679 :影響を受ける人:2015/09/21(月) 22:44:39
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第七十五話 ―後方の戦争―



倉崎重工。最も新しい工業会社。
夢幻会において強い発言権を持つ転生者だ。
前世において夢幻会の力を借り、未来知識で会社を大きくし、最新兵器を生み出した。
国内でも有数の大企業になり、趣味を生かせる環境に満足した。
しかしこのストライク・ウィッチーズの世界では、そんな力は全くない。

未来知識がほとんど役に立たないこの世界では、会社を大きくするのも一苦労だ。
裏側で九曜葛葉の支援があったのもそうだが、本人の努力 ―倉崎翁自身は「ハードモードと思えばどうってことないワイ」と言っている。― によるものもあって中小企業よりは大きくなる事ができた。
老舗の企業には負けるが、未来知識を【アイディア】として利権を取得し、“発想の倉崎重工”として地位を確立しつつある。
何とか会社を安定化させ、そんな中で力を入れたのが“ストライカー”開発だった。

当時は背中に発動機を背負い、それほど火力が無い銃器での戦闘がウィッチのスタイルだった。
原作基準に行くと遅い配備になり、需要に対して九曜指導により増えたウィッチの数に間に合わない事は目白。
それに対処するためになんと倉崎翁は、直接宮藤一郎博士に交渉に赴いた。
別会社に勤めていた宮藤博士は当初難色を示し、御断りをしたのだが、それでもめげずに頭を下げて交渉し続ける。
何度も訪れ、頭まで下げられては、断わるわけにもいかない。

「では、一度だけ研究所を訪れるという事で・・・」
「おお! 有り難い!!」

熱意に折れ、人の良い宮藤博士はポリポリ頭を掻きながら了承。
まだストライカーの基礎となる宮藤理論が完成する前の事だ。
数日後、迎えに来た送迎の車に乗り込み倉木重工に訪れた宮藤博士は・・・ヲタク共に汚染された。

「こ、これはいったい!?」
「椀部着装型重機関砲ですが、なにか?」

「おお! これは一体なんの設計図なのですか!?」
「ああ、墳式発動機ですね。まだ研究段階なのですよ。」

「戦艦を丸ごと!!??」
「まだ実験段階にも至っていない理論ですが、結界士達を乗せて戦力の向上を考えているのです。」

余りにも打っ飛んだ発想にそりゃもう大興奮。
家に帰ってすぐさま書斎にこもり、新しい設計図を書きだすなどの効果を生み出した。
結果、原作よりも早くストライカーが完成し、この時すでに宮藤博士は倉崎重工に移籍している。

制空権を獲得するための 海軍名“96式艦上戦闘脚”、陸軍名“キ27 97式戦闘脚”。
迎撃を主目的としつつ、大重量を運搬する事も目的とした“キ44 二式戦闘脚:鍾馗”

原作よりも早く登場し、早く配備されることが決まったストライカーは前線のウィッチ達に絶大な支持を得る。
また同時並行で開発を進めていた陸戦ストライカーも、少々遅れて配備する事ができた。
これに気を良くした宮藤博士はさらなる開発に没頭する。
以前は色々制約があったのだが、此処倉崎重工ではあまりない。
というのも、夢幻会が宮藤博士の失踪を恐れたからだ。

あれほどのモノを開発できる人物がいなくなってしまったのは、よほどの理由があっての事だろう。
結局原作において、彼がどこで何をしていて、宮藤芳佳の元に帰ってくるのか全くの不明。
才能を惜しみ、他国に誘拐されないように秘匿されてしまった可能性も捨てきれない。
それでは思うように開発できないのではないか?
危惧した夢幻会は先手を打って行動し、可能な限り自由に開発できる環境を作り出した。

更に刺激として前世でも働いていた、技術者と言う名のヲタク共と接触させることに。
これらは成功したのだが、宮藤博士は「戦う少女は良いよね!」などと、家に帰っては言えない事を研究室でぶちまけるほど汚染されてしまう。
良識派は思いっきり頭を抱えたが、これも必要悪(?)であると思い、硬く口を閉ざす他なかった。
こういった動きにより、一時的にストライカー開発は多少遅れが生じたものの、何とか原作よりかは早目に配備する事ができた。
九曜葛葉の行った行動により増えたウィッチの人数を考慮し、多少のスペックUPで妥協したのも高評価と言えるだろう。

―――――

「いってらっしゃ~い。」
「ああ、いってくるよ。」

680 :影響を受ける人:2015/09/21(月) 22:45:15

愛娘、宮藤芳佳に見送られ、宮藤博士は迎えに来た車に乗り込んで会社に向かう。
バックミラーに見える娘が、車が見えなくなるまで手を振り続ける姿に微笑ましく思い、自然と口元が緩む。
流石に見えなくなると小さく溜息を吐くのは、少々寂しい思いがあるからだろうか?

「何時も、何時も送り迎えすまないね。」
「いえ。これも職務ですので。」

倉崎に移籍して最初に驚いたのは、毎日送り迎えしてもらえる事だった。
これは夢幻会の配慮・・・というよりも、博士を狙う外様を牽制するため。
原作において、どうして居なくなったかがわからない以上、警戒して損は無い。
車も特注で、装甲車とまではいかないが、十分な装甲を持つ。
更に博士と家族を守る為、秘密裏に護衛部隊を派遣して居る。

夢幻会で裏の世界・・・殺人を問わない非公式部隊があるのはあまり知られていない。
前世憂鬱世界では同じ転生者であろうとも、危険思想を持つ者、機密情報を漏らそうとした者、様々な障害を秘密裏に処理する部隊。
この世界では 日本× 扶桑○ なのであるが、「故郷を守るために」行動する狂信者たちには関係ない。
外敵は何であろうとも排除する。
現代日本が外国勢に圧力を加えられ、思うような外交が出来なかった。と、考えているが故に・・・

彼等は軍隊に所属して居たり、警察だったりするが、街中では民間人で守りについている。
それ故に武装は限られてはいる。
しかし武術などを習得し、素手でも相手を殺害できる実力者ぞろいだ。
武器を所有する者達もいるが、あくまでも最終手段としている。
そんな恐ろしい護衛がいるとも知らずに、博士を乗せた車は走る。

その車を見つめる複数の視線。
それらは車のスピードと同じ速さで屋根を駆け、空を飛行している。
狂信者の護衛の他にもさらなる護衛を九曜葛葉は個人的に付けていた。
光を屈折させるシールドを身に纏った分体達だ。
彼女等は九曜葛葉直々に命令を下し護衛をしている。

おりしも車の荷台に隠れ潜む一体のチビ九曜(六尾)が、魔力を使用して車を更に強固にしている。
超豪華な護衛に囲まれている博士は、車に揺られながらのんびりと外の景色を見詰めていた。

―――――

会社に到着すると、すぐさま研究室に向かう。
研究所はかなり大きくとられているのだが、何せ機械を扱うので所狭しと、試作品や失敗作が当たりする。
こんな状況なので急遽、隣接した設計図などを書く建物を建設した。
まだ真新しい建物に入っていくと、自分のロッカーに向かい、上着と私物を置いて白衣を着る。
そしてそのまま研究室に向かい、そのまま入ると気が付いた一人が挨拶をした。

「あ、主任。お早うございます。」
「ああ、お早う。今日も早いね。」
「寄宿舎が凄く近いですから。」
「僕もそちらに移ろうかな・・・」

通勤が大変なんだと笑って言うと、その場にいた全員が笑う。
博士としては、毎回送り迎えしてもらう事がどうにもなれない。
前の会社では電車通勤が当たり前だっただけに、余計に感じるのだ。

「さてと・・・」

自分の作業机に座ると設計図を引っ張り出して睨めっこ。
現在の課題は出力向上と継戦能力向上だ。
確かに今のストライカーは、以前のモノと比べれば雲泥の差がある。しかしまだ改良の余地があると見て良い。

「現行のストライカーを改造しても、それほど上がらないか・・・」
「やはり、新型の発動機を作らなければいけないのでは?」
「う~ん。そうしたいのだけれどね・・・」

そう言って背もたれに体重をかける。

「そうでもしないと現状、大変だと思うんだ。」
「・・・最前線はそれほど危ないと?」

宮藤一郎は戦場とはほぼ無縁の技術者であるが、嫁の宮藤清佳(みやふじ さやか)、祖母の秋本芳子(あきもと よしこ)から話は聞いている。
戦場から帰ってきた兵士達の話を直接聞ける二人は、貴重な情報源だ。
それからわかる事は、欧州以上の圧力が加えられている事。
そして学兵達の悲惨な現状だ。

「直接現場に良ければなぁ・・・」

そうすれば生の情報を得られる事もでき、更に何か思いつくかもしれない。

「それはいくら何でも無茶ですよ。」

だが副主任の一言が思いを切り裂く。
自分とてわかっているのだ、しかしもどかしいく思う気持ちは変わらない。
個々の研究者たちは優秀だ。何せ見様見真似で別系統の発動機を作り上げ、“鍾馗”を作り上げてしまった。
これにはさすがの一郎も驚いた。
そんな彼等は迎撃機開発に回されてこの場にはいない。

681 :影響を受ける人:2015/09/21(月) 22:45:58

仕方なく目の前にある設計図を片付け、真新しい紙を引き出す。
気持ちを切り替え、次世代のストライカーユニットを作る事に決めた。
更にコンパクトに、更にパワフルに。
少女達が生き残れる確率を上げるため、知恵を絞って設計を書く。
既に自分が確立した理論は世界に配信され、特許も取得している。

そこから莫大な利益が倉崎重工にもたらされるが、その殆どは開発費用に回される。
思うのことは、せめて娘が、芳佳が戦場に出る事無く戦争が終わるのを祈るだけ。
たとえ間に合わなくとも、生きて帰って欲しいと願う。
自分が出来るのはこれぐらいなのだから。

―――――

大陸の最前線では、旺盛な射撃が叩き込まれていた。
射撃を叩き込むのは重砲隊の他に戦車隊。そして、先の作戦で大いに役に立った、戦艦の主砲を流用した大型砲。
大型砲が砲弾を叩き込むのは、決まったポイントだ。
地形をつくり、砲撃で誘導し、渋滞を起こしたところに叩き込む。
基本的にネウロイは突撃戦法しか行わないから出来るやり方だ。

「だけど、BETAと違って学習するんだよな・・・」
「おい。弾帯を下げるな。」
「あ、わりぃ。わりぃ。」

そんな最前線で兵士とし奮闘する転生者が、同僚と共に機関銃を操作する。
二人共同じ会社で働いていたヲタクで、仲が良かった。
この世界に来るのも同時で、近所に知り合いがいて驚いたものだ。

「まあ、愚痴りたくもなるよな。」
「せっかくストライク・ウィッチーズの世界にきたのに、オレツエエが出来ないなんて。」
「俺ら一般市民だぜ? こうして戦っているればお知り合いに・・・が強かったんだけどなぁ。」
「原作知識が全く役に立たないなんて、どうかしてるよ!」
「キュウベエ乙。」

駄弁るように話しているが顔は真剣そのもの。
一瞬の油断が命取りとなるのだから、真面目にやるに決まっている。

「夢幻会だっけか? お前、よくそこに所属できたな。」
「出来たというか・・・ させられたというか・・・」
「ああ、人数足りないからだっけか?」

同僚をちらりと見ると、その表情は物凄く暗い。
彼は原作に関わろうとして宮藤家を訪れた一人だった。
しかし前途に書いたように警護していた護衛達に捕縛され、強制的に軍隊に入れられた経緯を持つ。
同情して一緒に入ってくれた友人が、とても救いになっていた。
ついでに言うと、二人とも一回目の転生だったりする。

「でも、俺頭良くないしなぁ・・・」
「叩き上げで頑張るしかないでしょ。」

上手くすれば陸戦のウィッチと仲良くなれるかもしれないし。そう言って二人は無言となった。
前世でも童貞で、魔法使いとなった二人は、最前線で機動戦闘する少女達を見詰める。
自分達が奮闘すれば、彼女等も生き残る確率が上がる。
そすれば出会う確率もある。
邪まな思いを抱きながらも、小さな確立に縋って、今日も戦う馬鹿コンビであった。



以上です。
宮藤一郎博士の口調がわからんのでトト○のパパを思い浮かべて書きました。
最後は余ったからついでに書いた物ですwww

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最終更新:2016年02月14日 22:07