遅かった。
瞬時に事態を把握した敏子がそのまま突き進んみ、もう一度棍を振りかぶっていた。
章香が引き抜き終わる前に、棍は彼女を横から襲い掛かる。
もうどうしようもない。
下から見ていた美緒達は悲鳴を上げそうになり、ミチルは勝利を確信した。
エリスは全く攻防が見えていなかったが、ガランドは魔眼により見えていた。
章香の木刀が、途中から切断されるところを。
境界面完全拒絶型シールドで短くした木刀でもって、敏子の棍を防ぐ。
防がれると思っていなかった為に一瞬呆けた。
短い木刀をそのまま捨てて止めた棍を掴み、こちら側に引き寄せる。
そしてそのまま襟をつかみ取って内側に体を沈め、背負い上げて投げた。
本来ならば空中では意味のない投げ技。
しかし、途中でシールドを使う事により地面に投げたのと同じ効果が得られる。
何とか受け身を取ったが、息が乱れてしまう。
体勢を整えようとした時には、寝技のように腕を首に巻きつけられていた。
このまま腕を動かせば首が折れる・・・
「どうだ?」
「・・・参りました。」
判定勝ち無し、文句なしの北郷章香の勝利だった。
―――――
「何やってんだい!!」のですか!!」
「「申し訳ありません・・・」」
二人は怒られていた。
無理もない・・・完全に途中から私情で戦闘をしていたのだから。
これが普通の試合ならば、即刻失格である。
上司である二人はそれを許さず、ガミガミ怒る怒る。
それを遠くから見る現北郷隊と旧北郷隊。
「大佐の説教なげぇんだよな。」
「・・・お前も自業自得だ。」
そりゃねぇですぜ!と隣で頭を抱える馬鹿を無視し、初めて怒られている姿を見る学兵達に視線を向けた。
すると、彼女等はあり得ないモノを見たかのように驚いている。
そんなに驚くようなモノかと思ったが、近くにいた凛に話しかけてみた。
「・・・どうした?」
「いえ、先生が起こられているなんて想像していませんでしたので・・・・・・」
「・・・・彼奴とて人。 ・・・怒られることもある。」
「そうですけどね・・・」
里子も違和感があるのか、頭を掻いている。
「・・・とりあえず覚えておけ。」
「「「「「「??」」」」」」
「・・・特別なものなどいない、という事をな。」
そう言って、お叱りを受ける隊長を内心楽しそうに見続けた。
以上です。
戦闘シーンを何とか書き上げたぞ!!
動作を書き上げるの、やっぱり大変・・・
しばらく残業続きになるから、ここに来れないです。
最終更新:2016年02月14日 02:44