915 :影響を受ける人:2014/12/07(日) 22:25:08
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第三十九話 ―墜ちる空―



交流会から二日後、北郷隊と狐狸部隊は本拠地を、別の場所に移し終えたばかりだった。
これは元から考えられた事である。防衛戦が下がると、自分達も下がるのは当然だ。
教えられていた美緒達もすぐに新しい基地に移動していく。
整備員や機材は交流会の間に運び込んでおり、あとは自分達の荷物だけだった。
新しい基地に来て、ちょっとウキウキしながら荷物を運び入れる。

ある程度荷物を開き終わると基地を回ってみることにし、そこでちょっとした驚きがあった。
同時期に志願した何人の学兵と再会できたのだ。
無事な姿を見て喜んだ彼女等は、一室に他の学兵も集め、女の子らしい話に花を咲かせる。。

自分達の部隊長の話。
初実戦の緊張。
他部隊の人達。
日常とは違う戦場の空気。
失敗と成功。

明るい話もあれば暗い話もある。

自分を庇って負傷し、後ろに・・・本土に戻る先輩。
初めての負傷で塞ぎこんだ事。
目の前で撃ち落とされた戦闘機。
降り立った地上で見た惨劇。
昨日まで隣の部隊で戦っていた友達が、翌日死んだことを聞かされた時。

話は弾み、夜分遅くまで話し込んでいたが、それぞれの上司に怒られしまった。
渋々彼女等は「この基地にいる限り、また話せる。」と思い直し、部屋に戻って睡眠に着く。
そして、翌日早朝からサイレンで叩き起こされた。

「なんだ、なんだ!!」
「敵襲ですわ!」
「委員長、それは分かっているって!」
「それならつべこべ言わずに動きなさい!」

いつもの二人罵り合いをBGMに、ほか四人は着替えて大急ぎで部屋を出て行く。
すでに通路には、昨日再会した仲間がすでに走って会議室に向かっていた。
その顔はもうすでに戦士だ。
そして美緒達も同じように真剣な顔で走っていく。
しかし・・・

「ああ、くそ! 朝飯食えないじゃん!!」
「御握りぐらいは大丈夫なはずですわ。」
「味噌汁がないと、俺、だめなんだ。」
「贅沢言わないで下さいませ!」

この二人のやり取りが、皆の緊張をほぐしてくれる。
それに続いて里子が話しに加わる。

「アタイは沢庵があれば良いッスね。」
「自分は梅干です。醇子さんは?」
「鰹節・・・かな?」
「醤油「「「「「無いな。」ッス。」ですわ。」です。」よ。美緒ちゃん。」み、皆ひどい!!」

そうして皆が続いて喋るのが、いつもの光景だ。
それを上の階から降りて来たミチルが、呆れて首を振るのも何時もの事。

「お前たち、元気だな・・・」
「あ、先輩。おはようございます!」
「「「「「おはようございま~す。」ッス。」ますわ。」す。」」
「若本、あくびをしながら言うな。」
「叩き起こされたので。」

916 :影響を受ける人:2014/12/07(日) 22:25:39

シレッと言う後輩にまた頭を痛める。
しかし動きによどみは無い。
寝て、いきなり叩き起こされるのは何時もの事。
それに慣れるのが兵士だ。
それはそうとして、宿舎の窓から整備員が大慌てで動き回るのが見える。

基地の規模は前よりも大きい。
いくつかの航空部隊が同居しているというのもあるが、通常の戦闘機を抱えているのもあって、設備はかなり良い。
屋根あり、壁ありのお風呂には入れたのは一番うれしかった。(前はドラム缶風呂で、交代制)
話を戻す。美緒の目線の先では、待機していた戦闘機部隊が滑走路を駆け上がっていくのが見えていた。

「それにしても、かなりの大騒ぎですね。
 敵の規模・・・大きいのでしょうか?」
「わからん。だが、久しぶりの大規模戦闘なのは分かる。」

基地の空気を感じ取っているのはミチルだけではない、美緒達だって感じているはずだ。
しかしそれでも、いつもの事をしていられる度胸はついている。
頼もしさもあるが、この年齢でこういうことに慣れるのは・・・とも思う。
いや、世界を見れば普通だろう。
世界のウィッチの寿命は短い。

大体20歳くらいが良い所、がんばれば25歳までいけるかもしれないが、シールドの強度が心配になる。
対して扶桑のウィッチは長寿命だ。
30~40歳くらいが終わりごろで、50歳までいければ良い。
血統により、魔力切れが無いのもあったりする。
とはいえ世界視点で見れば、異常なほど長いのが特徴といえるのだ。

それはこの国の制度がかかわっている。
少し大きい村や町になると、魔力検査の水晶が必ずおいてある。
一定年齢に達した女子はそれに触れて検査するのが義務となっており、反応すれば導術士学校・法術士学校に推薦入学することができるのだ。
その教育費用殆どを国が受け持つ。

戦闘技術も大切だが、庶民の生活に役に立つのも大切なこと。
医療技術、天候操作技術、未来占術等々・・・
そして彼女等にはある一つの義務が化せられた。
血統を薄くしないための・・・政略結婚だ。
と、いっても強制は無い。

恋愛による結婚も推奨されている。
後ろ暗い話だが、それなりに濃い血筋を作り続けることで、昔とほぼ変わらないウィッチの寿命を作り上げていた。
さらに言えば、大陸とは違って平和な時代が長く続いたのも、一つの要因といえる。
色々考え込んで急に黙り込んだミチルを、後ろを走っていたリンが横に並んで覗き込む。

「早良先輩、どうかなさいましたか?」
「え、ぁ・・・いや。なんでもない。」

急に現実に引き戻され、目をパチクリさせる。
内心では慌てつつ、外面は静かに受け答えをした。
もう会議室は目の前にあった。

―――――

その日、北郷隊と狐狸部隊の出撃は昼を跨いだ戦闘となった。
幸いにして敵新型とはかち合う事は無かったのだが、基地に帰ってきても引切り無しに飛び出していく味方に不安を覚えた。
休憩をとりつつも銃の点検をする傍ら、戦況の話を聞くが芳しくない。
すでに地上戦線はボロボロだと言う。

帰ってくる戦闘機も翼端が解け落ちていたり、大きな弾痕がついていたりしていた。
この基地には爆撃機隊はいないが、出撃ができない状態だと聞く。
そしてわずかな休憩時間で再出撃。
ミチルは美緒達の再出撃に反対したが、手が足りないという現状に黙るしかなかった。
夜中になっても戦闘は続き、敵がようやく引き上げたのは翌朝の、朝日が地平線から覗いたときだった。

917 :影響を受ける人:2014/12/07(日) 22:26:11

―――――

「・・・お疲れ様。」
「ああ・・・」

宛がわれた執務室で、章香と敏子が倒れ付すように机の上に、身を投げ出していた。
周りには、まだ整理していない書類などが散らばっている。
しかしそれを片付ける気力も無い。
慣れない夜間戦闘までこなした両部隊の隊員達は疲れ切り、食欲も失せていたが軽く固形物を食した後、風呂にも入らずに寝に入っている。

窓の外を見れば、スズメがチュンチュン鳴いている。
憎たらしい。

「・・・・・・こうしても、いられんな。」
「・・・・・・・やり、ましょうか。」

疲れがにじみ出ている。
それでも身を起こすと、戸を叩く音が聞こえた。

「どうぞ?」
「・・・入る。」

物静かな声の後、扉を開いてサエが食事を持ってきた。
お茶碗が三杯だけ・・・後、大きな急須が一つ。
しかしよくよく見れば、真ん中に大きな梅干がある。

「・・・戦闘食の、ニギリ飯があった。」
「お茶漬けですか。いいですね。」
「汁物・・・それなら胃に入りそう。」

書類に手を付けず、いそいそと真ん中の応接テーブルに上にある邪魔物を、二人係で片付ける。
そして席に座ると、それぞれの前に茶碗がおかれ、熱々のお茶が振りかけられた。
ひたひたにお茶に漬かった白米が、水分を吸収して少しだけ膨らみ、ほろほろと結合が解けていく。
持ち上げて最初は熱いお茶を飲む。
旨い・・・ お茶の渋みと、梅干の酸味が口一杯に広がり唾が出てくる。
そのまま嚥下し、次にお茶とご飯をかき込む。

「はぁ・・・」
「五臓六腑に染み渡る・・・」
「・・・実家の梅干は旨い。」
「「え!! これ旗本さんの、実家の梅干なんですか!?」」
「・・・うむ。」

驚く二人を尻目に、梅干を端でつまみあげて食べる。
程よく暖められた梅干の酸味が口いっぱいに広がり、さらにご飯をお茶と共にかき込む。
酸味とご飯の甘味、そしてお茶の渋みが調和して幸せな気持ちを作り出す。
敏子は黙々と食べるサエを見つつ呟いた。

「ウチも、有能な副隊長抱え込もうかな。」
「今更寄越してくれるのか?」
「ですよね~・・・」

泣きたかった。



以上です。
最初の大攻勢は何とかかわした彼女達、しかし厳しい現実が待ち受けることになる。

昨日千葉に行って、航空博物館に行ってきました!
離着陸の光景を見れてよかった~
今年最後の小旅行、楽しかった・・・
皆も楽しもうぜ!!

美緒ちゃん達は地獄だけどな!

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年02月14日 02:49