869 :影響を受ける人:2015/10/25(日) 21:55:17
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
北郷部隊、江藤部隊は何事も無く扶桑海を渡り、舞鶴に帰る事ができた。
あの演説の後、退役を決めた学兵は僅か9名。
船内でも考えて決断を下したのだろうが、あまりにも少ない。
両隊長はもう一度問いただしたかったが、一時的な帰還時間が迫っていているために、断念せざるをえなかった。
しかし母校に、故郷に戻り、家族にあえば変わるかもしれないと思い、帰還時刻までに戻らなければ除隊と判断する旨を伝えるにとどめる。
取りあえず学兵達は法術士学校・導術士学校に一時的に戻る。
一泊二日してから帰郷し、期間は長めの二週間。
ゆっくり疲れを取って欲しいという願いもあって長めだ。
まあ。隊長陣はその間忙しく動き回るのだが。
―――――
陸軍海軍合同機械化航空歩兵部隊と言う、未知なる部隊設立のために奔走する二人。
北郷章香と江藤敏子は、信頼と畏怖の念を持つ上司達から「やってみろ。」と言われて作業に没頭している。
投げやりに聞こえるかもしれないが、一応フォローは入れてくれているので助かってはいる。
「ストライカーユニットと武装は共通化が進んでいるからいいけどね・・・」
「やっぱり組織的な問題がなぁ・・・」
夢幻会が推し進めている共通化により、現場ではある程度負担は軽減されている。
さらに政府も共通化の利点を理解し、世界的な共通化を目指すべく動いている。
それはいい。それはいいのだ。
問題は陸軍と言う枠組みと、海軍の枠組みの違いだ。
両組織とも歴史があるし、世界共通の様に仲が悪い。
その中でウィッチのみとはいえ、統合しようというのだ。
新しい組織組を一から作らないといけない。はっきり言って自分達の仕事じゃないと思う。
「無理に総合するのは難しい。やっぱり別々で考えた方がよくないか?」
「そうよね・・・ まだ戦争しているし、新組織は無理だって上げるしかないわね。」
「そうなると、まずは防衛戦においての運用か。」
「まず陸戦戦力は考慮しなくて良いわ。偵察機による防空警戒網の構築が急務?」
「それは通常戦力で賄えるな。確か試作で木製偵察機を作っていた筈だが。」
「え、なにそれ。知らないんだけど?」
話題に上がった木製偵察機は、対ネウロイ戦において威力を発揮するだろうと思った夢幻会主導の物。
長距離偵察をこなし、爆撃も出来る。この世界製のデ・ハビランド モスキートを作ろうという野心的なものだ。
話を聞いた敏子はちょっと興奮気味であったが、章香はあっさり切り捨てる。
「まだ試作だし、投入できない。」
「意味ないじゃない・・・ 将来に期待ね。」
「とりあえずは航空母艦での警戒が主になるか。」
「機動艦隊を貼り付けるの? 良く知らないけど燃料とか、整備とかは?」
「自分も、主な勤務場所は陸上だからな・・・ 今度、アイツに聞いてみるか。」
「とりあえず、混乱しない様に指揮系統をはっきりさせた方が良いわね。」
「そうだな。情報のやり取りは円滑にした方が良いだろう。」
「同じ基地に同居していたのって、これを考慮していたのかしら・・・?」
「そうかもしれん・・・」
ちょっと冷や汗が流れる。やっぱりウチの上司は怖い。
そんなこんなで作業をしていると、ノックが聞こえた。
許可をすると、副隊長に戻った旭川梨奈が書類をもって入室してくる。
「隊長、持ってきましたよぉ。」
「ああ、すまいない。」
「いいですってぇ。」
軽く礼を言い、梨奈は小さく笑ってそのまま出て行いく。
書類は部隊運営に必要なモノから要望まで多岐にわたる。
そして手紙、も何通か入っていた。
誰からだと思い、目を通していく。
「大佐に、源田・・・ げっ!」
「どうしたのよ?」
最後の手紙を確認した章香が変な反応をしたので、書類を書いていた敏子が顔を上げる。
見上げた先では「どうしよう。」と困っている章香がいた。
「どうしたのよ。」
870 :影響を受ける人:2015/10/25(日) 21:55:54
再度尋ねると、言いたくなさそうな感じだではあるが答えてくれた。
「両親からの、手紙だ。恐らく、見合いの・・・」
「あ、ああ・・・」
―――――
導術士学校は大阪にあるが、少し兵庫県よりだ。
と言うのも最初に海外からの留学生を受け入れていたのがこちらだからだ。
設立が早かったのもこちら。法術士学校の方が後なのは、入校して初めて知る事実だったりする。
九曜葛葉が陰陽道、その技術が消えるのを恐れたが故に。
それは成功し、結界士・呪歌使い等の特殊技能が生まれてこの世界で活躍している。
疑似的な能力模倣すら可能にしているのだから、世界が瞠目するのも分かる。
それはともかくとして、坂本美緒・若本徹子・竹井醇子は母校に戻ってきた。
バスから降り立った母校は相変わらず広く、多くの女子生徒たちが運動していた。
時間的に授業中なのだから仕方が無い。
グラウンドにいた同級生の生徒達がこちらに気がつくが、先生が押しとどめつつ叱り付ける。
「・・・(クスッ)」
それをみて小さく笑った美緒に、醇子が近寄った。
「どうしたの?」
「え、あ・・・いや。」
問いかけられたのだがどうにも答えにくい。
困り果てた美緒ではあるが・・・彼女は同級生たちの行動を「子供らしい」と思ったのだ。
戦争に出たがゆえに精神年齢がいびつに上がった影響なのだが、美緒が気がついた様子は無い。
学兵一行はそのまま体育館に移動し、教頭先生と校長先生から労いの言葉をもらうが・・・どうにも実感がわかない。
意識的にはまだ戦争は続いていると、認識しているからだろうか?
とりあえずそのまま昼休みの時間となったので、彼女らは自分達がいた教室に一時戻ることになった。
学友達と交流してほしいという思いと、それとなく知らされた徴兵期間延長をさせないために。
美緒等は一緒の学年で、一緒の教室にいるから戻る場所も一緒だ。
教室に入ると、いっせいに学友たちが押し寄せてきて揉みくちゃにされてしまう。
「うわわわわ!」
「おかえり!」
「心配していたのよ!?」
「怪我してないよね・・・?」
「おう。大丈夫だ。」
「あっちでも、二人共勉強してた?」
「うん。分からないところは先輩に教えてもらっていたよ。」
三人は質問攻めに会いながら、冷静に答えていく。
すると、外側から参加せずにいた一人の生徒が、気が付いたように呟いた。
「なんか・・・ 落ち着いてない?」
「え、そう?」
小さく呟いたつもりだったのに、隣の友人に聞こえていたのに驚きつつも頷く。
「美緒ってさ、こういう状況だともっと慌てていたような感じがする。」
「言われてみれば・・・」
視線を騒ぎの中心に戻せば、美緒は抱きつかれていたのをやんわり外し、少し距離を取らせている。
そして冷静に受け答えしていた。
徹子は答えつつも背中を醇子のほうに向けている。醇子も自然と美緒と徹子の間に入れていて、けして背中側を見せないようにしている。
これは、三人は意識せずに背中を見せないように行動しいていたのだ。
別に危険も無いのに、「取り囲まれている」というこの状況で体が動いていた。
そして一定の隙間を空け、三人の視線が時折扉と、人垣が少ないほうを見ているのにも気が付く。
異常だ。この三人の行動は異常すぎる。
まだ幼い生徒は、軍隊の生活に慣れきった目の前の人物たちが怖くなった。
あれは本当に同級生なのだろうか?
自分の知っている人物とは違いすぎる。
身にまとう雰囲気も上級生・・・ いや、大人のようにも見えなくも無い。
戦場に出ると、人はこうまで代わるのか?
それが恐ろしいものに見えて、彼女は近づくのをためらった。
――同じはずなのに違う。
それは美緒達も感じていた。
同級生たちの近況の話を聞くが、どうにもついていけない。
こういう御店が出来ておいしいとか、可愛い洋服があるとか、誰それが失敗して先生に怒られたとか・・・
確かに久しぶりの会話は楽しい。
しかしここは本当に自分の知っている学校なのか、どうにも確信が持てない。
871 :影響を受ける人:2015/10/25(日) 21:56:40
精神的成長を遂げた三人にとって、微妙な齟齬が違和感となって感じられる。
何時も見ていた教室。
何時も見ていた窓の外。
何時も一緒だった同級生たち。
良く知っているのに、何か違う。
何処か、疎外感を感じて寂しさがこみ上げてきた。
自分はここにいていいのだろうか?
そう疑問に思い始めた時、昼休みが終わる鐘がなる。
「ほら皆、椅子に座って!」
学級委員長がいうと、質問をしていた子達は名残惜しそうに美緒達から離れていった。
ようやく解放されてホッと一息をつき、自分達が座っていた席に座る。
そして先生が入ってくると、いきなりテストをすると言って大ブーイングを受けてしまった。
これは学兵の為の措置だ。取りあえず午後の授業を受けてみて、自主勉強がどこまで出来ているかを見ることになっている。
美緒達としてもいきなりの抜き打ちテストに冷や汗が止まらない。
一応勉強はしていたが、どこまで進んでいるかなんてわからないのだ。
手探りで進めつつ、先輩たちに聞いてようやくと言うレベル。
配られた答案用紙を見詰めつつ、帰国早々の戦闘に鉛筆を取り出す。
)
意気込んでテストに臨んだ三人だが、結果から言えば半壊判定だった。
それは他の学年にいる学兵達も同じであり、学校側も困ってしまったので、急遽学兵を集めた特別な教室を作る事に。
今は低学年の学兵が全員帰ってきているが、まだ戦場に残っている学兵もいる。
彼女達の未来の為に、一肌脱がなければならない。
この有り難い説明を帰郷前に聞いた学兵達は、嬉しさに泣いた。
ついでに宿題も沢山渡されたので、絶望にも泣いた。
ウィッチになる女性達は才女が多い。だから要求される能力も高くなり、授業も難しくなる。
社会進出しているウィッチ達も、猛勉強の末にその地位に立っているのだ。
泣き言なんて許されない。
学兵達は宿題の量に頭を抱えつつ学校を後にした。
お見送りにやってきた学友達の視線は同情の視線。
先に夏休みの宿題を手渡され、たった十二日でこなさなければならないことへの同情。
美緒はその視線にさらされる事で、ようやく元に戻れたような気がした。まったく嬉しくないが。
帰郷に旅立ったその日は7月14日・・・
原作において大反抗作戦を開始し、潰走。空戦ウィッチの尽力により、一時的に戦線の再構築をした日にちだった。
- 超大型ネウロイ、コードネーム“ヤマ”。その発見がされるまで、あともう少し。
以上です。
今回初めて明確な日にちを出しました。
しかし・・・“ヤマ”が確認されたのっていつ頃なのかな?
個人的予想では7月の28日・29日・30日だと思うのだが・・・
最終更新:2016年02月14日 22:10