882 :影響を受ける人:2015/08/16(日) 22:31:14
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第七十二話 ―呪歌使い―



「風間をアンタの所に編入する。
 あ、聞いてない? 当たり前だ。今決めたからね。
 書類はこっちでどうにかするよ。アンタが心配する事じゃない。
 納得いかない顔だね・・・
 さっき起こした騒動で、こっちも頭痛いんだよ!
 さっさとその馬鹿を引き取って、基地に帰りな!!
 一応能力は高いんだ。こき使っていりゃ問題ないだろうさ。
 さぁ・・・ さっさといきな!!!

―――――

水瀬大佐の怒鳴り声と共に大慌てで帰ってきた北郷章香は、かなり要約した内容で隊員全員に伝えた。
そして隊員達は総隊長に引っ付く女性を見る。

「ああん隊長♪ そんな冷たい目で見つめないでくださいまし♪
 感じてしまいますわん♪」

実に楽しそうに喋る風間ランに対し、疲れ切った表情の章香。
その差に冷や汗が流れる。

「自己紹介してください。頼むから・・・」
「つれないわね・・・ でも、そこが良いの♪」

一応年上なので丁寧に言うけれど、本音は早々に離れて欲しい章香。
ランはそれを察し、腕組みを解いてそのまま優雅に一礼。
顔を上げると同時に、終始笑顔で「キャルン」と言う擬音が聞こえてきそうな感じで一回転。

「風間ラン、階級は中尉♪ 使い魔は子供時から、雛から育てた烏よ♪ 
 元北郷隊隊員で、困惑・愚鈍の効果が主な呪歌のレパートリーね♪
 一応、戦意向上、沈静歌も歌えるけど、自分の世界に入っちゃうから歌わないわ♪
 解散した時に後輩を育てていたんだけど、派遣部隊員に入れられちゃったのよね♪
 後輩に手を出したのがいけなかったのかしら?
 けど先日、大急ぎで戻ってきたのよん♪」

ハイテンションな彼女のペースに誰もついていけない。
取りあえず気になった事があるのか、一人の隊員が手を上げた。

「あの・・・ 失礼ですが、年齢は?」
「それは秘密よ「・・・28歳。」n・・・・・・
 え、永遠の17s「・・・三十路前」・・・
 旗本さん。そこは黙っていてほしかったなぁ♯」

元北郷隊隊員だった旗本は、涙目で睨むランを無視した。
問題児を纏め上げた手腕は伊達ではない。
未だに振り回される章香も、もう少し成長して欲しいものだと思う。
ランは大きく溜息を吐いた後、後ろに控える学兵達を見据える。
視線が一気に捕食者のそれに代わると、学兵達は急激に変わるランの気配にビビって後ずさる。

「へええ・・・ あれが学徒兵なんだ♪
 ウフ♪
 良い肌艶・・・ 髪の質・・・ いいわぁ・・・♪
 グヘヘヘヘヘ♪」
「「「「「ヒイィィィィィ!!」」」」」

変態はゆっくりとその歩を進めようとする。だが、その前に壁が立ちふさがった。
旗本サエは相変わらずの無表情であるが、二人並ぶと二つ年下のサエが老けて見える。

「むぅ・・・ どいて下さいよ♪」
「・・・出来ん。」

笑顔でありつつも冷たい雰囲気になったラン。寡黙ながらも熱い雰囲気のサエ。
一触即発の事態になった事に陸軍を筆頭に全員が混乱した。
しばし沈黙が流れたが、それを破ったのは我等が総隊長。

「あー、すまないが旗本大尉。これ以上の騒動はよろしくない。
 風間中尉「大尉になりました♪」・・・風間大尉も引き下がる様に。」

サエは視線で牽制しながらも一歩下がる。同時にランも下がって待機態勢に。
溜息を吐きつつも、章香は編成変更を伝えることにした。

883 :影響を受ける人:2015/08/16(日) 22:32:01

―――――

編成替えは特務隊の解体が目的であった。
三人しかおらず、現在襲撃頻度が少なくなっているので、必要なしとの判断だ。
確かに襲撃する編隊に“アホウドリ”も含まれることもあるが、暴力的な火力を叩きつけることにより解決している。
運が良ければ、高射砲陣地の集中火力で撃ち落とす事も。
そう言うわけで解散という事になったのだ。

「がんばってね。」(チラリ)
「無茶はしない様に。」(チラリ)
「はい。今までありがとうございました。」(ビクビク)

御世話になった二人に挨拶をする坂本美緒の後ろから、変態が形容しがたい視線で恍惚と見つめている。
どうして怯えているのかと言うと、ランの護衛として学兵達が当てられたからだ。
ラン自身は歌いながら戦えるという稀有な才能の持ち主であるが、集中して歌ってもらえる方が有り難いのでこうなった。
しかし変態の言動を見た兵士達は猛反発。

「こんな変態に近付けたら可笑しくなるだろうが!」

章香としてもその意見に激しく同意したい。しかし余裕が無いのでは仕方が無かった。
出来ればサエに制御してほしかったのだが、夜間戦闘可能なウィッチは少ない。
その指揮官である彼女を引っ張ることは出来なかった。
怪しい雰囲気のランを、遠目から見る学兵達には不安しかない。

「あれが元北郷隊の一人ねえ・・・」
「想像していたのとは全く違い過ぎて、頭が痛いですわ。」

若本徹子と頭を押さえている飯島凛は「グヒヒヒ。」っと、女性らしかぬ声で嗤う。
それをみて子犬枠の竹井純子と大久保小毬が、お互いの手を握りしめてふるえる。
その二人の傍に小走りで美緒が戻ってきて、視界に変態を入れないようにした。

「うう・・・」
「美緒ちゃん。大丈夫?」
「正直言って、嫌な感じだ。」

視線の主たるランは怯える三人を十分嘗め回すように見た後、その場をゆっくり後にする。
完全に姿が見えなくなるのを見て、ホッとする学兵組。
これから一緒に出撃すると考えると頭が痛く、何も考えたくなかった。

―――――

しかしいかに嫌がっても来る時は来る。下田A・B隊と共に出撃し、戦場に向かう事になった。
敵戦力は、

“アホウドリ”×2
“ウシアブ”×3
“スズメバチ”×4

と言う物。すでにある程度漸減されているので、“アホウドリ”さえ殲滅すればどうとでもなるのだが・・・
今回更に新種が出現したという。
思わず愚痴りたくなった徹子だが、新種の進撃速度はかなり遅いらしく、それを知っているからか最前線の手前にも来ないらしい。
取りあえず下田A隊が“アホウドリ”殲滅に向かい、新種の確認に下田B隊とランが向かう事になった。

「それにしても、また新種かよ。」
「敵も学習している。そう総隊長もおっしゃられているではありませんの。」

未だに愚痴る徹子に凛が忠告する。
その後ろからインカムを通じて醇子達も加わった。

「でも、多すぎるの問題だよね。」
「これから多種多様化するとなると、大変です・・・」
「小毬の言うとおりだね。情報によれば中型と小型みたいだけど?」
「どうも新種は、鈍足の中型を守る様に小型が護衛しているようね♪
 進撃速度が遅いし、近づくと追い払うために攻撃してくるみたいだけど、それ以外はしていない♪
 どうにも思考が読めないわね♪」

美緒が言うと、更に後方に位置するランも話に加わった。
話し方もあるのだが、ランはいつも嬉しそうに話すので何とも言えない。

「あの・・・大丈夫ですよね?」
「大丈夫、大丈夫♪
 仕事はちゃんとにするから♪」

陽気に言うが、たびたび肉体的接触を図ろうと迫って着たり。
逃げられない状況で、なめかわしい視線と得物前にした猛獣の様に壁際追い込まれることもしばしば。
その度に他の隊員に見つかってはしばかれていたので、事なきはえている。
だから学兵達の心境は一つ。

*1)))

そんな心境のまま飛行していると、目標がいる空域に到達した。
目標の中型はコウイカのような姿をしていて、“オニグモ”の親戚の様にも見受けられる。
そして護衛の小型は・・・

884 :影響を受ける人:2015/08/16(日) 22:32:38

「なんか八つ橋みたいだな。」
「徹子ちゃん、お腹すいたの?」

違うと叫ぶ尻目に美緒の前では下田B隊の隊員達が、小型を相手にし始めていた。
小型は確かに京都名物にているが・・・より詳しく言うと、正三角形の真ん中が楕円上に膨らんでいて、翼端近くに尾翼のようなモノがあるという形。
火力はたいした事が無いのか、反撃でドンドン傷つき、落とされていく。

「こりゃ、俺達の出番ないか?」
「それはそれでいいけど・・・」

徹子に同意するが、新種の小型は圧倒的な数を持っていた。
幾ら撃っても減らないかのように、後からどんどん出来る。

『くっ! これではらちが明かない。済まないが手伝ってくれ!!』
「あ、それ却下です♪」

応援要請が来たので、すぐに答えようとしたがランが先に答えた。
なんでと思い振り返ると、彼女は相変わらず楽しそうに笑っていた。

「そいつら、中型の傍によるつと回復力が上がるみたいですね♪
 そのせいでいくらやってもキリがないのですよ♪」
『な、なんだと!?』

言われて気が付いた。慌てて視線を巡らせてみる。
丁度一体の傷ついた小型が中型の傍まで撤退していくのが見えた。そして中型に十分近寄ると同時に回復速度が跳ね上がるのも。

「それじゃ♪ お仕事ですね~♪」

私達が確認するのの待っていたのか、ランは大きく静かに深呼吸をする。
そして、歌い始めた。
歌声が戦場に響き渡り始めると、小型の動きが目に見えて悪くなった。
“スズメバチ”よりも高い機動力を見せつけていた小型はギクシャクして速度が鈍り、旋回が大きくなる。
中型は飛行速度に変化は見られないが、小型種が何とか傍に寄ってきても回復速度が速くならない。

そもそも呪歌使いの歌は対人間の歌ではない。対怪異に対しての歌だった。
それは呼称がネウロイに変わっても効果が有るのは当たり前。
しかしその声音とリズムから“歌”として扱われているのだ。
小型が何体か美緒達に向かってきたが、動きの鈍い相手などできではない。
小型の掃討はあっと言う間に終わりを告げた。

中型の耐久力はあまりなく、機関砲で充分倒せるほどの装甲しかなかった。
それでも念のために墳進砲を叩き込んだが・・・ 真二つになって砕け散った。
呪歌使いの腕前は効力と、効果範囲に比例する。
それなりに離れた位置から効力を及ぼした腕前に、美緒達は認識を改めたが・・・

「これでお姉さんの評価もうなぎのぼりね♪」

の一言で台無しとなった。



以上です。
もう少しランの活躍を描きたかった・・・

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最終更新:2016年02月14日 20:06

*1 (((不安だ・・・