659 :影響を受ける人:2015/06/21(日) 22:40:09
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第六十六話 ―黒雲来たりてⅪ―



激怒する“オニグモ”の攻撃により、向かって右側の大砲二門は瞬く間に破壊された。
退避時間を稼ぐために一斉射だけ攻撃した対空防御陣地諸共に。
一閃しただけで破壊したというのに“オニグモ”は執拗に攻撃をする。

「大砲が!」

北郷章香の左後ろから、佐伯頼子(さいき よりこ)の悲鳴が上がった。
切り札とされていた兵器がなすすべもなく破壊され、陣地諸共燃え上がるのを見て部隊全員の士気が落ちていくのがわかる。
内心で舌打ちをしつつも章香はまだ攻撃を受けていない左側を見る。

「旋回していない・・・か。」

大砲は明後日の方を向いたまま動いていなかった。
確かに今“オニグモ”は攻撃の為に動いていないからチャンスであると見えるだろう。
しかし実際は味方がまだ退避途中であり、外れた砲弾が味方に当たってしまう。
それに・・・

「今、旋回しても間に合いませんよ。」
「そう、だな・・・」

旋回は戦車の補助がないと出来ない欠陥品。急造品故の問題が足をひぱっている。
地上攻撃に夢中な御蔭で追いつけたが、結局右側の砲台防衛には間に合う事が出来ず、破壊されてしまった。

「畜生・・・」

学兵達も追い付く事が出来たものの、再び前進を開始した“オニグモ” に攻撃を掛けることは出来なかった。
徹子の悔しい呟きが皆の耳に入る。

「みんな無事なようだな。」
「はい。皆さん無事ですわ。」

少しだけ速力をおとして合流してくれた隊長陣に、飯島凛が代表して報告する。
凛の説明を聞いた章香は、とりあえず墳進砲を学兵達に預けて、自分達が囮となる事を考えた。
切り札でダメージを与える事には成功したが、殲滅には至っていない。
こうなっては あの作戦 でいくしかない。

「皆、聞いてくれ。
 切り札である大型砲が破壊された今、奴が街を破壊する事は止められん。
 通常の航空戦力、ウィッチの戦力をもってしても倒すのは容易ではない。
 この先にはまだ避難しきれていない民衆がいる。
 もう、例の作戦しかない。」
「ですが、勝算はあるのですか?」

作戦内容を知っているが故に疑問が上がる。が、すぐに回答が来た。

「わからん。」

あんまりなその一言に、全員が黙る。

「だが、賭けるしかない。
 いざとなれば、私も【海割り】を使用する」

苦渋を顔に浮かべつつ章香は言う。
他の隊員や隊長陣も同じ顔だ。
だが、聞きなれない言葉を聞いた大久保小毬は、隣を飛行する竹井醇子に小声で聞いてみた。

660 :影響を受ける人:2015/06/21(日) 22:40:52

「・・・【海割り】ってなんですか?」
「えっと、確か「北郷章香総隊長の大技ですわ。」・・・ぁぅ。」
「ふぇ?」

前方を飛んでいて聞こえていないはずの凛が割り込んできた事に、小毬は目を白黒させていると、呆れ顔の徹子が耳をつんつんと指す。
通信機から普通に聞こえていたようだ。
思わず顔を赤くして俯く。

「こほん・・・
 【海割り】とは、いわゆる魔力撃ですわ。
 魔力を溜めこみ、限界まで充填した刀で放つ一撃。
 その一撃は海を割る・・・ そう聞いていますわね。」
「それって、威力はどれぐらいなのでしょう?」
「戦艦なら、輪切りにできるって聞いているけどな。」
「あくまでも最大充填で、だそうですわね。むろん弱点もありますわ。
 一つ目は魔力の充填に時間がかかる事。
 二つ目はその間、攻撃と防御が出来ない事。
 三つ目は一度中断してしまうと、充填分損失してしまう事。
 四つ目は接近しなければならない事。
 五つ目は・・・反動が大きすぎる事ですわ。」
「反動が大きい、ですか?」

小毬が疑問に首をかしげると、徹子が代わりに答える。

「簡単に言うとな、墳進弾と一緒だ。
 弾頭が魔力撃で、弾体が刀・・・でいいのかな?
 燃焼する部分が反動を抑える噴射魔力になる。
 で、問題はその噴射魔力になるんだが。これが弱いと、魔力撃に籠めた魔力だけ反発力に負けて吹き飛ばされる。」
「吹き飛んじゃう、のですか?」
「吹き飛ぶ。
 実際、導術士学校は軍事要素が強いからなぁ。体験させられたよ・・・」

うんうんと頷く坂本美緒と醇子。凛も知識と知っているので難しい顔だ。

「吹き飛ぶと威力が拡散しちまうから、それに負けないだけの出力が必要なんだ。」
「そうなると・・・【海割り】の威力分だけ大変なことに!?」
「なるな・・・」

顔を蒼褪めさせながら小毬は総隊長を見る。
ここからでは背中しか見えない。しかし当の章香はもう覚悟を決めていた。

「たとえ仕留めそこなっても、奴は大きな被害を受ける。
 奴が一瞬でも止れば、渾身の一撃を喰らわせられるはずだ。
 私以外の全員は、奴の注意を引け。
 チャンスは一度きり。いいな!」
「「「『『『了解!』』』」」」
「「「「「・・・・・・了解。」」」」」

学兵の返答は小さかった。
彼女達の話し声はこちらにも聞こえていたし、賛同しかねるのもわかる。
しかしそれでもやらねばならないのだ。
章香は通信機を司令部に繋げた。

―――――

「目標、市街地に侵入しました。」
「現在、残存の大型砲は旋回中です。完了まであと10分との事。」
「目標、予定地点まで後五分で到着予定。」

司令部の通信が騒がしくなり、人の動きが活発化している。
それを横目で見つつ東条は司令と参謀と共に、テーブルに置かれている大きくした市街地の地図を見詰めていた。

「上空の味方ウィッチより通信『我、誘導をする。指示を求む。』です。」
「そうか。座標を伝えておくように。
 あと、準備完了までの時間と、開始のタイミングを伝え忘れるな。
「了解しました。」

東条が受け答えをしている横で、参謀は部下を呼んで状況を確認している。

661 :影響を受ける人:2015/06/21(日) 22:41:36

「まだかかっているのか?」
「魔力布の注連縄配備はギリギリまで待て、という事でしたので・・・」
「そうか、そうだったな・・・
 結界士達の様子はどうだ?」
「そちらは大丈夫なようです。
 ただ、これほど大規模な結界の展開はやった事が無い為、不備が生じる可能性があるとの事です。」
「それは仕方があるまい。
 昔はあったそうだが、現代では必要になった事などないのだからな。
 ましてや、今回は変則的だからな。」

溜息を吐く参謀を見て部下も苦笑する。
なにしろこの作戦は、過去の文献を見て急遽取り入れられたもの。
理論上可能だという返答があったのは今日になって・・・
一応作戦は伝えておいたので問題は無い。
回答がギリギリになったのは計算外だったが・・・

「上空の味方、誘導および足止めの攻撃を開始しました。」
「大型砲に陸戦ウィッチが合流したと、旋回の補助に回っているようです。」
「目標、攻撃予測地点に到達・・・いえ、止りません!」

その報に全員が息を飲んだ。
もしや、敵は他の大砲に気が付いたのか?と・・・

「進路は・・・東側の大型砲陣地です!?」

―――――

“オニグモ”は市街地に入った後、多くの金属反応がする方に方向転換していた。
流石に喰らった損傷が大きく、装甲密度を薄くしなければならなかった。
破壊した大型砲を喰らえば良かったのだろうが、うっとうしい奴らが来たので一度距離を離れざる負えなかった。
もっとも、嫌な攻撃をしてきたので行き足が鈍ってしまったが・・・
しかしこちらに向かってよかった。なぜなら先程の下手人と同じような反応があったのだ。

先に潰しておかないと、安心できない。
こちらを向こうと、必死に頑張るのがわかる。
それをあざ笑いながら、鬱陶しい小蠅を払いつつ前進し・・・周辺一帯から不可思議な現象が沸きがった。

―なんだ?!―

驚きつつも嫌な予感に従い、大急ぎでこの場を去ろうとした。
しかし・・・時すでに遅く、人類側の罠に彼は掛かってしまう。

―う、動けん!?―

街中が蒼い魔力光を発行させ、巨大な魔方陣を“オニグモ”を中心に形成させていた。
大陸方面司令部が急遽手配した最後の、切り札。
街を丸ごと使った魔方陣による【捕縛結界】。
それが発動した瞬間だった。



以上です。
仕留めきれんかったァァァァァァ!!!

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最終更新:2016年02月14日 19:47