戦艦ネウロイの攻撃は山場に入ったと言っても良かった
ミーナさんの指揮により、小型ネウロイを一掃すると、本体である戦艦ネウロイへ猛攻を仕掛けたのである


エイラは持ち前の直観力によって、対空火器の火力を集めて回避をし続けることで他のメンバーに危険が回らないようにする
ゴリラがヴァールに内蔵された機関銃を乱射しながら接近し、主砲塔付近に来ると砲身をヴァールの刃で叩き折り、空いた穴に内蔵したロケット弾をぶち込み爆発させる
エーリカも自分の固有魔法であるシュトルムを発動させて、回転しながら竜巻を発生させて弦側に体当たりして高射砲や機銃座などを吹き飛ばす
勿論、ネウロイも必死に主砲・高射砲などで反撃するも、ルーデル達の猛攻により、一つ一つ火器が沈黙し、ついには全火器が沈黙したのであった


「戦艦の火力が止まったゾ!」
「よし!止めだ!!」
ゴリラがそう叫びながら艦首側から突撃しようとしたのですが・・・・

「っ!トゥールデ!!危ない!!」
エーリカが体当たりをする

「何をする!?ハルトマ・・・」
その言葉は轟音によって掻き消された。

なぜなら、艦首の先から極大のビームが発射され、数秒前までいた空間をビームで薙ぎ払ったからだからだ
幸いにもエーリカの体当たりによって回避できたが、もしもあのままだったならビームに飲み込まれて消滅していたかもしれない

そして、外れたビームは山に着弾するや
眩い閃光と激しい爆発音とともにキノコ雲が巻き上がり、そこにあった山が消滅する


「な・・・なんなのだ!このビームは!?」
「こんな凄い威力のあるビームは初めてだよー!!」

そして、ビームが発射したことにより空いた穴から再びビームが溜まりだしたのを見るや否や二人は慌てて逃げ出そうとしたが
エーリカのストライカーからボスンと煙を吐き出し、速度がガクンと落ちる

「お、おい!どうした!?ハルトマン!!」
「さっきのビームがストライカーを掠めたみたい・・・出力が上がらないや」


ゆっくりと落ちだすエーリカの目に大きなビームが迫ってくるのが見える


「・・・避けれないや・・・・ゴメン。マルセイユと決着つけた「まだです!!」ミヤフジ!?」
エーリカが驚きの声を上げる。なぜならエーリカの前に私が飛び出たからだ





「私が・・・・皆を!!守るんだから!!」






そういって、巨大なシールドを張りだす。
その直後、極大なビームがシールドに直撃する


「ううう・・・ぐぐぅ・・・・」
私は苦しそうにうめき声をあげる

シールドはまだ持ちこたえているが、所々でバチバチという音がしだす
完全に防ぎきれてないのか、シールドの後ろにもビームが漏れ出す

「ミ・・・ミヤフジ!もういいよ!逃げ出してもいいんだよ!?」
エーリカさんが逃げるように催促する声が聞こえますが、私は無視しました

「守り・・・・通して・・見せる!!」
そう言って、より魔力を込めると胸の中にしまったお守りと首に巻いたマフラーが光り輝き
蒼いシールドが金色に輝きだし、ベルトで固定していた弾薬箱がはじけ飛ぶ


「・・・凄い・・・綺麗・・・」
エーリカが呆然と呟きだす


長時間受けたかのような錯覚を覚えさせられるが、実際には数秒間の間の出来事であった
ビームの奔流が途絶えると同時に私は力が抜け落ち、地面へついら・・・

「おい、ミヤフジ。大丈夫カ?」
墜落にはならなかった。エイラがキャッチしてくれたからだ
エーリカもミーナさんがキャッチする

「皆、無事なようね?・・・・でも、弾薬箱が喪失してしまったからこれ以上の継戦はムリね・・・」
悩むミーナに絶望な報告が届く

「ミーナ!我々がこじ開けた道をネウロイが閉じに来たぞ!これでは我々が袋叩きになるぞ!?」
「っ!!」
そう、弾薬が心もとない状態では、閉じてしまっては、切り抜けるには足りなすぎるのだ
そのため、被害が拡大しないためにも撤退するのもやむを得ないことだ

      • しかし、目標である戦艦ネウロイは倒していない。
万が一にもあのビームがロンドンに向けたならどれほどの被害が出るのか皆目がつかない

指揮官として天秤をはかり続けるミーナにルーデルが声をかける
「ヴィルケ中佐。君はビショップとルッキーニを連れて帰投せよ」
「では、ルーデル大佐は?」
「我々は残って破壊する」
きっぱりとそう言った

「それでは、ルーデル大佐が危ないです!!破壊できてもルーデル大佐の部隊が孤立無援になってしまいます!!
どうか!我々と一緒に撤退を!!」
そう具申したのだが


「私たちは常に絶望的な戦場で戦っているのだよ。このような戦場は両手では数え切れないほど経験した。
ヴィルケ中佐も分かるだろう。あの戦艦ネウロイのビームを。あれを野放しにすることはできない
我々が再出撃の準備をしている間にロンドンを攻撃されてはたまらない」
ルーデルは獰猛な笑みを浮かべ


「行け!!後は我々に任せろ!!」
「くっ・・・・ストライクウィッチーズ!!全機全力後退します!!」
何人かが反論の声を上げそうになったが、ミーナが全力で後退を始めたため、やむを得ず全員後退せざるを得なかった
それを楽し気に見送る、ルーデル中隊



ミーナ達が閉じかかったネウロイの包囲網を辛うじて突破するのに成功した時、遥か遠い彼方で
鋭い閃光と爆発音が響くのが見えたという・・・・・





おまけ
昔話を語り終えた、病室では沈黙が続いていた
かける言葉が見つからなかったからだ。

それでも加東はこの空気を何とかしようと声を上げようとしたのだが、病室の外から慌ただしく兵が入ってきた
「失礼します!加東司令官に緊急連絡です!!」
「何があったのよ!?」
「はっ!青の補給基地より北方80kmより航空型大型ネウロイ発見とのことです!」
「何ですって!?あそこの基地が潰されては戦線が崩壊してしまう!!
直ぐに上がれる者は上がりなさい!!」
そう命令を下しながらも嫌な予感が消えない加東であった


嫌な予感という物は時には当たるものである
その大型ネウロイはライーサの攻撃や真美の砲撃すらものともせず
偶々近くにいたマイルズ中隊に応援してもらって地上から砲撃しても効果は無かったという

その特徴からして先日マルセイユを撃墜した大型ネウロイと同一であると判明した
「どうすればいいのよ・・・・このままでは補給基地が蹂躙されてしまう・・・」
唇を噛み締める加東だったが、ドサッと物音がしたのでそちらに向けると

「ぐぐっ・・・・」
「ティナ!?何してるのよ!」
マルセイユが斬鮫を杖に立ち上がろうとしていて、慌てて加東が近寄る

「はあ・・・・はあ・・・・・ケイ、私も出るぞ」
「何言ってんの!ダメに決まってるでしょ!!」


加東がマルセイユをベッドに戻そうとすると、肩をガシッと掴む


「頼む・・・・行かせてくれ・・・・きっと後悔する」
「でも・・・あなたの体は万全じゃないのよ!」
「それがどうした!?ウィルマが受けた苦しみと比べたら大したことではない!上がるぞ!」
「しかし・・・・」
加東はなおも出し渋る。
なぜなら、マルセイユが墜落した際に体こそ、九曜からの贈り物首飾りでダメージ軽減できたものの
ストライカーユニットはそのまま地面に墜落し、大破していると報告が来ていたからだ

予備のストライカーユニットもない。
そんな苦悩する加東の耳に


「マルセイユ君!乗りたまえ!!」
「あなたは・・・!?」






「落ちろーー!!」
そんな気合とともに発射されたアハトアハトの砲弾はネウロイに着弾するも
次の瞬間には無傷のネウロイの姿が現す

「ライーサさん!どうやっても傷が着きません!」
「これは・・・・ティナが苦戦したのも当然なのね・・・」
ライーサも全体に満遍なく攻撃するも同じく効果が無かった


地上では、マイルズ中隊が砲撃で叩き込んでいるが
こちらも同じくであった

「隊長ーー!徹甲弾がカンバンです!」
「こちらも同じく!!」
「シット!!・・・・せめてネウロイが地上近くにいてくれたら、餓地輪が届く可能性あるのに・・・
あれだけ高度が高いと届かない!!」
マイルズは悔しそうに言う






大型ネウロイはウィッチ達の抵抗を何とも思わないそぶりで悠々と飛行し
防衛目標である補給基地間近に迫り、ウィッチ達はこれ以上に必死に攻撃するも変わらず
少女たちの顔に絶望が浮かび上がってきたところ・・・・・







ヒューーーーッ・・・・ズガン!!

どこからともなくロケット弾が飛んできてネウロイに着弾する
勿論、効果はない

そして、ロケット着弾による煙の中から1機の複葉機が飛びぬけていく

「あれは・・・・・」
「ソードフィッシュ?」

ライーサと真美はそれを呆然と見送り
席にヒトラー、マルセイユ、クルトの順に座っているのを見逃してしまった・・・



「たはーっ。挨拶代わりにロケットをぶつけてみたが当然効果はないかー」
「当たり前ですよ!!ウィッチ達が撃破できないのに、私たちがやっても意味はないでしょ?」
「分かってる。だからこそ、お嬢さんの出番だよ。行けるな?マルセイユ君?」
「・・・無論。私のわがままでここまで連れてきてくれたんだ、何が何でも撃破しないといけないな」
そういうや、複葉機の上葉によじ登る

「ヒトラー、向きをネウロイの真正面に持ってこれるか?」
「お安い御用だ!お嬢さん!!」
そういって、ソードフィッシュを真正面に持ってくる


だんだんと大きくなるネウロイの影にふと、思いついたかのうようにクルトが尋ねる
「そういえば、ヒトラーさん」
「うん?何かねクルト君」
「ヒトラーさんって操縦できたんですか?今まで飛ぶところ見たことないんですが」
「大丈夫だ!」

その言葉に安心したクルトだったが
「さっきマニュアルを見て覚えた!これが初めてだ!」
「・・・・・嫌ああああああああーーーー!!!!降してええええええええーーーーー!!」
クルトが絶叫する中、ヒトラーは気にもせず、ネウロイに猛突進する


ネウロイは大して気にもしないのか、迎撃とかも行ってこない
マルセイユはそれを真正面に睨みつけ、斬鮫を持って構える

ソードフィッシュがネウロイの下面へとすれ違う瞬間、マルセイユは斬鮫を抜き放し
右手で柄を持ち、左手で刀身の背を持つように構え、真正面に突き立ち、斬り裂くかのような構えする


ギャッギャギャギャーーーーー!!


まるで黒板を引っかくときの不快な音がネウロイから奏でるが傷が付くことさえない
マルセイユも数秒間その構えのまま押し付けたが、とうとうネウロイの硬さの抵抗に負け
弾け飛ばされ、ソードフィッシュから落ちてしまう


落下するマルセイユに見ていたウィッチ達から悲鳴が上がるが
ソードフィッシュが受け止め、マルセイユは翼にしがみつく

「大丈夫かね!?マルセイユ君!」
「ああ、大丈夫だ。次は上からで頼む」
「任せてくれ!」

そういう否や、ソードフィッシュをロールさせて、上昇する
そしてネウロイの上に抜いた際にマルセイユはネウロイの上に飛び降り
刀を突き刺し、ネウロイの上で走りながら斬り裂こうとするもこれも傷が付かない

終わりに近づいた時に、近くにいたソードフィッシュの上へジャンプして、着地する


「くそっ!これでも駄目なのか!?」
「いや、こちらの方が深く差し込めてる。もう一度行くぞ」


ソードフィッシュの機首をネウロイに持ってこようとしたが
さしものネウロイも鬱陶しいと思ったのか迎撃のビームが飛んでくる

クルトが「ひいいいいい!」と言いながら頭ひっこめたら目の前の機銃と部品が消滅する
もし、引っ込めてなかったらクルトの頭は消滅していたかもしれない

歴戦のクルトすらビビってしまう、ネウロイのビームの豪雨の中、ヒトラーは真っ直ぐにネウロイにむけて急降下する
さすがにソードフィッシュも無傷ではなく、翼端・ビームが胴体を貫通するなど被害は出ているが
頑丈な機体ゆえに撃墜されることは無かった

そして、ネウロイに近づき、マルセイユがジャンプしてネウロイに飛び移ろうとした際に
ネウロイからの迎撃のビームが飛んできたがマルセイユは斬鮫で自分に当たるビームだけ弾かせて
無傷で着陸し先ほどと同じように突き刺しながら、斬り裂き、再びソードフィッシュに着陸する



しかし、ネウロイの表面に傷が付くことは無かった



「駄目なのか!?・・・・・どうすればいいんですか・・・・師匠」
先程の傷が原因なのか荒く息を吐きながら、目を瞑る









とある広場に二人の姿があった
九曜とマルセイユだ
『師匠ー。今日は何を教えてくれるのですか?』
『そうね。刀の極意を教えてあげるわ』

そういって、広場の地面に突き刺した鉄の棒に向かって
まずはマルセイユに斬れという

マルセイユは刀を持って斬って見せるも、鉄の棒は大きくへこむだけで両断することは無かった
次に九曜が木刀を持ち、息をのみ、精神を集中させて、周りの空気が冷えたかと思うと、鋭い一閃
木刀を懐に戻した時には鉄の棒は綺麗に切断面を見せながら落ちていく

『・・・・すげえ・・・・』
『・・・・このように心・技・体を統一させることで、たとえ刀が斬れないものであろうと斬ることはできるのです』
『私もこの境地にたどり着けますか?』
『ええ、あなたは優秀な子です。弛まぬ努力を続ければたどり着けるでしょう。そして、もう一つ』


九曜は手を伸ばし、マルセイユの胸の真ん中に手を添え


『人や生き物には心があります。心があるからこそ人は優しく、悲しく、楽しく、強く生きることができるのです。
それと同じように物にも心があるのです。物を大切に使うことが出来たなら、あなたの思いにきっと答えてくれるでしょう』
『師匠・・・・・』
『あなたは仲間を思う気持ちが大きく、素晴らしい心を持っています。その気持ちを忘れてはならないのですよ』

そういって、頭を撫でてくれた。九曜の手は暖かかった。













はっと、目が開く
そうだ。なんでこんな大切な事を忘れたのだろう。
この後にウィルマが負傷して、心は復讐心一杯だった。

ウィルマが目覚めたことで、ウィルマや皆を守る力を得ようと思ったが
心のどこかで復讐の力を欲していたかもしれない

実際にスエズ運河へ偵察に出かけたウィッチからの報告にあったグレイの目撃報告で
力を欲して、無様にやられたではないか。



          • だが




私は二度と迷わない!!
私には多くの仲間がいるではないか。今は離れ離れになってしまった仲間やアフリカ部隊の多くの仲間がいる!
私はこの力を・・・・・・

「ヒトラー。機首を正面に向けてくれ」
「・・・いけるかね?」
「ああ。ビビるなよ」
「了解だ!お嬢さん!!」

軽口をたたき合いながら、ソードフィッシュを旋回させてネウロイの正面に向ける
またしても多く飛んでくるネウロイのビームを横目にマルセイユは目を瞑る




(・・・・・・・・・・・・・・・)
意識を深く落とす




(・・・・・・・斬鮫。もしも、聞こえるなら、斬鮫の力を・・・・
私に力を貸してくれ。皆を守るために力を貸してくれ。
もうあんな悲しい思いは二度としたくないんだ。そして・・・・)
私はぐっと斬鮫を強く握る



「私は・・・・グレイに・・・・勝ちたいんだ!!」
カッと目を開く、ネウロイはすぐそばにあった



「行け!マルセイユ君!!」
「うおおおおおおおおお!!」
ヒトラーの声に押し出されるように私は飛び出した

私は斬鮫を両手で持ち、後ろに手を持っていく
ネウロイからもビームを集結し極太のビームを撃ってきたが私は気にもしなかった
両手が師匠に頭を撫でられた時と同じ暖かさを感じたからだ


「一刀・・・・両・・・・断・・・・!!」
私は思いっきり叫びながら振り下ろす


斬鮫の刀身は白金色だったのに、今は黄金色に輝いていた
斬鮫はネウロイのビームに命中するが、斬鮫に当たった端からバターのように
真っ二つ斬り裂かれ、容易く前に進む


そして、黄金色に輝く斬鮫がネウロイに触れると
スーッと豆腐を切るかのように、あれほど傷つくことすら出来なかったネウロイが
ゆっくりと真っ二つになっていき、マルセイユが最後まで振りかぶり終えた頃には
完全に真っ二つになり、中央部にあったネウロイのコア諸共破壊したのである



そして、落下するマルセイユをソードフィッシュが再び捕まえる

「凄い・・・あんだけ苦労したネウロイが真っ二つに」
「やったな!マルセイユ君!!」
クルトとヒトラーが感嘆の声を上げるが、マルセイユは返事しない



        • いやできない状態と言っても良かった



なぜなら、マルセイユは両目からボロボロと涙を零し、言葉に出せなかったからだ
(・・・・・やった・・・私の・・・斬鮫と私だけの・・・・守る力が手に入れることができた!
ウィルマ・・・・私はやったんだよ!!)



マルセイユを祝福するかのように日が沈む夕日が彼女を照らしていたのであった・・・・

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最終更新:2016年02月14日 07:59