115 :影響を受ける人:2015/05/17(日) 22:50:16
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第六十一話 ―黒雲来たりてⅥ―



戦闘を開始した江藤敏子等はやり辛いと感じていた。
相手の先制射撃は想定していたが、自分等を無視して弾薬係を狙いに行くとは思っていなかった。
だから“アホウドリ”が全力で弾薬係を狙いに行くと慌ててしまったのだ。

「くそぉ!」

機関銃で狙い撃つが、相手は右に左に蛇行して避け続ける。
“スズメバチ”の動きも想定外だ。
完全に自分達の動きを拘束されている。
元々“スズメバチ”や“アホウドリ”を引き剥がすのが目的なので、それは達成できていると言えた。
しかし、この状況は・・・まずい。

「ッゥ!」

後方から放たれたレーザーを宙返りで避け、攻撃の主に向かってめくら撃ちをする。
当る事は期待していない。レーザー掃射自体が短かく、すぐに旋回しているだろうと予想できるからだ。
視界の端でインメルマンターンを決めて離脱する“スズメバチ”がいた。
他にも二体連携で相互援護したりもする。

「こいつ等、手練れだとでもいうの!?」

まるで、通常戦闘機との模擬戦をしているようだと感じてしまう。
空戦ウィッチは、確かに通常戦闘機ではできない軌道をする事が出来る。
ホバリング、急旋回、シールドという防御手段等々。
しかし通常戦闘機でも、ウィッチを撃ち落とすことは出来る。
まず、傾向火力が比べ物にならない。

次にダイブの加速力、上昇能力。
身体的な負担・・・様々な分野で勝る部分がある。
“スズメバチ”は人が乗っていない分、無茶な旋回半径で避け、急角度でダイブできた。
熟練の戦闘機乗りと模擬戦をしたことがある敏子は、その厄介さを身にしてわかっている。
戦争が始まってこの方、こんな戦闘を仕掛けてくるネウロイはほとんどいなかった。

ほぼ単調だった戦いに、いきなり熟練が放り込まれて混乱している。
それでも対応できているのは江藤敏子以下隊長副隊長陣、ベテランウィッチ数名のみだ。
後は混乱して無駄に回避して、攻撃して、防御している。

「皆落ち着いて! こっちも二機連携で対処すればいい!
 目的の引き剥がしは済んでいる。
 倒さなくてもいい。とにかく奴らを“オニグモ”の援護に行かせるな!」
『『『『了解!』』』

返された返答は少ない。
内心で舌打ちし、目の前に出てきた敵を撃つが、木の葉落としで避けられた。
追撃しようとしても、どこからともなく射撃が飛んできて離脱の援護をする。
それをかわし、敵の思惑に一応乗る事にした。
気になるのは・・・特務隊の方に向かった四体だ。

―――――

四体の“スズメバチ”は、一気に上昇して特務隊に襲い掛かった。
“アホウドリ”の一方的な情報だったので半信半疑だ。
しかし攻撃してすれ違うと真実味を帯びてきた。
二体は反撃してきたが、最後の一体が攻撃しないで“オニグモ” に向かったのを感知する。

―コイツがそうなのか?―
―わからん。とりあえず追い回しておけばいいだろう。―
―排除できるようなら排除で。―

116 :影響を受ける人:2015/05/17(日) 22:50:52

反撃してきた二体を仲間に任せ、二体の“スズメバチ”が小さな反応を追いかけはじめる。
小さな標的は攻撃もせずに“オニグモ”に向けて向かっていくのを止めない。
真後ろから攻撃して回避させる。
やや右上に攻撃したので、相手は左下に回避した。
相方が更に打ち込んで回避を強要させていく。

―よし。離れたな。―

少しだけ安心しつつ射撃を叩き込む。
必死で回避する標的はやはり反撃してこない。
何故反撃しないのかわからない。それでも愚直に仕事をこなすのが一番だ
後ろでは壮絶なドッグファイトが展開されている。
一撃離脱をメインとしている自分達だが、旋回機動戦も出来ないわけではない。

しかし相手もそれが得意だから付き合う必要性はあまりない。
兎に角引き離してくれればいい。

―――――

“オニグモ” に向かっていた北郷章香と下田A・B隊は、思わぬ反撃を受けている味方を見て動揺していた。
特に弾薬係を追い回し始めた“アホウドリ”に対して脅威を感じる。
援護に行きたいが、距離があるためそれも出来ない。
更に最悪な事に特務隊が襲撃されているのを知り、学兵達に動揺が広がっている。

「総隊長、これはまずいです。」
「うむ・・・」

下田隊長が声をかけるも決断が下せない。
敵は明らかに目的をもって攻撃に出ていた。
ただ敵を殲滅するのではない、時間を稼ぐために行動をしている。
こちらも手勢を分派すれば、すぐにでも対処は出来る。
しかしそれでは“オニグモ”に対する攻撃と、誘導が出来なくなる可能性が高い。

敵を 罠 に嵌めるには、この戦力がどうしても必要だ。
その時、章香の葛藤を知っているかのように敏子から通信が入ってきた。

『章香、聞こえる?』
「ああ、聞こえているよ。」
『ならいいわ。このまま貴方達は作戦続行してちょうだい。』
「なに? しかし・・・」
『予定とは違うけど、敵戦力の引き剥がしには成功している。
 これを逃がすわけにはいかないのよ。』

強い口調で言われ、きょっと唇をかみしめる。
通信機から小さく息を吐くのが聞こえると、今度は優しい口調なっていた。

『それと安心してちょうだい。
 敵戦力はそれほど多くは無いから、援護に一人、二人は送り込める。』
「ほんとうだな?」
『ええ、本当よ。それに、ね・・・
 貴方が悩むなんてらしくないんだから、さっさと目的を果たしてちょうだい。』

通信は切れた。
確かにうじうじと悩んでいるのは自分らしくない。
気合を入れなおすために顔を軽く叩く。

「よし! 作戦はこのまま続行する!!」

章香がそう言うと学兵達から非難の視線が浴びせられるが、次の一言で喜色に変わった。

「ただし、特務隊が苦戦しているので援護に向かう。」
「誰を向かわせるのですか?」
「そうだな・・・」

そう言って章香は後ろを少し見る。
本当なら親友である二人を向かわせたいが、相手の動きからいつもとは違うネウロイだとわかっているので正規兵の方から選ぶ。
下田A隊から選ばれた二人は頷き、追い回されている美緒の援護に向かった。
それを見送る竹井醇子と若本徹子。

「・・・くそ。」

117 :影響を受ける人:2015/05/17(日) 22:51:25

徹子の悪態は小さかったが、醇子等には聞こえていた。
親友のピンチに駆けつけられない事がどうしても許せないのだろう。
徹子自身でも理解はしている。納得が出来ないだけで。

「徹子ちゃん。」
「ん・・・?
 ・・・わかっているよ。美緒を助けたいからって、自分勝手には行動しない。」
「そうでなくては困りますわ。
 今回、ワタクシは小毬さんの援護にってする予定ですから、御二人に頑張っていたかないといけませんわ。」
「わかっているよ、委員長。」

駄目押しに注意されて憮然とする。
それを見て学兵はみんな、少しだけ笑った。

「漫才は終わりか?
 ならばこれより攻撃を掛ける。
 相手は今ままでにない大物だ。火力も相当なモノ、油断はするな!
 第一目標は敵の攻撃手段を徹底的に排除する。
 第二目標は誘導。敵が高火力兵器を嫌がる習性を利用して追い込む。
 第三目標は緊急回避の誘発だ。一度急加速で前進すれば再加速は出来ない。
 第三目標は敵を罠に追い込んでからだ。
 いいな? いくぞ!」

―――――

執拗な攻撃を避け続ける美緒は、急旋回や急停止などを駆使して何とかしのいでいた。
しかし二体の“スズメバチ”はなかなか諦めてはくれない。
それどころか追い込まれているように感じられて焦燥感により喉がかわいていて痛い。
反撃しようにも機関銃にはペイント弾が装填されていて、ダメージにはならない。
ペイント弾はこの弾倉のみだから、交換すれば反撃できる・・・が、それが難しい。

「はぁ・・・ はぁ・・・」

呼吸が荒くなり、疲れが体を蝕んでいく。
もうそんなに回避できない。
敵の攻撃を右に避け、次に左旋回には行った時・・・

「あ・・・」

目の前にネウロイがいた。
既に翼が発光していて攻撃準備が整っているのがわかる。

撃たれる

もう何もできずに人生が終わってしまう。そう感じた瞬間。
敵の翼がはじけ飛び、そのまま脇を通過していった。

『騎兵隊の登場よ!』
『早く行って!』
「あ、有難うございます。」

間一髪で助かった美緒は短く礼を言うと、すぐに目標に向かう。
黒い怪物を目指して。



以上です。
戦闘シーンは難しいズラ・・・

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最終更新:2016年02月14日 19:41