331 :影響を受ける人:2014/06/22(日) 22:20:14
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第十五話 ―天空を落とすモノⅢ―



前線で最初に激突したのは通常戦闘機隊。
彼等の大多数はまだ、今乗っている機体よりも性能が低いのを使用している。
これは、主流派である堀井大将が強引に進めた紀伊型戦艦建造と、主砲改造の影響により航空開発部門が割を食っていた為だ。
しかし“夢幻会”が割り込み、ちゃんと予算確保をしてくれたおかげで、全金属単羽戦闘機が配備されている。
もっとも、前世で最後のレシプロ機を知る彼等から見れば非力で、ちょっと頼りない。

だが現場にはとてもうれしい物だった。
なにせ今までの機体では、火力は足りない。【スズメバチ】には置いて行かれる。ダイブしても追い付けない。
それがこの機体では、すべて可能なのだ。
試験も終えてあるから現場も安心して乗れる。
7.7mm・12.7 mm・ 20 mm装備案が考えられたが、12.7 mmの射程の長さ、それなりの火力、大量にばら撒けられる弾数により決定された。

一応迎撃機として、20 mm四丁装備も少数ながら配備されている。
新たな剣を与えられた男達は果敢に挑み、大多数の敵を引き付けられ。
新型戦闘機は被弾して戦線離脱したものの、全機が無事に帰還した。
間引きされたネウロイ部隊だが、なおも進撃してきている。

【アホウドリ】×二体 【スズメバチ】×十四体

【アホウドリ】は御互いにカバーしあうためか、平行に飛んでいる。
その周りを【スズメバチ】が飛行している。
最近では、もう【クマバチ】は見かけなくなってきた。

「だけど・・・やりようはある。」

呟いて、智子は後ろを少しだけ振り返る。
その視線を受け、副隊長の圭子がインカムに手を当てて指示を下す。

「最初に私達がダイブする。狸釜隊は隙を見てデカブツを攻撃して。」
『わかった。でもお供が多いから、最初にそちらを削った方がよくない?』

武子がそういうと、北郷隊隊長が割り込んできた。

『ウチが第二陣で突っ込もう。なに、デカブツを相手にするよりかは、楽なはずだ。』
『了解。智子、無茶しないでね。』
「・・・・・・しないわよ。」

戦友のからかい交じりの忠告に、ムスッとしながらも眼下の敵を見下す。

「狐火隊・・・行くわよ!!」
『『『『『応っ!!』』』』』

号令と共に、一気に天空から駆け下る。
ストライカー独特の音に気が付いたネウロイ達は、すぐに迎撃に入る。
【スズメバチ】六体が智子達に向かって突進していった。
敵が放つ赤いレーザーを見つつ、冷静に当たりそうなものだけ見極め、斜めに展開したシールドで受け流す。
智子が最初に射撃をする。見事に命中して敵が砕け散る。

続いて二体目を狙おうとして・・・三体目に変更した。
なぜなら二体目は圭子の対戦車ライフルを受け、当たった場所から折れて砕けたからだ。
残念ながら三体目に放った射撃は外れてしまった。
他の隊員も外れてしまったようだ。
しかしこれでいい。【スズメバチ】は、こちらに食い付いた。

北郷隊も、反対方向に六体引き寄せている。
二体ほど残ったが問題ない、そいつらは最後に突撃した狸釜隊の隊長と、隊員の射撃により排除されたからだ。

332 :影響を受ける人:2014/06/22(日) 22:20:44

「早良、ついて来い!」
「はい!」

綾香がミチルを連れて【アホウドリ】一体に攻撃しにかかる。
しかし相手もバカじゃない。上部にある二箇所のカバーが開き、赤い発行部分が露出する。
前後二箇所十二門、更に左右から丸い発行発光物体が二箇所に出てきて、二体で合計三十二門が、狸釜隊に向けられた。
それはまさしく豪雨のような逆さ雨だ。
必死に駆け下るが、攻撃のタイミングがつかめない。

術符でシールドをさらに強化しているが・・・あまりの圧力に、いつ破られるか冷や汗がまったく止まらない。
結局二人は何もできず、そのまま離脱する。
下に抜けても攻撃は苛烈だ。爆弾装のごとく開いた部分から、レーザーが十条襲い掛かってくる。

「くそっ!」

ミチルは呻きながら、後ろを僅かに確認しながら銃弾を叩き込む。
確かに銃弾は当たるが、瞬時に回復してしまう。
舌打ちをしつつ安全な場所まで離脱していく。
だが【アホウドリ】は逃がすつもりがないのか、二体とも彼女等を追撃しようと機首を傾けた。
その時、もう一度上空から押しかかる部隊がいた。

「私達を無視しないでよね!!」

欧州義勇飛行隊が、一体に対して集中攻撃をかける。
反撃でレーザーを叩き込むが、今度は的が多すぎてうまく狙えない。
損傷がひどくなり、溜まらなくなったのか、逃げる様に綾香たちから離れる。
勝手な行動をとろうとする相棒に、慌てて近づこうとした。
      • が、自らも強力な一撃を受け、退避しようとする。

墳進砲を構えた狐火隊隊員が、すぐさま自分の隊の弾薬係に新しい砲を貰いに行く。
奇しくも他の隊員と、義勇飛行隊のお蔭で、有効射程距離に近づけたからこその一撃だった。
作戦通りに状況は進んでいる。
護衛は二段階で引きはがし、本命も連携させないように引きはがせた。
護衛も殲滅し終われば、更に【アホウドリ】を攻撃できる戦力が増える。
全員が奮闘している光景を、少し離れた所から見ている二人がいた。

「サリア、今のはまずい。少しだけ引け。」
『了解!』
「エリス! お前は突っ込み過ぎだ、死ぬ気かッ!!」
『す、すみません!』

的確に指示を出すアドルフィーネの横で、美緒は蓮度の高い欧州義勇飛行隊の戦闘に見入っていた。

「すごい・・・」

目の前では狐狸部隊顔負けの突撃と、回避能力を見せるウィッチ達。
世界にもこんなに上手い人達がいるという事実に興奮しきりだ。
しかし、その隣で戦況を見ている義勇飛行隊総隊長の表情は険しい。

「まずいな・・・」
「えっ?」

なにがだろうか?
今見ても敵を圧倒しているように見えて、自分達は必要なのか。

「今は敵が混乱しているからまだいい。逃走と回復をメインにしたら逃げられる。」

それは事実だ。
今は乱射でこちらを妨害しているが、護衛が一機もいなくなったと悟れば遠慮なしに逃げるだろう。
だからこそ不味い。

「坂本美緒君・・・準備は良いか?」

333 :影響を受ける人:2014/06/22(日) 22:21:22

銃器を構えたアドルフィーネの雰囲気ががらりと変わる。
空気が変わるほどの影響を受け、ゴクリと唾を飲み込んだ。
そうだ、元々の作戦は自分達が要だった。
静かに息を整えて敵を見据える。
横目にみていたアドルフィーネは、不敵に笑う。

(ふっ・・・小さくとも、侍か・・・)

ジャキリと銃を構える。

「この距離では正確な位置がつかめん。行くぞ!」
「了解!」

二人は戦場に向かって飛翔した。
狙うは欧州義勇飛行隊が襲っている【アホウドリ】。
群がるウィッチの猛攻に、嫌気がさしてきたのかシャッターを閉じようとしている。
そうはさせまいと総隊長は指示を出す。
扶桑国より譲り受けた20mm機関砲で滅多打ちにする。

飛行速度が下がっているネウロイにはたまらない。
逃げる為、機首を自分達が来た方向に向けようとして、美緒達を見つけた。
〔ガコンッ!〕という音がして機首が上下に分かれた。
今まで確認されていなかった砲門。恐らく奥の手だろう。
三門並んだレーザーが放たれる。

それを交わして突き進む二人。
照射時間が長い機首の攻撃は、執拗に二人を追う。
それを妨害せんとするウィッチに対して、【アホウドリ】も反撃する。
美緒とアドルフィーネは有効射程より少し遠めで上下に分かれた。
二人の目は・・・魔眼特有の光を帯びていた。

(私はあまり魔眼が好きじゃなかった。
 制御できず。片目の生活は辛かった。
 そんな私でも役に立てる事が出来るようになった。
 みんなが私を信じている。
 私は・・・それを信じ、自らを信じる!)

〔カッ!〕と見開いた魔眼は、的確に敵を透視する。
機首から見て・・・すぐに見つかった。
だが安心はしない。ミチル先輩も言っていた・・・「思い込みは油断の元で、危険な兆候だ」・・・と。
胴体を全て見て、螺旋をえがく様に敵後方に躍り出てインカムを起動させる。

「敵の核を発見!
 機首1m先。中心部より、ちょい上です!」
『確認した。間違いない、攻撃を集中しろ!!』

アドルフィーネが号令を下すと、一斉に機首を集中攻撃し始める。
【アホウドリ】は嫌がる様に蛇行して、射線から逃れようとした。
だが、ここぞとばかりに彼女等は攻撃した。
表面の装甲が剥がれ、削れ・・・とうとう核が露出した。

「くたばれぇ!」

ウィッチの一人が、これまた扶桑から支給された投擲砲で核を狙い撃った。
発射された弾頭は吸い込まれるように当たり、起爆し、核を破壊した。
少しだけ間が開いたと思った瞬間、【アホウドリ】が美しい結晶に変わって爆散した。
その光景に歓声を上げる欧州組の横では、二体目の解析に入った美緒とアドルフィーネがいる。
敵を万遍なく見て、すぐに報告する。

「機首より1.5m。中心部に有ります!」

それを受けて徹子とミチルが、最後の墳進砲を抱えて突撃した。

「無理して前に出るな!」
「大丈夫です。前座は、まかしてください!」
「勝手にしろ!!」

言い争いつつも、二人はレーザーの雨をかいくぐる。
見た目で分かるくらい、すでに敵は及び腰になっていた。
護衛がいなくなり、相棒も斃された。
逃げるしかないが、敵は容赦しない。
智子が接近して斬りつける。圭子が対戦車ライフルで銃座を破壊する。

334 :影響を受ける人:2014/06/22(日) 22:21:59

章香が智子とは反対側から翼を切り裂く。武子・綾香・サエが隊員を指揮して常に銃火を途絶えさせない。
そこに二人が有効射程まで接近していく。
まずは徹子が発射し装甲をはがす。爆炎を吹き飛ばして進む【アホウドリ】に対し、ミチルは冷たい目で止めを刺した。
爆散して、結晶が散らばる空を、美緒は茫然と見る。

「おわった・・・のか?」
「ああ、おわったよ。」

そう言って肩を叩いたアドルフィーネ総隊長を見る。
いつの間に隣を飛行していたのだろうか?

「ご苦労さん・・・しかしなんだ。」
「なんですか?」
「負傷者はいるが、戦死者無し。凄いぞこれは。」

それは確かにすごい。だけど実感がわかない。
俯きそうになる顔を何とか必死にあげようとしたら、誰かが飛びついてきた。

「やったよ、美緒ちゃん!」
「じゅ、醇子!?」
「的確な指示だったわよ。」
「穴吹隊長・・・有難うございます。」
「やりましたわね!」「死ぬかと思ったッス!」
「美緒さん、ご苦労様です!」「美緒、やったな!」

仲間にもみくちゃにされ、ようやく実感が持てたのか、少しだけ涙を流した。
その様子を、章香とアドルフィーネは優しく見つめた。
作戦は、無事に終わった。



以上となります。
今回で【アホウドリ】戦終らせるつもりだったから、最長の長さになった。
それでも書きたい事をだいぶ削ってあるんだよね・・・
批判酷評待っています。

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最終更新:2016年02月14日 12:57