331 :トゥ!ヘァ!:2014/03/29(土) 20:59:37
春…それは桜の咲く季節
そして子供たちが旅立ちを迎える日でもある。
ここ扶桑のとある中学校では三年生の卒業式が行われていた。
生徒たちは様々な顔をしていた。
泣いている者、複雑そうな表情をしている者、強がりを見せている者。
彼女達は全員ウィッチである。そしてこの卒業式は一部軍へ志願した者達への壮行会も兼ねていたのだ。
そんな様子を桜の木の陰から見守る男がいる。
国防軍色の軍服に身を包み顔には「憲」「兵」の文字が掘られたメンポをしている。
我らが憲兵だ。
彼は思いだす。彼の妹もこの学校出身だったのだ。
彼女は卒業する時言った
「私もお兄ちゃんのように国を守るんだ。そして平和になった世界でまたこの桜の木の下で後輩たちの卒業式を見るんだ」 と…
しかしそんな彼女の願いは叶わなかった…彼の妹は大陸で戦死してしまったのだから。
彼はその妹の願いを代わりに叶えているのか毎年この季節になるとこの学校の卒業式に顔を出しているのだ。
憲彼は思う
「彼女たちのような幼子まで戦場に送り込んでしまう自分達はなんと無力で無能なのだろうかと」
そして願う
「そんな自分達の代わりに死地に赴く彼女らがどうか無事にまた祖国の土を踏めることを」
憲兵。それは武装した悪漢10人に取り囲まれようと返り討ちに出来るケンペイタイカラテを修めている者達。
軍における法の番人。悪漢、外道どもに恐れられる猛者たち。
しかしそんな憲兵と言えどネウロイには太刀打ちできないのだ。
彼は己の無力さを噛みしめながら願う、彼女たち旅路に幸あれと……
最終更新:2016年02月15日 01:00