209 :影響を受ける人:2015/11/08(日) 22:15:15
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第七十九話 ―残された“モノ”―



――三種の神器(みくさのかむだから、さんしゅのしんき(じんぎ、しんぎ))は、日本神話において、天孫降臨の時に、瓊瓊杵尊が天照大神から授けられたという鏡・玉・剣のこと。また、神話に登場した神器と同一とされる、あるいはそれになぞらえられる、日本の歴代天皇が継承してきた三種の宝物のこと。
三種の宝物とは、八咫鏡・八尺瓊勾玉・草薙剣を指す。皇族はもとより天皇でさえもその実見はなされておらず、多くの面が謎に包まれている。――wiki pediaより――



この世界、ストライク・ウィッチーズの世界において伝説の武器は架空のモノではなく、現存する究極の“武装兵器”だ。
このことを聞いた夢幻会の半分は眉唾物であったが、半数はヲタク本能を刺激されて興奮した。
しかし現物を見ないと納得しがたいのも事実。
その証拠として後日、九曜葛葉は自作した扶桑刀を持参し、倉崎重工において試験する事になった。
そして結果は・・・驚くべきものであった。

前々世において、TV番組【トリビア○泉】を視聴していた転生者は「いくら何でも機関砲には負けるだろう」といって、拳銃の次に機関銃を用意した。
台座に固定された抜身の刀に向け、遠距離からトリガーを引く。
弾丸が発射され、計算通りに刀に命中し・・・後続の弾丸も面白いように切り裂いていった。

「・・・はぁ?」

間抜けな声が出たが誰も笑わない。なぜなら刀は平然と弾丸を切り裂き続けているから。
九曜が提供したのは基本としている〔折れず〕〔欠けず〕〔曲がらず〕のみ主眼としている刀。
最初は「刀語かwww」と言っていたのだが、この結果には全員が呆然とした。
空想の刀が、目の前に存在する。
すぐさま九曜(見学していた分体)に問いただした。すると、すぐに回答がやってきた。

「術符と同じ原理です。
 もっとわかりやすく言うなら・・・コンピューター回路を仕込んでいる。
 そう言った方が良いですね。」
「いや、だが・・・ 刀の製作では打ちつける動作があるだろう。
 そのやり方だと、回路制作が出来ないのでは?」
「あ~・・・ 最終的に、中の原子配列と言いますか・・・
 わずかな隙間と言いますか・・・
 魔力を使用して回路を制作していまして、殆ど経験と勘なのですよ。」
「型月の魔術回路かよ!」
「それですね。」

とまあ、そんなこんなことがあった。
さらに細かく問われたが、民間に伝わっている製法では〔折れず〕〔欠けず〕〔曲がらず〕のみ継承されているという。
基本的な事であるし、他の機能を付与するとなると比率が崩れて脆くなるのだとか。

「その機能を持っている、現存している“最強”の武器は何ですか?」
「・・・聞きたいの?」

問いに渋った九曜(分体)に対し、研究者たちは詰め寄る。
鼻息荒く近寄られるのは外見女、中身男でも嫌だったので答えることにした。

「三種の神器・・・ 草薙の剣よ。」

―――――

皇居内で九曜は仕事していた。
裏の侍従長であるが、表の仕事を手伝う理由は無い。
目の前で共に仕事をしている侍従長は、前世の人物は違うのだが雰囲気がよく似ている。
これも類似性が強い世界観のせいなのだろうかと思っていた。
頭の片隅でそう思いつつ、手を休めずに動かす。

っと、分体(護衛兼御茶くみ)から連絡が入った。
陛下が自分(本体)を呼んでいるらしく、着て欲しいとの事。

「後は任せました。」
「陛下ですか? お任せください、手伝っていただけたので早く終わりそうです。」

執務室から出ると、軽く小走りで向かう。
陛下の場所はわかっている。執務室で何やら悩んでいるようだと、分体が報告してきていたから。
執務室前に到着して息を整え、軽くノックをすると「よい。入れ。」と言われた。
扉を開き一礼すると、何時になく真剣な眼差しの陛下が座っている。

210 :影響を受ける人:2015/11/08(日) 22:15:49

「何様か、御用でしょうか?」
「うむ・・・ “宝物殿”に行きたい。」

“宝物殿”。その単語を聞いた九曜は目を見開き、全身の毛が逆立つのを感じた。

「宝物・・・殿・・・で、ございますか?」
「うむ。」

陛下は真っ直ぐにこちらを見る。
九曜はどうしていくのか問いただしたかった。だが、陛下の眼差しが真っ直ぐではあるが迷いも感じる。
長い年月を生きている九曜は、すぐに無茶をするわけではないと判断下す。

「承知しました。」
「済まぬな。」

―――――

“宝物殿”。
それは天皇家に伝わる、曰く付の品物を収めた倉庫。
数ある物は表の“宝物庫”に収められるが、過去に贈呈された物品の内、盗まれてはまずい物を保管している。
その場所は誰も知らず。天皇陛下と管理者しか知らない。
現在の管理者は九曜葛葉。保管場所も、現代の技術でも探り当てるのは難しい場所にある。

無論、自分にもしもの事があった場合、どうにかすれば到達できる場所にあるのではあるが・・・
球体シールドで水中に潜った九曜と陛下は、保管場所の底に着くと目の前で岩が、回りながらせり上がるのが見えた。
九曜の念動により、ネジ式で締められていた蓋が持ち上がっているのだ。
全て上がりきると、側面に入り口があるのでそこから入る。
その入り口の先に床は無い。シールドを堅持したまま中に入り、入り口付近まで水を戻すと氷を作り出して塞ぐ。

そしてそのままエレベーターの様に下に行く。
途中までまっすぐだった壁面は、徐々に離れていくのがわかる。
構造を説明すると、三角フラスコのような形をしているのだ。
フラスコの底に到着すると、厳重に閉められた岩戸の前に二人は進む。
この場所に陽の光は到達しないので、九曜の魔力光だけが頼りだ。

「少々お待ちを・・・」

断りを入れ、九曜は岩戸の前に立つ。
そして手を触れると・・・念動をフルに使って中のギミックを起動させた。
侵入者がここまで来た事は無いが、水中に近い場所で発破はやらないだろうとの判断により、絡繰りを仕込んである。
もし強行突破すれば此処は水没し、古い魔術式により氷漬けにされる運命が待っていて、宝物殿の中身も爆破される。
故に慎重に解く必要性があった。

―カチッ…―

金具が外れる音共に、巨大な岩戸が左右に分かれて道を示す。
二人は開き切るまで待ち、機動停止の轟音が響くと同時に歩き出した。
岩戸の先には仄かに光る鉱石・・・では無く、宝石がある。
価値を知る物から見れば、涎を垂らして奪いに来るだろう天然物の宝石達だ。
ここでは魔力により明かりを作る物として置いてあり、事実を知ればあまりにも豪華で贅沢な使い方だと思うだろう。

その回廊の脇には小部屋の扉があるのだが、二人は無視をして先に進む。
回廊の終わりに又扉があるが、こちらは木の扉で凝ったギミックは無い。
しいて言うなら鍵が必要なだけ。
九曜はさっさと鍵を取出して扉を開けると、そのまま端によって頭を垂れる。ここから先は天皇陛下が先に入るのだ。
良く働いてくれる古き家臣に、陛下は小さく頷いて先に扉の先に入る。その後ろから九曜も続く。

三メートルほど進むと階段があり、下った先には地下にあるとは思えない広い空間に本殿が存在する。
その中にある物が目的だ。
陛下は本殿の階段を上がると扉を開いた。それを会談したから九曜は見つめる。
ここから先は天皇陛下のみ許された空間。自分が入る余地は無い。
本殿内部に安置された三つの品・・・ 八咫鏡 八尺瓊勾玉 草薙剣 ・・・の前に陛下は立つ。

九曜は中で本物の三種の神器を対面している陛下を想像しつつ過去に思いをはせる。
その昔、管理者の交代を受けた時の事。
最初は固辞したが、どうしてもと言われて今の場所を作成した。
かなりの重労働であったが分体の訓練にはちょうどよく、半年かかってようやく完成させた。
そして安置するという事になったのだが、時の天皇陛下が性能を見ようという事で富士の麓で軽く振るう事となった。

あの時は只の武器と侮っていた。
幾ら伝承で伝えられているからと言っても、異常な性能は無いだろうと・・・
しかし九曜の、刀の性能を見たは夢幻会が驚いった結果よりも、遥かに凄まじい驚きを有するモノだった。
草原の草が 根 元 か ら 薙 ぎ 払 わ れ 、その先にあった雑木林さえも 薙 ぎ 払 わ れ た。
これだけなら伝承通りだったが、その範囲内にいた生物全てが 薙 ぎ 払 わ れ て 死 滅 し て い る のが判明した。

211 :影響を受ける人:2015/11/08(日) 22:16:31

余りにも凄まじい・・・その光景を見ていた関係者はすぐに口を結んだ。
これは世に出して良い物ではない。伝承の通り以上の結果に全員が震え上がっていた。
そして同時に天皇陛下が倒れてしまったのも、秘密にしなければならない。
いかに陛下の要望で実験を行ったとはいえ、陰陽士・導術士の当主達の首が飛びかねない。
慌てて都に搬送し、―天皇陛下は都から移動していない―と言う偽造をした。

この時、九曜が一時的に草薙の剣を運搬したのだが・・・
ほんの少しだった。
ほんの少し触っただけで、当時の陛下よりもさらに強大な魔力を持っていた筈の九曜の魔力が、1秒も持たずに枯渇しそうなったのだ。
これは草薙の剣が持つ特性であり、天皇家以外の人間が所持できないようにされている証拠だった。
急激な魔力喪失で眩暈を起こした九曜だが、しばらくして回復すると仕方なく布で縛り、直接触れない様に運搬するしかなかった。

その後、天皇家が所持する武器防具などを収める際に解析する事を許されたが、草薙の剣だけはあの時と陛下の協力で三度ほど調べるのみに止めている。
その三度だけでも死にかけた事があるだから。
陛下は三種の神器の前に立ち、己の苦悩を晴らそうとしている。
九曜は只待つのみ。自分の覚悟はもう決まっている。

この国に未曾有の危機が迫っているのはなんとなくわかる。
変質している未来予知により、最近脳内に何かが浮かび上がりつつあった。
恐らくそれは、自分が関わらない事で起きる悲劇。もしくは己が死ぬ事で起きる惨劇だ。
それを超えれば・・・自分は目的を果たせるだろう。
薄暗い天井を見上げ、思い出の椿を思い起こすのであった。

―――――

電車に揺られながら、北郷章香と江藤敏子はある場所を目指していた。
何時もなら書類と格闘しているのだが、忙しくなり始める前に行きたかった場所があるのだ。
章香の向かい側に座っている敏子が、外を見つつ溜息を吐く。

「別にいいのよ。来なくても・・・」
「世話になっていたし、同じ基地にいたんだ。せめて、な・・・」

来る前に敏子は責任を感じる必要はないと言ったが、章香としては部下の一人を預けたのだから関わりがあると主張。
結局別々にやるよりも、一緒の方が良いとの判断したのだった。
しかし、気が滅入るのは避けられない。
せっかく買った駅弁(夢幻会食品制作部製)も、美味しく感じられない。
うつりゆく景色を楽しむ事もできない。

それは、同行者も同様だ。
狐火隊隊長の穴吹智子と、副隊長の加東圭子。
そして、坂本美緒が今回の同行者に選ばれた。
前者の二人は直属の部下だったから。後者は部下で助けられ、あの時の事を良く知っているから。
五人が向かう場所は、早良ミチルの生家。



以上です。
本当なら最後の方の、「美緒ちゃん先輩の実家に突撃する」がメインだった筈なのに、いつの間にかサブで書いていた方がメインになっていた。

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最終更新:2016年02月14日 22:11