820 :影響を受ける人:2015/05/03(日) 22:45:23
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第五十九話 ―黒雲来たりてⅣ―



最終的に敵戦力は、

“オニグモ”×1
“アホウドリ”×2
“スズメバチ”×12

と言う風に激減している。
誘引が上手く行ったというのもあるだろうが、“オニグモ”が自分勝手に進むのも要因としてあげられる。
だが残ったネウロイは護衛と言う意識を強く持っているのか、全く離れようとはせず。
着かず離れずの距離を保っている
この報告を受けた北郷章香と江藤敏子は、すぐに着替えを開始した。

「今回はお前も出るか。」
「そうしないと戦力的に厳しいもの。」

軍服を脱ぎ捨て、サラシを強く巻きつける。

「大丈夫か? 戦場を離れて久しいだろう?」
「そう言う貴方こそ、訓練していたの?」

軽口を叩きつつ籠手の手袋の両腕を透して首元で止める。
次に筒状にした術符を、籠手に設けたソケットに入れていく。

「一応素振りはしていたぞ?」
「銃撃はどうしたのよ・・・・・・」

呆れながらも敏子は上着を着て、袴の様なスカートを装着する。
章香は既に速度計などを付けたベルトを装着していた。

「そちらも、それなりにだな・・・」
「おい。どこを見て言ってんのよ。」

明後日の方向を見上げる仲間をじろりと睨みつけつつ、イヤホン型の通信機を耳に嵌めた。
二人は交互に身なりをチェックし、そのまま部屋から出ていく。
廊下に出て、スタスタと部下たちが待つ待機室に向かう。
既に敵が接近している事は知らせてある。もう彼女等は武器を手にして自分達を待っている事だろう。
気合を入れる為、少し頬を叩いておく。

「うっし!」

気合を入れなおした敏子の後ろで、章香も大きく息を吸い、ゆっくり吐いて意識を切り替えた。
待機室の扉を開くと全員が準備万端で待機しており、その目には力強い意思が垣間見える
全員の視線を受けつつ敏子は全員の前に立つ。そして目を閉じて軽く吸うと、キッと見開く。

「獲物は“オニグモ”ただ一体!
 護衛を蹴散らし、絶対に仕留めるぞ!!」
「「「「「了解!!!」」」」」

敏子の号令に全員が一気に駆け出した。
第一陣は狐火隊・狸釜隊だ。直接江藤敏子が指揮をする。
第二陣は水蛇隊・淵猿隊。
第三陣は北郷章香が直接指揮を執る下田隊A・B両隊と特務隊だ。
ストライカーの順番もそうなっているので順次乗り込んでいく。

格納庫の扉が開き、ストライカーを固定している台ごとフォークリフトが運び出す。
その先頭にいる敏子は久々のストライカーの感覚に、ちょっとだけ嬉しくなった。
ああ、やっぱり自分は空が好きなのだと思う。
生身で空を飛ぶ・・・
これは通常戦闘機などでは味わえない解放感がある。

821 :影響を受ける人:2015/05/03(日) 22:46:10

空を飛ぶ少女たちは最初は国を守るためと思うだろう。しかしこの感覚を知れば空の方に比重が傾いてしまう。
きっと嫌いな空戦ウィッチなどいないだろう。
その雰囲気を察したのか、穴吹智子が声をかけてきた。

「なんか、うれしそうですね。」
「そう見える?」
「ええ。口元が笑っています。」

加東圭子の指摘に「えっ?!」と思って顔に手を当てて確認してしまう。
が、すぐにからかいだと気が付く。
思わず睨むが、自分でも気が付かない内に大分緊張していた事に気が付いた。
それを察して二人は声をかけてきたのだろう。

「それにしても久々ですね。」
「綾香たちも、総隊長と空を飛べると聞いて張り切っていました。」
「そうね・・・ 本当に久しぶり。」

今でこそ狐火隊・狸釜、二つに分かれているが、最初は隊長陣ともう二人合わせて一つの隊だった。
智子等の階級が上がると同時に部下を持つようになり、敏子は陸軍に所属する空戦ウィッチの殆どを統括する存在になってしまった。
ここにはいない二人も隊長となり、最前線で戦っている。
もう一度組んで戦う事はもうないだろうが・・・

フォークリフトが所定の場所についた衝撃で物思いから帰り、気合を入れなおして魔力を活性化させる。
使い魔の尻尾と耳がピクピクと動き、活力が体に満ち溢れる。
今の作戦において全てのウィッチに魔道マフラーを支給された。
製作機構が特殊で、手織り以外効力が無いという代物だ。
しかしその効果は絶大であり、一同使用がしたことがあるでもんだいない。

「それじゃぁ。 狐狸部隊出撃!!」
「いきますか!」
「智子、気合入れ過ぎないでね。」
「圭子貴方、交流会で落ちそうになったでしょ。」
「その辺にしておきなさい綾香。加藤武子、出る!」

―――――

最後に出撃する美緒は、ペイント弾が入った弾倉をじっと見る。
去来するのは早良ミチルの最後。
目標に印をつけた後は、遊撃兵となって戦う予定だ。
出来ればそのまま仇を取りたい。しかしそれは、先輩は喜ばない。
それを横で出撃を待っていた井沢十華が、ジッと見つめ続ける美緒の頬をつつく。

「うひゃぁあ!」
「なに見詰めているのさ。」
「え、えっと・・・」
「出撃前なんだから、困らせないの。」

ちょっと混乱して答えに窮するが、中森彩子が助け舟を出す。
ニヤニヤしていた十華はそのままの笑みで「はぁ~い。」と答えると銃器を構えて前を向く。
ホッとして美緒は彩子に礼を言うと、軽く手を振って答えてくれた。
この様子を前の方にいた徹子は感じ取っていたが、どういう事が起こっているかは具体的にはわからなかった。

「むぅ・・・」
「何むくれているんですの?」
「美緒の奴。なんか気を許しているなと思ってよ。」
「短い期間とはいえ、背中を守ってもらった同僚ですのよ?
 信頼すると思いますわ。」

凛の物言いに納得がいかない徹子であったが、クスクスと笑う親友を見てさらにむくれる。

「なんだよ。」
「徹子ちゃんは、美緒ちゃんが取られたと思っているんだよね?」
「・・・へ?」

822 :影響を受ける人:2015/05/03(日) 22:46:57

そう言われてキョトンとする。
しばらくすると羞恥心で顔が赤くなり、プルプル震えだした。

「あら、そうでしたの。」
「徹子ちゃんって、以外と寂しがり屋さんだから。」
「はわぁ~ そうなんですか。」
「う、うるせえ!」

怒鳴る事で会話を終わらせようとするも、凛はニヤリと笑い。
小毬と醇子は微笑ましく見ている。
聞き耳していた下田は、神経に太さに呆れつつも頼もしく思ってしまう。
章香としては意識の切り替えが済んでいることに安堵している。

「もう、一人前の戦士ですね。」
「・・・ふむ。」

出撃前に声を掛けようときていたサエは、学兵のこじゃれ合いを内心で微笑ましく見ていた。

「・・・気を付けろ。」
「ええ、旗本さんも。」

旗本サエは休息を取りつつも予備戦力として残る。
夜間戦闘も出来るベテランで固められた旗本隊は、この部隊の中で最も強いと言っていいが、連日の戦闘で最も疲労している。
そんな戦力でも、いるといないとでは違う。

「・・・増援は、間に合わんな。」
「もとより承知の上です。」
「・・・風間が居れば、楽になるのだが。」
「そ、そうですね。」

元北郷隊で最も苦手な人物の名前が出てきて、顔が引きつってしまう。
そんな章香の肩を叩くと、サエは台から飛び降りて見送る整備員達の中に入る。
上空では編隊を組んでいる最中の敏子たちが舞っている。
しばらくして全員が出撃していくのを見届け。帽振れをしている整備員達を後にして隊舎に戻る。
歩いていく先には宇田新軍曹が舞っていた。
ふと上空を見上げると、編隊を組み終えた部隊が進撃していくのが見える。
それを、ただひたすらに祈る。

(・・・無事に帰ってこい。)



以上です。
中ボス出すことは考えていたけど、途中のネタが無い事に気が付かなかった。
書くのが大変だ。

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最終更新:2016年02月14日 19:29