(1)「のう九曜、主はアレを覚えておるか?」
「は?(前振りなしに一体なんだろ・・・)」
「いや、の?先の小父上との宴の際に「遺伝」が如何とか
掛け合わせで子は親の強い所が似るとか言ってたおったよな?」
「え、えぇ酒精が回っておりましたので朦げではございますが
(あ、詰んだ、というか酒宴で何口奔ってるんだ私!?)」
「儀礼で使う籾の種も皇家に相応しいたくましく美味い物が好ましいよな」
「・・・では主上の『ワガママ』はそちらという事で?」
「うむ」
「(うむじゃねーよ、どんな無茶ぶりだよ!?)」
時は移り
夢幻会『いつもの顔ぶれ』集結後
「それで農林一号が400年先行して開発されたと?いえ、研究費が浮いて助かりましたが」
「その後も似た様な無茶ぶりのせいで300年早くウルトラスーパースイート種のトウキビと
小麦農林百番台相当の高耐性種を作る羽目になったよ。あの一族は本当に、もう、ね・・・orz」
(2) ダイジェスト
「第一分隊整列!!」
「「「ビシッ!」」」
「お前たちは羽州方面籾種観測隊として10年間羽州の各郷と都の間を往復してもらう」
「「「・・・え、なにそれ怖い」」」
「安心なさい。第二分隊、お前たちは武蔵方面、第三分隊は東海と越州、第四第五は九州全域だ」
「ほっほ、10年かけた成果がコレとな?」
「は、羽州の耐寒性や日向の耐暑性、越州方面は日照量不足や稲を枯らす病等への耐性、
東海では根腐れ耐性の強い種を、また武蔵の方では対倒性の強い種を集めてまいりました」
「何時か九曜の語った話は何所にあるのかの?」
「は、(以下メンデルさんのウンチク)。これよりこれらの種を合わせ、
主上の欲した籾を垂らす物を目指すのでございます」
分体一同
「「「こ、ここからが本当の地獄だ・・・」」」
(3) 結果
「農業生産力が跳ね上がって米の流通価格が下がったせいで武士の収入が落ちた結果二百年繰上げで税制改革ですか」
「……陛下との雑談でもういっそ税も禄も全部金納にしたらどうかってうっかり漏らしちゃったのが年賀の勅使通して伝わっちゃって……」
「手間も費用も大幅に省けてこっちとしては助かったって後藤さんが言ってたそうですけどね」
「なんか、その手があったかって顔して膝叩いてたそうよ……」
最終更新:2016年02月15日 01:07