547 :影響を受ける人:2015/06/14(日) 22:31:15
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
『目標急速後退。初弾外れる。』
この報は、大陸方面軍司令部内ではさほど重視されなかった。
元々大型砲は正確に狙い撃つなどできない。
精々効果範囲内に落ちればそれでいい、というアバウトなモノ。
故に初弾が外れるのは想定内だった
その前・・・“オニグモ”が急速後退するという事態に対して驚き、戸惑いが生まれていた。
前に前進しかできないと思われた敵が急速後退した。
タコによく似た構造故に、その可能性は考えられていなかった。
敵の行動予測のみを重点的に考えていたのにも拘らず。
沈黙が下りた司令部の中で、素早く動いた人物がいた。
「作戦変更!
第弐射を中止させろ!!」
「りょ、了解!?」
東条英機はすぐに部下に対して怒鳴りつける。
部下はその迫力に驚きながらも大急ぎで通信を飛ばした。
「司令、第一迎撃地点での攻撃は失敗と判断します!」
「いや、しかし・・・「報告! 目標、連続加速に入りました!」・・・っ!」
「目標の進路は・・・・・・大型砲に真っ直ぐ指向しているとの事です!」
口ごもった司令は、もう一度放てば当たるのではと言いそうだったが、続いては言った電報に目を剥く。
口をパクパクさせるだけで、声が出なくなってしまった司令に変わり、東條は矢次に指示を出す。
「第二迎撃地点も放棄だ。第三迎撃地点での迎撃に注力するように伝えろ!」
「はっ!」
「途中の対空陣地には酷だが、時間を稼いでもらわんといかん。
隠蔽を止め、全力で迎撃するように伝えてくれ。」
目の前で指示を出す東条を複雑な思いで見る司令だったが、すぐに自分の職務を思い出して軽く咳をする。
すると視線が一気に集まった。
「・・・すまん。こんな時に呆けてしまった。
追認となるが、東条君の指示をすぐさま実行するように。」
全員が敬礼を返し、すぐさま仕事に没頭する。
そんな彼等を頼もしく見つつ、傍らに立つ参謀を見やると、帽子をかぶり直しているのが見えた。
反省する時に頭を掻く代わりの、彼の癖だ。
「参謀、例の仕掛けはどうだ?」
「すでに伝えてありますが、急いだ方が良いかもしれません。」
「そうか・・・一応実証されているとはいえ、あんな方法に頼らなければならんとはな。」
「彼女等には頭が上がりません。」
「まったくだ。」
後ろから聞こえてくるそんな会話を聞き流しながら、東条は状況を分析する。
(あまりよくないな・・・
敵は、“オニグモ”は高攻撃力を見つけるとそれを迎撃、もしくは回避する事を優先する特徴を持っていると思う。
だからこそ、大急ぎで大型砲に向かって突進している。
第三迎撃地点は直射攻撃。ここで仕留められればいい
だが原作の発生小説では戦艦が迎撃したが、何度もブチ当てないといけなかったという。
第三迎撃地点での殲滅は諦めた方がいい。)
548 :影響を受ける人:2015/06/14(日) 22:31:45
指示を出し終え、ちらりと後ろを見やると、司令と参謀はまだ話している。
(嶋田さんが維持して鍛えたウィッチの技術。これに頼らないといけないとは・・・)
義勇軍も交えた会議の中で追加された作戦。
ウィッチである彼女等に多大な負担がかかる作戦だけに、その前で仕留めたかったという気持ちあった。
しかしそれは瓦解し、結局頼ることになりそうだ。
二度の転生によるブーストと、史実転生者の協力があってもままならない状況に、心の中で盛大に溜息を吐くしかなかった。
―――――
“オニグモ”攻撃していた北郷章香率いる海軍機械化航空歩兵隊は、敵の急速後退に度肝を抜かれたが、再び加速するのを見て我に帰るとそのまま追撃を開始した。
「くそ! 迎撃もせずにまっすぐ向かうか!!」
多少は距離があったが、狙撃銃などで攻撃したのに反撃は全くない。
完全に敵の目標が先ほどの攻撃の主になっている。
戦艦の主砲の攻撃の方が確かに恐ろしいから納得はできる。
しかしこうも無視されるのは面白くない。
「総隊長、このままでは追いつけません!」
「わかっている!」
無視するついでに“オニグモ”は攻撃を捨てて全力移動していた。
その為、グングン離されていく。
合流するはずだった学兵達も後方にいて、懸命に追いかけているはずだ。
いくら現状最優のストライカーを履いているとはいえ、“オニグモ”の速度にはかなわない。
それでも諦めずに追撃する。
暫らくすると、“オニグモ”の正面に黒い煙が現れ始めた。
高射砲部隊による迎撃が始まったのだ。
錐揉み飛行のように回転しながら移動していた“オニグモ”であるが、さすがに高射砲陣地を相手にするのは嫌なのか迂回行動をとろうとしている。
その御蔭で速度は落ちたのだが・・・
「くそ・・・」
隊員の一人が悪態をつく。彼女の視線の先では火力を叩きつけている“オニグモ”。
迂回しようとしていたのだが、大きく動くのではなく小さく動いて、迎撃の薄い部分から突破しようとしていた。
しかし対空陣地は濃密な密度で砲弾を打ち上げてくる。
速力で突破しようとしていた敵は、司令部の思惑通りに相手をせざる負えない。
それでも優先順位は大型砲にある。
だから攻撃もそんなに積極的ではない。
しかしそれでも防御結界を維持させなくさせるだけの火力を叩きつけてくる。
陣地を半壊させ、抵抗が小さくなるのを確認すると、早々に攻撃を止めて再び加速。
燃え盛る対空陣地を尻目に、前に進んでいく。
同じ様に陣地を眼下に見ながら章香達も飛んでいくが、その表情は硬い。
既に司令部から迎撃地点変更が伝えられ、全ての部隊に対して時間を稼ぐように命令が下されている。
敵を殲滅するためとはいえ、陣地を・・・兵士の命を使い潰すような命令は受け入れがたい。
司令部としてもそんな命令は下したくなかったはずだ。
だが、上に立つ者は時に冷徹な判断を下し、部下に強制させねばならない。
まだ若いと言える北郷章香であっても、そうした判断はしないといけない。
苦々しい思いを抱きつつ空を飛ぶ。
慰めにはならないが、早々に敵が攻撃を止めたおかげで被害は低いレベルで抑えらていた。
どんなに“オニグモ”が急いでいるかわかる。
―――――
途中の迎撃は三度あり、全ておなざりに攻撃して突破した。
殆ど感とはいえ、あの回避行動が功を奏したのは良かった。
あのまま喰らっていたら、己はやられていたかもしれない。
だからその脅威を取り除くべく前に進んでいた。苦戦している護衛を放っておいて。
後ろから追撃してい来る小さな反応もあるが、これは無視していても良いだろう。
549 :影響を受ける人:2015/06/14(日) 22:32:35
速度に違いがあり過ぎてまったく追いつけていない。
それよりも眼前の脅威が最優先。
既に敵と思しき反応の近い所まで接近で来ている。
―敵は潰す―
それが己の存在理由だ
地平の先に反応が見え始め、とうとう真正面にとらえる事が出来た。
左右に別れた脅威はどちらから潰せばいいのか迷う。
目標は微妙に自分の最大射程から離れていて、片方を潰してももう片方は残る。
―どちらを狙うべきか?―
まだ自分の有効射程に入っていないから、結論が出るのは遅い。
だがその前に相手が発砲してきた。
慌てて回避行動をとる。相手の射程は驚異的だというのを忘れていた。
今攻撃してきたのは左前側の一つ。
ここに来るまで迎撃は無かったから、次の攻撃は遅いはず。
その判断で目標を左に切り替えて、進路も左寄りにする。
すると左後側の反応から攻撃が来た。
今度は考えていなかったから避けるのは早かった。
しかし、それに合わせて右側二つが攻撃を放ってきて慌てて後退する。
最初に躱したように躱そうという判断だ。
これは上手く行かなかった。
速度があり過ぎて、上手く制動がかからなかったのだ。
それでもガクンと速度を落とすことに成功した“オニグモ”であるが、一発は正面に、
もう一発は・・・自分に命中した。
―■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!―
金属をすり合わせたような絶叫を上げって、今までに無い痛みに打ち震える。
―なんだこれは? なんなんだこれは!―
激しい怒りが彼を支配し、痛みに耐えながらも下手人に向かって突進する。
ダメージを喰らったせいで速力は落ちていたが、それでもすぐに行ける距離。
また左が攻撃してきたがこれは無視。密集させたレーザーで迎撃しておく。
―殺!―
憤怒が彼の心を支配し、速度を上げるための燃料となり、再装填が間に合わない右側の大砲に向かっていく。
そして大きな反応を守るように攻撃してきた小さな反応諸共“オニグモ”は薙ぎ払う為に攻撃に入った。
以上です。
次回こそ最後にするぞ!!(不安
最終更新:2016年02月14日 19:46