413 :影響を受ける人:2014/12/28(日) 21:50:35
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第四十二話 ―墜ちる空Ⅳ―



「でも、なんで話す気になったんですか?」

グシャグシャになった髪の毛を直しつつ、美緒は隣でタバコを吸う先輩に問いかけた。

「そうだな・・・・・・これからの任務について聞いたんだろ?」
「はい・・・・・・・・・」

問いかけたのに問い返された。
それはともかくとして、自分自身でも「見方を見捨てても帰還しろ」と言う命令は、どうしても納得できないでいる。
今まで肩を並べて戦ってきた味方を、そんなに軽々しく見捨てられない。
苦悩する美緒の心に賛同するように、ミチルも煙をゆっくり吐きながら頷いた。

「私も納得していない。」
「そうなんですか?」

ちょっと意外だった。
以前から「隊長陣の指示にしたがえ」と、口酸っぱく言っていた本人とは思えない。
そんな驚きを感じ取ったのか苦笑する。

「流石に私でも、今回の命令は思う所があった。
 隊長に私が指名された事。
 学兵のみで編成された事。
 理不尽な命令もだな・・・
 納得できないから食って掛かったが、総隊長とけんかしてしまったよ。」 
「ええ!? だ、大丈夫なんですか?!」

朗らかに苦笑するミチルに、呆れつつも驚く。

「結局言い負かされて、ここで気持ちを落ち着けていたのさ。」

豪胆な行動を聞いて、今まで抱いていたイメージが吹き飛んでしまった。
よくよく考えれば仕方がないのかもしれない。
話す事と言えば作戦の事や整備の事ばかり、プライベートな話なんて殆どしていないのだ。

「それで、最初に戻るが・・・いいか?」
「あっはい。」
「まぁ。教訓程度に聞いてくれればいい。」

そう言って短くなったタバコを消し、新しく一本取り出して火をつけ、一息吸った。

―――
――――――
―――――――――

私は最初の学兵徴集で大陸の戦場に出た。
お前達よりかは、それなりに長い期間で訓練してな。
元々私は海軍に行きたかった丁度良かった。少しでも軍の空気になれれば・・・
今思えば、浅はかな考えだ。
戦場はそんなに甘い物じゃなかったよ。

だけど私が配属していた部隊、飯井オトメさんは優秀な人だった。
かなり豪快な人だったけど、面倒見が良くて、皆から慕われていたよ。
他の隊員も良い人ばかりだった。
一緒に配属された学兵とは最初はギクシャクしていたけれど、仲を取り持ってくれたりもした。
家族・・・そんな部隊だった。

戦場の辛さも。苦しい時も。そんな隊長がいたから乗り越えられた。
私も技量を高められた。
幸い私は同期に比べると腕前が良い方だった。
飯井隊長にも「筋が良い」って褒めたれたなぁ・・・
だから・・・私は驕っていたのかもしれない。

414 :影響を受ける人:2014/12/28(日) 21:51:20

いや。事実、驕っていたんだろうな。
戦場に出れば連戦連勝だった私達、皆が自分達を見れば士気を上げた。
自分達は負けない。
絶対に落とされない。
そんな風に思っていたんだろうと思う。根拠なんかないのにな・・・

あの日は曇りだった。
その日も敵の攻撃が激しくて、それでも皆何時もの通り戦っていた。
だけど・・・

『くそ! サッサと落ちろ!!』
『早良、一体にかまい過ぎるな!』
『でも、隊長。』
『一体くらい放っておいてもいい。深入りだけはするな。』
『わかりました・・・』

私は初めて隊長に反感を覚えたんだ。
もう少しで落とせたのに・・・って。

『どうしたのよ。なんか不機嫌みたいだけど?』
『なんでも無い・・・ それより銃をくれ。』
『そう。でも銃は今、簡易的な整備中で『これでいい』あ、ちょっと!』

よく確認もせずに、銃を奪い取るように持って行って。

『よし、いける!』
『早良、まt〔Giiiiiii!!〕ちっ、まとわりつくな! 早良ァァァ!』

私は深入りして敵に囲まれた。

まだ“スズメバチ”が確認されていない時期。敵の殆どは“クマバチ”。
囲まれたのは驚いたけど、最初までは順調に撃墜出来て良かった。
だけど、連戦の影響が徐々に出てきていた。
弾薬が尽きつつあった。更に言えば銃器も、もう耐久力が無くなりつつあって。
そして私の銃は・・・壊れた。

一発も撃てなくなった銃。
弾薬が尽きつつあった事に焦っていた私は、その事実に混乱状態になっていた。
ストライカーに被弾して、出力が低下したのも拍車をかけた。
情けない話だけど、本当に何も考えられなかったんだ。
自分を殺しにかかってくる敵から必死に逃げた。

接近戦の為の刀もあったけど、振るうなんて余裕もなかった。
何時しか防御用の術符も尽きて、私は死にたくない一心で逃げ続けていた。
そんな時だった、隊長が助けに来てくれたのは。

『早良、無事か!?』
『た、隊長・・・』
『無事なら良い。とにかく切り抜けるぞ!』

何とか助かったけど状況は変わらなかった。
自分に引っ張られるように、敵陣深く進んでいたんだ。
味方も交代の為にいないというタイミング、敵がいないから周りのネウロイが群がってきていて・・・最悪な状況が出来ていた。
囲みを突破しようとみんな必死になって攻撃したよ。

『早良、銃をやるから刀を貸せ。』
『それじゃ、隊長が。』
『かまわん。お前達を・・・学兵を何としてもこんな場所から連れ帰ってみせる!』

私も隊長から銃を手渡されて反撃した。
隊長達が先頭になって斬り込んで、私達学兵が銃撃で押し広げる。
でも、敵の囲いは厚過ぎた。
死にもの狂いに攻撃したよ。それでも敵が減った気がしなかった。
突破できた時には、隊長と副隊長しかいなくて、学兵も一人死んだ。

『逃げろ。逃げるんだ!』
『ハァ…ハァ…『アユ、回避しろぉ!』え、ガフゥ!?』
『いやぁぁぁぁ!』
『・・・・・・くっ!』

415 :影響を受ける人:2014/12/28(日) 21:51:50

更にひとり仲間が腹を打ち抜かれて落とされて、隊長と副隊長は向かってきた敵に向き直った。
最初はわからなかった。なんでそんな事をするのかが。

『良いか、振り返らず逃げるんだぞ。』
『隊長達は、どうするんですか!?』
『時間を稼ぐ。副隊長行くぞ!!』
『隊長! たいちょぉぉぉぉぉぉ!!!』

隊長隊はもうその時に覚悟を決めていたんだと思う。
自分達を逃がすために囮になる事を・・・
私は隊長達を追いかけようと思った。でも仲間がそれをさせてくれなかった。
いくら出力を高めようとしても、壊れかけのストライカーは聞き届けてはくれない。
隊長達は大部分を引き留めたけど、それでもあぶれたのが私達に襲い掛かってきた。

もう銃に弾丸は無くて、低空飛行で回避行動するしかなかった。
魔力も消耗していて、足手まといだった私は・・・仲間に庇われて墜落。
その後の事は良く覚えていない。
ただわかっているのは、墜落した私達にネウロイは興味を抱かなかった事。
隊長達は戦死した事。

遺体は回収できなかった事。
御咎めがほとんどなかった事。
私が・・・私の行動で部隊が壊滅した事だけだった。

―――――――――
――――――
―――

「このタバコは隊長がよく吸っていた銘柄で、あの人も縁起担ぎに吸っていたんだ。」
「・・・・・・そうだったんですか。」

北郷章香から大まかには聞いていた。
しかし、本人から聞くのとは重さが違う。
話している間に吸い終わったタバコを灰皿に捨てて、俯く美緒の横でミチルは空を見上げた。

「まぁ・・・言いたい事は「人の話を引け」「よく確認をしろ」「勝手な行動をするな」だな。
 軍隊には必須で、当たり前の行動原理だ。」
「はい。」
「隊長としては頼りないかもしれないが、私の指示には従ってくれ。
 それが理不尽であると思うならば、私を恨むと言い。」
「え?」

困惑して顔を上げてミチルを見ると、彼女は立ち上がっていた。

「お前はかなり気にするみたいだから、そう言う事があれば私に責任を押し付ければいい。」
「そ、そんなこと出来ません!」

慌てて椅子から離れて去ろうとするミチルの背中を見る。
少しだけ振り返ったミチルは小さく笑っていて、

「お前はそれをしてもいいんだ。」

そう言って立ち去った。
美緒はどうしていいかわからず・・・その場にたたずんでいるだけ・・・



以上です。
今回初めて一人称を使ってみた。
意外と難しい・・・
「た」終りがおおくて、どうしようかと・・・
大晦日はどうしようか。ネタが浮かばない(汗

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最終更新:2016年02月14日 13:19