107 :影響を受ける人:2014/12/14(日) 22:30:09
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
一日中襲撃があった翌日はどの部隊もろくに動けない状態であり、狐狸部隊と北郷隊がやってきた基地も例外なく整備員が大急ぎで整備している。
通常戦闘機部隊も翼端がレーザーで溶かされ何とか帰還した機体、“ウシアブ”に実弾で大穴を開け滑走路に横倒しになったのもいた。
こちらはストライカーよりも大柄なために、予備機を回して何とか凌ごうとしている。
しかし問題は他にもいたウィッチ部隊と、録に話し合いも出来ずに出撃しなければならなかった事だろう。
幸いにして北郷章香・江藤敏子の両名がいたので、臨機応変に対応できた。
他の基地ではそう上手くいかなかったが・・・
中でも厄介だったのは夜間出撃だった。
一応夜間戦闘専門の部隊もいたが、規模が大きい襲撃に手が回らず、通常の部隊にも応援を呼ばねばならなかった。
学兵達は昼での戦闘を重視して教え込まれており、夜間に関する知識は座学でのものしかなく。
結果的に言えば、足手まといにしかならない。
更に夜間戦闘を考慮されている通常戦闘機部隊もいないのも、大本営に問題視された。
これも被害を大きくした要因の一つと言える。
なし崩しともいえる出撃は、疲れが溜まる要因となってしまい、誰も彼もが疲れ果てて深い眠りに落ちている。
故に何とか隊長各を集めて会議したのは、襲撃が終わった日の夕方・・・食事前だった。
「皆、昨日の奮闘。大変感謝している。」
まずは労う。
敏子は章香とは違い、ずっと司令室に籠って指示を出し続けただけと言う自覚がある。
それでも整備員に整備状況を聞き、弾薬を素早く取り出せるように配慮し、戦闘食を作る手が足りないなら手伝うなどしていた。
それを知っている穴吹智子・加東圭子・加藤武子・黒江綾香・旗本サエ、他隊長・副隊長数名は何も言わない。
「それでだが・・・明日、また今回の襲撃が無いとも限らない。
早急にローテーションと、部隊編成を整える必要がある。」
智子が手を上げる。
「それは同意します。けど、今変えると混乱しませんか?」
「それはもっともだ。だからあまり変えないつもりではいる。」
「あまり・・・ですか。」
綾香が含みのある言い方に気が付き、顔を顰める。
「今入った最新の情報によると、例の新型ネウロイ・・・うちでは狐火隊と、水蛇(ミヅチ)隊が交戦したな・・・の呼称が“ウシアブ”に決定した。」
「どうでもいいですね。」
「うむ。」
水蛇隊の隊長が何の感情もなく言うと、敏子も同意して進める。
「こいつは初期に出現していた実弾仕様のネウロイでもあるという事だ。
だが違いは、レーザーも並行して使用する火力。
地上部隊はコイツの襲撃に頭を悩ませたようだ。」
「一撃離脱能力は“スズメバチ”より厄介よね・・・」
圭子が後ろに身を逸らさせて、椅子がギシリと軋む。
「・・・あのダイブに付き合う必要はない。」
「旗本さん、言うは易しですよ。学兵にはちょっと・・・」
「確かにダイブに付き合う必要はない。正面から迎撃してやればいい。
あの火力と相対する事になるのが厄介だがな。
それに“スズメバチ”も旋回能力を底上げしている。油断できないぞ。
そして・・・まだ、未確認なのだが・・・」
108 :影響を受ける人:2014/12/14(日) 22:30:36
苦虫を噛み潰したような表情になった総隊長と、腕組みをしたまま難しい顔をしている章香を見て、その場にいた全員が次の問題が最大の問題だと悟る。
「“アホウドリ”についてだ。
こいつの弱点は大まかに見て、機首部にあるというのが集計結果で分かっている。
今回私達は会敵していないが、殲滅をこころ見た部隊から・・・
『弱点が、核が消えた。』
・・・と言う報告が上がっている。」
「はぁ?」
内容が信じられない智子が間抜けな声を上げると、武子が慌てつつも手を上げて発言する。
「それは、奴に弱点が無くなった・・・そう思ってもよいのでしょうか?」
「・・・・・・わからん。」
「わかんないって・・・」
海軍の佐伯隊隊長:佐伯頼子【さいき よりこ】も唖然として敏子を見る。
「情報が交錯しているんだ。
迎撃が成功した部隊もあってな。資料通りに機首部にあったと言っているんだ。
だがその成功した部隊にも、『機首部に無い為、試しに胴体中央部を攻撃したら有った』と言う報告すらある。
以前、魔眼持ち全員で調べた資料が今回の戦闘で、疑問視されているんだ。」
「そんな、バカな・・・」
あれだけ苦労して調べた資料が無駄になった。
その事実は坂本美緒を知る者達にとって、到底信じられるものではない。
大体嘘を吐く必要性など、どこにもないのだ。
「そこでだ・・・魔眼持ちである坂本美緒一飛曹を、特別任務につけることにする。
名目は〔“アホウドリ”の核調査〕だ。
現場で確認し、その場の部隊に報告するのが主な任務となる。」
それは以前にもやっていた事、しかしなぜそれを 陸軍である江藤敏子 が言うのだろうか?
「部隊員は四名。私が率いていた狐狸部隊の学兵三名と「ちょ、ちょと待ってください!」・・・なんだ。」
話を遮った事に怒る事もなく、敏子は智子を見やる。
「学兵だけで部隊を作るなんて、正気ですか!」
「正気だ。」
「せめてベテランの一人でもつけないと、納得出来ません!」
「私も智子に賛成です。学兵だけというのはいくら何でも無茶と言うモノですよ。」
反対意見を述べる智子に賛同して、武子が睨むようにして総隊長を見る。
隣に座る綾香も同様であり、他の者達も困惑していた。
「私だって出来ればそうしたい!
だが、出来ないんだ・・・」
「どういう事でしょうか?」
「・・・夜間専門部隊を作るからだ。」
物静かな声に、全員の注目が集まった。
注目を集めたサエは視線を、章香と敏子に向ける。
二人ともその視線に対して頷く事で回答した。
「・・・今回の襲撃により、夜間戦闘を主とする部隊数が足りない事が露呈した。
・・・この基地に出夜間戦闘できるのは、そう居ない。
・・・なるべくならばベテランで組む必要性がある。」
「それなら私だってベテr「・・・何も見えない闇の中を飛べるか?」そ、それは・・・」
闇の中を飛行すると言うのは大変な事だ。
ましてやまだ魔道航空技術発達途上の最中だ。試行錯誤の面も多い。
一応夜間専門部隊から資料や話を聞く予定である。
反論しようとした智子は、サエの鋭くも静かな視線で射抜かれて沈黙を余儀なくされた。
109 :影響を受ける人:2014/12/14(日) 22:31:16
「話を続けるぞ? まずは陸軍からだ。
狐火隊から上等兵一名、狸釜隊からも上等兵一名、水蛇隊から上等兵を二名、淵猿(ふちざる)隊から上等兵一名。
海軍から下田隊から副隊長として伍長を一名、これを旗本サエ中尉に隊長として指揮してもらう。
そして、今までの戦果や功績を見て中尉を大尉に昇進させ、伍長も軍曹に昇進。
上等兵達も伍長に昇進させる。」
昇進するという事はそれだけ責任も大きくなる。
それを伝える各隊長達はちょっと困った表情となった。
部隊員を削られるのに、補充が無いのは困るのだ。
昨今を見れば、容易に補充なんて来ない。
来ても学兵だろうが・・・今来られても「死に行け」という事と同意義だ。
正直、入れたくないし、来て欲しくない。
そんな不安を察して敏子はさらに続ける。
「部隊補充だが・・・これは連絡を入れて何とか裁可された。」
そう言うと、隣の章香をチラリと見る。
視線を向けられた彼女は全員を見渡せるように椅子から立ち上がり、眉間に皺を少しだけ寄せながら口を開いた。
「下田隊には悪いのだが、部隊は解散し各隊に配置することが決まった。」
「なっ! あ、あの子達にバラバラになれと!」
下田隊は、隊長:下田なか 副隊長一名 部下八名で、学兵は六名受け持っている。
いずれも舞鶴で訓練した子達だ。
共に過ごし、妹のように可愛がりつつ厳しく教えた教え子たち。
それと別れろと言う無慈悲な言葉に、絶句しつつ顔を真っ赤にして噛み付く。
「すまない・・・ 他に此方に来れる人員が居ないんだ。」
頭を下げて詫びるが、それでも下田の怒りと困惑は止まらない。
「そんな!「そのかわり、君に我が隊を率いて欲しいと思っている。」・・・え、それはどういう事ですか?!」
「北郷章香中佐は、今後は海軍に所属するウィッチの総隊長となるの。
つまり私と同じになる・・・」
いきなり部隊を任せると言われて又混乱したが、敏子が補足する。
話を聞けば、あの襲撃が今後も続くだろうと予想され、その為指揮の為に章香もとうとう前線から足を引かねばならなくなったのだ。
夜間戦闘部隊を立ち上げる際に旗本サエが抜け、自分一人では体を運用できない。
ならば、別の者達を宛がうしかないのだ。
下田なかはそれならば北郷隊を解体すればいいと言う。
最初は章香もそうしようと思ったのだが、それは別方面からの圧力に寄り断念せざる負えなかった。
元々良家の子供を預かっていた北郷隊を解体すると、生存率が下がるのでは?と思われたからこその代替案だったのだ。
そこを説明し、何とか納得してもらった。
前途多難な会議に、総隊長両名は頭痛と共に胃が痛い思いをするようになるのであった・・・
以上、女性たちの会議でした。
そして北郷隊解体です。誰が予想しえたろうか!
夜間戦闘能力まであるサエさんは本当に優秀ですぜ。
最終更新:2016年02月14日 13:18