――アフリカの某所
天幕の中にアフリカの星ことハンナ・ユスティーナ・マルセイユの姿があった

「今年も凄いプレゼントの山ね。これなんかやんごとなきお方からのプレゼントだし」
「素直にお酒のコレクションが増えるのはとても嬉しいぞ!!」
そうやってカッカカカカと笑っているとプレゼントの山からはらりと一枚の写真が落ちる

「あら、これは・・・」
加東が拾うと、写真には勲章を持ってイーっと笑う少女が映っていた

「おお・・・・これはブービーじゃないか。成長したな」
「ブービーって、この子は最近有名になったエーリカ・ハルトマンじゃない」
「そうともいう」
マルセイユはエーリカが映った写真を懐かしそうに見る

「ハルトマンの写真があるということは、ティナ知り合いなの?」
「ん?ああ、知り合いというか、同期でライバルだったよ」
「その話を詳しく聞かせてもらえないかしら?」
「そうだなあ・・・ハルトマンと出会ったのはウィッチ養成学校だったなあ・・・」




私が扶桑で修行を終えて、カールスラントに帰国し、ウィッチ養成学校に改めて入ったんだ
養成学校に入る必要ないかもしれないが、軍に入るためには養成学校に行かなければいけなかったんだ
その頃の扶桑は後に扶桑海事変と名付けられたネウロイ戦争の真っ只中で私も義勇軍として志願したかったのだが
師匠に諭されて、後ろ髪引かれる思いで帰ったんだよ。・・・・まあ、あんな事件を起こしてしまうんだったなら
ムリを言ってでも残るべきだったと思ったことはあるな


それはさておき、私が幼年学校に志願し、ウィッチとしての訓練を受けたが
その授業は師匠の修行と比べて物凄く簡単だったよ

それでも、慢心せず、驕らず、自主訓練時間を増やすなどで自分を鍛え
時には、周りに勉強を教えたり、銃撃や長距離走などの実技でもトップを取り続けたんだよ
そんなこんなで、私と競争しようという者はいなかった。たった一人除いて


「それが、ハルトマンだっと?」
「そうだ。実は私は後から編入組で、ヘルは飛び級で先に上がったが、私は同年組に編入された。
私が編入するまではトップはハルトマンが取っていたのだが、私が瞬く間に取ってしまったことで
ライバル視するようになり、私に度々勝負を仕掛けてきたなあ。まあ、私はその都度に大人の態度でからかってかわし続けたけどな」
「ティナが大人の態度おー?」
「ケイ、うるさいぞ。まあ、実は一度だけ勝負は受けたけどな」


それは、ストライカーユニットを使った授業で暫くして、訓練銃を使った空中戦の練習があったんだ
私は強すぎるということで、もっぱら教官と相手をして、同じ訓練生とはやらなかったが
ハルトマンが偶然を装って、私とドッグファイト戦に持ち込んだんだ

この戦いは当然ながら私が勝ったのだが、ハルトマンのは粗削りながらも持っているものを持っていたよ
当然のことながら、ドッグファイト戦が終了した後に教官達にこってり怒られ、師匠からの課題も届いたが
落ち込むハルトマンに

「ハルトマン。お前とのドッグファイトは楽しかった。成長して私と並んだらもう一度戦おうな」

と言っておいた


「へー。そんなこともあったんだ」
「ああ、その後はネウロイ大戦がはじまり、繰り上がりで養成学校を卒業し、ハルトマンと一緒にJG52へ配属されたんだ」

JG52はネウロイ大戦初期から東欧に配置していたがゆえに激戦部隊と呼び名が高かったんだ。
事実上ネウロイ大戦初期においては最も戦果を挙げ、最も死傷率が高い部隊であったんだ

そこにいたウィッチ達はみんな血走っていて殺気立っていたんだが、私はあるものを取り出して

「私と勝負しませんか?」

と言ったんだ。それは扶桑で学んだボードゲーム将棋とオセロだったんだ
このゲームには瞬く間にブームになって、多くのウィッチに心を鷲掴みし、無事に仲間入り出来たよ
私はこの間に賭け事をやって、多くの酒を貰ったんだが、イカサマがバレた時は先輩達からの熱い歓迎くれたよ
はっはははは!!


それはそうと私もいよいよ初陣を経験することになったんだ


あれは先輩ウィッチ達と共に出撃したんだが、そこにあったのは、大型ネウロイ1機、中型ネウロイ2機、小型ネウロイ12機と多かったな
私は先輩からの指示を待ったが、先輩は指示を出さずに、中型及び、大型ネウロイに突撃していっちゃった
そして、小型ネウロイが先輩を狙おうとわらわらとやってくるのが見えたんだ
そこで、私は致し方なく小型ネウロイを落とすことを決意したんだ


まず、先輩の後ろに取り着こうとしたネウロイを3機撃ち落とし
「アインス・・・ツヴァイ・・・ドライ・・・・」

反転急降下し下から上へと抜けようとしたネウロイを落とし、その後体を起こし、正面から来たネウロイを落とす
「フィーア・・・・フュンフ・・・っ!!」

私の背筋が冷たく走って、後ろにシールドを張ると同時に片手上げて脇から銃撃したが
丁度、後ろから私を攻撃したネウロイのビームを防ぐと同時に撃墜した
「ゼクス・・・!」

そして、真正面から来た2機のネウロイのビームをロールでかわして撃ち落とし
上から太陽に隠れて急降下してきたネウロイのビーム攻撃を後ろに傾けて避けると同時に
斬鮫の刀ですれ違いざま斬り裂く
「ズィーベン・・・アハト・・・ノイン・・・後の敵は!?」

気が付けば、中型ネウロイと残りの小型ネウロイは先輩たちが落としていて、残りは大型ネウロイ1機だけであったが
先輩たちの銃弾の残りはなく、私も残りの弾は無かった


      • だが、私は最後の武器があった
それは師匠から戴いた斬鮫だ。


私はそれを抜刀し、大型ネウロイに肉薄する
大型ネウロイもやられまいとビームが飛んでくるが、私はそれを躱すと同時に
正面から斬り入れたんだ。

何よりも斬る事を重視したこの刀は大型ネウロイすらもいともたやすく斬れ
真っ二つになり、コアに当ったのかガラス片になって撃墜したよ


これで、私の撃墜スコアが10機となり、たまたま基地に記者がいたこともあって
『初陣で10機撃墜!!驚異的な成績を飾る新人ウィッチ!!』
と新聞記事が出され、同時に私がライトニングフォックスのことも知れ渡ったな。


「これがライトニングフォックスが知れ渡るきっかけとなったな。まあ、多くの人はメンバーが誰なのかは分かっていないようだけどな」
「へえ。ティナの初陣から凄かったんだ」
「そうでもないさ。さて続きを話すか」


基地では私が驚異的なスコアを上げたことに驚きと初陣祝いでどんちゃん騒ぎだったなあ。
翌日、ハルトマンが初陣を迎えたのだが、緊張で上がったのか、味方のウィッチをネウロイと勘違いし
逃げ回った挙句に墜落してしまったんだ。

ハルトマンには罰として暫くは弾薬係をやらすことになったんだ
あの当時の弾薬係は一番下の者がやることになっていて「ブービー」というあだ名がついていたんだ
多くの先輩ウィッチ達はからかわれて、馬鹿にしていたが、私はそうでもなかったな。
師匠から補給が如何に大切かを学ばされたからな

そこでハルトマンに赴いて
「弾薬係は大変な任務であると同時に重大な役割だ。ハルトマンの働きが部隊員の命運を握っていると言っても
過言ではないから、しっかりと頼むな。私もサポートするぞ」
と励ましておいた


その後は、ハルトマンもようやく初撃墜を迎え、順調に伸びてきた頃には
私は多くの民間人を救うための独断行動をとったことがオバサン司令官に嫌われてな
取り残された民間人を見捨てると命令を下した時に、その司令官をぶん殴って
救助したのだが、当然大問題となり、軍法会議にかけられそうになったが、多くの人のお蔭で回避となり
喧嘩両成敗の形でお互いに左遷した


「こうして、私はアフリカに飛ばされ、アフリカで頑張っているというわけさ」
「初めて聞いた事ばかりだけど、なかなか凄い経歴してるね」
「はっはははは。誉めるなよ。これでも私は普通だと思っているさ」
「ライトニングフォックスメンバーだったり、司令官を殴り飛ばした人が普通とは言わないわよ・・・」

加東は改めて写真を見ると、裏にメッセージが書かれていたことに気づいた
「あら、メッセージがあるわよ。どれどれ・・・・

『柏葉剣付騎士鉄十字章を貰ったぞ!ハンナと並んだから約束通り、もう一度勝負しろ!!』

だって」
「ほう・・・あのブービー。約束覚えてたのか。・・・・しかし」
「ええ・・・・・」
何とも言いにくい雰囲気を醸し出す二人

「私は既にその上の柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章を既に受勲してるんだがなあ・・・」
「数か月前ですよね。なんで知らないのかしら?」

二人は不思議そうに首をかしげる
事実、新聞にはトップ記事として飾ってあった

        • だが、その記事の隅に小さく、クルト・ブラッハフェルト軍曹が騎士鉄十字章を受勲していたことを
記事していたことを誰にも気づかなかったのである。なお、その新聞は501に届く途中でネウロイの襲撃により
配達車が破壊されたのであったという・・・・



おまけ
改めて他のプレゼントをみるマルセイユ達

ヘルミオーネのプレゼント
「これは・・・ヘルからのプレゼント、牛肉の塊か?」
「手紙もあるわ
『ティナ、あんたは扶桑の和牛がとても好きだったよね?私の牧場で作ってみたから食べてみなさい』
だって」
「物凄く嬉しいぞ!!和牛のはステーキが旨いんだ!!」


ルチアナのプレゼント
「ルチアナは・・・・エプロンか」
「あら可愛らしいね。これを付けて料理してよ」
「やらないぞ!!次々!!」


佐藤からのプレゼント
「なになに、プラスチック箱があるけど」
「何でしょうね?」
プラスチック箱を開けると、そこにグロテスクな魚がデデーンとあった

「「うぎゃあああああああああ!!」」
「な・・・・なんなんだ!!この魚は!?」
「し・・・・知らないわよう!!」
泡ふためく、二人をしり目に騒ぎを聞きつけたムッソリーニが魚を一目見て
「これはアンコウですよ」
と言って、素早く解体し、アンコウ鍋にしたそうな


リリィからのプレゼント
「リリィは・・・カンテレか」
「へえ。まるで琴みたい。これ知ってるの?」
「ああ、スオムスの民族楽器だとさ」
「ほえー、弾けるの?」
「ふっ、私を舐めるなよ」

そういって、カンテレの弦に手を置くや否や激しく弾きだす
『フィンランド民謡 Sakkijarven polkka』
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm18436767

「どうだ!?」
「あ・・・うん・・・凄かったけど・・・・なんか間違っているような気がするわよ」


サラのプレゼント
「サラは・・・写真か。去年のトーテムポールが届いたらどうしようと思ったな」
「そうね。どこかの山の頂点みたいね。メッセージも
『扶桑のアヤコ・イモトと共にエベレストの頂点にたどり着けました』
へー!!凄いじゃない!!」
「ああ、エベレストはまだ誰も頂点にはたどり着いていないからな・・・・うん?この写真可笑しくないか?」
「どうして?可笑しいところないわよ?」
「・・・・ここ見てくれ」

マルセイユが指さししたところには20XX/XX/XXの数字が。
なお、今は1940年代半ばである

「「・・・・・・・・・」」
「・・・・つ・・・次だ!次!!次のプレゼントは何かなー!?」
「・・・そ・・・そうね!!楽しみだね!!」
二人は気にするのをやめた


ウィルマのプレゼント
「ウィルマはコーヒー豆か」
「手紙もあるわ
『ティナがコーヒー好きだと気付かなくてごめんね』
        • ほら、気に掛けちゃったじゃない」
「うむ、去年のは悪いことをしてしまったな」

そういって、早速挽いたコーヒーを飲むと、咽た
「う・・・・うげ・・・・なんだこれ!?物凄く苦いぞ!!」
「変ねえ。コーヒーは苦くても酸っぱみとはまろやかとかがある筈なんだけどねえ」
「可笑しいなあ・・・・うん?このコーヒー袋隅に両津と書かれたマークがあるが知っているか?」
「知らないよ?」

その後、このコーヒーの苦みが癖となって、そこそこ人気あったとか


師匠からのプレゼント
「最後は・・・師匠からのだ」
「そうね・・・・これは・・・・・」
「おお・・・・これは数年に一本しかできない奇跡の酒ではないか!!」

そういって、マルセイユは早速開けて飲むと、両目からダバーッと涙を流す
「う・・・・うますぎる・・・・」
そういうや、美味すぎたのかバタッと気絶してしまった。

なお、残りはロンメル将軍を始め多くの飲兵衛によってマルセイユが気絶している間に飲み干してしまい
激怒したマルセイユと壮絶な鬼ごっこをするのだった・・・・

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最終更新:2016年02月15日 01:54