- 340. earth 2011/08/10(水) 23:51:52
- 唐突に思いついた不老不死ネタ話です。風雲嶋田城ネタも少し入っています。
21世紀の日本帝国は世界の覇権国家として君臨していた。
軍事力、経済力は他の国々と大きな差をつけ、21世紀は日本の世紀であると誰もが考えていた。
そんな大国では軍発祥の文化祭からサブカルチャー文化が、そして運動会からミリタリースポーツが隆盛していた。
ミリタリースポーツの中でも、運動会の競技である『城攻め』の影響からか特にサバイバルゲームの競技人数は多く
全国殆どの高校にはサバイバルゲームを行う部活が存在するほどだった。
夢幻会は将来のための優秀な人材確保のために、それを利用しようと考えていた。
「だからといって、こんなことをします?」
『良いじゃないですか。人材発掘には丁度いいでしょう?』
秘密通信回線を用いての夢幻会の会合。そこで嶋田は辻の提案を聞いて頭を抱えた。
『勉強の成績だけではわからないこともあります。それを見極めるには良い機会です』
「しかし東京府内だけの学校が対象と言うのは不平等だとか言われませんか?」
『初めてのことですし。とりあえずはこれで良いでしょう。好評なら対象を拡大すればいいだけです』
この言葉に嶋田は肩をすくめる。
「判りました。で、誰が優勝者と面会するんです? まさか会合の席に招くなんてことはしないでしょうね?」
『嶋田さんと東条さん。それに三菱、倉崎の相談役。私を含めた文官数名でしょう』
「それでも十分に豪勢と思いますがね……まぁ良いでしょう。確かに決断力、判断力、思考力などを総合的に見るには
良いかもしれません」
かくして夢幻会の会合はある決定を下した。そう、東京府内の高校を対象にしたサバイバルゲーム大会を。
- 341. earth 2011/08/10(水) 23:52:22
- 表向き、三菱財閥、倉崎グループが共同で開催する一大イベントとされた。
だが事情を知る者たちはこれが夢幻会主催であり、優秀な人材を選別するための大会であると知って自分達の
子息を参加させることを目論んだ。
何しろ夢幻会の有力者が、競技の様子を見るのだ。息子や娘の顔を覚えてもらうには丁度良い機会だった。
またこの世界では優秀な軍人、またはその素質があるということは優秀な政治家としての才能があると見られる。
政治家にとっては、自分の後継者と考えている子や孫に箔を付けさせるよい機会でもあった。
「恥はかけんぞ!」
彼らは参加する者にそう発破を掛ける。
一方、何も知らない一般参加者達も奮い立っていた。
公式上、優勝者にはトロフィーと賞状が贈与されるのみだった。だが優勝の暁には日本、いや世界有数の巨大企業で
ある三菱や倉崎の経営者と面会し、金銭以外で願いをかなえて貰えるとの話が出回ったのだ。
勿論、最初は誰もが眉唾ものと捉えていた。だが大会運営は噂を肯定も否定もしなかった。
「ひょっとして本当なのか?」
「いや、しかしそんなことが……」
「でも、あの巨大企業が共同で開催するってことは」
噂は噂を呼ぶ。そして現実世界の口コミだけではなく、インターネットを経由してさらに情報は拡散していった。
そしてマスコミがかぎつけた頃、大会の運営は噂が事実であること、表彰式には嶋田元帥を含めたVIPが列席する
こと、そして優勝者が望むのであれば懇談もできることが公表される。
「願いをかなえると言っても限度がありますけどね」
倉崎グループの相談役はそう言ったものの、誰もが奮い立った。
商売にかけては世界一の三菱、技術にかけては世界一の倉崎。この2つの企業の相談役に願いを聞いてもらえる上に
陸海軍の元帥、それに政府の有力者とも会えるというのだ。奮い立たないほうがおかしい。
かくして高校生達の暑い夏が始まる。
最終更新:2012年01月02日 18:18