この作品には、
オリキャラが出てきます。
最強要素があります。
オリジナル設定があります。
個人的解釈が入っています。
個人的趣味が入っています(オイ)。
それでも良い、という方のお読みください。

注意 このお話は漫画「紅の魔女たち」1巻を参考にしており、ネタバレを含みます。
ネタバレが嫌な方は見ない方がいいかもしれません。
また、若干のキャラ崩壊があります。
以上を理解し、同意した上でお読みください。



ドミニカ誕生日記念SS ドミニカの504入団話



1944年5月 北ロマーニャ 第504統合戦闘航空団(以降504JFW)基地


「はぁ・・・統合戦闘航空団なんて言っても、立ち上げは地味なもんねぇ・・・」

統合戦闘航空団立ち上げで造られたばかりの基地にある割り当てられた部屋で引越し作業をしていたフェル、フェルナンディア・マルヴェッツィ中尉はそう言って窓の縁に腰掛け、背中を仰け反らせて窓の外に広がる空を見ながらそうぼやいた。
お祭り好きと言っていい性格の彼女にとって、現在の状態は少々つまらないようだ。

「仕方ないですよ。物資や資材はまだ搬入中なんですし・・・」
「そりゃそうなんだけどさぁ・・・もっと派手にブワーッとセレモニーみたいの必要じゃない!?」
「そんな余裕どこにもないですよ・・・」

そう言って宥めるのはルチアナ・マッツェイ少尉である。
フェルの補佐として書類仕事に多く関わる(というかほぼ丸投げされる)彼女からしても今の504JFWにそのような行事を行う余裕はないのは目に見えていた。

「だいたいセレモニーするといってもまずは基地を綺麗に片づける必要がありますし、お偉方を呼ばなきゃいけませんからその辺りの折衝も必要ですし、セレモニーにかかる費用を捻出しなきゃいけませんし、ああ、一般の方も呼びますから、誘導員とか立ち入り禁止区画の設定とか、それから・・・」
「うん、御免。私が悪かった。だからそういう話止めて」

そう言って、フェルは若干涙目になってルチアナに謝った。
とある事情で扶桑に行っていた彼女は、向こうで相当鍛えられたのか、書類の処理能力が尋常ではなかった。
一方で、フェルは専らそういったことが苦手なため、ときどき彼女の暴走を止めるために、ルチアナはそういった話をして彼女のやる気を削いでいた。

「けどさぁ・・・余裕ないしちゃあ、タケイったら、施設部隊を呼び寄せて立派な扶桑式のお風呂とか作らせてなかった?」

ふと、思い出したようにフェルがそう言った。
基地建設時、504JFW戦闘隊長、竹井醇子大尉はわざわざ扶桑本国から海軍設営隊を呼び寄せて扶桑式の木の風呂を作らせていた。
設営隊を呼び寄せることや建設資材の投入などに抱える手間や費用等を考えると、余裕のない現状の基地ではそんなことはしてられないのでは、というのがフェルの気持ちであった。

「そういえば、わざわざ本国から呼び寄せていましたね・・・」
「それはね?」
「「「うわっ!!タケイ*1!?」」」

と、何時の間にやら、噂の当人、竹井大尉が部屋の中にいたことにフェルやルチアナ、そして一緒に片づけ(サボって遊んでいるが)をしているマルチナが驚く。
竹井は驚く彼女らに気にせず続きを話す。

「やっぱり隊員の福利厚生には必要なものだし、士気高揚にも効果があるのよ」
「へ、へぇー」

フェルは、先程の陰口が聞かれていないかドキドキしながら、そう相槌を打つ。

「それに、あなたたち扶桑式のお風呂は初めてでしょ? 気持ちいいわよー」
「あ、私は扶桑に行ったことあるので、入ったことありますよ」
「あら?そうなの?」



『お、あれが504の基地か』
『ちょっと大将!ストライカーから変な音が出ていませんか!?』
『ん~多分エンジン整備が終わってなかったみたいだな・・・。あ、輸送機が上がってくる』
『ちょっと!? 危ないじゃないですか!!』
『まぁ~見てろ。上手く避けるから』
『避けるからって、あぶな・・・っ!』
『ひょいっと、あ・・・』



「あ、私は扶桑に行ったことあるので、入ったことありますよ」
「あら?そうなの?」
「ふっふ~ん。タケイは知らないみたいね。なんたってルチアナはあの『ドゴォォォオオオオオン!!!』な、なにごと!?」

そう答えたのはルチアナであった。
以外な答えに竹井は聞き返し、フェルが自分の事のようにルチアナについて自慢しようとしたとき、突如として大きな音が響き渡った。
突然のことに4人は驚く。

「格納庫のほうっぽかったよ!!」

マルチナがそう叫んだ。
竹井は素早く3人に指示を出す。

「私は司令に連絡してくるわ!貴方達3人は格納庫のほうに急いで!!」
「了解!2人とも行くよ!!」
「あ、はい!」
「まっ、待ってよ~!」

フェルを先頭にルチアナ、マルチナの3人が急いで隊舎の隣にある格納庫に向かう。

格納庫の傍に来ると、格納庫の滑走路側搬入口辺りに土煙が上がっていた。

「あそこだ!」

フェルがそう言って、現場に向かうとそこには機材の入った木箱の山に突っ込んだ1人のウィッチが居た。

「いてて・・・あちゃ~、失敗したか」

木箱の山に突っ込んだ彼女は、頭に手をやりながらそう言って立ち上がる。
ストライカーを履いている様子からどうやら着陸に失敗したようだ。

「う~ん。ま、ストライカーは壊れなかったようだし、大丈夫だよ・・・な?」

そう言って、彼女は何やら自己完結させていた。
小声で「師匠に」とか「雷が落ちるかな?」とか言っており、大丈夫だろうか、とフェルは心配になる。

「ねぇ、あなた・・・」
「ん? おお、ここの隊員か? 私はドミニカ・S・ジェンタイル。リベリオン陸軍の大尉をやっている。今日からここで世話になるから、まぁ、よろしく」
「はぁ?」

彼女が突如として言ってきたことに、フェルは理解できず声を上げた。
彼女、ドミニカが言っているようなことに関する辞令や通達を、フェルは聞いたことが無いからだ。

「いきなり何言ってんのよ、あんた。そういう辞令は聞いていないんだけど?」
「まぁ、自主参加ってやつだ」
「あのねぇ・・・」
「あれ? 大将じゃないですか!?」

そう言って驚きの声を上げたのは、ルチアナであった。

「おお、ルチアナやっぱりお前も居たか」

ドミニカもそう言って答える。
ドミニカがルチアナの事を知っていることにフェルは驚き、ルチアナに訊ねる。

「え! ルチアナの知り合いなの!?」
「えぇ、まぁ・・・」

ルチアナは苦笑しながらそう答えた。
ドミニカはマイペースにルチアナに話しかける。

「なあ、ここに入りたいから司令に合わせてくれないか?」
「でも大将、ブリタニア防衛任務はどうしたんですか? たしか、リベリオン第8空軍の所属じゃ・・・」
「ああ、辞めてきた」
「「「はぁ!!?」」」

時系列は戻って、ブリタニア本土にあるリベリオン陸軍 第8空軍 第336戦闘航空隊の基地


『失礼します』
『よく来たな。まぁ楽にしろ。まずは、ネウロイ15機撃墜おめでとう。さすがライトニングフォックスだな』
『いえ、僚機の援護があるからです』
『謙遜するな。でだ・・・国に戻る気はないか?』
『・・・は?』
『「国に戻って、教官にでも落ち着く気はないか?」と言っとるんだ。こちら(上層部)としても優秀なウィッチは大事なのだ。いつまでも前線におくわけにいかんでな・・・』
『ああ、そういうことですか・・・お断りします!』
『な!?』
『自分はまだ前線にいるつもりですので、そういう広告塔役は別のウィッチにお願いします。』
『待て!これは命令だぞ、大尉!! 断ると言って断れるものではない! 意地を張るなら処罰もありうるぞ!!』
『構いませんね。それに私を営倉入りすることでのデメリット、特にあなた方の上層部が受ける損失を考えて、それが出来ますか?』
『ぐ・・・あ、おい待て、大尉! 待たんか!』



「と、まぁこんな感じで辞めて来た」
「「「えぇ・・・」」」

ドミニカから聞かされた上官とのやり取りを一通り聞いた赤ズボン隊3人組は、呆れを感じていた。

「いいんですか、そんなことして?」

ルチアナがドミニカにそう訊ねた。
ドミニカは肩を竦めて答える。

「だってなぁ・・・国に戻って教官職って言っても、実際は資金調達、国債購入宣伝のためのドサ廻りと、連日連夜でお偉いさんとのパーティー強制参加だぞ。私に出来るか?」
「あ、あははは・・・難しいですね・・・」

そう言ってルチアナは苦笑する。
ドミニカは澄ました令嬢よりは活発なお転婆娘という言葉が似合う性格であるので、たしかに無理かもしれない。

「それに、ウィルマのこともあるし、な・・・」
「あ・・・」

そう言ってドミニカは顔を横に向けてどこか遠くを見るように呟いた。
彼女が言っている意味を知っているルチアナは、浮かない顔をして視線を泳がせる。
少し気まずい雰囲気になったことを察したドミニカはそれを払拭するように言葉を続ける。

「そんで、ここで赤ズボン隊を中心に統合戦闘航空団が結成されるって話を聞いたんで私物とストライカーを持って直接飛んで来た、ってわけだ。赤ズボン隊ならお前がいるから、話が通り易いと思ってな」
「いや、そんなこと言われても・・・」
「あ、ついでに言うと、もう辞表は叩きつけて来たんで戻ることは出来ないから、なんとか頼む」
「え、えぇ・・・」

ドミニカの相変わらずのマイペースさにルチアナは対応に困る。
すると、その2人にいつの間にか降りてきてフェルらに自己紹介をしていたジェーン、ジェーン・T・ゴッドフリー大尉がルチアナに、フェルがドミニカに訊ねてきた。

「あの~、大将とどういったご関係で・・・」
「ねぇ、アンタ。ルチアナとはどういう仲なの?」

ルチアナは苦笑しながら、ドミニカはぶっきらぼうに答える。

「ええ、まぁ・・・」
「ん、ああ・・・」
「「これ(だよ)ですよ」」

そう言って2人は、それぞれ自分の来ている軍服に刺繍されているワッペンを見せた。
それは、ある特別な12人にしか、持つことが許されないワッペン。

足に稲妻を纏わせた狐の意匠・・・ライトニングフォクスのワッペンであった。

「「「え・・・えええ~~~!!!」」」

3人の驚きの声が滑走路に木霊した。


「なになに、なんの騒ぎなの・・・」

驚きの声を上げている彼女らの前にそう言って竹井を伴って現れたのは、504JFW司令のフェデリカ・N・ドッリオ少佐だった。

「あなたなぁに? ウチ(504JFW)に入隊希望ってこと?」
「あ、司令。大尉」
「ん?ここの司令か?」
「あ、はい。司令のドッリオ少佐と戦闘隊長の竹井大尉です」

ルチアナが呼んだ言葉にドミニカが反応して訊ね、ルチアナがドッリオと竹井の事を紹介する。
それを聞いて、ドミニカは改めて敬礼をして自己紹介をする。

「リベリオン空軍のドミニカ・S・ジェンタイル大尉。こっちは相棒のジェーン」
「はぁうわ!? ジェ、ジェーン・T・ゴッドフリーと申します! 階級は大尉です! よろしくお願いしますぅ!!」

自分も自己紹介されたことに驚いたジェーンも慌てて、ドッリオらに自己紹介する。
その様子はどこか小動物を連想させ、ドッリオらを苦笑させる。

「あ~はいはい。落ち着いて。そう、取って食わないわよ。あなたも敬礼は不要よ」

ドッリオはそう言って、ジェーンを落ち着かせ、ドミニカに敬礼を解くようにさせた。

「それで? 入隊希望でいいの?」
「そうだ。こちらは設立されたばかりで戦力も心許無いと聞く。原隊は除隊してきたので、今の私とジェーンはフリーだ」

そう言ってドミニカは自分とジェーンを売り込む。
しかし、帰ってきたのは意外な答えだった。

「残念。ウチは私が気に入るかどうかの面白主義なのよ!!」

そう言って、ドッリオは自慢するように堂々と胸を張ってドミニカに答えた。

「なぁ、ルチアナ。この人はティナみたいなノリなのか?」
「あ、あははは・・・まぁ、そうかもしれません」

ドミニカの問いにルチアナは苦笑しながら答えた。

「まいったな。何か一芸をやれとか言われても、さっきのでストライカーも不安だしなぁ・・・」

そう言って悩むドミニカであった。
だが、突如として警報が鳴り響く。

『ネウロイ接近!!』

突然の警報に周囲を確認すると上空に小型で高速のネウロイが現れた。
上空にネウロイが現れたことに、竹井が見張り員らに訊ねる。

「ネウロイ!? 見張りは何をしていたの!!」
『小型過ぎるのと低高度で侵入してきたためにレーダーに引っ掛からず、発見が遅れました!!』
「もぅ、仕方ないわね・・・」

そう言って竹井が嘆く。

「私たちで迎撃するわよ!赤ズボン隊出動!!」
「了解!」

フェルの掛け声を端とし、赤ズボン隊の3人が戦闘態勢に入ろうとする。

「了か・・・あ!!」

ルチアナも同じく、答えようとしたが、あることに気付いた。
フェルが訊ねる。

「どうしたの、ルチアナ!?」
「さっき大将が突っ込んだ木箱の山・・・私達のストライカーと装備が入っていたんじゃ・・・」
「「あ・・・」」

そう、先程ドミニカが突っ込んだ木箱の山は、輸送機から降ろされたばかりの赤ズボン隊の装備であったのだ。

「あああああ!!!さ、探さないとっ!!」

フェルがそう言い、ルチアナ、マルチナと共にストライカーと銃を探し始める。

「大将!私達も迎撃しましょう!」

一方で、ジェーンはそう言って、ドミニカに出撃を促す。
しかし、

「でも、あたしのストライカー、さっき変な音が出てた上、着陸に失敗したから危ないし、ジェーンは飛び出してきたから武器持ってないだろ?」
「はぅ!そうでした!!」

飛行中の異音と先程の着陸失敗もあり、ドミニカとしては故障の不安があるストライカーで上がるのは避けたかった。
一方で、ジェーンはさっさと行ってしまったドミニカを追って慌てて出てしまったため、もとの基地に装備を置きっぱなしにしてしまったのだ。
最も軍の装備なので勝手に持ち出すこともできないが。

「それに・・・あれはコア無しの哨戒機だな。見られるのは癪に障るが、残りの魔力の事も考えると悪戯に消費するわけにもいかんしな・・・」

ドミニカは上空を飛ぶネウロイの種類を判断してそう言う。
ドミニカが修行によって身に着けた"固有能力"は魔力消費が大きいため、長距離飛行を終えた今、後の考えると出来れば戦闘で魔力を消費したくない、というのが本心だった。
しかし、ジェーンは引き下がらない。

「で、ですけど! 大将にはあれが・・・!!」

そう言ってジェーンはドミニカを見つめる。

「う・・・」

見つめられたドミニカは気まずく感じ、そして、根負けした。

「あぁ~もう、ジェーンの頼みじゃ仕方ないなぁ・・・ジェーン! ルチアナ! あれを出すから手伝え!!」
「あ、はい!」
「えぇ! ヤル気ですか!?」

ドミニカの言葉にジェーンは喜色を表して手伝い始める。
ルチアナも驚きつつも、装備を探すのを止めて、急いでドミニカの傍に急いで駆け寄って手伝う。
ドミニカは腰の縄を広げ直径5mの円を造り、固有能力"異次元空間倉庫"を出現させる。

「き、来た!ネウロイがこっちに来ちゃった!!」

低空で急接近するネウロイにフェルらは慌てる。
だが、それとは別にジェーンとルチアナは慌てていた。

「皆さん、耳を塞いでください!」
「隊長、マルチナ、大尉、司令・・・みんな、耳塞いで!!」

そう言って、耳に手を当てながら2人は周囲に耳を塞ぐように促す。
そしてドミニカは、ジェーンとルチアナの手を借りて"異次元空間倉庫"の中から取り出した"超大型の機関砲"をネウロイに向けると、引き金を引いた。

『ヴヴヴヴヴヴヴヴヴウヴ・・・!!!』
「わ!?」
「ひゃあ!」

突然の轟音に、フェルとルチアナが悲鳴をあげる。
虫の羽音なんか生易しい重低音を周囲に響かせながら、ドミニカの持つ機関砲、20mmガトリングガンはネウロイに火を吹いた。
突如として降り注ぐ20mm弾を真正面から受けたネウロイは忽ち粉々に砕け散った。

「まぁ、こんなもんかな・・・どうかな?」

ガトリングガンの銃身を降ろしながら、ドミニカは振り返ってそう言った。

「ふっ・・・あはは、いい!いいわねあなた気に入ったわ!!」

ドミニカの超人振りを気に入ったのか、ドッリオは破顔させて、笑いながらそう言った。

「ぜひともウチに入ってちょうだい!!」

そう言って、ドッリオはドミニカに右手を差し出して握手を求めた。

「あ、ジェーンも一緒に入れてくれよ」
「ペアなんでしょう? いいわよ別に」

ドミニカはそう注文する。
が、ドッリオはそれを快く受け入れた。

「ん。じゃあ、よろしく」
「よ、よろしくお願いしますっ!」

ドミニカはドッリオの握手に答えながら、ジェーンは頭を下げながら、改めて挨拶を交わした。

「アンタそんなデカい銃、常に持ち歩いているの? スゴいわねぇ・・・」
「ん?そうか?普通だと思うが?」
「いやいやいや、ありえないから!!」

ドミニカが取り出したガトリングガンに驚きと呆れを混じらせながら、フェルが訊ねてきた。
一方でドミニカは、なにを当たり前な、という感じで普通だと答え、フェルに否定される。
さらにマルチナが興奮した様子で感想を述べる。

「さっきのカッコよかったよ!そのデッカい機関砲で倒すの、スゴイ!!」
「そうか?まぁ、サンキューな」

ドミニカは特に気にした様子でもなく、とりあえずと言った感じで、マルチナに感謝を述べた。

「(ふぅ・・・いろいろあったけど、これでようやく統合戦闘航空団として形になってきたかしら・・・上手くやっていけるといいわね・・・)」

新しく加わった頼もしくも問題児なメンバーを見ながら、竹井は心の中でそう思った。

「あ。すまないが、持ってきた装備を置きたいんで、大きめの倉庫を借りたいんだが」

ふと、思い出したようにドミニカがドッリオに訊ねた。
たしかに彼女が手に持っているの機関砲はかなりの大きさであるから、格納庫の中には納まりきらないのかもしれない。
ドッリオはそう思い、竹井に訊ねる。

「ん? どっか空いてる倉庫あったっけ、タケイ?」
「基地開設で新しく造ったばかりのが、たしか・・・」
「じゃあ、そこを使ってちょうだい。タケイ、案内して」
「はい」

ドッリオはそう言って竹井にドミニカを案内させようとする。
だが、ドミニカはさらに頼んでくる。

「それとすまんが、手伝いが欲しいんだが」
「(そんなに重いのかしら、それ?)・・・フェル、ルチアナ、マルチナ!」
「えー! なんで私達が・・・」

ドッリオはそう思いながら、フェルらを呼んだ。
フェルは嫌々に答える。
しかし、ルチアナはどこか慌てた様子だった。

「いや、隊長! 手伝わないとマズイですよ! 大将、魔力は?」
「残りがそろそろヤバくなるな」
「マズイじゃないですか! すいません! 司令と大尉もお願いできないでしょうか?」

ルチアナはドミニカからの答えを聞いて、慌ててドッリオらに助けを求めた。
しかし、ドッリオは不思議に思って訊ねた。

「ん? ルチアナ、彼女のそのデカい機関砲だけでしょう? それって、そんなに重いのかしら?」
「違います! 大将の武器は、まだ有るんです!」

「「「「え・・・?」」」」

「ほらほら、どんどん出るから運んでくれよー」
「アンタどんだけ持ち歩いてんのよ!?」
「いちいち気にする事じゃないだろ?」
「気にしなさいよ!」
「はうあー?」

次々と異次元空間倉庫から出てくる装備を6人がかりで倉庫内のあちこちに整理して置いていく。
その量の多さにフェルがドミニカに抗議し、ジェーンは目を回したような声を上げながら運んでいく。

「うわー、デカァーい!」

マルチナがそう言って目の前に置かれた高射砲を見上げる。

「あれー、大将? 高射砲なんて持ってましたっけ?」

ルチアナがそう訊ねた。
彼女の記憶では、ドミニカが持っていた武装の中に高射砲は無い筈であった。

「あ、やべ。同じ倉庫内にあった基地の予備品、間違って持って来ちまった。ま、いっか」
「良くないわよ!!」
「あははは。ホント面白いわね、あなた」

さらりと、とんでもないことを流そうとしているドミニカにフェルがツッコミ、ドッリオが可笑しげに笑う。

「(上手くやって・・・いける・・・わよね・・・?)」

ドミニカの武装を運びながらそんな光景を見て、主に予算的な意味で先行きに不安を感じる竹井であった。


なお、ドミニカは後日、このことを知った九曜にお説教の手紙と分体による雷と罰則の課題を課せられ、涙するのであった。





あとがき

というわけで、ドミニカ、誕生日おめでとう。
思ったより長くなりましたが、なんとか間に合いました。
いかがでしたでしょうか?

日付は、原作で501に扶桑から新たに新人(芳佳)が入ったばかりで定員とあったので、芳佳入隊後としました。
ルチアナは、原作だとドッリオからも書類仕事を押し付けられているので、ちょっと嶋田成分(辻成分の間違い?)を追加しました。
原作では着陸失敗時にストライカーを壊したドミニカですが、今作では壊さないようにしました。
壊していたら、九曜さんからの罰がもっとひどくなっていたはずですので(笑)。
ドミニカの後方配置拒否の理由に、ティナと同じく責任を感じているならありえるかなぁ、と思って、グレイを使ってみました。
それから、原作ではドミニカは拳銃で倒しましたが、ガトリングに変更しました。
思いますが、これって、まんまバルカンレ〇ブンですよね(笑)。
あ、勝手に装備を持って行っていいのか、と思われますが、私物という設定です。
高射砲については、借りパクにしました。まぁ、リベリオン軍は補給がしっかりしているから大丈夫なはず(汗)。

お読みいただき、ありがとうございました。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年02月15日 02:09

*1 大尉