私は取材するにあたってまず、早良ミチルが通った学校、導術士学校を尋ねることにした。
導術士学校は大阪にあり、主に肉体強化、各属性の魔力変換、効率的な術符作成、等の戦闘的な面を教えている。
卒業後の進路は主に軍人を選ぶ人が多いが、少数ながらも別の進路を取っている人もいる。

今回取材した彼女は同級生であり、現在導術士学校の校長であった・・・



(すいません、忙しい中、取材を受けていただいてありがとうございます)
いえいえ、ミチルちゃんの為ならお話をしますよ
正直に言って、あの戦争で亡くなっていた人たちがそのまま忘れ去られてしまうことは凄く悲しい事です。
エースばかりが取り上げられることが多いですが、影で普通のウィッチ達もエースと同じように
戦い、死んでいったのですから・・・・

(・・・はい。私もいくつか戦場を回ったことがありますが、戦場ではみな平等な世界なんですよね)
そういっていただけると有難いです。

(早速ですが、早良ミチルとはどのような関係でしたか?)
はい、私はミチルちゃんと出会ったのは導術士学校に入ってからで、ミチルちゃんとは同級生でした。
ミチルちゃんはウィッチとしては平凡でトップエース達の様な固有魔法や特別な能力は持っていませんでした。
それでも、勉強が分からない子に教えてあげたり、困っている人がいたら手伝ってあげたりと優しい子でした。

ミチルちゃんが学校に入ってから両親から妹が出来たという知らせを聞いた時は凄く驚いたそうです。
でも、ミチルちゃんは妹を愛していて、お盆や正月などで実家に帰る際には妹が好きそうなおもちゃをいつも買って帰っていました。
ミチルちゃんは、卒業後海軍に入って故郷と妹を守るんだ!といつも明るい顔で話してました。




          • そう、あの時は明るい未来が来ると思ってたのです・・・。



始まりは大陸で怪異が発生し正規守備隊が壊滅したことです。
その時になって扶桑軍は世界中に発生した怪異の討伐に義勇軍として世界各国にウィッチを派遣して、本土のウィッチが少なくなっていたのです。
後々に批判されることが多い判断ですが、当時は困っている人を助けようと派遣に賛成者が多かったのですよ。

そこで、足りないウィッチは学徒兵として徴集することになったのです。
勿論、全員志願で、テストをして無理だと判断された人はふるい落とすなど、後にもう一度徴集された学徒兵の時と比べて
厳しく選別する余裕を持っていましたね。後に募集されたときはウィッチの魔力が持っているかどうかでかき集められましたねえ。

私も志願しましたが、残念なことに落ちまして、ミチルちゃんは合格しました。
その知らせを聞いたときは「ミチルちゃん!おめでとう!」と皆で祝ったのよ。

彼女は凄く照れくさそうな顔でありがとうと言ってました。
海軍に行きたかったのに陸軍に入った事を凄く残念そうでした。

出発の日にクラス全員集まって集合写真として撮りました。
これがミチルちゃんと一緒に撮った最後の写真になってしました・・・・

私のクラスからは半分くらいが学徒兵として出発したんですよ。
出発した彼女たちの表情は明るく、凄く張り切っていました。
あの当時は皆無事に帰ってきて、誰一人欠けることなく卒業できると信じてました


        • そう。信じてたのです・・・・



しばらくして、届いた手紙では私が初撃墜しただの、私が一番多く撃墜しただの、怒られただの、連戦連勝だっただの
という手紙が多かったですね。

私達はその手紙をみて大はしゃぎになって、戦争ももうすぐ終わるとか、あの子が楽しみにしてた映画も一緒に見られるとかそんな無邪気な事を思っていましたね。

ですが、ある日を境にバッタリと手紙が来なく無くなり、どうしたんだろう?と思っていたら、怒涛の波のように戦死通知が大量に届きましたね
最初のころはガツーンとショックを受けて泣きました。それでもその後も何度か戦死通知が届き続け
扶桑海事変が終わるころには無感動状態になりました・・・・

ミチルちゃんも手紙が来なくなりました。それでも通知が来てないということは戦死してない。私は何度か手紙を出しましたが返事はなかったですね
唯一届いた手紙が「私は疲れた。夢に出てくる。仲間が。夢に。もう疲れたんだ」
というただ一つの手紙でした。


やがて、ミチルちゃんも戦死通知が届き、暫くして超大型怪異を撃破して、扶桑海事変が集結したと政府から発表で知ることが出来ました
学徒兵として出発した彼女たちは当初の半分以下で帰ってきて、みんな暗い顔をしていました。元の明るい彼女たちはいなかったのです。

そして、その年の卒業式は遺影が多く飾られた暗い卒業式でした・・・・・


その後、第二次ネウロイ大戦が勃興し、扶桑も東アジアを中心に大戦へと突入しますが、私は体を壊していて軍に志願することなく
学校の教育者として、多くの学生達を育ててきました。

あの大戦中に学徒兵がもう一度徴集されるかなとビクビクしてましたが幸いにもそのような事態に陥ることはありませんでした・・・・


本当につらい時代だった・・・・。多くの同級生とミチルちゃんやそれ以下の子供達が死んだのですよ。
時の政府が早く決断していれば、ミチルちゃんを始め多くの子供達が死なすことは無かったのではと思えて仕方ないのですよ・・・・・
彼女達もやりたいことが多くあったはずなんですから・・・・・

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最終更新:2016年02月14日 08:16