900 :影響を受ける人:2015/12/07(月) 22:35:10
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第八十一話 ―残された“モノ”参―



沢山の財界人、政界人、著名人が一堂に扶桑皇国が誇る総合会館に集合していた。
こんなに人が集まる事は少なく、ましてや僅かな時間とはいえ、天皇陛下まで出席された今回の会食。
他国の代表者も集まっていて、エリス・グリンフィールドとアドルフィーネ・ガランド両名も送別会に出席していた。

「いや~、貴国の義勇隊には助けられました。」
「いえ、そんな・・・」

エリスが海軍関係者に礼を言われていて、更に陸軍のお偉いさんもやってきては挨拶していく。
本国からも良い御得意さんであり、友好関係を建国当初から続けている関係を崩さないよう厳命されている。
まあ、遠い任地で地元の人と仲違いして、白い目に見られたくはないから普通に気を付けてはいた。
ある程度人を捌き終わり、内心で溜息を吐きつつ、壁寄りに移動する。
すると、軽空母【ペーター・シュトラッサー】の艦長を後ろに連れたガランドが傍に寄ってきた。

「お疲れの様だな。」
「お互い様でしょ。」

二人は顔を見合わせると苦笑する。

「御二人は、この国では人気が高いですから。」

艦長は少々お疲れ気味のレディに同情したが、自分の所には部隊を率いる司令官クラスが数名来ただけなので、あんまり疲れていない。
そんな艦長に対し、ガランドは恨めし気な視線を向ける。

「艦長それはそうだがな? だからと言って叔父様ばかりだと息苦しいよ。」
「若い人、少ないものね。」
「上に行くほど年老いていく、どこの軍隊でも当たり前の光景ですな。」

軽く笑って躱した後、「そう言えば・・・」と言って話題を変えた。

「扶桑は面白い文化が多く、飽きが来ませんでしたね。」
「そうだな。一番気にいたのは温泉だが。」
「私は豆腐料理ね。ヘルシーだし。湯葉だっけ? 作り立てを出すお店が美味しかったわ♪」
「なに・・・!? 私はそんなお店知らないぞ?!」
「連れて行ってもらったのよ。食事よりも、商談の方がメインだったけど。」
「ぐぐ・・・ だ、だが。日本酒はそれほど飲んでいまい?」
「そうだけど・・・ まさか!」
「ふふふ・・・! 船が完成した時に振舞われてな。それはもう沢山持って来ていた。
 飲みやすい日本酒だが、いろいろ味があって面白かったぞ♪」
「こっちはそんなイベントなかったわ・・・」

悔しげに睨むが、ガランドは勝ち誇ったように笑うのみ。
艦長が「私は寄木細工と言うのが気に入りました。」というが、女性二人の自慢合戦に割って入ることは出来ない。
暫らく言い争うように自慢し合った二人だが、さすがに疲れたのか近くの冷水コップに入れ、一気に飲み干して一息ついた。

「「ふぅ・・・」」

そして会場を見渡す二人。
いつの間にか艦長はいなくなっており、今この場にいるのは二人だけだ。

「そういえば・・・あなた、ズボンの“重ね履き”はいつも?」
「ん・・・そうだな。かっこいいだろう?。」

そう言ってガランドは自分のズボンを見る。
対するエリスは「何言ってんだコイツ」と言う感じで呆れていた。
そんな顔を見て少しムッとなる。

「そういうお前も “ズボンの重ね履き”をしているだろうに。」
「これは扶桑の文化に合わせてよ。」

そう言って、履きなれないキュロトを引っ張る。
扶桑皇国で生まれた女性は、生まれてから三十路ぐらいになるまでは生足を出すものの、それ以降は足を隠す様にしている。
これは他の国共同様であるので問題は無い。
ストライク・ウィッチーズの世界だから諦めが付くが、扶桑皇国では他国とは違って“重ね履き”が存在する。
これは九曜が広めた文化であり、後の女性転生者の為の措置として根付かせた。

901 :影響を受ける人:2015/12/07(月) 22:35:41

一番の理由は自分が育った幼少時代が、褌だけだったからと言うのもある。(一応超ミニスカートな袴もあった。)
現実世界の、一般人の、普通の男性であった九曜葛葉にとって、あまりにも恥ずかしい青春時代であった。
流石に数年もすれば慣れたが、変に意識すると恥ずかしくなるの真当たり前で、失敗してしまう事も多かった。
それを嫌ったが故に根付かせた文化だ。
だが、他国から見れば異様である。

九曜としては一枚だけと言うのは何とも言えなかったから二枚にしたのだが、この世界には魔法があるが故にあまり通じない。
だが定着してしまった文化故に、やってくる異国人の少女達がズボン一枚だと微妙な視線が投げかけられてしまう。
最初こそ無視ししていた彼女等であったが、扶桑の文化に触れていく内に「郷にいては郷に従え」になっていき。
履きなれないスカートやキュロト、ホットパンツを履いて仕事に従事していった。
けして食堂のオバちゃん達に「はしたない。」「嫁入り前なのに」などと言われ、憐れみの目で言われたからではない。

「それもこの国から離れれば解放される・・・か。」

ガランドは天井を見上げて呟く。
今日から二週間後には自分達はこの国から離れていく。
欧州戦線も、最近では手強いネウロイが出現したという報告が入って来ている。
そろそろ欧州義勇飛行隊を戻したいと思っても仕方がない。

「でもいいのかしら。」
「本国からの命令には逆らえんぞ?」

思い悩むエリスに、ガランドは厳しく指摘する。

「そうなのよね~」
「一応派遣した部隊を戻しているみたいだし。国内で再編成を済ませれば何とかなるだろう。」
「・・・そうね。」

そう言ってエリスは近くのテーブルに移動する。
つられるようにガランドも移動し、テーブルにあった食べ物を取る。

「一番大変なのは欧州じゃない?」
「だな・・・」

当初、ガランドは只の観戦武官として派遣されていた。
ついでに軽空母【ペーター・シュトラッサー】の訓練を見るのも任務だった。
しかし大陸側の戦況が悪くなり始めると状況は一変。
扶桑皇国は派遣した部隊を戻さなければならない事態に陥っていた。
だが欧州各国は自国よりも数多いウィッチに、独自の魔法技術に心を奪われてしまって渋った。渋ってしまった。


カールスラントやオラーシャは事態を素早く感知して返してくれた。
だが、他国は代わりとして少人数をかき集めた義勇飛行隊が結成され、扶桑に渡る事になったのだが・・・結局織田政権になるまで返してくれなかった。
報道によりその事が伝えられると、国民は怒りに震えた。とりあえずカールスラント軍人であるガランドが隊長に着く事で、防風壁のようにしなければ受け入れられなかっただろう。
それでも中盤当たりまでは少し風当たりが強かったのだが、後半になると個人的に見てくれるようになってきていたので、ちょっとだけ過ごしやすくなっていたのだった。

だが、欧州嫌悪が消えたわけではない。
もはや扶桑に援軍を頼むことなどできないだろう。
ならば誰に頼むか?

「どのくらい出せそうだ?」
「わかんない。」

にべもない回答に、ガランドは思いっきり不機嫌となる。

「でも・・・リベリオンの財界はチャンスと捉えている。
 扶桑ではブローニングの機銃が好評。将来は縮小するかもしれないけど、規格統一で今は部品単位で輸入されている。
 戦場は近かいけど、まだ余裕があるから顧客に困らないくて済みそう。
 扶桑の軍需品を気に掛ける必要性も薄いわね。友好国にしか輸出しないでしょうし。
 それと、“大人”の戦力を活かす事ができる扶桑軍が大陸奪還に集中せざる負えない以上、軍としても派兵に乗り気よ。
 やっぱり実戦に勝るモノは無いっていうのが、私の報告書からもわかったみたい。
 政府としても、影響を強く残せると財界と組んで行動するでしょう。」
「そうか・・・ ありがとう。」

エリスの、出来うる限りの考察に礼を言う。
ガランドとしてはあまり政界についてはどうでもいいと思っている。
飽く迄も民衆の為に動く、これを前提としているから。
二人はしばらく一緒であったが、再び分かれてコネクション造りに専念し始めた。
その夜は、遅くまで宴は続いたという。

一週間後エリスは輸送船に乗ってリベリオンに帰る。
二週間後ガランド達は小規模の艦隊で、先頭に【グラーフ・ツェッペリン】を、後ろに【ペーター・シュトラッサー】を配置し、中央に義勇飛行隊を乗せた客船を配置し、帰還していった。
その日は7月28日。
坂本美緒達が、ちょうど舞鶴基地に戻った日だった。

902 :影響を受ける人:2015/12/07(月) 22:37:01

―――――

大陸の奥。その場所は濃い瘴気に覆われた空間。
上空を仰ぎ見れば、 “ネウロイの巣”と呼ばれる巨大な渦状の黒雲が存在する。
その周囲を旋回する“スズメバチ”の編隊は、同種の“スズメバチ”と舞うように飛んでいた。
もし夢幻会や、知識ある軍人がこの光景を見たら驚愕し、恐れることになるだろう。
彼等は訓練していたのだ。

発案者は一体の“スズメバチ”。彼(?)もいわゆる ベ テ ラ ン だ。
ある程度まとまって行動した方が、攻撃や防御に役に立つと知ったからだ。
元々は臆病な奴だったのだが、敵が連携して動くのを見て学習した。

―まあ、こんなものか。―

しかしながら彼は教官に向いているとは言い難い。
最初こそ綺麗な編隊だったが、数回交差した時にはもうバラバラだった。
流石に困り果ててしまい、最終的に絶対にペアーを崩すなと、厳命するしかなかった。
いかに学習能力があろうとも、生かせないなら意味が無いのだ。

―お~い―
―ん? なんだ、おまえか。―

“スズメバチ”の横に“ウシアブ”が並んだ。
彼もまた生き残りの一人だが、生まれてそんなに経っていないからベテランとは言い難い。
しかし運はあるようで、たびたび並んで飛んでいる“スズメバチ”に助けられている敬意を持っている。

―どうなのよ?―
―ぼちぼち・・・ だな。―
―あぁ・・・ やっぱり先輩を引き抜かれたのがいたい?―
―そうなんだよ。先輩達、教えるの上手かったからな。―
―他の連中からの増援要請でいなくなったけど、これって上のせいだよね。―
―初めから デカイ の、えばりくさっていたからな。
 護衛も楽じゃなかっただろうさ・・・―

少しばかり意思疎通をしていた二体だが、ふと眼下に意識を移す。
そこにはいまだ出撃の下されずに眠る巨獣がいる。

―なぁ・・・―
―なに?―
―“アレ”、役に立つと思うか?―

“スズメバチ”は眼下に鎮座する 三 体 の 猛 獣 を指し示していうと、“ウシアブ”はそのうちの一体を見て震えた。
“スズメバチ”が言っている“アレ”・・・
三体の猛獣の内、異色の一体の事だとわかっているからだ。

―わからないね。自分、生まれてそんなに経っていないし。―
―古い、古過ぎる同胞だけどさ・・・ “アレ”が味方だなんて思いたくない。―

二体のネウロイは、魔獣たちから離れる様に飛んで行った。
思考の中で“アレ”に対する期待と、大きな不安の中で関わらない事願う。
しばらくして、三体の猛獣が動き出すのは同時だった。
この巣の、後が無い最終的な軍団派兵。
後の【扶桑海事変】まで、秒読み段階となった。



以上です。
ちょっとだけラスボスの存在感を出しましたが、まだ造形は秘密なんじゃ。
義勇飛行隊も参戦させようかと思ったけど、さすがに人数が多すぎた(泣

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最終更新:2016年02月14日 22:13