- 716. earth 2011/10/28(金) 00:21:37
- 憂鬱とは異なる火葬戦記ネタです。即興のネタですのでご容赦を。
西暦1948年、世界の半分がドイツ第三帝国の版図に組み込まれていた。
彼らの勢いは日を増すごとに増していき、それはインド洋、さらに太平洋にさえ及び始める。
「開戦も已む無し」
御前会議の席での陛下の決断から世界で残された数少ない自由主義国家であり、昨今、成長著しい日本帝国はドイツ第三帝国との
総力戦に突入することになる。
だがその過程を見ていた陛下は非常に心苦しい思いであった。
陛下自身の大決断の数々によって日本は『電算機』の向こう側にあるとされる『史実』と呼ばれる並行世界と違って、対米戦争を
することなく平和を謳歌していたのだ。
その平和が崩れるというのは、陛下にとって苦しいものだった。
そして同時に、ドイツ第三帝国の史実以上の躍進は陛下にある確信を与えていたのだ。
そう、彼らもまた自分と同じように『電算機』、向こうの世界の住人から言わせれば『パソコン』を、それも向こうの世界と交信
することが出来るものを持っていることを。
ネタSS『今上陛下が某巨大掲示板に降臨されますた』
『それ』が現れたのは陛下が即位される前だった。
目の前に突如として現れた『それ』に、最初は驚いたものの、何かの声に導かれるように『それ』……『電算機』の使い方を
学んでいった。
そして、『いんたーねっと』に接続して情報を集めた結果、その果てに向こうの世界が自分達の未来の世界であることを陛下は
知った。勿論、日本帝国がこのままでは滅ぶことも。
陛下は苦悩した。だがこのまま指を咥えてみているわけにはいかない。陛下は向こうの世界で評判の良い軍人や政治家などと
密かに協力し、未来を変えるべく動き出した。
最初は失敗もあったが、向こうの世界の『掲示板』の住民の情報や意見を参考にした結果、この世界は変わり日本は豊かになると
同時に、対米戦争を避けることが出来た。
だが事態はそれで終らなかった。
ポーランド侵攻以降、破竹の勢いで進撃を続けたドイツ第三帝国は、イギリス本土を陥落させ、さらにソ連さえもウラル以東に
追いやった。
勿論、これを傍観することを良しとしなかったアメリカ合衆国は1943年にドイツに対して宣戦を布告。全力でドイツ打倒を
目論んだ。だがその結果は無惨なものだった。
ドイツ軍が開発した超重爆撃機が投下した原子爆弾によってワシントンDC、ニューヨークを含む東部主要都市の幾つかが
灰燼に帰したことで、アメリカの戦意は一気に崩れ、アメリカは呆気なくドイツと屈辱的な講和を余儀なくされることになる。
そして増長したナチスドイツは、太平洋にまで勢力を拡大しようと目論んだのだ。それもドイツは日本に対して屈服を要求した。
「『我が闘争』から、ナチスドイツが我々を対等な相手と見做していないのは明らかだ」
「中華民国はドイツと接近して、我々を挑発してきている。これ以上は放置できない」
「ドイツ討つべし!」
国内ではドイツ討つべしとの意見が強まった。
一方で陛下を含めた同志達は、このドイツの強さから、ドイツにも自分達と同じような存在が居るのではないかと考えた。
故に開戦には慎重な意見が多かったのだが大勢を覆すには至らない。
そしてさらに日本とドイツの戦争をアメリカ、ソ連、自由イギリス政府などが煽り立てた。ドイツの脅威を少しでも減らすためには
昨今、驚異の成長を続ける日本を利用するしかなかったからだ。
「海軍、陸軍はインドでドイツ軍を迎え撃ちます」
改大和型戦艦、改大鳳型空母を擁する連合艦隊が、五式中戦車などの強力な戦車を保有する陸軍戦車師団が次々に展開を開始する。
そして弾道弾を装備した伊400も行動を開始する。
日本とドイツ、この二大新興帝国の戦いの幕があけようとしていた。
最終更新:2012年01月02日 19:09