67 :影響を受ける人:2015/07/19(日) 22:10:37
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
何時もの秘密会議室に、何時もより少ない
夢幻会メンバーが集まっていた。
と言うのも、“オニグモ”戦の後始末に追われて来ることが出来ないのだ。
「東條さん達は今頃、書類製作に奔走中かな?」
「山本さん、他人事の様に言わないでください。」
「そうです。次は海軍の出番なのですから。」
近衛と辻がジト目で山本五十六を睨むが、本人は気にせず書類を取って見る。
「わかっている。その為に此方の予定も立てているのだからな。」
「山代型戦艦・・・史実扶桑型戦艦に相当する戦艦だけに、欠陥も同じだったのが幸いと言うか・・・」
「主砲を下して対空戦艦に改装する案は上手く行った。
個人的には航空戦艦と言う物に興味はあったが・・・
まあ、中途半端な物はいかんし。現実的ではないしな。」
ストパン世界にあった旧式戦艦四隻は、紀伊型戦艦が退くのと同時に改装工事が始まった。
名目は機関改装であったが、使い勝手のいい船を欲しがった夢幻会の暗躍により、対空戦艦に改装されることが決定する。
無論計画を知った堀井一派が黙っているはずもなく、激しい抗争が海軍内で起きた。
が、九鬼大将の一括により双方引き下がった。
対空戦艦の改装は同意したものの、代わりに紀伊型に搭載され、下ろした旧式の主砲を保管せざるをえなかった。
それが今回役に立ったのだから何とも言えない。
対空戦艦改装にあたり、実は夢幻会でも論争があった。
史実の様な航空戦艦に改装し、将来派遣する遣欧艦隊の旗艦にしようと言う案だ。
通常戦闘機を発進させるのではなく、ウィッチ達の母艦として運用を想定していたという。
確かに通常の飛行機と比べれば彼女等は小さいし、滑走距離も、着艦距離も短くて済む。
ひ弱な航空母艦よりも、よほど現実的であると言われた。
この案には、正規空母を欧州に派遣したくないという思惑もあり、かなり激しく問われたという。
結局史実同様中途半端すぎる為、計画は白紙となった。
四隻は順次改装し、習熟航海も済ませているのだが・・・
「山代型二隻は我々の管轄外だ。」
「それが口惜しいですね・・・」
辻が溜息を吐くのと同時に他のメンバーも頭を抱え、唸り声を上げる。
紀伊型戦艦四隻は古賀峯一が指揮している。
しかし他の戦艦に関しては堀井一派の息がかかっており、どうにかしなければならない状況だった。
原作を知るメンバーとしては、堀井大将が独自に作戦行動をとる事を危惧している。
いかに最新鋭の戦艦とはいえ、たった四隻ではラスボスともいえるあの大型ネウロイと対峙する事は、あまりにも無謀だ。
しかし最近になって九鬼大将が夢幻会寄りになった事が切掛けとなり、堀井一派から離脱する者達が出てきた。
戦国時代から続いてきた名門の名前は大きく、他にも九鬼大将の様に戦国武将を祖先に持つ人物たちが堀井一派から離れ、更に規模が小さくなっていく。
その内の一つ、原作において北郷章香に砲撃を放った人物がこちらに着いたのは大きかった。
彼は第一打撃艦隊として編成された艦隊を率いており、長門・陸奥・伊勢・日向の四隻も運用できる。
さらに小沢治三郎や、山口多聞と言った憂鬱世界転生組の目覚ましい働きをみて、中立だった幾人の将兵もこちらにきた。
夢幻会としての組織は明らかにすることは出来ないが、賛同してくれる者が増えるのは有り難い。
二度目の転生により、旧夢幻会メンバーの中には軍人にも政治家にもならずに田舎に引っ込んだり、普通に大人しく生活を送ろうとする者達が多数いて、少し人手が足りなくなっていた。
憂鬱世界転生組には主に優秀(史実でも有名)な人物が転生していたが、それでも人数が足りなかったので素直に嬉しい。
出来うるならば全ての艦隊を、自分達の意思で動かしたかったが・・・全盛期の堀井一派との抗争の傷跡は深かった。
彼等の策略により、海軍から追い出されてしまった協力者は多い。
「悩んでいても仕方があるまい。
今、この戦力でどうにかするのが先決だろう。」
山本はそう言って気を引き締めさせる。
辻も気にし過ぎと自覚し、メガネをクィッと上げ直して外交組を見る。
「そうですね。そういえば、外交関係はどうなっていますか?
豊臣政権が崩れ、臨時の織田政権になり、かなり強硬手段に出ているようですが?」
「ええ。知っての通りかの人物は、祖先の織田信長同様にかなり我が強い・・・」
白洲次郎が言うと、吉田茂も頷き続ける。
68 :影響を受ける人:2015/07/19(日) 22:11:15
「弱腰だった前政権とは違い、かなりはっきりと明言する事が多く、我々としては少々やりにくいです。
しかしそれだけに舐められる事が無く、反論もしっかりとした根拠に元付いています。」
豊臣秀文元総理大臣は、やめる前に欧州に派遣していた兵の撤収を強行採決した。
この決定には織田信平の意思が大きくかかわっている。
なんと彼はウジウジしていた秀文邸に乗り込み、大声で怒鳴りつけたという。
その声は少し距離のある隣にまで聞こえたというのだから、どれだけの憤怒だったのか。
翌日、秀文はそのまま議会で議論していた撤兵案を強行採決し、翌々日には解散をしてしまった。
この動きに国民は大激怒。
秀文はそのまま政界を引退し妻とは離婚、親類から断絶を言い渡され、小さな島の小さな農園に移動して残りの余生を過ごす事になってしまう。
もっとも本人は様々な厄介ごとから解放され、小さな幸せを噛み締めているとか何とか・・・
そんな彼が残した厄介ごとを、信平は臨時政権を立ち上げて対処した。
誰も彼も強行採決された案の責任を取りたくなかったのも、政権樹立に一役買ったと言えば皮肉だ。
無論、彼女等の働きを助けにしていた各国は、何とか撤廃してほしいと懇願した。
しかし、カールスラント・ブリタニア・リベリオンの三ヶ国が撤兵に賛同してしまう。
ブリタニアは国際的な評価を求めて。
カールスラントは友邦国として。
リベリオンはお得意様として。
それぞれの思惑があったが、この三ヶ国の賛同に渋々従うことになった。
無論信平としてもただ引き上げるわけではなく、こちらが落ち着けば再び派兵する事も考えている、と話している。
貴重な魔導兵器の輸出価格も抑え、ウィッチの戦闘記録も配布している。
「あくまでも「考えている」と言っているだけで、「必ず」ではないのがミソですね。」
「ええ。それに通常兵器に関しての情報規制はしっかりしています。
将来ネウロイの襲撃がなくなればウィッチの価値は激減しますから、戦闘記録などは未だしても惜しくは無い。」
「リベリオンの取り分も多くしているのも評価できます。
旧
アメリカの様な生産力を持つ国です。兵器庫として機能すれば、問題になりやすい失業者対策にも活かせる。」
織田信平の評価に全員が唸る。
嶋田繁太郎とは違う、まさに戦う政治家だ。
その後、しばらく外交組を中心にして彼等は話し合った。
―――――
話題の織田信平は自分の私邸に帰り、食事を済ませて書類を確認していた。
内心、今だに豊臣秀文に対する怒りがあったが、怒鳴り込んだ帰り際に安心したような顔を見せたのが憐れに思えた。
元々彼は政界に出馬するような人物とは言えなかった。
しかし少し頭が良く、頑張って大学を出て、人に好かれやすかったのが災いしてしまう。
ある意味、親の被害者と言える。
「ふむ・・・」
書類を見終え、軽く背を伸ばすと外に気配を感じて視線のみを動かす。
信平がいるのは二階。
趣味の盆栽をベランダに飾り、夏ともなれば涼しい風を求めて盆栽を眺められる場所に、九尾の女性が丁度降り立つところが見えた。
「・・・」
あからさまに顔を顰めつつ、定めた回数だけベルを鳴らす。
すぐに隣室にいた妻が書斎にやってきて、外にいる九尾の女性に気が付くと大慌てで引き下がった。
信平は妻が下がるのを見ずに、そのままベランダのガラス戸を開く。
「なにようですかな?」
「信平殿。再びの就任、おめでとうございます。」
九曜葛葉がこうべを垂れて謝辞を述べると、更に眉間に皺が寄る。
「・・・それだけですかな?」
「いえ。それだけではありません。」
「立ち話もなんですから、お座りになっては?」
「すぐに立ち去る予定ですので、おかまいなく。」
「妻が御茶を入れてきます。一杯くらい良いでしょう。」
少し逡巡した九曜であったが、一杯だけ頂くことにして中に入った。
二人とも対面に座るとしばらく無言になる。
それは信平の妻が御茶を持ってくるまで続いた。
「それで、何用でしょう。」
妻が御茶を置いて部屋を後にするのを見計らい、最初に声を発する。
「お分かりになっているのでは?」
「貴方の口から聞いておりませんので。」
「そうですね。しかし協力するつもりはないのでしょう?」
「あたりまえです。」
69 :影響を受ける人:2015/07/19(日) 22:12:04
きっぱり言い放ち、御茶を一口飲んで喉を潤すと、九曜を睨み付けた。
「我が祖先、織田信長公から続く家訓です。
それを私の代で破るなどあり得ません。」
それは、お互いにわかっている事。
織田信長は昔、確かに懇意にしていた。
この世界の蘭丸が女性で、魔力量が低く危うくなくなり、慌てて救出に向かって救い出す事で更に縁は強くなった。
だが、その織田信長が九曜葛葉の許さなかった事がある。
己の子供に対する封印。
隠居した信長が久しぶりに訪ねて発覚した事実。
それに激怒した信長は子供達に告げた。
「九曜葛葉を見張れ。」
それは彼女がこの国に対して過保護になる余りに暴走した時、その首を断ち切る役目を担わせたもの。
確かに九曜は未来知識を使い、この国の発展を促した。
全ては国の為に行われたが、信長の子孫たちは常に危険視し続けた。
長い年月を生きる事が出来る。それだけで脅威と言える存在。
他の者達が称賛するのを尻目に、彼等だけは一歩下がった位置から監視し続けた。
九曜としても前世のように、イエスマンばかりではいけないとして山本五十六を登用したように、家訓を守り続ける彼等は有り難かった。
長い年月を生きるという経験などしたことが誰も無いのだ。
誤る可能性を可能な限り少なくするには、こういう者達が必要だった。
「ですが。この国の為となるならば、話位は聞きます。」
だが信平は政治家だ。この国の舵取りをする人物だ。
時には耳を傾けなければならない。
「それだけでも構いません。」
少し微笑み、出されたお茶を飲む。
「ふぅ・・・ 信平殿。」
「なんでしょうか?」
「彼等は、私に変わって災厄を防いでくれるでしょう。」
「防ぐのは、命を賭して戦う兵士達です。」
最後まで信平は九曜に対し、隔意を持って対応した。
御茶の礼を言って立ち去る九曜を見送りもせず、ベランダを閉めて寝室に向かう間でも、彼は彼女に対して甘い考えは持たなかった。
だが彼でも信じている事がある。
それは・・・ 九曜葛葉は絶対に天皇家を裏切らず、そしてこの国の為に命をとすと・・・
以上です。
今回からちょっと、書き方を変えてみました。
そして初めて外交組を出したけど・・・政治の話はやっぱり難しいです(汗
最終更新:2016年02月14日 20:04