820 :影響を受ける人:2015/07/05(日) 22:11:13
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
捕縛結界につかまった“オニグモ”は、その身を捻らせて逃げようとする。
しかし結界はビクともせず、その場に拘束し続けた。
ストライク・ウィッチーズの世界の結界・・・それは巨大なシールドが正体だ。
複数人のウィッチが共鳴し、増幅し合って展開できる代物。
本来は【壁】としての機能を重点的に行うものだが、空中に出現するシールドを利用して捕縛するという方法は、九曜葛葉が歴史書などを見て復活させた技術だった。
円の形を作り繋がりをもって効果を上げるわけだが、何もない空間に展開する方が楽なのに対し、異物があると術者に負担が大きくかかる。
無論そのまま切断する方法もあるにはある。しかし巨大になればなるほど、狙いが甘くなるのは共通。
更に言えば、術者全員の意思を完全に統一しないとそれは出来ない。
切断する位置は? どのくらいの高さで? 弱点の位置は?
他にもさまざまな課題があり、捕縛するだけでも御の字なのだ。
こんなにも負担のかかる結界は、こちらを守ってはくれない。飽く迄も 捕まえる 結界なのである
相手が抵抗すれば、その負担はそのまま術者が負うことになる。
だから捕縛結界が展開されたと同時に、大型砲の砲撃が開始された。
「撃てェェ!」
破壊された北東の四門以外の北の六門、東の四門が火を吐き出して砲弾を送り出す。
先に到達するのは“オニグモ”が破壊しようとしていた東側。
ほぼ直射に近い射撃により三発も命中する。
続いて北の六門の砲弾が着弾。こちらは少し距離があるためか、四発が外れた。
しかし二発は命中して、厚い装甲を簡単砕く。
凄まじい衝撃と痛みにもだえ苦しむ“オニグモ”は、出鱈目に攻撃をし始めて周辺一帯を破壊せんと暴れた。
身をよじり、レーザーで街を薙ぎ払い、実体弾で大穴を穿つ。
しかし捕縛結界は揺るがない。
次弾装填を終えた北東四門が、再び鎌首を上げて“オニグモ”に砲弾を叩きつけた。
―――――
「すさまじい・・・」
砲撃が始まる前に急いで退避した北郷章香達は、目の前の光景ををみて唾を飲み込む。
絶えず叩き込まれる砲弾は、堀井大将等が研究させて作った特別性だという。
一応対ネウロイ用らしいのだが、その効果は絶大に効いている。
好機と見てか、重砲部隊も曲射を生かして砲弾を叩きつけていた。
だが“オニグモ”も黙って攻撃を受けているわけではない。
出鱈目に暴れているようで、的確にレーザーを砲弾に浴びせている。
空中で撃墜され、実体弾があたれば砲弾がそらされる。
空中を進む大戦艦は、沈んでたまるかと暴れまくっていた。
それでも砲弾は降りそそぐ。
当たるまで何十発と打ち込み、仕留める意思があった。
最初の呆然とした様子から、次第にみんなが喜色を浮かべて声を上げ始める。
先程まで戦っていたから“オニグモ”の反則的な実力がわかっていた。
めげそうにもなり、倒せるかわからなかった。
それが今、圧倒的鉄量で押しつぶさんと味方が奮闘している。声援を送らないわけが無い。
しかしそのなかで、章香と下田なかだけは渋面をつくったまま。
「結界、もちますかね・・・」
「無理だろうな。
“オニグモ”の抵抗だけじゃない。砲弾の衝撃も負担となっているはずだ。
その間に倒す事が出来なければ・・・」
821 :影響を受ける人:2015/07/05(日) 22:11:46
大砲全般に言えることだが、大砲と言うのは精密射撃に向いていない。
だから数を用意し、絨毯を敷き詰める様に、万遍なく砲撃を叩き込むのが理想的だ。
最初の攻撃以降は“オニグモ”の抵抗もあり、命中した砲弾は少ない。
重砲群の攻撃は、ダメージよりも攻撃手段を奪うための攻撃と言っていい。
だから章香と下田は渋い顔のままなのだ。
そうとは知らない学兵達は、興奮気味に戦況を見ている。
「いけ、いけぇ!」
「ちょっと徹子さん。落ち着いた方がいいですわ。」
「でも凛さん。このままいけば!」
大声で応援する若本徹子の横で、飯島凛がたしなめるが竹井醇子も興奮していて顔が赤い。
「すごい・・・」
「うん。」
重砲の火力は見たことがある坂本美緒と大久保小毬は、まだ呆然と見ている。
戦艦クラスの大型砲の火力を見る機会などないのだから仕方がない。
このまま済めば・・・
そう考えていたが、事態は危機的状況を迎えていたのだった。
先程、章香が懸念していた事柄が発生し始めていた。
度重なる衝撃による負荷が、とうとう結界士達の限界を超えてしまった。
魔法の光が弱まり始め、“オニグモ”の動きがより大きくなる。
巻き取られるように光が軋みを上げて引っ張られていき・・・
「け、結界が!」
小毬の悲鳴と共に、砕け散った。
拘束を解いた“オニグモ”は、その場から逃げようと足を大きく広げた。
まだ砲弾が降り注いでいるが、もう気にする余裕などない。
ここから離れる事のみに集中していた。
「あ、隊長!」
だが、その行動を見る前に章香は動いていた。
もう一度照準を修正するのは不可能だ。あの“オニグモ”がそう簡単に留まってはくれないはず。
散々動きを止めた時に攻撃していたのだ。もう行動を止めるなどしないだろう。
だが・・・
「動くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
今この瞬間が千載一遇のチャンス。
この場に留め置かないと、もう撃破できるチャンスは巡ってこない。
だから砲弾の雨の中を突進する。
それを見ていた砲撃陣地の指揮官が、慌てて無線から呼びかけた。
『何をしている!』
「このまま斬り込む!」
『無茶だ。引き返せ!!』
「ここで仕留めきれなければ、次は無い!」
『し、しかし・・・』
「ネウロイは単純な奴らじゃない。経験を蓄積し、その都度学習する。
この手が次も通用する確証はない!
倒すわけじゃない。こいつを何とかしてこの場に引き留めるだけだ!!」
そして思いついた作戦を言うと、少しの間をおいて返答が入る。
『わかった。司令部に言おう。
だが砲撃は停止するぞ。君等に当てるわけにはいかない。』
「・・・了解。」
通信は切れた。
今だ砲弾は降りそそいでいるが、もうすぐ止むだろう。
扶桑刀を抜刀し、上段に構える。
己の最大技【海割り】の為に魔力を一点に注ぎ込み始め、どうじに下田の叱責が無線機から飛び出す。
『何やって居るんですか貴方は!!』
「うおっ!」
『砲弾の雨の中を飛ぶなんて正気ですか!?』
822 :影響を受ける人:2015/07/05(日) 22:12:19
鼓膜に響いて頭が痛いが、軽く振って取りあえず言い訳をする。
「早めに行動しなければ、どうにもできん。」
『ハァァァ・・・・・・
それで、どうするのですか?』
「ああ、それはな・・・ ・・・だ。」
説明を受けた下田は心底あきれ返りながらも全員に指示を出す。
無論、慌てて着いてきた学兵達にもだ。
章香はそのまま“オニグモ”の真正面に突撃していく。
その後方上方から一団は接近、敵の上をとるために前進。
同時に“オニグモ”は前方から感じる圧力を脅威ととらえ、回避すべく緊急加速の方向を右寄りに変えた。
足が一気に閉じ、爆発的な加速力で右に出ようとする。
真正面から攻撃できない時点で章香の狙いは外れたように思えるが、別にどこに移動しようともどうでもいい。
彼女はが考えていた事はただひとつ、叩き斬る事だけだ。
「ウゥゥリャァァァァァァ!!!!!!!!」
振りかぶった一閃は中心からずれて右側にぶち当たった。
当たった瞬間のみ抵抗していた“オニグモ”の巨体は、次の瞬間にはごっそり切り裂かれていた。
【海割り】の一撃の威力はなおも止まらず、地面に一直線の筋を付けるほど。
切り裂かれ、バランスを崩した“オニグモ”は、回転していた事が仇になり、そのまま錐もみ状態で地面に激突していしまう。
それを見届ける事無く、扶桑刀は振り切ると同時に砕け散った。
地面に半ば埋まってしまった“オニグモ”に対し、フライパスをしながら憤進弾・機関銃で攻撃し、下田達はそのまま散開して遠目に包囲した。
そして離脱しながらも章香は号令を出す。
「今だ!!」
「「「「「了解!!」」」」」
全員が少し斜めに意識したシールドを遠距離展開する。
“オニグモ” の真上に。
押さえつけられた“オニグモ”は逃れようと必死に暴れたが、素早く座標修正した砲台群が火を噴く砲が早かった。
砲弾暴れるオニグモに降り注ぎ、外れそうになる砲弾も魔導布マフラーと術符により強化したシールドの表面を滑って目標にぶち当たる。
“オニグモ”は最悪な事に、章香に斬られた部位を上にして地面に沈んでいた。
さらに体の体積約三分の一を削られている。
迎撃も出来ないまま体を砕かれていき、最もかたい部分から核が露出する。
それを砕いたのは重砲の砲弾だったのか、切り札としていた砲台の砲弾だったのかわからない。
しかし美緒の目には、しっかり砲弾が核に命中する瞬間をとらえていた。
―Giiiiiiiiiiiiiiii!!!!!!―
大音量の金切音の後、“オニグモ”の巨体が光り輝き・・・砕け散った。
大質量体が消えた影響による暴風が章香達を襲うが、何とか耐えて風が収まるのを待ち、目を開くと。
もう“オニグモ” はいなかった。
以上です。
ちとハ速足だったけど、“オニグモ”戦しゅうりょうです。
次は戦後処理。
次の次が
夢幻会パートにしたいな。
最終更新:2016年02月14日 19:48