732 :影響を受ける人:2015/01/11(日) 22:20:06
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
特務隊の出撃は、彼女達が思ったよりも早く訪れた。
すぐさまハンガーに走り込み、銃器を手に取って出撃していく。
滑走路から飛び上がる少女達を、年配の整備員が複雑な表情で見上げる。
「班長、どうしたんですか?」
「ん? なに、あんな子供まで出撃するなんて・・・ と思って、な。」
「そうですね。最後尾の子なんて、まだ小学生ですよ。」
口走った愚痴に整備員も同意した。
帽子をかぶり直し、班長はそのまま踵を返して格納庫に戻っていく。
それについていく整備員だが、名残惜しそうに空に消えていった魔女たちを思った。
「扶桑じゃ、まだ兵役に就く年齢じゃないんだがな・・・」
「国外では、あの年齢で戦っている子もいますからね。」
「うちが贅沢なのか。どうなのか・・・わからんな。」
「まだましであるとしか思えませんよ。」
そう話しつつ、残ったストライカーを整備するために現場に向かうと、夜間出動に備えているはずの旗本サエがいた。
隣には副官となったウィッチがいる。
「・・・班長。 ・・・すまないが、もう少しい広めに蛍光塗料を塗れないか?」
「不安ですか?」
「・・・ああ。 ・・・経験はあるが、二・三度の戦闘ではな。」
「承知しました。おい! 蛍光塗料を持って来い!! 旗本隊のを全部塗るんだ!!」
怒鳴り声が格納庫に響き渡ると、手すきの整備員が走って倉庫に向かった。
それを見送ったサエは、班長に軽く礼を言うとその場を去る。
その後ろに副官が追従する。
「これで少しは何とかなりますか?」
「・・・無理だな。 ・・・夜間戦闘では下手に照明は使えない。」
「目は、光の方を注視してしまう。ですか?」
「・・・そうだ。」
この副官とは、まだそんなに話をしてはいないが、かなり頭のいい人である事が分かった。
正直いうと、前線で戦うような人ではない。
むしろ科学者とか言った方がいいだろうと思われる。
「海軍では、闇夜でも正確に敵を探れる装置を開発中らしいです。」
「・・・そうなのか?」
それは初耳だ。
どうやら開発部に恋人がいるらしく、その伝手で聞いたのだとか。
「ええ。ですが電気式の装置は恐らく、ウィッチには持って行けない大きさになるはずです。
最初は艦載型でしょうから、そこから小型化を目指して爆撃機に搭載。
ついで戦闘機に・・・ ウィッチは一番最後でしょうね。」
少々惚気が張った声だったが、画期的な装置はどこでも欲しがるはず。
しかし重くては意味が無いし、当分先の話では現状関係ない。
「・・・だが、それがあれば防御は格段に楽になる。」
「ですので、自分はウィッチ専用の技術を開発しようと思っています!」
「・・・ほう。」
意気込んで宣言する副官に、「こいつなら出来るかも」と言う淡い期待を抱く。
「・・・では、支度をするか。 ・・・宇田新(うだ あらた)軍曹。」
「はい!」
下田隊からやってきた元伍長は、元気よく返事をして後に続いて行った。
733 :影響を受ける人:2015/01/11(日) 22:20:47
―――――
空に飛びあがった特務隊は、報告のあった空域に向かう。
“アホウドリ”2体
“スズメバチ”50体
“ウシアブ”10体
と言うのが報告内容だった。
「ほんと、“クマバチ”はもう出てこないと見た方がいいのね。」
「あれだけ撃墜すれば、もう出さないと思うけど?」
右翼を飛行する元狐火隊学兵:中森彩子(なかもり さいこ)が呟くと、元狸釜隊学兵:井沢十華(いざわ とおか)は内心で同意しつつも少し半目で見る。
「わかっているけどさ。」
「なら、集中してよ。貴方が美緒ちゃんを守るのよ?」
そう言って後ろを飛行する坂本美緒をチラリと見る。
ちょっと緊張しているのか、見られていることに気付かずに追従している。
彩子もちらりと見てから前方を見る。
「わかっているけどさ。」
「おしゃべりは終わりだ。」
護衛の難しさを知っているのでその愚痴を言おうとしたのだが、その前にミチルが全員にわかるように手を上げ、前方を指差す。
「前方に爆発する閃光を確認。恐らくネウロイが爆散した光の欠片だろう。」
示す先では、確かに戦闘が起きていた。
曳光弾とレーザーの光跡。
砕け散るネウロイの破片と、シールドの光が遠目からも見えた。
目に見えるだけでも激しい戦闘が繰り広がられている。
はた目から見えても・・・押されている様にしか見えない。
彩子は冷や汗を流しながら問うた。
「ねぇ・・・ あれって、どこまで漸減できているの?」
「言っただろう。“アホウドリ”2体“スズメバチ”50体 “ウシアブ”10体と。」
「そこから通常戦闘機隊が漸減したんじゃ「それなら“スズメバチ”20体 “ウシアブ”5体を引き付けたぞ?」それであの数ですか・・・」
うんざりしてガクンと速力が落ちて美緒の横に並ぶ。
「だ、大丈夫ですか?」
「美緒ちゃん。大丈夫、大丈夫。お姉さん頑張るから。」
ヒラヒラと手を振って安心させつつ、背中の銃を構える。
正直言うと自信はあんまりない。弾薬運搬係ばかりやって居たので久しぶりの前線にちょっと不安があるのだ。
しかし、可愛い後輩に不安な顔なんて見せる事なんか出来ない。
妥協案として面倒臭そうな顔にしておく。
ミチルも十華とペアーを組む。
「では手順を確認する。
第一に、上空に昇る。
第二に、最初に急降下で私と井沢が接近、敵陣に穴を開ける。
第三に、中森と坂本が突撃し、間隙を突く。
第四に、目標を視認出来たら透視開始。
第五に、坂本が敵に印をつける。
以上だ。質問は?」
全員が真剣な目でミチルを見る。
それに頷きで返すと、一気に全員が急上昇。
その途中でミチルは無線を繋げる。
734 :影響を受ける人:2015/01/11(日) 22:22:06
「こちら特務隊。現場に近づいてきている。」
『本当!? 早くして! 墳進砲で機首を叩いても、胴体をを叩いても、ぜんぜん応えた様子がない!』
「了解、しばし待て。」
無線を切ると水平飛行に移る。
戦場となっている空域が眼下に見えるまでに上昇した一行は、手順通りに頭を下にして突撃していく。
狙うは中央に堂々と飛行する“アホウドリ”。
最初に突撃したミチルは敵がかなり度アップになるまで接近して、すれ違い様に機関砲を叩き込む。
それに続いて十華も銃撃を加えるが、こちらは外れた。
美緒と彩子は、二人が開けた穴に飛び込んでいく。
彩子も手短な敵に銃弾をお見舞いするが、美緒は何もしない。
それについては特務隊の全員が承知している。
降下していき、眼前に“アホウドリ” の巨体が現れた。
「右に回避!」
二体分の弾幕が視界を負い隠していく。
凄まじい弾幕をかわし、シールドを展開して逸らす。
袖に仕込んである術符が魔力光と同じ色の火に焼かれ、役目を終えて散っていく。
二人はそのまま急降下で横を取り過ぎていく。
追撃しようとした“アホウドリ”だが、更に降下してきた敵に矛先を向け直す。
「シールドは得意なのさ!」
円錐状のシールドを展開した彩子に守られて、美緒は能力を行使する。
魔力によって右目が活性化し、片眼鏡も能力を解放して淡く光り輝いていく。
「目で見るのではなく、〔視よう〕とする事が大切である。」と、指導書に書かれていたのを思い出しながら“アホウドリ”に透視を敢行した。
機首無し、胴体中央部無し、後部・・・あった!
「いっけぇぇぇ!!」
美緒は敵に銃を向けて引き金を引く。
銃弾はそのまま狙い通り、敵後部と中央部の中間点に着弾し・・・白く染め上げた。
「やった!「感心してないで左に回避!」あっはい!」
上手く着弾した事に喜色を浮かべたが、すぐに叱咤が着て回避する。
美緒が撃ったのは訓練で使うペイント弾。
無線で知らせるには時間がかかるし、指示を間違えると大変なことになる。
そのリスクを抑えるために美緒の弾薬のみ、ペイント弾が使用されているのだ。
デメリットとして反撃しても敵を撃ち落とせないのがあるが・・・
それでも、この効果は抜群だろう。
すぐにペイント弾の意味気が付いたウィッチ達が、“アホウドリ”に集中砲火を掛けていくのが降下を止めて上昇していくうえで見えた。
そしてすぐにもう片方も狙いを定める。しかし今度は急降下が得意な“ウシアブ”が3体も突撃してきていた。
後ろも攻撃可能な相手では回避に専念するしかない。
相手は護衛対象の“アホウドリ”に自弾が当たるのもお構いなしに乱射する。
“アホウドリ”が再生力が高く、強靭な生命力を持つからこその蛮行だ。
しかし、こちらはそんなモノに付き合う必要性はない。
いい感じに“アホウドリ”の対空攻撃能力が落ちたので、楽に近づけてペイント弾を撃ち込めた。
「初任務としては上々だな。」
所空まで駆け上がった特務隊一同は、眼下で行われている戦闘を見る。
既に一体の“アホウドリ”が爆散したのが見える。
出来ればこのまま加勢したいのだが・・・
既に次の戦線に行くよう、指示が出されていた。
名残惜しみつつも、特務隊はこの戦域を後にする。
以上です。
きょう初詣に行きました。馴染のモツ煮込み屋が広くなっていておどろいた。
年に一回だけど、思い出の味だ・・・
最終更新:2016年02月14日 13:21