842 :影響を受ける人:2016/02/04(木) 22:30:59
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第八十五話 ―決戦前夜02―



敵の進路を予測し、その日数を計測した結果をもとに、訓練は忙しく進んだ。
航空母艦からの発艦・着艦もそうだが、もしもの為のトンボ釣りも同時並行で進められた。

「司令、そろそろです。」
「うむ。先程発艦する影が見えた。」

夢幻会所属となった木村昌福は、この世界でも駆逐隊の司令として現場に出ていた。
前世でもそうだったし、やっぱりやった事が有るからシックリくる。
本当は別の事でもしようかと思っていたのだが、幼馴染となった少女がウィッチになったことで運命は決まったようなモノ。
結局木村は心配したので、彼女よりも少し後に(微妙な差異はある)海軍に入る。
そこで古い仲間達と再会し、また夢幻会が存在する事を知った。

もっとも彼に栄達の気はあんまり無いので、前世同様現場で奮闘することにした。
けして山本五十六の苦労を知ったからではないし、個性が強すぎる夢幻会についていけないからなどと言う情けない理由は無い。
少女も海軍所属であったのだが、前世同様1921年に木村とお見合いをしてそのまま結婚。引退した。
一部の夢幻会会員からは「なんだよ。今世でも勝ち組か!」などとお祝いと言う呪詛を貰ったりしたが。
本人は最初、前世の嫁に操をたてるつもりであった。だがお見合いをした翌日には、すぐに婚約。

なんでも「嫁に叱られた。」との事。
そんな事もあったが子供にも恵まれ(双子の姉妹、長男)、この世界でも彼は幸せを掴んでいる。
話を戻し、木村はそのまま双眼鏡で上空に上がったウィッチを見る。
まだ小学生と言える少女達。
そんな彼女等が、まだしなくていい訓練をする。

前世の習慣を引きずる木村としては、彼女等に頼らないといけないという事実に情けないと思うし、生存できる確率を上げるための手伝いをしたいとも思う。
今世の嫁も早くから導術士学校に行き、軍属となったが、それでも職業軍人として存在していた。
家に帰れば「復帰した方が良いのかしら・・・」などと言うが、やめてほしい。

「お、下りてきましたね。」
「むぅ・・・」

今回は飛行中にトラブル。もしくは被弾して飛行不能に陥ったという想定だ。
だから少女達は一度ホバリング状態になってから、ワザと発動機を切って落下してくる。
まあ最初は手慣れている【瑞鳳】のウィッチが手本を見せてからだが。
ストライカーユニットは、片肺でも飛行は可能だ。
しかし出力が落ちるのでさっさと退避するのが基本。

だから早々落ちてしまう事はあんまりない。だからと言って備えない理由にはならないのだ。
手本を見せるウィッチが防風シールドを展開し、パラシュート代わりにして減速しながら落下してきた。
そして海面に当たる前に体制を変え、足から海に突入する。
その際、防風シールドをそのまま円錐に変えて、矢尻のようにするのも忘れない。
海中に潜ったウィッチがストライカーを投棄して浮かび上がる。

「ふぅ・・・」

ウィッチの顔を見て、木村は安心して息を吐く。
隣にいる副官も帽子をかぶり直して、安心したように呟く。

「訓練とはいえ。パラシュート無しですからね。」
「事故と言うのは、何時、いかなる時に起きるかわからんからな。」

頷く副官を横目で見て、こちらに泳いでくるウィッチ。
続いてもう一人、手本を見せるウィッチが落下してきた。
こちらは大きなシールドでかなり速度を軽減している。
そして海面に落下するが、今度は背中から落ちてくる。
今度は先程よりもかなり減速しているので、水しぶきの高さは低い。

「やはり、胆が冷えるな・・・」
「そうですね。」
「上の話では決戦は八月の末を想定している。
 時間があるようでないな・・・」
「艦隊も順次簡易的な整備を行っています。」
「次は我々だったか?」
「ええ。ようやく意味のない魚雷と爆雷を下せますね。」

そう言って副官は魚雷のある方角を見る。

843 :影響を受ける人:2016/02/04(木) 22:31:32

「水雷長には悪いが、次の作戦においては必要ないからな。
 被弾したら、轟沈の原因になってしまう。」
「そうですね。しかし・・・なぜ今まで装備していたのでしょうか?」
「どうも上の派閥争いの影響の様だ。」
「戦艦屋・・・ではなく?」
「君も覚えていた方が良いぞ。最近では派閥引き込み競争も激しいと言うしな。」
「自分はあまり興味が無いのですが・・・
 どちらかと言うと、次期生産予定の陽炎型駆逐艦の方が、興味が有ります。」
「陽炎型か・・・」

この世界の陽炎型駆逐艦は“対艦”を意識した駆逐艦であり、対外戦を想定している。
これを企画したのはもちろん堀井一派。彼等の派閥は九鬼派と半々の具合で建艦計画に口出しできる。
九鬼大将としては計画を変更したいと思っているが、堀井大将と共に推進している大型戦艦建造計画に噛んでる為に何も言えない。
夢幻会側としては、対空迎撃能力特化の秋月型を企画しているという。
だが、口出しできないので机上の空論としかならない。

唯一航空母艦に関して言えたくらいだ。
【翔鶴】【瑞鶴】は、ストパン世界では改飛龍型空母といえる艦。
しかし口出しにより憂鬱世界版の、全く違う空母となる予定。
      • 代償として、少なくない人員を海軍から追い出されたが。
そんな物思いに使っていたのだが、狭い艦橋に兵士がやってきた事で中断してそちらに振り向く。

「ウィッチ二名の回収が済みました!」
「そうか。異常はあったか?」
「いえ。ストライカーの回収も無事に、済みました。」

今回、更に試験導入された機構の動作テストもあったのだが、旨く起動したようだ。
ストライカーユニットに増設された物。それは海中に落ちた際に膨らむクッション。
ウィッチが溺れない様にするためでもあり、回収を容易にするためでもある。
訓練で損失する事も無くなるため、大急ぎで開発された代物だ。
海上戦を想定した装備であるが、止め栓が水分を吸収して溶けて外れる機構なために、雨に濡れても事故で濡れても起動してしまう。

「さて。これからが本番だ。
 今度は慣れていないウィッチが相手になる。気を引き締めよ!」
「「「「「はっ!」」」」」

―――――

大陸の荒野を進む巨大な建築物・・・ではない。
扶桑皇国命名“ヤマ”と呼ばれる、観測史上最大級の大きさを誇るネウロイだ。
多脚を使って大地を突き進んでいく姿は、蟲が這っている様でおぞましく、護衛の陸戦型ネウロイも害虫の様に見える。
上空を仰ぎ見れば、巨体を回転させながら周囲を見張る“オニグモ”が二体。
更に御付として“アホウドリ”が、無数の“スズメバチ”“ウシアブ”も舞っている。

黒い軍団は、無言で突き進む。
それを隠れながら観察する集団がいた。

「ふぅ・・・ 隠蔽しているとはいえ、気が狂いそうだ。」
「本当ですね。」

彼等は調査のために、もう一度上陸してきた陸軍の兵士達だ。
この地で育ち、この地で活動してきた彼等にとってここは庭みたいなもの。
今回の様に地形を縫って進んでいくのは、お手の物だ。
数少ない調査用の機材を動かしつつ時計を見る。

「そろそろのはずだが・・・ 手間取っているのか?」
「入念に隠蔽していましたからね。
 列車砲に改造してあるとはいえ。引きずり出すだけでも一苦労でしょう。」

今回の調査で使う物それは、前回“オニグモ”を仕留めるために使った改造砲だ。
それを二門だけ列車砲に改造し、港に土や木材で機関車共々覆い隠しておいた。
一応名目としては、

「ネウロイに占領されていても、そのまま使えるか。」
「大陸反攻作戦時に使用する。」

等々。・・・夢幻会の入れ知恵もあるのではあるが。
本命として敵の反応速度や、迎撃精度の高さ、どのくらい頑強かを調べるため。
そして目的通りに使用されることが決まった。
相手は移動目標とはいえ一キロ四方の巨大な物体。
当てられないわけが無いだろうが、別に当てられなくとも良い。

長射程を狙う山形弾道だから、自然と砲弾は上から下に垂直落下する。
傾斜しているので触発信管にしてはいるが・・・
兵士達は息をひそめて観察を続けていると、唐突に“ヤマ”が動きを止めた。

「記録開始!」

号令と共に双眼鏡に飛びつく者、時計を見て時間を確認する者、取り巻きの行動を感朝つするものなどに別れる。
息をのんで双眼鏡を敵の頭頂部に合わせると、紅い部分が発光を開始し始めた。

「敵、赤色部、発行開始、計測始め!」
「了解!」

844 :影響を受ける人:2016/02/04(木) 22:32:08

“ヤマ”は少し体を動かし、すぐに静止する。
そして・・・チャージを終えると、すぐに発射した。
今までにないほど太いレーザーは雲を突き抜け、空に大穴を空けてその先から飛来した砲弾を見事に撃墜した。
爆炎が更に大名を広げ、その中から二発目が飛来する。
二門用意された列車砲はほぼ同時に、ほぼ同方向から砲撃をした。

たとえ一発を迎撃したとしても、僅かな差で一発は命中するように仕向けられている。
豪速で迫る砲弾に、“ヤマ”も慌ててチャージする・・・前に“オニグモ”の一体が猛烈な砲撃を開始した。
体を回転させてチャージ時間を無くす戦法をとる“オニグモ”だが、動いているが故に当たりにくい。
“アホウドリ”も迎撃態勢でもって迎え打ち、空が赤い光で埋め尽くされる。
その中の一つが砲弾に命中したのだろう、周りにある物すべてを吹き飛ばして爆発した。

「凄まじいな・・・」
「奴ら、相当懲りているのでしょうね。」
「墳進砲もそうだが、前回の大型砲弾が堪えたと?」
「ええ、強力な一撃・・・ それを学習したのではないかと。」
「ふむ・・・ ここで考察しても仕方がないな。
 急いで撤収する! かかれ!」

彼が掲げる双眼鏡の中では“アホウドリ”二体と、“スズメバチ”“ウシアブ”の群れが不届き物に天誅を加えるべく分派されていくのが見えた。
彼等に徹底的に破壊されるだろうが、列車砲は放棄前提でタイマー起動式になっていたから問題ない。
すでに人員は帰りの汽車に乗って帰投しているだろう。
地面に這うネウロイに気付かれる前にこちらも撤収だ。
これらの結果からどう判断するかは上に任せればいい。

指揮をとる男も、必要なモノだけ纏めて外に出ていく。
そして待っているのは、荷馬車だ。
鉄に引き付けられるという特性を持つネウロイは、こう言った原始的なモノにはとことん反応しない。
今の話ではないが、トラックに乗る避難民が狙われても、個人的に馬に乗る、牛車に牽かれるなどの行為で助かる者が続出するようになる。
殆ど布製の熱気球といった偵察も有効だとわかり、ブリタニアにて軟式飛行船が復活したりもするのだが・・・

あまり関係ないので話を戻す。
乗馬に慣れた者は、貴重な資料をもって先に戻る。
大き目の機材と、馬に乗れない人員を荷馬車に乗せ、

「よし。逃げるぞ!」

一目散に駆け出す。
流石に荷馬車は重いので速度は出ない。
舗装された道を走るわけでもないからなおさらだ。
兵士達は頼りないライフルを構え、視線の先にいる敵を不安そうに見つめ続ける。
それは帰りの木造船まで続き、曇り空の大陸が今後を更に不安にさせた。



以上です。
今回は応募オリキャラが入れられなかった。
次回には入れたい。

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最終更新:2016年02月14日 22:16