250 :影響を受ける人:2015/04/12(日) 22:40:35
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
襲撃が予想よりも早まる事を考え、どの部隊も大急ぎで準備に走った。
前線では地上型ネウロイの襲撃が度々あったものの、“オニグモ”との連携を考えているのかその頻度は低い。
それもあって戦線後退と再構築はうまく進んだ。
大砲改造も順調に進み、配備数最大で考えても良くなった。
しかし油断はならない。
坂本美緒がいる基地でも、早朝には夜間戦闘組以外のメンバー全員が集まって、江藤敏子と北郷章香から訓辞を受けることになった。
別の場所では基地司令が同じように訓示しているだろう。
「諸君、懸念されていた早期襲撃は無かった。
しかしまだ、今夜の夜間襲撃がまだ可能性として残っている。
慣れない夜間戦闘になるが、各部隊がその対応策を講じている。
なに、防げなくとも次がある。
生きていれば再戦は可能なのだ。
無理をせず、仲間を信じ、自分を守り、敵を侮るな!」
言い終わると敏子は章香と代わる。
無言で壇上に上がり、全員を見渡す。
最初に目に映るのは頼りになる古参兵。旗本サエを筆頭に右側にいる。
次に陸軍所属の機械化航空歩兵。穴吹智子を先頭にして真ん中に。
残る左側に学兵達と、海軍の機械化航空歩兵がいる。
その中で最も過酷な任務に就いている一人を見やる。
「味方を見捨てでも偵察をしろ」と言う理不尽な命令を受けた少女は、真っ直ぐにこちらを見ている。
その瞳にはまだ迷いがある様に見えたが、それでも意思はしっかりとしているのがわかった。
内心でホッとしつつ、顔は不敵に笑う。
「皆、今度の戦いは“アホウドリ”の時とは違うのはわかるだろう。
あの時も陸軍海軍などと言うのは忘れて全力で応戦した。
今回も同じ様にすればきっと上手くいく。
いや。絶対にだ!
今回の総力戦で奴を仕留め、そして奴らにもう一度敗北を思い知らせよう。
我々はウィッチだ。一昔前では天女と呼ばれていたらしいが、常人では扱えない魔力と言う力がある。
だからと言ってそれに胡坐をかいてはならない。
努力しないモノに自力は付かないのだから。
努力している自分達に・・・ウィッチになるために努力した自分達に不可能はない!」
そう断言する章香に学兵達は感動していた。
彼女等は短期間ながらも頑張って技量を磨いた。
欠けていく仲間を見ながら、それでも努力し続けた。
それを肯定してもらえたのだから、こんなに嬉しい事は無い。
最もサエは眉間に皺を集め、陸軍組はちょっと苦笑気味。
彼女の訓示は学兵達に向けたものであると理解したからだ。
横にいる敏子は「ちょっとやり過ぎ」と思っていたりする。
「これは全ての将兵に言えることだ。
最大限努力し、そのうえで最高の結果を残そう。」
そう言い終わり。一度息を整える。
少しばかり興奮していたので、ちょっと体が熱い。
「そうそう、嬉しい報せも舞い込んできた。
欧州から派遣されていたウィッチの第一陣の帰還部隊が、ハワイに到着したという報告だ。」
251 :影響を受ける人:2015/04/12(日) 22:41:11
その知らせに一同が騒然となる。
しかしまだ訓示は続いているので、すぐに静かになった。
そもそもこれだけ苦戦している現状は、派遣軍に人員をとられていたからと言うのもあった。
その殆どがウィッチであり、政府が考えたPRの為でもあった。
他国では年齢が低すぎるウィッチが、扶桑ではそれ以上に戦えるというアドバンテージ。
特殊能力だって術符を使ったり、シールドの応用で疑似的に再現できる技術がある。
魔法と現代技術が融合した技術がある。
それらを国際戦略で使うという選択肢は正しい。
しかし・・・優秀過ぎて各国が手放せなくなったのは誤算であった。
彼女は遠い異国で、自国の苦闘を知ってやきもきしていたに違いない。
それが、ようやく帰ってくるのだ。
学兵達は複雑な思いがあるが、それでも嬉しい事には変わらない。
章香としても、元北郷隊の一人が帰還する部隊名簿に載っていたので、生存を喜びつつも期待している。
帰ってくるのは主にブリタニアや、まだ戦禍に吞まれていない国から。
一通り喋り終えたと判断した敏子は、手を叩いて視線を自分に集中させる。
「さあ、まだ今日は残っているわ。
気を抜かず。しっかり務めを果たす様に!」
「「「「「了解しました!!」」」」」
―――――
懸念していた早期襲撃は起こらなかった。
そして考えられていた襲撃日にも、“オニグモ” は来なかった。
ほぼ決まってきていた敵にしては珍しく、肩透かしを食らった感じで兵士達は不完全燃焼気味。
彼等は襲撃をかけてきた。
タイミングをずらされた事に全軍の士気は一時的に落ちていたが、“オニグモ”出現の報は瞬く間に広がり、緊張感と共に再度上がった。
「やれやれ・・・ようやく現れたか。」
「そうですね。ですが遅れた事により、連絡網の再整備と調整は終わりました。」
大陸方面軍司令の呟きを東條英機が同意し、少しばかり良い情報を漏らす。
この世界でも通信網(2チャンネル)を作り上げんと奮闘していて、前世の経験を活かしてより早く事を進めている。
他にも転生者はいるのだが、この場に彼しかいない。
「全部隊の状況はどうなっている?」
司令がそう問いつつテーブルに広げられた地図を見る。
地図上にはそれぞれの駒が配置され、報告を受けるたびに駒がどんどん移動していく様子がわかる。
そのなかで、最も黒く大きい駒が前進してくる。
「やはり、協調性は無しか・・・」
「そのようですね。単独で行動しようとするというのは珍しいと思いませんか?」
「ふむ。私は学者ではないが、役割なら理解できる。
こいつは遊撃兵的な役割を持っているんだろう。
戦場を引っ掻き回し、戦力の薄い場所を作り出す。
そして後方で暴れ、機能をマヒさせる・・・
理想的な運用方法だ。」
忌々しそうに黒い駒を睨み付ける。
参謀も同じ様に睨みつけつつも情報を聞き逃さない様にし、会話に加わる。
「あれ一体だけで戦局を変えようというのだから。たまったモノではないな。」
「ですが今回はそうはいきません。
切り札の大砲は予定通り12門ではなくさらに追加されて14門となっています。」
「そうだな・・・
本土の技術者や企業には頭が下がる。」
司令はそのまま帽子を脱ぐと、汗をかき始めた頭皮をぬぐう。
戦争が始まってから剃り続けている頭の照りはかなり眩しい。
帽子をかぶり直すタイミングで、通信兵が振り返って報告してきた。
「“オニグモ”、前線に到達したという報告が入りました!」
252 :影響を受ける人:2015/04/12(日) 22:41:50
―――――
黒田剛己の視線の先では、巨大な円筒状の巨体を浮かべる“オニグモ”が陣地に射撃している様子がうかがえた。
陸戦兵器では“オニグモ”に有効なダメージを与えられない為、攻撃を受けている間は耐えるしかない。
分厚い土嚢の天井を備え、結界士たちが協力して必死に障壁を張っているが焼け石に水だ。
「くそ!」
悪態をつきつつも、“オニグモ”がいるせいで、陣地に空いている穴に殺到しようとするネウロイを【扶桑号】でもって突き殺していく。
時には足を薙ぎ払って行動不能にし、部下と合流しては共同で大型を仕留める。
だが敵はいっこうに減らない。
視線を“オニグモ”から外すと、ある一団が見えた。
「可楽!」
『ァィ…』
通信機に呼びかけると、本当に小さい返事が返ってきた。
「大型が四体見えるか!?」
『ゥィ…』
「ひき潰せ!」
『ァィ…』
相変わらず小さな声になんだかなぁと思ってしまう。
が、すぐに戦場に大きな鉄鎧のサイ(モデル:舞Himeの愕天王)が現れて、大型四体を含んだ一団に突進していくのが見えた。
その周りには同僚の斧使いや薙刀使いが護衛していて、小型を殲滅し、中型の機動力をそぐ。
大型も攻撃するが、部隊最強のシールドを貫くには至らない。
た突撃にを避けようとして失敗した一体が、獣の機動力と質量を生かし体当たりに足を吹き飛ばされて倒れ込む。
その後ろにいた中型も吹き飛ばしつつ旋回し、もう一度突撃していくのを見て、剛己はもう一度視線を“オニグモ”を睨み付ける。
「頼むぞ。江藤・・・」
以上です。
中ボス戦スタートです。
最終更新:2016年02月14日 19:27