327 :影響を受ける人:2015/02/08(日) 22:05:16
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
残虐な、流血の表現があります。
それでも良い、という方のお読みください。
今回長くなりました。
狐火隊隊長:穴吹智子が銃弾を“ウシアブ”に叩き込み、後ろから部下一人が援護していた。
機関銃の弾丸を打ち切ってしまい、補充をするタイミングを逃してしまった智子は扶桑刀で“スズメバチ”切り裂く。
「落ちろ! 落ちなさいよぉぉぉ!!」
同じ空域で狐火隊副隊長:加東圭子も部下一人をつれて、護衛戦闘機が足りていない爆撃機隊に襲い掛からんとする“ウシアブ”に果敢に挑みかかっている。
「佐竹!」
「了解してますよ。副隊長!!」
ほぼ正面からの攻撃に晒されてレーザー発射口を破壊された“ウシアブ”だが、両翼の部分から実弾攻撃をしてくるから油断はできない。
しかし後ろから大口径機関砲で狙いつけていた部下の射撃により、攻撃を行う前に爆散する。
上昇しながらの攻撃は難しい。
だが一応ベテランである部下の射撃に満足しつつ、逆さ落としで乱射してくる“ウシアブ”
がまだいることに舌打ちする。
部下二人と学兵(弾薬補充係)が射撃で進路を限定させて墳進砲で攻撃、一体爆散させたが残りがそのまま通り過ぎてしまう。
「避けて!」
振り返った智子の叫びが聞こえたのか、進路を譲る様に爆撃隊が二つに割れる。
その空いた間を“ウシアブ” が通り過ぎるが、後ろから発射されたレーザーに貫かれ、薙ぎ払われて三機が纏めて爆散墜落していった。
その光景を歯軋りと共に見つめていたが、すぐさま次なる敵に向かって飛行を再開する。
「もう! 敵がぜんぜん減ってないのに!!」
『そう言ってられないでしょ!』
通信機から圭子の声が聞こえてくるが、智子とて状況上必要な事だとはわかっている。
地上戦力を迅速かつ、安全に避退させるためには、敵地上戦力を一時的にとはいえ封じ込める必要性があった。
その為の爆撃機豚一だったが、彼等を活躍させるには空襲をどうにかせねばならない。
しかし時間があまりにもなく。敵を引き付けながらの強硬手段をとるしかなかった。
爆撃機隊としても危険は承知の上。
友軍を助けるために、銃弾と光線が飛び交う戦場に出撃してきたのだ。
しかし、連戦により疲弊しつつある通常戦闘機隊の損耗は芳しいものではなく。
護衛に割り振れる数も少ない。したがって現場でどうにかするしかないのだ。
夢幻会としてもどうにかして現場の負担は少なくしてやりたかったが、ネウロイと言う補給要らずの様な連中相手に通じる戦術もすくない。
ましてや防衛戦。最も困難な撤退戦。
「補給に来ました!」
「ありがとう!!」
少しだけ考えに耽っていた智子だが、隙間を縫って現れた弾薬係に礼を言いつつ開いた箱から弾倉を取出し、使い終わった弾倉を詰め込んでいく。
その間二人は並行して飛び続け、周りを部下が警戒しながら飛行する。
「いいわよ。」
「了解!」
勢いよく箱を閉じるのを合図にして弾薬係は護衛と共に離れていく。
“スズメバチ”が時折襲ってくるが相手にせず、牽制射撃のみにして次に圭子の元に向かっていくのを視界の端で見送った。
新しい弾倉を差し込み、先程降下した“ウシアブ”が上昇してきたのを確認して先回りをする。
旋回能力が死んでいる“ウシアブ”は、ひっきりなしに上下運動を繰り返す。
ゆえに待受けるのはたやすい。火力に目を瞑るなら。
328 :影響を受ける人:2015/02/08(日) 22:05:48
再び爆撃機隊に狙いをつけている敵を、降下して迎え撃つ狐火隊。
その横では下田隊が奮戦していた。
早朝から出撃している関係で、狐火隊が戦場に来るころにはだいぶ疲弊している。
体力がまだまだ学兵達が一番きつい。
それでも彼女等は戦っていた。
その中で、弾薬係である小毬の護衛を主な任務としている里子は、目の前で奮戦している凛を心配そうに見ている。
凛とはもう長い付き合いだ。
ウィッチに憧れ、ウィッチになるために入学した里子だったが、魔力は無いに等しいと言われていた。
しかし素質はあるという事で同室に選ばれたのが飯島凛だ。
魔力がある人物と一緒に過ごすことで共鳴し、能力が飛躍的に引き上げられるのは昔から証明された事であったので当然の処置であった。
ただし同室の説明を受けた張本人は、華族と言う身分が上な人に尻込みしたけども。
最初に声をかけてきたのはもちろん凛の方。
世間知らずのお嬢様というイメージだったのだが、話してみると本当に絵にかいたようなお嬢様だった。
そこから色々とはなし、御世話をしていく内にウィッチとして目覚めた。
あの時は本当にうれしく、凛もお祝いしてくれた。
だから凛が志願した時も放っておけず、自分もついていった。
しかし彼女は今・・・己の実力の低さ、才能の無さに苦しんでいる。
同じ様に訓練を受けたのに、若本徹子・坂本美緒・竹井醇子の三人は彼女から見ても異常と言えるくらい実力が上がっていっていた。
飯島凛はそこまで戦闘力は無いが、指揮官としてみれば醇子並にある。
大久保小毬とて弾薬係と言う役目に収まっているが、気配りなどで舞台に貢献していた。
自分はどうだろうか?
実力はこの六人に比べれば低い。共同撃墜しているが単独で落としたことは一度もない。
それでも同じぐらいだった小毬と一緒にいる事で、その考えをしないように心掛けていた。いたのだが・・・
激化し始めた戦場でだんだん皆との差がはっきりするように・・・
「くっぅぅ!」
横合いから攻撃を仕掛けてきた“スズメバチ”三体に牽制弾を放ち、小毬と共に回避行動に専念する。
何発か当たるのが確認できるが、連続して当てない限りネウロイには効果が無い。
しかし小毬と下田隊員、三人が張る弾幕を嫌がって“スズメバチ”三体は二体と一体に分かれて回避する。
一体だけなら! そう思って銃を向ける。
だが敵から離れるように機動していたから、あっと言う間にネウロイは射程から離れていく。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「里子さん。大丈夫ですか?」
「大丈夫、と言いたいッスけど・・・ちょっとつらいッス。」
荒くなった息を整えていると、心配そうに小毬が隣にやってきた。
その顔を見て最初は気丈に振舞おうとしたが、そんな事をしても目の前の少女は気付いてしまうだろう。
だから正直に言っておく。
そして魔力の欠乏が著しいので、弾薬箱に入れてある飲み物を取り出そうと小毬の背後に回ろうとした。
しかし、小毬はくるりとまわって拒絶する。
「あ~・・・コマッチ、ドリンクを飲みたいんッスけど?」
「駄目です。」
きっぱりと言われてしまった。
扶桑国には、魔力を回復してくれる飲み物がある。
噂を聞いたウィッチなら誰でも欲しがる物であるが、欠点として“かなり不味い”。
一本目は良いが、二本目になると吐き気が襲いかかり、頭痛がし始める。
なにせ強制的に魔力回復する代物だ。薄くすればそのデメリットは無くなるが、今度は大量に飲まないといけなくなる。
329 :影響を受ける人:2015/02/08(日) 22:06:19
小毬としても味方に生き残って欲しい。しかし無理をしては欲しくないとも思う。
だが、すでに里子は一本飲んでいる。だから拒んだ。
それに、だ・・・
「最近飲み過ぎです・・・ 昨日だって二本飲んで吐いていたのに・・・」
「コマッチ。心配してくれるのは有り難いッス。
魔力運用が下手だから、アタイは魔力の消耗が激しい。
術符に頼ってシールド強化しているけど。それでも消費が追い付かないんッスよ。」
里子としても引けない。
足手まといである以上、無理をしてでもどうにかしなければならないのだ。
それに最近一眠りしても、魔力の回復が追い付いている感じがしていない。
彼女には黙っているが、出撃前にも服用している。
「嫌です・・・」
「山田一飛曹、言い分はわかるが成長期にこいつを飲み続けるのは良くないぞ。」
かたくなに拒む小毬に、一緒に飛んでいる隊員も同意してきた。
こうなっては仕方がない。これ以上飲むのは諦めて敵が来ない事を祈るしかない。
内心で溜息をつくと小毬が何かに気が付いて進路を変更した。
その先では凛と下田隊長が、丁度戦闘を切り上げ引いてくるようだ。
「すまん。銃がもう使い物ならない。予備はないか?」
「小毬さん。弾倉ありませんの?」
合流するや否や二人共矢継ぎ早に聞いてくる。
対して素早く小毬も答える。
「銃は一丁直しました。弾倉は今渡すのが最後です!」
「隊長、どうぞ。」
「もう・・・ これだけしかないのか・・・」
使えなくなった銃を受け取り、反対の手で簡易整備した銃を、背中の箱を開いて弾倉を六渡すと、凛は隊長に三わたす。
損耗の激しさに下田が内心で舌打ちしつつ、チラリと里子の方を見た。
いきなり視線が自分に向いたのでちょっと驚いていると、下田は覗き込むように里子の顔色を見る。
「・・・・・・最近眠れているか?」
「早めに、就寝しているッス・・・」
他にも質問され、気圧されつつすべて答えると「そうか」といって下田は離れた。
「明日の出撃は見送った方がいいな。」
「え?」
「魔力欠乏症の一歩手前になりつつある。このまま戦場に出ても危ないだけだ。」
「そ、そんな!」
ここで離脱する? そんなことは認めたくない!
その思いで胸がいっぱいになった里子だが、自分の事は自分が良くわかっている。
反論したい気持ちを抑え、了解の返答をした。
それを沈痛な面持ちで小毬と凛が見つめる。
『やばい! 隊長、“アホウドリ” がそっちに!!』
急に割って入った通信に、全員が周囲を見渡して里子が最初に見つけた。
「ちょ、直上!!」
「「「「っっ!!!」」」」
視線を上げれば、後方に徹子達を引きつれた巨大なネウロイが降下して接近してくる。
すぐに下田達は二手に分かれて衝突を避けようとするが、目の前にいる敵を逃がすほど“アホウドリ”優しくはない。
全身からレーザーを発射し、全てを薙ぎ払おうとする。
完全に逃げきれないと悟り、全員がシールドを張って耐えるしかない。
里子もシールドを張り、術符で強化して耐え続けたのだが・・・急に力が抜け始めた。
(あ、あれ? なんで、魔力がでてこない?!)
急速な魔力消失にあわてるが、敵の攻撃はやまない。
「このぉぉぉぉぉ!!!」
気合を入れ、声を張り上げて耐え続けるが損失感は全く消えない。
焦りが募り始め、恐怖に顔が歪む。思い出すのは先日戦死した学兵・・・
「いやだ・・・ 死にたくないぃぃ!!」
今出せる全力を振り絞り、攻撃をさがりながら耐え続ける。
攻撃に晒されていた時間は僅かだったが、何十分にも感じられた。
攻撃がやんで“アホウドリ”が地上に向かって降下していくのが見える時には、呆然と浮かんで見送るしかなかった。
ボーっとしていた里子だったが、傍に誰かやってきたので振り返る。
自分は大丈夫だと言おうとして・・・急に視界が下がった。
風を切る音が耳に入ってくる。
体を動かそうとするが力が入らない。
ストライカーが自然と抜け落ちた。
(どうして・・・あれが、ないと・・・・・・)
声も出ない。
落下し続ける里子の視界に、泣きながら迫ってくる凛がみえたから、安心させようとしてそのまま意識を失った。
以上です。
山田里子、魔力欠乏症により離脱。
次回は・・・・・・
最終更新:2016年02月14日 14:24