384 :影響を受ける人:2015/01/25(日) 21:50:12
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
残虐な、流血の表現があります。
それでも良い、という方のお読みください。
戦闘開始から四日目。
末に前線は疲弊の一途をたどり、崩壊間近迄に迫っていたと言っていい。
最初の一日中の襲撃よりも敵の数が少ないとはいえ、四日日間休みなしに攻撃してきてはたまらない。
そして、最悪はいつも重なって起きるものだ。
「そうですか。出撃できる機体が・・・」
「すまんな。こちらも稼働数を増やそうと奮闘はしているが・・・」
通常戦闘機隊の司令官と、江藤敏子が会議室で話し込んで一時間が経過した。
内容は・・・稼働機体の減少。
「連日の出撃で、簡単な整備だけでは追いつかなくなってきている。
部品はある程度共通化を進めてあるからいいが、大きい物になると話は違う。」
対面で疲れ果てた様子の指令に、副指令も表情を暗くして言う。
「すでに予備の機体も尽きています。
搭乗員も朝昼晩の三体勢でいますが、ベテランを夜間戦闘に取られているのがキツイ。
休みが食事と練る時のみ・・・負担は大きい。」
最後はこちらも同じ・・・ だが、こちらはまだましだ。
片肺でも飛べる事は飛べるし、シールドによる落下速度軽減化もある。
脱出しか手立てがない通常戦闘機隊の損害は、ウィッチの比ではない。
しかし彼等がいないと雲霞のごとくネウロイが攻めてきて、更に少ないウィッチで対処しなければならない。
攻めの一手が消えてしまうというのは、痛恨の極みだ。
何とかして稼働数を増やそうと、本土と幾度も連絡を取っているのは知っている。
この司令はウィッチの学兵動員を、良く思っていない。
だからこそどうにかしようと奮闘している。
その苦労を知るからこそ、こちらもどうにかしたい。
「こちらから部品を提供と言うのはどうでしょう?」
「有り難い申し出だが、今必要なのはエンジンなのだ。
心臓部がダメでは機体も飛べん。」
「整備員の疲労も無視できません。ニアミスも目立ち始めています。」
内々尽くしの状況に、お互いの表情が曇る。
この状況を知った
夢幻会は「史実アメリカ軍がやった戦法に酷似している!」と驚き、増産を急がせているがモノになるのはもっと後だ。
物量作戦の消耗戦に付き合わされている現状、どうにかして遣り繰りするしかない。
結局この会議はお互いの苦労を暴露し合うだけとなり、他の基地に部品が無いか問い合わせるしかなかった。
―――――
副指令のような立場で会議室にいた章香は、元の執務室に戻って椅子にもたれかかっている江藤司令を見やる。
「結局は自分達でどうにかするしかない。そう言う事だな。」
「そうね~」
思うように状況が良くならない事に対し、かなりやる気が起きていないようだ。
声に張りが無い。
内心で溜息を吐きつつも書類を纏める。
最悪な事は重なると言ったが、今晩から明日・明後日まで天候が崩れるという予報と。
儀式系統のウィッチによる占星術の予想が、ぴったり一致している事だ。
385 :影響を受ける人:2015/01/25(日) 21:50:44
「雨の中の戦闘となると、通常戦闘機の援護は期待できないな。」
「それもキツイ話よ。」
体を椅子から離して、敏子は体を伸ばす。
「学兵はどうする?」
「出撃・・・させるほか、無いだろうな・・・・・・」
「兵が足りない。部品も足りない。無い、無い、無い・・・」
そのまま机に突っ伏して嘆きと呪詛を吐きはじめた。
それをみて少し距離をとる。
ドロドロとしたモノを吐き出し終えて、やる気のない顔を上げる。
「今の所、ウチに損害が無いのが救い・・・と言えば救いか。」
「他の部隊からは羨ましいと、妬みで見られているがな。」
苦笑する章香だが、内心では嬉しい事。
彼女等を、五体満足で送り返す。
本土で学兵を鍛える中で掲げた、自分の目標だ。
そんな思いは司令室に入った電話により崩れることになる。
―――――
時間は戻り、早朝出撃の為に早起きをした徹子達は食堂に向かう。
警報が鳴っていないので、少しだけゆっくり食事ができる。
正直に言うと疲労が溜まっているから食欲がわかない。
しかし無理にでも食べないといけない。
それを考慮してか、食堂のメニューが御粥などの食べやすい物にシフトしているのは、とても有り難かった。
「うぁ~。疲れが取れないぜ。」
「腕を振り回さないでくださいませ。あふぅ・・・」
「お嬢も疲れているッスね。」
「うん。小毬ちゃんも大丈夫?」
「皆さんよりかは動いていませんから・・・」
そう言いつつも、小毬も小さく欠伸をする。
その後ろから下田隊の隊員達も姿を現した。
「お早う。少し早めに今日も食事をしよう。」
「「「「「了解!」」」」」
元気よく返事をする学兵達に、少しだけ笑顔となる。
最初は纏めきれるかと思っていたが、飯島凛が上手く皆を纏め、若本徹子が引っ張っている。
それを補助するのが竹井醇子だ。
A部隊・B部隊と分けている下田隊だが、上手く機能するかは未知数。
彼女等は一つの部隊として動いていたので、別けてしまうと不具合が起きないと心配していた。
だがそれはいい意味で裏切られ、ベテラン勢からも信頼されている。
そうなると次に心配するのは、自分の元にいた学兵達だ。
バラバラにされてしまった彼女等は、まったく違う時間帯で出撃していく。
彼女等と徹子達を比べると・・・徹子たちの方が上手い。
故に心配となる。
食堂でスープと、ある程度の固形物(主に御握り)を食べていると警報が鳴り響いた。
全員の顔に緊張と、食事を邪魔されて不機嫌な表情が浮かび上がる。
固形物をスープで流し込み、大急ぎで食堂を出ていく。
その際に航空食を受け取るのも忘れない。
「はいよ!」
「おばちゃん、アンがと!」
「がんばりな!」
「もちろん、頑張るッスよ!!」
「生きて帰れば、美味しいのが食えるんだからね!」
「もちろんそのつもりですわ。」
食道のオバちゃんと軽く挨拶をして、航空食を受け取って軽くタッチしていく。
この基地のちょっとした儀式。
生きて帰るためにする儀式だ。
廊下を走っていくと、前の方から寝ぼけ眼の学兵が歩いてきていた。
元下田隊の学兵であるのは間違いない。
386 :影響を受ける人:2015/01/25(日) 21:51:19
「あ、隊長。ご無事で!」
「ああ、奮闘してくる!」
壁際に寄った学兵にエールに、短いながらも答える。
格納庫に到着してストライカーを装着、獣耳と尻尾が出るのを感じ、整備員がクランクを回して起動する。
「コンタクト!」
「よし。外に出せ!!」
―――――
昼ごろまで戦い続けた下田隊は戦果として、
“スズメバチ”13体
“ウシアブ”4体
“アホウドリ”共同撃破1体
にとどまった。
戦場を三ヶ所も渡り歩いてこの戦果は十分だ。
弾薬はほとんど尽きて、近接武装の刀で下田は“スズメバチ”を撃墜している。
魔力を強制回復する飲み物を全て飲み干し、術符さえも切れかかるという激戦に疲れも溜まっている。
しかし、たまたま合流出来た坂本美緒の周りに、仲間達が集まって話し込んでいるのが見えた。
苦しい戦いの中で駆けつけてくれたことに感謝と、嬉しさがあるのだろう。
揉みくちゃにされている美緒は少しだけ表情が明るくなっている。
ここ最近、彼女の表情は暗かった。だからこそ一時の安らぎは必要なのだと思う。
それを遠くから特務隊の三人が温かく見守る中、前方に交代として水蛇隊と淵猿隊が現れてホッと一息く。
その中に今朝あった学兵が手を振っている。
「オーイ。美緒ちゃーん。」
「あっ、千景さん。今朝はありがとう!」
「いいの、いいの! 帰ったらあの小説の話、続きを聞かせてね!」
「わかった!」
すれ違い様の会話であったが、スピードを落としていたので成立できた。
そのまま戦場に飛んでいくのを見送ると、徹子達が美緒をじろりと見る。
「お前、何時の間に友達が出来たんだ?」
「人見知りするのに・・・!」
親友二人が驚愕し、
「小説・・・脳筋じゃなかったんッスね。」
「はわわ。み、美緒さんだって勉強ぐらいすると思いますよ!?」
「・・・・・・皆さん酷いのではありませんの?」
「グスン。」
フォローにもならない言葉で傷ついた。
ションボリと肩を落とし、頭を俯かせたのを見て、皆慌てて声を上げて励まそうとする。
しかしながらネガティブ思考に陥りやすい彼女には、あんまり届いていない様子。
そんな光景を見て苦笑する一同。
そこは平和な空間であり、戦場を忘れさせる一幕だった。
無事に帰った部隊だが、特務隊は弾薬補給と燃料補給、簡易整備を終えるとわずかな休息の後に出撃していく。
魔眼使いが彼女しかいない現状に歯噛みする徹子達は、次は助けがいらないように頑張ろうと決意する。
飛び立つ姿をいろんなものを振って見送り、銃器の整備に入る。
ミチルから受けた薫陶を元に行い始めた行為であったが、忙しい整備員の負担軽減のためにやっている。
こうして彼女等は翌日の為に、寝に入るのだが・・・
最後に入った報告通信に全員が寝つけさせなかった。
『学兵一人が墜落。撃墜と見られる。地上に降りての確認できず。』
その学兵は元下田隊の、エールを送った少女だった。
以上です。
とうとう江藤指揮下の学兵にも被害が発生しました。
これからもどんどん暗い話を出そうぜ。(邪悪。
最終更新:2016年02月14日 14:22