686 :影響を受ける人:2016/01/24(日) 22:25:30
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第八十四話 ―決戦前夜―



― 8月4日未明:未確認大型怪異出現 ―

この情報はすぐさま世界中に駆け巡った。
決死の偵察により得られた写真はすぐさま何枚も刷られ、各研究所に持ち込まれて分析を開始。
同時に民間レベルでは非公開にし、秘密にするような事でもなので各国の政治家・軍人にも情報提供された。
そして写真を見た誰もが口を開いて言う。

「信じられない。」

そのバカげたサイズに。
荒野を闊歩するその姿を見た偵察員は、「要塞が歩いているようだった。」っというのも無理はないだろう。
もっとも、実際に見た夢幻会偵察員(前世でも偵察機乗り)は「アームズフォートだな。ありゃ。」と言っていたが。
取り巻きが多く、偵察をする飛行隊員は決死の決意で行い続けた。

「ウィッチは小さいから見つかりにくいのでは?」

と言う意見もあったが、同時に偵察して彼女等の方に大群が向かって行くのを見て即時撤退する。
幸いにして瘴気をばら撒きながら進軍しているわけではないので、隠蔽をすれば割と簡単に地上からでも観察できた。
もっとも、地上の取り巻きも沢山いるので、それなりに苦労はあったが。
超大型ネウロイはしばらくの間名前が無かったが、その形状から“ヤマ”と言う名称を付けられる。
リベリオンでは“グレートシング”、ブリタニアでは“ビヒモス”等々つけられてはいたが、観測上最大級の大きさであるというのには間違いが無かった。

“ヤマ”の行軍速度は遅かった。あれだけの重量物体が移動するのだから当然だ。
さらに大きな川を迂回し、なるべく狭い場所を通る事からワザと進路上に池を作り、更に遅滞できないかと言う意見が出た。
だが、相手も航空偵察をしているので無理と言う判断が下る。
敵の進行速度から逆算すると、扶桑海には8月の29・30・31日には到達する見込みが出た。

こちらは幸いにして大陸からの民間人の避難は済んでおり、艦隊の整備も進んでいる。
後はこちらの戦力を整えるだけ。そして作戦を決めればいい。

――軽航空母艦【瑞鳳】――

「よし。次!」

号令に従い、ウィッチがまた一人発艦していく。
彼女が飛行甲板を蹴るのと同時に、もう一人も発艦する。
その後に続いてドンドン発艦していく姿に、見学していた坂本美緒等は口を開けて見入っていた。

「すげぇ・・・」
「実際見ると、ちがうね。」

地上訓練で合格を貰えたのはあまり多くは無かった。
その多くない人数の中に、美緒達は入っている。
その横には、同じく合格した狐火隊の面々と狸釜隊の面々が。
技量が高い人員で構成されていたので、この結果は当然と言える。
しかし船になれていない隊員もおり。絶賛船酔い中の数名が艦内で寝込んでいる。

ほわぁっと見ている竹井醇子の横に、飯島凛と山田里子がやってきた。
気が付いた徹子が顔を向けると、風でなびく髪を押さえている凛が傍に立って上空を仰ぎ見た。

「委員長どうだった?」
「駄目ですわね。」
「今回の訓練には参加させられないッス。」

聞いてみたのは倒れた二名の学兵だ。
彼女等は大久保小毬同様の運搬係だったのだが、慣れない船に酔っている最中。
仕方がないので小毬だけ、艦内で行う整備について研修を受けている。
徹子は「そうか。」といいつつ、里子の顔を覗き見た。

「しかし、なんだ・・・」
「な、なんッスか?」
「おまえ。本当に大丈夫なのか?」
「だから・・・ 大丈夫っすよ!
 基地でも散々説明したッスよね!?」

687 :影響を受ける人:2016/01/24(日) 22:26:00

徹子は本気で心配しているのだが、こう何度も聞かれるのは流石に勘弁してほしいと思う。
だからプンスカ怒るのだが、どうにも迫力が無い。
まあ、本土に戻った理由が理由だけに、心配されるのはわかる。
暫らく療養していた里子だったが、大陸の話を聞くたびに悔しさで涙を流した。
中でもショックだったのは早良ミチルの戦死だ。

彼女が死ぬ姿がどうしても思い浮かべられず、合流するまで半信半疑だった。
里子は重病と言うわけでは無かったので、軍病院でもかなりましな部屋に入れられていた。
そこでは五体満足でありながらも、前線から引かなければならないウィッチもそれなりにいて、お互いに支え合った。
比較的笑いもあったから、心持ち楽であった。
だが合流すると厳しい現実を知る。

いなくなった先輩に同級生たち。もはや会えない仲間達。
話を聞いた後、再び彼女は泣いた。

「悪かった。悪かったて・・・」
「むぅぅ~」
「里子さん。それ位にしなさいな。」

凛にたしなめられ、徹子も謝ったので一応下がる事にした。
すると、タイミングを見計らっていた美緒が声をかける。

「三人とも、着艦に入るみたいだよ。」
「お、いいタイミングだな。」
「ちゃんと見て、勉強しないと先生に怒られるよ?」
「醇子さん、わかっていますわ。」

ワイワイと仲がいい学兵達を、少し離れた位置にいる黒江綾香は微笑ましいのか、微笑を浮かべていた。

「いやぁ。もう一人前だね。」
「そうかな?」

同じ様にみていた加藤武子は首をかしげた。
振り返って狸釜隊隊長の方を向いてい力強く言う。

「そうだと思うよ。」
「ふむ・・・」

腕を組み、学兵達を見やる。
丁度着艦してきたウィッチの挙動を見逃さない様に、目を皿の様にして観察する様子は好奇心あふれる子どもに見えなくもない。
しかし、その目の奥にある物は・・・

「確かにそうかもね・・・」

同意して思うのは、長い付き合いになった彼女達との思い出。
当初は「学兵なんて」などと言う思いが有った。
穴吹智子と加東圭子も含め、自分達は最初から軍の幼年学校から通っている。
しかしながら彼女達は全く違う。
総隊長も言っていたが、この時期にこんな経験をさせるべきではないのだ。

そして同時に確信もしている。
あの子達は必ず正式な軍属になるだろうとも。
頼もしくもあるが複雑だ。

「そういえば・・・隊長から聞きまし?」
「例の超大型のこと?  “オニグモ”よりも巨大だと聞いたけど・・・」
「追加情報です。“オニグモ”二体確認。“アホウドリ”十六体確認。他混成部隊多数有り。
 だ、そうですよ。」
「うぇ・・・」

嫌になる情報に、顰め面を浮かべる。

「隊長たちは・・・ 上はどうする気かしら。」

今までにない敵の大戦力に体が震えた。
何度も死線を潜り抜けてはきたが、今回はどうなるかわからない。
此処にはいない総隊長思って空を見上げた。

―――――

「今回の急な協力、ありがとうございます。」
「いや、気にすんなって。
 苦労したのは艦長とか、司令の方なんだからさ。」

北郷章香は【瑞鳳】飛行隊隊長の天龍空姫(てんりゅう くうひ)に頭を下げたが、本人は朗らかに笑いながら手の平をヒラヒラさせた。
狭い室内だが隊長の部屋と言う事もあり、多少は広い。
しかし三人もいると狭いのには変わらない。
この軍艦【瑞鳳】は軽空母。大きさは正規空母よりも小さいのだから。
同席している【瑞鳳】飛行副隊長の須藤つばめ(読み:すとう つばめ)は、自分が入れてきたお茶を飲む。

688 :影響を受ける人:2016/01/24(日) 22:26:52

「それにしても、赤城以来か?」
「そうですね・・・あちらは試験運用でしたから、それほどはいませんでした。」
「そうだよな。まだまだ青かったのに、今じゃ総隊長! しかも大佐に昇進が決まっているっていうしな!」
「天竜さんを差し置いて、自分が上がるのは何とも言えません。」
「いいって。俺は現場にいる方が性にあってる。」
「ぶっきらぼう過ぎて、水瀬大佐に苦言を貰うくらいですけど。」
「おいおいスドウ・・・ そりゃ言っちゃなんねぇぜ・・・」
「スドウではありません。ス ト ウ です!」

女性らしく会話が弾む。
この天竜天姫と言う人物にも、章香は御世話になった。
元々実家が船乗りと言う事もあり、男勝りな所もあって海軍に入隊した。
叩き上げで、旗本サエに次いで頭の上がらない、尊敬できる人だ。
この掛け合いも久しぶりに聞いて、少し笑ってしまう。

「まったく・・・ 本題に入りましょう。」
「お、そうだな。」

つばめが溜息を吐きつつ軽く睨むが、張本人は全く気にせず章香に促した。

「それでは・・・ 敵戦力については知っていますね?」
「ああ。“オニグモ”だけでもきついのにな。」
「推定でも一キロ四方の巨大な四角錐の超巨大サイズ。
 規格外にも程がありますね。取り巻きも多数いて、漸減作戦も上手く行かないのでは?」

この大きさ、実は夢幻会の予想外の一つだ。
彼等は大きさを大体半分くらい、最悪でも五分の三くらいだとしていた。
だがここにきての特大サイズ。一部パニックになるのも無理は無かった。

「ええ、地上で交戦する事は既に諦めています。」
「ふぅん・・・ “地上”ねぇ・・・」

章香が資料を天竜に手渡し、資料を見る前から察しているのか、胡散臭げに見ていく。
しばらく副隊長と共に見ていた天竜は、机の上に資料を置いて煙草を咥えた。

「基本的にはかわんねぇのか。」
「ええ、実績もありますし。基本的にネウロイは数による力押しをしていきます。」
「有効的ではあると思いますが、話を聞いてくれますか?」

つばめが言いたい事もわかる。懸念するのはある一派。
だが、問題は無い。

「大本営でも、同じような作戦を立てているという話です。
 ならば・・・動いてくれでるでしょう。」
「そうだといいがね。あいつら、筋金入りだぞ?
 噂じゃ。九鬼大将に見捨てられたのに逆に噛み付いている、って聞くしな。」
「それに関しては、江藤が集めていると聞きます。」
「陸軍の、ねぇ・・・」

記憶から引っ張り出そうとするも、思い出せないのですっぱり諦めて別の事を思う。
その横で副隊長が「ああ、思い出せなかったんだな。」と悟っているようだが無視。

「あの魔眼使い。大丈夫か?」
「坂本美緒、ですか? 同じ魔眼使いとして、やはり気になると?」
「ああ、俺は【暗視】能力しか持たない上に、制御は出来るが他に切り替えができないからな。
 特にあの眼鏡が気になるぜ。」
「あれ。相当高いみたいですよ。」

話題をずらされつつも章香はその後も話し続けた。
それは、将来おきる悲劇から目を背ける為か。
それとも、一時の安らぎの為か。



以上です。
オリウィッチ二名登場させました。
こんな感じで、続々と登場させたいですね。

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最終更新:2016年02月14日 22:15