859 :ナイ神父MK-2:2016/01/19(火) 23:17:34
日蘭世界 冷戦ゲート編
観艦式にて
ゲート開通後、日蘭の戦力を詳しくは知らない民衆によるデモ行動は、一部赤軍などの煽りもあって激化の一途を辿っていた。
また、中国や朝鮮、欧州連合国などは向こうの世界に存在するナチスドイツや大日本帝国に反感や敵意を抱き、向こうとの開戦を
求める声が上がっており、そんな中、日蘭世界と協議を行っていた日米両政府は向こうの日蘭の戦力について公開した。
次々に公開される原子力空母や超大和型戦艦の情報、そして何より世界を驚愕させたのは日蘭が
アメリカに匹敵する爆撃機と
水爆を既に開発していると言う情報であった。水爆の情報が発覚した時点で大半の勢力はOCUとの開戦発言を取り下げたが、
中国と韓国及び一部の団体では取り下がられること無く更に加熱している。
そんな中、日蘭側では国力誇示と恒例行事であるOCU合同観艦式を各国首脳を招いて執り行った。
アメリカが派遣したアイオワ級の甲板上から各国の軍事関係者に見せられた光景は、関係者の顔を青くさせるには十分な衝撃を伴って
各国に直撃した。
周辺を見れば日蘭の原子力空母に加えて、フォレスタル級に匹敵すると思われる空母が聖アンドレイ十字やハーケンクロイツを掲げて航行し、
少し前方には今乗っているアイオワ級が巡洋艦に見える様な大きさの大和型をはじめ伊吹級やDZP級そして辛うじてアイオワと同サイズだと思われる
ビスマルク級らが先頭を進み、周辺にはそれを護衛するように無数の巡洋艦と駆逐艦が整然と並んで航行している。
そんな様子を見ながら各国は自国の戦力を思い返して顔を青くしていた。
「アレだけの艦艇を出してまだ、防衛には余裕が在るというのか?」
「ここに居る駆逐艦だけで我が国の全戦力に匹敵するぞ」
「あきづきの艦長が言っていたことも納得の戦力だなこれは」
「コレだけの戦力を備えるまでに何年掛かるか、指導部に方針変更を具申せねば・・・」
各国の関係者が口々に感想を呟く中、後ろからは大日本帝国現首相が声を掛けてきていた。
「我々の連合の観艦式は如何ですかな?」
「え、ええ、各国同士の連携が取れていてとても優美な観艦式であると思います。」
アメリカの海軍関係者の述べた感想を皮切りに各国とも概ね好評な様子に満足するように頷いた首相は
言葉を続けた。
「ありがとうございます。いや、なかなか異世界の列強と言う一生掛けても出会うこと無い方々と
こうして顔を合わせ、更にこんな大舞台の主催をやるとは思っていなかったもので緊張していたんですよ。
好評なようで良かった。次回は是非、向こうの国々の観艦式を見てみたいものですな、英国や米国、そして戦勝国の
艦隊だ、さぞ壮観な物を見れることでしょうな。」
そう言って笑顔な首相と引き攣った笑顔のまま固まった関係者を甲板に乗せながら艦隊に遂行しているアイオワも
最寄の基地で補給を受け、終了後にはゲートを通りアメリカへと帰国した。首相官邸に戻った総理は観艦式で見た
各国の関係者の顔色や声を掛けるまでに聞こえていた感想を思い返しながら今後の方針について考えを巡らせていた
(現状、陸軍国家だと推測される中国・ソ連は兎も角、イギリスも艦隊を見て焦っていたな・・・何か現海軍に不備があるのか?
それとも植民地の反抗が強くなったかか、何れにしろ英国も往年ほどの力は無いように感じたな。となると、向こうでの有事の際
海軍で脅威になるのは実質米国のみか、何れにしろ総研の御歴々の力を借りた方が良いだろう、このまま連合が向こうの国民に嘗められた
ままでは陛下や嶋田総帥に示しが付かん)
860 :ナイ神父MK-2:2016/01/19(火) 23:18:05
其処まで考えると総理は一旦考えを保留して、業務へと移っていった後日この事を聞かされた
夢幻会のメンバーからは、
「核のパイ投げなんて勘弁だぞ・・・」と言う声や「こっちもチートだが、二度目の太平洋戦争なんぞお断りだ」などの声が聞かれたと言う
一方、日蘭世界で行われた観艦式で実際確認された戦力に対して米国では軍関係者が半ばパニックになっていた。
「此方で建造中のニミッツ級相当が既に配備済みだと?冗談だろ」
「こっちの日本が建造した大和型を越える戦艦なぞ、撃ちあいになればアイオワでは対抗できんぞ」
「大きさで言えばこっちの駆逐艦もだ、今主力のアダムズ級やフォレスト級を所か建造中のスプルーアンスやキッドに
匹敵する大型駆逐艦だぞこっちも更新せねばぶつかり合えば危険かも知れないぞ」
「海ばかりに気を取られている場合か?海軍の戦力が本当だとするとこのB-52クラスの大型爆撃機も実在しているぞ 」
「核兵器もブラフではなく実際所持している可能性があるな。」
「戦車もだ、許可しないと不味い」
「やるにしても予算が足りんぞ、やっとベトナムでの戦闘が終了したんだ負担が大きすぎる」
「諸君先ずは落ち着け、日本もすぐに如何こうする気は様子だ、此処は順当に戦力の増強を行い地道に行くべきだ」
大統領の発言で、会議も一応の落ち着きを取り戻し、冷静な様子での会議が行われたが、アメリカはまだ知らないがある爆弾が
アジアで爆発しそうなことを、そしてそれがゲートの向こうを巻き込んだ大きな事件となることを。
観艦式を見た中国では如何にして向こうに介入するかで意見が分かれていた、血気盛んな将校は軍事力で向こうの中華を攻めれば言いと主張し
、一方比較的冷静な人間は下手な刺激を加えず向こうに友好国を作りながら介入するべきだと主張した。意見が分かれた結果最終的に判断されたのは
向こうの中華への同胞救済を口実にした介入であった。このことが中華に何を齎すか彼らは向こうを知らずに向こうで手に入るであろう権益に
付いての皮算用を行っていた。
最終更新:2016年02月18日 22:27