765. earth 2011/10/31(月) 21:34:11
提督たちの憂鬱のネタSSです。軽く流してください(笑)。


  『ゲーム製作者の憂鬱』

  20世紀後半。太平洋戦争もはるか昔の出来事となった日本では、太平洋戦争をモチーフとしたSLGの開発が
行われた。しかしどの会社もすぐに行き詰ることになる。

「どうやっても、パワーバランスが崩れるわ!  というか太平洋戦争じゃまともなゲームは作れんわ!」

  某ゲーム会社の会議室で、一人の男が匙を投げる。
  
「それを言うなよ……」
「まぁあり得ないほどのパワーバランスだよな。津波なしでも十分に勝ったんじゃないか?」
「いやそれは無いだろう。旧米国の工業力は侮れない」

  彼らは太平洋戦争をモチーフにしたSLGの開発を行っていた。
  だが残念ながら、その開発は難航を極めた。
  何しろ太平洋戦争そのものが短期間で終っている上に大海戦といえばフィリピン沖とハワイ沖の2つしかないからだ。
はっきり言って盛り上がる場面が少ない。陸戦も同様で戦場はほぼ大陸、それも沿岸部に限定されていた。
    
「キャンペーンシナリオは兎に角、ショートシナリオは作りづらい」
「仮に作ったとしても、これだけ兵器の質が隔絶していると、パワーバランスが問題になる。というか米軍じゃ勝てない。
  幻のF6FやF4Uを出さないと米軍機は烈風や飛燕の的になって、すぐに制空権を失う」
「津波の後、米軍の補給が途絶気味っていうのを考慮してパラメータを設定すると、さらに米軍が弱体化してしまう」
「しかしそれがないと現実性がないって責められる」
「難しいところだ……」

  誰もが頭を抱えた。

「いっそのこと、欧州戦も入れるか?  地中海やBOBも入れればシナリオも増やせる」
「欧州戦か……需要あるのか?」
「日本海軍VS欧州海軍という形にすればいいさ。IFシナリオで日本海軍VS英海軍も入れることが出来る」
「なるほど。しかしマップに大西洋地域が入れられるか?」
「むむ……」

  日本海軍はアメリカ海軍を完膚なきまでに打ち破った。
  しかし日本海軍があまりに勝ちすぎた故に、ゲーム製作者たちは苦悩することになる。
  この世界で『提督の○断』などのSLGが販売できる日が来るか、それは誰にも判らなかった。

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最終更新:2012年01月02日 19:49