597 :影響を受ける人:2015/01/04(日) 21:50:29
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第四十三話 ―墜ちる空Ⅴ―



余裕が出来た二日は、あっと言う間に過ぎ去った。
翌朝0500 襲撃は再開し、各部隊は・・・最前線の将兵いずれも口をそろえて言う“地獄の一週間”が始まった。
最初に出行くのは元北郷隊こと現下田隊だ。
現在この基地には、

狐火隊 六名
狸釜隊 六名
水蛇隊 六名
淵猿隊 六名
下田隊A 六名
下田隊B 六名
旗本隊 七名
特務隊 四名

前下田隊は元々十六人と言う大所帯。
それを隊長がA部隊、副隊長がB部隊として運用していた。
同時出撃する事で二つに分かれることはめったになく、ここに来てからもそのように運用される事が決定している
二部隊ずつ、朝昼晩と運用し、夜戦はベテランで固めた旗本隊が抑える。
久々の早朝出撃となったが、もはや慣れていた徹子等はすぐに飛び起きて、駆け足で格納庫に駆け込む。

前線で戦う若本徹子・竹井醇子・飯島凛はいつもの装備。
山田里子は主に大久保小毬の護衛をするので術符を大目に持って行く。
小毬も下田隊のベテラン運搬者と相談し、弾薬運搬箱の弾薬量を調整し終わっているので素早く背負う。
それを横目で見ながら扶桑刀を背中に差す。
一応北郷章香から資料を渡され、個人的な話をしているので人となりはわかっているつもりだ。

(あの人も大変ね。)

資料を見るまで普通の学兵だと思っていた。
だが・・・

(飯島凛は分家とはいえ華族出身。
 竹井醇子は、かの有名な竹井家の御息女。
 大久保小毬も大きくは無いけれど、古くから続く軍人の家系。
 更に坂本美緒はまれにみる高性能な“魔眼”使い。)

山田里子は唯一普通の家庭からきているが、覚醒型ウィッチとしては中々優秀な分類。
これは気軽に解散など言えない。
最も実力のある北郷章香に預けられるのも頷ける話だ。
しかし、資料を見て一番気になっているのは・・・

(なぜ・・・あの子の能力欄だけ、塗りつぶされているの?)

視線は、凛と軽い言い争いをしている徹子の方を向いていた。
徹子の資料だけ、能力欄が黒く塗りつぶされているのだ。
能力が無いなら最初から書かなくていい。
そこがわからない。

(能力はある・・・はず。
 北郷、総隊長も調べたらしいけど、結局わからずじまい。)

階級が上の、かなりやり手の人物ですらわからなかった事が自分にわかるはずもない。
昨晩に軽い挨拶しかしていないので、かなり不安ではあるが出撃するしかない。
気持ちを切り替え、ストライカーが追いてある場所に急いで向かう。

598 :影響を受ける人:2015/01/04(日) 21:51:07

―――――

全員発射台に固定されているストライカーを履き、そのまま外に出ていく。
後ろにはフォークリフトがあり、それで持ち上げて運搬しているのだ。
今までいた場所はウィッチ専門の飛行場であったので、こうして通常戦闘機隊と共に運用される基地と言うのは初めてであった。
既に戦闘機部隊は出撃していて、空に舞い上がっている。次は彼女達だ。

「よし。準備は良いな!!」
「「「「「「はい!」」」」」」

全員から良い声で返答が帰ってくる。
三人ずつ運ばれ、進路上に並ぶ。
すぐに管制塔から発信許可が出た。
主機の出力を上げて右端の下田隊長から順次発進していき、加速が十分ついたところで浮き上がっていく。
全てを終えたフォークリフトはすぐに脇に移動し、第二陣を運搬するフォークリフトが進み出る。

この発進風景を美緒は待機所から見ていた。
視線に気が付いたのか、二番手の醇子が手を振ると里子と小毬も手を振った。
美緒も手を大きく振って答える。
しかし発進してしまうと、心にどうしようもない空白が生まれてしまう。
こうして離れるのは初めてではない。

それでも慣れるものではなかった。
寂しそうに空を見上げていると、席に座っていたミチルが横に並んだ。

「どうした?」
「えっと・・・」
「まぁ・・・なんもしないで待つ。と言うのは、私も苦手だよ。」

苦笑すると、美緒も少しだけ微笑む。
肩を軽く叩いてそのまま待機所に戻った。
待機所と言っても部屋ではなく、長椅子とテーブルが置いてあるだけの簡素なものだ。
一応お茶とお菓子が置いてあるくらい。

「さて、確認しておこうか。」

先に座るや否やミチルは全員の顔を順繰りに見る。
狐火隊で弾薬運搬係をやって居た学兵が手を上げる。

「その前に良いかしら?」
「なにか?」
「貴方が隊長という事だけれど・・・大丈夫なの?」

空気が、張り詰めた。

「何が言いたい。」
「部隊を全滅させた張本人が、指揮をして大丈夫なのかってことよ。」

私はまだ死にたくないと彼女は言う。
それを、同じく弾薬係だった狸釜隊の学兵が咎めるように睨んだ。

「それに関して私も抗議を入れた。が、却下された。」
「ふ~ん。」

元狐火隊学兵は半目にになって、ジッとミチルを見続ける。
変化した雰囲気に美緒は何もできず、アワアワとするだけ。
ミチルの同僚の学兵が声を上げようと前に乗り出したところで、元狐火隊学兵が大きく溜息を吐いた。

「真面目すぎるわ。アンタ。」
「それが取り柄だ。」
「ホント、穴吹隊長が言った通りだわ。」

頭を乱暴に掻き毟った後、乱れた髪を手櫛で整える。

「噂がどうあれ、しばらくあなたを見ていた。
 その経験を信じるわ。」
「ありがとう。」
「むぅ。お堅い。」

599 :影響を受ける人:2015/01/04(日) 21:51:42

半目のままミチルを睨みつつ、美緒ともう一人に詫びを入れた。
全員もう一度席に座りなおして話を進める。

「我々の目標は“アホウドリ”だけ。これはいいな?」
「あの話は本当なの? いまだに信じられないんだけど・・・」
「本当だ。他の基地から情報が回ってきて、確実に核の位置が変わっていると見られている。」

実際“アホウドリ”はあの襲撃までは機首部に核があったことは確認されている。
何度か自分の目でも確認していた事があるので、にわかには信じられていない。

「後は、各戦線に出没する“アホウドリ”を優先して調べる事・・・か。」
「それに関しても確認をとっている。味方が苦戦していても、次の“アホウドリ”に向かう事が義務付けられている。」

話をジッと聞いていた美緒は、昨晩の事を思い出しつつもおずおずと聞く。

「・・・援護しちゃ。ダメなんですよね?」
「坂本、気に病むのは仕方がないが、疎かにしてはいけない。」
「弾薬運搬箱さえあればなぁ。」

特務隊の特性と、人数の少なさから補給は出来ない。
危ない場所に突っ込んでいくため、危険極まりない火薬庫を背負って行くのは自殺行為だ。
その為、みんな自分が持って行ける弾薬しか分量が無い。

「一撃離脱。これしかないだろう。」
「大まかに調べて、後はおまかせ~・・・あんまり良い気分じゃないわね。」
「それはここにいる誰もが思っている事だから、言わないで。」
「わかっているわよ。」

そう言って元狐火隊学兵は御茶を流し込む。

「それで、坂本。聞きたいんだが・・・いいか?」
「なんでしょうか?」
「魔眼を使用して、どのくらいで核が見えるんだ?」
「そ、そうですね・・・遠視も使えますし。
 大まかに見るだけなら5秒、極限まで集中出来る状況なら2秒もあれば・・・」

自信なく言うと、三人ともポカンとした。
何か不味い事を言ったのだろうか?と慌てると、そうじゃないという。

「普通の魔眼解析能力時間って何秒だっけ?」
「平均20秒から30秒だな。」
「それが2秒?」
「「「信じられない。」」」

ちょっとショックを受ける美緒に、慌てて三人が駆け寄って諌めた。

「うう・・・」
「済まない。普通におおろいたんだ。」
「そうですか・・・ あ、そうだ。
 先輩、今思いついたんですけど・・・・・・」
「む、なんだ?」

彼女達が出撃したのは、下田隊が出撃して一時間後の事だった。



以上です。
美緒ちゃんと、ミチルの絡みをおおく取り入れていきたい。
あとは、元狐火隊学兵と元狸釜隊学兵の二人の名前を考えないと・・・
この二人、ただのモブ扱いだったはずなのになぁ・・・

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最終更新:2016年02月14日 13:20