689 :影響を受ける人:2015/02/01(日) 22:30:16
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
残虐な、流血の表現があります。
それでも良い、という方のお読みください。
戦闘開始から五日目経った時、大陸総合本部よりある通達が行われた。
それは大規模撤退作戦である。
作戦名だけ聞けば「何時もの通りでは?」と思われるかもしれない。
しかしながら今回の作戦発動は全く違う。
今までは防御して、民間人を退去させる時間を作り出すのが目的だった。
しかし、継続戦闘により資材が枯渇状態に陥り始めた事が、事態を深刻化させた。
このままでは戦線が崩壊し、ネウロイが民間人を襲う事になる。
それを危惧した作戦本部は、いままで穏便に進めていた退去を強引に進めることにしたのだ。
動かせるトラックなどの機材をフル活用し、一気に人員移動をする。
それに伴い、前線も大きく下げて戦力の集中化も図るという、何とも豪快な作戦だ。
実は決断を下したのは四日目。
データー分析による天気予報と、占星術による天候予想、能力者による未来視。
これらの予想にもとづき、近日中に雨が降り注ぐようになることも後押しの一つと言える。
雨風が吹けば、通常戦闘機の飛行は著しく難しくなってしまう。
ただでさえ夜間戦闘でベテランを引き抜かれているというのに、これ以上の戦力低下は見過ごせないものとなった。
民間人の退去は一応事前通告して手荷物だけにさせている。
半ば強引に残ろうとしても、強制的にでも退去させる覚悟だ。
問題は前線の戦力をうまく撤退させられるか。
地上戦力の主力である戦車・重砲は、牽引車などが必要。
通常戦闘機隊も風雨が降る前に移動しなければならない。
その間隙を埋められる戦力・・・ウィッチに負担がのしかかる事となる。
幼き少女達に頼らねばならない。
胸中に渡来する思いを胸に秘めながら、作戦は開始される事なった。
―――――
「ぜぇいやぁぁぁぁ!!」
陸戦ストライカーを履き、左肩に先祖伝来の鎧の一部を付けたウィッチが、大型ネウロイの脚部を斬馬刀で切り裂いて転倒させる。
斬った勢いを利用して振り返り、上段に構え直して振り下げる。
「ふんぬぅぅ!!」
切り裂いた断面から敵の核が見えたが、それを一顧だにせずに次に向かう。
再生を開始するネウロイであったが、
『もらったぜ!』
駆逐戦車の砲撃を受けて爆散する。
通信から援護を受けている戦車隊の歓声が聞こえてきた。
「いちいち叫ばないでよ! 耳が痛い!!」
『おお、すまん。だがその調子でジャンジャン行動不能にしてくれ。』
「わかってる、わ!」
陸戦ストライカーのキャタピラが、轟音をあげて大地を削る様に突き進ませる。
中型の群れがいたので、すれ違い様に足を切り裂いて転倒させておく。
重砲隊に聞こえる様に敵がいたポイントをいうと、しばらくして榴弾の雨が降り注いで敵を殲滅した。
「隊長!」
690 :影響を受ける人:2015/02/01(日) 22:30:56
斬馬刀のウィッチが駆け込んだ先では、槍を携えたウィッチが丁度大型ネウロイを串刺しにして爆散させた直後だった。
槍使いのウィッチが一息つきつつも、斬馬刀のウィッチに並走するために近づく。
「さっすがぁ! 隊長ですね~♪」
「石動、気を緩めるな。」
「承知していますよ。」
彼女等は陸軍の精鋭ウィッチ部隊【新撰組】だ。
銃器をほとんど使わず。接近戦で敵を葬り続けている。
銃器を使わないから継戦戦闘力もずば抜けて高いが、決め手に欠ける時があるために通常戦闘部隊との連携も考慮している。
隊長の槍使い…黒田剛己(くろだこうき)…は、主武装の【扶桑号】を肩に担いで次の獲物を探す・・・必要も無く、進路上の敵を串刺しにしていく。
その横では舞踊るように斬馬刀のウィッチが追従する。
しばらく二人で殲滅し続け、途中で斧使いと弓矢使いとも合流していく。
突き、薙ぎ払い、切り倒し、穿つ。
その光景を遠くから見ている兵士達は、戦女神の舞踏を特等席で見れることに感動する。
手を休めると上官に怒鳴られてしまうけど。
『隊長、例の空戦ウィッチを発見確保しました。』
そんな中で探索任務を帯びていた仲間からの通信が入った。
すぐに場所を問いつつ、前線に張っている司令部に断りを入れ、すぐに向かう。
こうした任務も彼女等の役割だ。
「おっと。」
彼女等の敵は地上にだけいるわけではない。
“ウシアブ”が急降下してきてレーザーで薙ぎ払ってきたが、危なげなく散開してかわす。
そのまま上昇する“ウシアブ”だが、弓使いの追撃により横合いから翼ごと胴体を穿れて地面に激突して爆散する。
「長瀬、あとどのくらいある?」
「矢は、にじゅう・・・二十五本あります。」
「そうか。大事に使え。」
「承知。」
短くもはっきりとした返答を受けて、黒田は三人を率いて進む。
途中小型ネウロイの集団と出会ったが、一分もしないで全滅させておく。
こういう小型一番厄介だ。小さいので当てづらいというのが一番の理由。
そうこうするうちに前方から残りのメンバーが走ってくるのが見えた。
「おーい!」
斧使いが手を振ると相手も振り返してきた。
円月輪を二つ持つのウィッチ。
刀を二振り持ちつつ、背中と腰にもまだ刀を持つウィッチ。
青竜刀を持つウィッチ
そして・・・巨大なサイのようなモノ。
黒田達はそのまま旋回するようにして合流し、元の陣地近くに戻る道を進む。
巨大なサイは轟音を立てながら走っているが、その背中には何か乗っている。
異様な物体に近づき、並走をしつつサイモドキに通信を繋げた
「可楽、背中に乗るぞ。」
『ァィ…』
可楽と呼ばれたサイモドキの中から、ものすごく小さい声が聞こえてきた。
了承を貰ったのでタイミングを見計らい、その背中に飛び乗る。
シールドを使っての跳躍だが、手慣れたもの。
すんなり背中に着地をして背中のモノを確認する。
背中には、一人の少女が縛り付けられており・・・“分かれた下半身” と“共に縛られて”固定されていた。
「遺体が帰るだけでも、まだ運が良い・・・か。」
そのまま憐みの目を向けつつ少しだけ拝む。この少女の魂が安らかに眠る様に。
そして屈んで懐を確認する。目的の物を確認するまでは報告できない。
目的の物は直ぐに見つかった。
それはドッグタッグと呼ばれるもので、【千景えりか(ちかげえりか)】と名前が掘られていた。
691 :影響を受ける人:2015/02/01(日) 22:31:34
―――――
千景エリカの戦死報告を受けた美緒は茫然とし、そのまま食事もせずにフラフラと自室に戻っていった。
信じられない、そんな顔で。
「しばらく、一人にしておけ。」
とミチルに言われ、反論したかったが何も言い返せなった。
徹子は胸中に怒りを抱えながらそのまま食事を終えると、自室に肩を怒らせながら戻る。
その後ろを凛が付いてきたが、何も言わずにベッドに飛び込んだ徹子を尻目に椅子に座って本を読み始める。
今この部屋には美緒はいない。
特殊任務の都合上、ミチル達と同じ部屋に変更されたからだ。
「なぁ・・・委員長。」
「なんですの?」
「どうすればいいんだろうな。」
「何がですの?」
「何がって・・・美緒の事だよ。」
「こればかりは、美緒さんの心次第ですわ。」
身も蓋もない言い方に切れた徹子はベッドから出ると、そのまま凛の胸倉をつかんで持ち上げた。
「お前は心配じゃないのかよ!!」
「ぅく・・・心配で、すわ。」
「だったら何でそんな言い方すんだ!!」
「先ほどもぉ・・・言った、通り。美緒さんが、超え・・・るべき、壁ですの・・・よぉ!」
余りの興奮状態に力が発現し、剛腕でもって凛をそのまま持ち上げていく。
髪が長く伸び始め、爪は鋭利に、犬歯も少し鋭利になる。何よりも凛と合わせている目が獣の様なものになってくのが見えた。
その変貌に驚くが、凛はそれを内心に留めつつ言い放つ。
「親しきぃ、人が居なくなる・・・という事は、覚悟ぉ・・・して、いた筈ですわ。」
「グルゥゥゥゥゥゥッッ・・・!!」
徹子の漏れ聞こえる声すら獣になりつつある。
これが彼女の隠していた能力かと、頭の中で冷静に分析して苦笑する。
彼女はもはや言葉をなさず、そのまま獣の怒りに任せて凛を殺そうとし・・・首飾りが淡く光り輝く。
その光を確認できた者はいない。しかし徹子には劇的な影響を与えた。
急激に冷静な判断が出来る様になり、次第に状況を把握していく。
目の前で苦しんでいるのは誰だ?
首を絞めているのは誰だ?
殺そうなんて・・・なぜ思ったんだ?
何故自分は・・・
「あ・・・ああ!!」
恐怖が胸中に巻き起こり始めた徹子は、そのまま手から力を抜く。
力を抜いたことで凛はそのまま床に滑り落ちて尻もちをつき、咳き込みながら息を整える。
涙目で見上げてくる凛を、恐怖に歪んだ顔を隠すように後退していく。
「ち、違う・・・ 違うんだ・・・
こ、殺そうだなんて・・・・・・っっぁぁあああ!!」
「ま、待って徹子さん!」
恐怖に叫び声を上げ、そのまま部屋から出ていく。
凛は追い駆けたかったが、まだ息が整っていない為に追いかけられなかった。
この後、戻ってきた里子がうずくまる凛を見つけて大慌てで介抱する。
美緒に会おうとしたものの面会謝絶されて戻ってきた醇子と小毬も、里子の説明に驚いて徹子に事情を聴こうとした。
しかしこの日、徹子は翌日の出撃まで戻らなかった。
以上です。
オリジなる陸戦ウィッチ書いたら長くなってしまった・・・
1人退場させる予定だったのに・・・
もういいや、次回に回そう。
陸軍の精鋭ウィッチ部隊【新撰組】
部隊隊長:黒田剛己(くろだこうき) 使い魔:柴犬 主武装【扶桑号】
黒田家の長女。九曜の歴史改変により生まれ出た、本来なら生まれないはずのウィッチ。
黒田家としては空戦を目指して欲しかったが、本人の希望と、当主の祖父の槍武術を継承したくて陸軍に入る。
その後、接近戦を主体とするハグレウィッチをまとめ上げて【新撰組】を立ち上げた。
当初は色物部隊と言う扱いであったが、演習を何度もこなしてどの部隊よりも好成績を収める。
大陸に移動してから更に名声が上がり、『陸軍の撫子』と言われて大人気に。
しかしながら接近戦をこなせる人材が全くおらず、部隊員増員のめどは立っていないのが悩み。
空戦に進んだ真嶋志麻を事有る毎にスカウトしているのだが、芳しくない。
ちなみにハグレウィッチ達は陸の“痛い子中隊”だったりする。
最終更新:2016年02月14日 14:23