159 :ナイ神父MK-2:2016/01/10(日) 22:17:21
日蘭世界 入れ替わりネタ

開戦の夏3

アジア・太平洋合同艦隊の壊滅及びアラスカ奪還部隊の敗北は既に戦勝ムードであったアメリカ中を混乱させるには十分な
衝撃であった。そんな中ホワイトハウスではルーズベルトは顔面蒼白で部下から齎される被害を聞いていた。

「それで、被害は?一体何隻沈んだのだ?」

「・・・重巡以上は空母の護衛に付いていた数隻を除いて全艦が撃沈、艦載機も護衛として遺していた15機を除いて全滅です。また、
カナダ沖で派遣したヨークタウンを含む艦隊が通信途絶しました。同じく撃沈された物と思われます。」

「続いて陸軍からです。陸軍では派遣した兵力の約30%に当る死者が出ています。また、生存した内の20%程の人間が
シェルショックや負傷により戦力にはならないとのことです。」

「戦争が始ってまだ数ヶ月だぞ・・・これがその被害だというのか?戦力の分析はどうなっている?」

「海軍から報告させていただきます。今回の艦載機部隊の敗北は性能も然ることながら、数が圧倒的に劣っていたことが
上げられます。空母に齎された情報を纏めますと、日本はどうやら1000機に上る航空機を出撃させていたようで部隊によっては
包囲されてそのまま袋叩きにあっていたようです。また、戦艦についても条約で規制した長門型を多数量産し、更にそれ以上の巨大艦も
建造していたようです。」

「陸軍についても同様です。情報部の報告にあった戦車とまるで違う形態の戦車にM2、M3共に有効打を与えることが出来ずに
撃破されました。また、現地からの報告では大型の列車砲も確認されており其れにより野戦陣地を吹き飛ばされたとの事です。」

「それで、諜報部のほうからは何か言い訳はあるかね?」

「諜報部は諜報の為のスパイ網が全滅しています。また、その後すぐに開戦となったため日本の情報は集まっていませんでした」

「では、開戦前に持ってきた情報は何だったのだ?まさか妄想だとでも言うのか」

「いえ、戦前に提出した情報はあくまで、日本の霧が掛かる前までの情報です。入れ替わったとは言え
時代は同じだと言う事が会談で判明している以上技術体系に得意な変化見られていないと判断した為です。
それに、提出時に報告したはずです。この情報が霧の掛かる前の日本の情報であると・・・」

「そう言えばそうだったな・・・被害については把握した、新型の開発や戦力の補充も検討するが日本も爆撃機を送ってくるぞ?」

「少なくとも攻勢に出るのではなく、守勢で居れば数で上回られることは無いでしょう。それに幾ら日本の航空機が
我々の知る物より高性能だとしてもアメリカ全土を範囲には出来ないはずです。東側で戦艦を補充すれば問題はないはずです」

「アラスカの部隊は南進する様子が見られない為、時間稼ぎが出来れば再び攻勢に出ることは出来るかと」

「ならば」

大統領が締め括ろうとした直後血相を変えた部下の一人が入ってきた

「大変です。南部にある油田にオランダの攻撃が・・・」

160 :ナイ神父MK-2:2016/01/10(日) 22:18:41
この報告がされる少し前、東テキサスやメキシコ湾へスリナムのオランダ陸航空隊が攻撃隊を編成して爆撃を
開始多数の油田が破壊され、火災が発生する。その後も続く爆撃によりアメリカの燃料事情は少しずつ悪化していく。
その頃開戦間もなく動脈を絞められたイギリスはと言うと此方も首脳陣が頭を抱えていた。

「まさか、オランダが此処までの海上戦力を備えているとは・・・地中海やスエズのルートも使用は不可能なのか?」

「確認した限り、地中海はイタリア海軍とオスマンの海軍に封鎖され使用は不可能です。また、スエズは宣戦布告当日にオランダに爆撃を受けて
莫大な試算を投じなければ復活はありえません」

「此の侭では我が国は干上がるぞ、何とかして輸送路確保する方法は無いのか?」

「現状アメリカを頼るしかないかと・・・ですがその為にはドイツとオランダの本国艦隊を撃破することが急務になります。」

「其れが大前提か、海軍を総動員させてことに当るしかあるまい」

「解かりました、コレより作戦立案に移ります」

この後、皮肉にも第一次世界大戦で英独最大の開戦が起きたユトランド沖でオランダ、フランスを含めた両軍は激突し、
イギリスは本土艦隊を失うい、後の勝敗を決定させることとなる。
一方、連戦連勝をしている日本でも夢幻会が頭を抱えていた

「海軍の意識の切り替えは難しい様ですね。」

「過小評価しすぎるのも問題だが、今は上方修正しすぎているからなあ」

「仕方ないと言えば仕方が無いんですがね、何せ元は50を越える戦艦と殴り合いをする積りでしたからねえ其れをやってのけた国があんな少数しか艦隊を持っていないとか想定外でしょう
幸い資金自体には十分な余裕があります。たとえアメリカにスイッチが入っても圧倒することが出来ますが無駄に本気になるまで待つのも無駄ですからね何とかできないですかね?」

「辻がそう言うのも解かるが難しいだろうな、陸軍でもオランダかアラスカに大規模な爆撃機の派遣ぐらいはやるだろうと準備をしていて肩透かしを食らった
位だ変化の大きい海軍の勘違いは相当だろう」

「そう言えば満州はどうなのですか?」

「今の所最初の混乱で戦線は後退したが、戦況的には問題はないな精々何も知らない兵士達が重要拠点に第一次前後の旧式が大量にあるか不思議がってたが、
本土からの兵器の輸送が済み次第順次満州政府に売却している。」

「ああ、チハですか確かに此方だと第一次大戦期の旧式でしたもんねそりゃあ不思議がりますよ、まさかそんな古い機体が主力だなんて思いませんからね。」

161 :ナイ神父MK-2:2016/01/10(日) 22:19:12
「所で満州はやはり独立ですか?」

「そうした方が良いだろうな此方としては中華に深入りする意味はないし、朝鮮が役に立ってるからな」

「前世2回あの半島で不愉快に成ってる側としてはなんともいえないですけどね。」

「まあ今回は本当に役に立つ隣人だから問題はないだろう?それより例の物も完成はしているのか?」

「ええ、前回水爆実験を行った夢幻会メンバーに加えて非転生者として関わっていた人間も新たに転生者として加わっていたので
開発自体までの費用を大分減らすことが出来ました。」

「それならば問題はないか、しかし通常の核はともかくアレを使うことだけは避けたいな」

「私としても衝号程ではないにしろアレを使うのは反対ですが、もしロスアラモスなどを破壊しても
戦争や核開発を続ける場合は使わざるを得ないでしょうね。」

「流石に皇帝はな・・・」

そんな戦後の道筋を立てながら夢幻会メンバーはアメリカ降伏への切り札を着々と用意し、戦争終盤へと備えていた。

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最終更新:2021年05月04日 18:15