879 :影響を受ける人:2015/01/18(日) 22:15:36
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
残虐な、流血の表現があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第四十五話 ―墜ちる空Ⅶ―



江藤敏子、北郷章香が指揮する部隊は合計8部隊。
早朝から午前中は下田隊A・B両隊が。
午前中から正午を跨いで午後までは狐火隊と狸釜隊が。
午後から暗くなるまでは水蛇隊と淵猿隊が。
そして夜戦部隊に旗本隊。

以上で組まれている。
この部隊運用は殆ど休みなしに動ける半面、休息がかなり重要となっている。
最も忙しいのは整備班だが、部隊が集まって人員数が増えたことによりこちらも何とかなっている。
通常戦闘機部隊は基本的に昼戦しかしないが、忙しいのには変わりがない。
しかし防御が完璧に出来るウィッチに比べ、損耗率は高いと言えた。

機体の補充にしても通常戦闘機部隊の機体は難しい。
大車輪で生産設備を整えているらしいが、大きな機体であるのには変わらない。
むしろ小さめのストライカーの方が、補充がしやすい。
発動機こそかなり特殊ではあるが、生産性重視の設計なので一昔に比べれば雲泥の差だ。
夢幻会主導による規格共通化運動の効果が、十分に発揮している証拠と言える。

リベリオンとの共通化を推進しており、足りない部品は輸入で補っている。
武装面でもブローニングの銃器が人気を博していて、扶桑製20mm機関砲と相まって前線で多用されている。
一部の企業ではライセンス生産を行い始めたともいう。
整備関連の話はここまでにしよう。

最後に特務隊だが・・・基本的に彼女等は朝から晩まで出撃している。
“アホウドリ”が現れたら出撃としているのだが、戦闘開始から今まで出会う敵集団には必ず“アホウドリ”が存在しているという状況。
休みなど殆ど無いと言っていい。
敵は以前の攻撃密度で襲ってはこなかった。しかしながら “休み無く襲撃する”と言う行動はまるで変わらない。

弾薬補給係は以前よりも沢山弾薬を持って行かねばならず。
足りなくなって後退する時もあった。
そんな中で“アホウドリ”のみを標的にした特務隊の評価は・・・二分されている。
一日目と二日目の出撃で判明したのは、どの“アホウドリ”も全く違う部分に核を保有しているという事だ。
大体は胴体にあり、前後か中央部を見ればいいのだが、捻くれた様にエンジンを模した部分に核がある奴までいた。

最初は移動させてかわしているというのが上層部(主に夢幻会)の予想であったが、まだましな状況とわかり、ホッとしている。
しかし現場の兵士にとってはまったく嬉しくない。
いくら弱点がわかったと言っても、“アホウドリ”の火力は変わらないからだ。
一騎当千の猛者がいるのならともかく、大体は普通のウィッチ。
戦法は射撃部分を破壊しての皮むき戦法だ。

“アホウドリ”は名うての高速の敵。
前方に回るのも一苦労で、まずは足を止めねばならない。
特務隊は、弱点は教えてくれるが攻撃には参加してくれない、と言うのが不満だと現場からすでに上がってきている。
それを何とか処理するのが江藤と北郷だが、戦場を駆け巡っている美緒達はすでに覚悟していた事実でしかない。
三日目のこの日も最寄りの基地に降り立ち、整備と弾薬を受け取るために待機場に向かっていた。

「はぁ・・・」
「坂本、疲れたか?」

880 :影響を受ける人:2015/01/18(日) 22:16:10

先頭にいたミチルが、気遣うように振り返る。
振り返ると自然と歩みを止めるので、通路の端に寄って置く。
少しフラフラとしている美緒を彩子が支え、十香がちょっと広い美緒のオデコに手を当てる。

「ちょっと熱があるかしら。」
「は、い・・・ 少し、目と頭が・・・」
「魔眼行使をずっと、だからね。」
「冷却用の術符でも貰うか。」

特務隊の大事な戦力であり、高性能な透視能力を持つ美緒を大事にするのは当たり前だ。
ミチルはそのまま三人と別れて交渉に向かう。
お客さんである自分達は、いちいち許可を貰わないといけないのだ。
残った三人はそのまま待機室に向かう。
そして扉を開けると一気に注目が殺到し、美緒に気が付くと何人かが睨むような顔つきになる。
気まずい雰囲気の中、三人は隅の方に移動して美緒を横にする。

「ちっ・・・」

小さいが、舌打ちが聞こえてきた。
彩子はすぐに音源に顔を向けるが、誰も視線を合わせない。
先程まで扉越しに談笑が聞こえていたのに、今は誰も話さない。
まだ三日・・・されど三日・・・
美緒達特務隊の特殊性は、どの部隊にも把握されている。

大体は軍人としての心構えが出来ているからとやかくは言わない。
しかしさっさといなくなってしまうのは気分が悪い、だから無視をすることで対応するのだ。
しかし、学兵達は違った。

「おい。」
「なにかしら?」

待機室の重苦しい空気を無視して美緒の方に向き直した彩子であったが、傍に寄ってきた学兵の剣呑な雰囲気に視線のみを向ける。

「アンタ等。例の特殊任務部隊だろ。」
「そうだけどさ。貴方達何さ?」

答えつつ様子をうかがう。
俯いている学兵は、数人の仲間と共に三人を囲むように包囲している。
ただ事ではない事態に他の者が動こうとしたが、何事かささやかれると動きを止めた。
後ろは加勢に来ないようだ。
俯いていた学兵が顔を上げると、憤怒に彩られている顔を向けてきた。

「どうして攻撃してくんなかったんだよ!!」
「どういう事かしら?」

怒鳴り声で半ば眠りかけていた美緒が目をさましたが、十華は問いかけながら抑え込むようにして寝かせ続ける。

「アンタ等の任務は、あの“アホウドリ”をどうにかする事だろ!?」
「・・・」
「どうして攻撃してくんなかったんだよ!」
「そうよ! そうしていれば・・・あの子は!」

怒りに任せ、怒鳴り声で攻め立てる学兵達であったが、それを受けている彩子たちはかなり冷静に見ていた。
要約すればこうだ。


美緒達がマークした“アホウドリ”を彼女達が攻撃したらしい。
美緒達はそのまま二体目もマーキングした。そこまではいい。
しかし美緒達の任務上、次の指示があればそこから離脱しなければならない。
そんな事を知らなった学兵達は、突然去っていく美緒達に驚いた。
隊長陣も驚いたらしいのだが、本部に問い合わせて説明を受けたという。

軍人として納得しつつ、苦虫を潰したような思いで攻撃を続行する。
しかし学兵達はそうもいかなかった。
簡単な説明では納得できなかったのだ。
どこの戦場も人手不足。戦力の集中は基本的なものだが、上手くいかないのが常。
そんな中で被弾した子が出た。

881 :影響を受ける人:2015/01/18(日) 22:16:41

肩から左腕を完全に損失したという。
彼女は左利きであり、持っていた銃が暴発して墜落した。
何とか地上に激突する前に回収でき、呪歌使いが回復を促進する歌を歌い、数少ない回復魔法を扱えるウィッチがいたこともあって幸い一命を取り留めた。
だが、暴発の影響は大きく。火傷の後が酷いという。


その話を聞いていた美緒は、申し訳なさで胸が張り裂けそうになる。
自分だって攻撃に参加したかった。でも出来ないのだ。
そう言い訳を言えれば良かった・・・しかし、美緒はそこまで無責任な子ではない。

「だから、私達が悪いって?」
「そうだ!!」

涙を流しながらも睨む学兵に、彩子は「ハッ!」というと相手にしていられないとばかりに無視を決め込んだ。

「おい! こっちを見ろよ!」

怒り心頭の学兵はその態度が気に入らず、胸倉をつかもうと前に出たが十華が邪魔をするように立ちふさがる。

「貴方達の怒りはわからないでもないわ。でも、私達にどうしてほしいの?」

学兵達は黙り込む。
彼女達だってわかっているのだ。原因はほかならぬ自分達だと。
しかし幼い彼女達は、どこかに怒りの捌け口をもめなければならなかった。
求めずにはいられなかったのだ。
だから肯定しようと大きく口を開けて、強制的に閉じられた。

「ぐぉぉいぃぃ・・・何やってんだぁ?」
「「「「「「真嶋、副隊長・・・」」」」」」

巨漢の大女がいつの間にか背後にいた。
その後ろにはミチルが仏頂面で立っている。
十華と彩子は、凄まじいインパクトのある真嶋志麻の登場に面食らって呆然としていた。
学兵達は自分達の上司の登場に道を自然とあける。別に彼女自身が怖いわけでは・・・無いと思う。
唯一面識のある美緒は、重い体を起こしてながら志麻を見上げた。

「真嶋さん・・・ここにいたんですか?」
「おうよぉ! なぁんか、大変な任務らしいじゃねぇか!!」

そう言いつつ学兵を解散させ、立ち去る後ろ姿を見つつ志麻は頭を掻き毟る。

「わりぃな。俺の部隊じゃなかったんだぐぁ、それでも仲が良くてなぁ・・・」
「いえ。それなりに予想はしていましたから。」

そう言いつつも暗い表情の美緒に、ミチルは冷却符をオデコに貼り付けて休む様に言う。
戦場は理不尽に満ちている。誰も予想は出来ない。



以上です。次は徹子ちゃん達に視点を移したい。
更なる戦場を! さらなる激戦を!

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最終更新:2016年02月14日 13:21