887 :弥次郎:2016/02/04(木) 18:06:30

さて、オランダの企業ぶち上げ作業もそろそろ佳境となりました。
以前予告したアフリカで活動する医療関連の企業の案が出来ましたので投下します。
今回はナイ神父Mk-2氏の設定した企業の名前を出し、また史実にはない条約についても
勝手に設定しています。流用・活用などはご自由にどうぞ。

888 :弥次郎:2016/02/04(木) 18:10:18

Kaapstad Chemie hands(ケープスタット ケミス ハンズ)


概要:
オランダ領ケープに本拠を置く医療・製薬メーカー。同地域及びゴールドコーストにおける医療関連の雄として
Paraplu社と並ぶシェアを持ち、特にアフリカという大陸に蔓延る伝染病に対抗する前線企業として名をはせている。

設立:
設立の記録は非常にあいまいで、オランダがアフリカなどとの融和政策を実施した際に本国から移住した医療従事者ないし
化学者(当時の職業的に言えば錬金術師)が、本国にはない病気や植物の研究を行うため集まって設立した研究所の
Kaapstad chemie研究所にルーツを持つとされる。
同研究所が設立されたのは遅くとも1700年ごろであるが、同じような名前の組織がいくつかあるため定まってはいない。

転換期となったのはやはり日本との交易の開始であるとされる。
所謂蘭学というカテゴリーで欧州圏の知識を積極的に飲み込みつつあった日本及び江戸幕府は、幕府公認の留学生を募集して
オランダへと積極的に送り込み、またオランダの植民地各地を見学させ、広い土地を持ちながらも
閉鎖的な考えを持つ日本人の意識改革に乗り出していた。
この交流時にオランダ本国や各植民地から植物が持ち込まれ、日本からもいくつかの植物が輸出された。
有名な物ではサクラ、ウメ、グラジオス、アロエ、テンジクアオイ、チューリップ、マツ、トリカブト、洋ラン系数種などがある。

蒸気機関とそれを利用した蒸気船の普及に伴ってこの交流は活発化し、またアフリカにおいて日本からもたらされた
漢方薬やペニシリンといった薬品の扱いを商業的に始め、「アフリカにもたらされた救いの手」という意味を込めて
正式にKaapstad hands商会として設立。1820年ごろから本格操業を始めた。


変遷:
ペニシリンの普及はやはり本国の方が先であり、その分野においてParaplu社の台頭を許してしまったものの、
その気候から生産されていた葡萄及びワインからワインビネガーを得たり、オリーブからオリーブオイルを抽出するなど、
薬品やそれに類する液体・固体の扱いに関する技術を蓄積し、徐々に活動範囲を広げていった。
ペニシリンの販売権などをParapluに譲りつつも、先んじて日本からもたらされていたマスク・蚊帳・消毒用アルコールなどの
製品の市場を先に獲得。東洋医療の考えを取り入れつつも西洋人やアフリカ系オランダ人に適した薬品の製造に乗り出し、
見事にシェアを獲得。
同時にアフリカを本拠とする営業体制を布いて、1900年にはKaapstad chemie hands社へと組織改革を実施して
改めて営業を開始した。

889 :弥次郎:2016/02/04(木) 18:12:00

経営体制:
Parapluと異なり基本的に医療・製薬・化学に搾った分野のみを得意とする。
単独企業でありながら、広いアフリカ大陸全体に販売領域を持つため、規模ではParapluに劣らない。
マラリアなど蚊を媒介する伝染病にかけては文字通り一線で取り組んでおり、他の追随を許さない。
また、会社内部に疫病や伝染病に対する専門チームをいくつも抱えており、柔軟な活動が可能となっている。

また、同社の特有の船舶として大型医療工廠船『St.Gertrudiskathedraal(聖ヘルトゥルディス)』級が挙げられる。
オランダの一地方のベルギー出身の女性の聖人『聖ゲルトルート』から名前をとったこの船舶は、恐らくオランダでも最も
有名な病院船である。というのもSt.Gertrudiskathedraal級は同社が正式に営業を開始した1870年代から、何隻もの
船が名前を襲名されながら現代にも残されているため、最低でも160年17隻に渡って受け継がれている伝統あるものであり、
アフリカにおける医療の象徴ともいえる。

初期のそれは単なる輸送船であったようで、その船舶の大きさは営業圏の拡大とともに徐々に肥大化。
現在のSt.Gertrudiskathedraal級は排水量およそ3万3千トン 全長235m 全幅27mの超大型病院船である。
これの維持にはオランダ政府も維持費用を負担しており、同地域を見捨てないという意思の表れが窺える。
現在では各植民地を巡る他、アフリカ各地において医療支援活動に従事している。
また、これを補助する船として排水量2万3千トンの病院船『St.Servaasbasiliek(聖セルファース)』級が
現在計3隻あり、いずれもオランダ各地だけでなく伝染病が流行した地域に赴いての支援活動も行っている。
この病院船もまた、代々名前を引き継がれているものである。

製品の特長:
現在においては西洋系の企業では珍しく漢方の処方を行うほか、蚊帳や蚊取り線香といった日本由来の伝統的な防虫剤や
除虫用品を早くから取り入れており、主にアフリカにおいて広い範囲で販売を手掛けている。
同時にマラリアや伝染病へのワクチンや抗生物質の製造や研究開発においてParapluを凌ぐ情熱をかけている。
現在においてもアフリカが発祥の伝染病が流行ないしアフリカの外へ溢れ出た場合、真っ先に対応に乗り出している。

890 :弥次郎:2016/02/04(木) 18:13:43

第一次大戦及び第二次大戦時の活動:
欧州全土が巻き込まれた第一次大戦時には、本国オランダに亡命希望者若しくは難民が殺到し、それに関連して医療品が不足。
本国からの要請を受けて当時のSt.Gertrudiskathedraal級(1万6千トンクラス)とSt.Servaasbasiliek級
(1万トン2千トンクラス)が1隻ずつご受け2隻が、本国へ帰還してこれの支援にあたった。
また、戦争当事者である協商・連合の双方の捕虜の治療や中立の病院船への医薬品の提供も行っており、後のジュネーヴ条約に
独自の項目を制定さるほど大きく影響した。
第一次大戦前に緊張が高まりつつある中で日蘭が合同で策定を呼びかけた『ゼーラント戦時協定案』(※)にも、ハーグ
陸戦条約から影響を受けつつも明確に定義されており、第一次大戦時には特に被害はなかった。


第二次大戦時にはケープにSt.Servaasbasiliek級が一隻とその他小規模な病院船が本社に残っていた。
これは大戦の勃発に備えてアウストラリウス方面にSt.Gertrudiskathedraal級がメンテの名目で退避していたためで、
また万が一の侵攻によって被害を受けるもしくは接収を恐れての事だった。
しかし、その心配は杞憂に終わった。かつて欧州においてわけ隔てのない医療行動に従事したKaapstad Chemie handsに
あまりに横暴な要求をすることは、St.Gertrudiskathedraal級を筆頭としたKaapstad Chemie handsの知名度が
欧州だけでなくアメリカにおいても高く、それが知られた際の国民感情やその他の中立国の視線を鑑みて、また同地域において
医療品を本国から運んでくることのリスクや負担を考えて行われなかった。
4か国軍は敢えて『緩い恭順体制』を認めて、オランダをはじめとしたOCU各国にもこれを公表した。
その内容は、

  • St.Servaasbasiliek級のケープ限定での4か国軍の活用
  • ケープ本社及びアフリカにおけるOCUへの協力の可能な限りでの禁止
  • 一定程度の医薬品の割安での提供
  • 4か国軍による監視

というものであった。
Kaapstad Chemie handsもこれを了承し、OCUからもこれを認める声明が出された。そのため、あまり混乱は発生
しなかったと記録されている。ケープ解放後にも、OCUと4か国軍に対して分け隔てなく医療行為に協力しており、
政治や戦争に憶することのない企業として戦後に高い評価を受けた。

891 :弥次郎:2016/02/04(木) 18:14:43

戦後:
戦後は安定的な成長を続けており、医療品関連から派生した衣服や寝具方面にも進出。
また、精密機械に関するノウハウを得て、独自時計ブランドをスイスの会社と合同で立ち上げるなど他分野への進出も
じわじわともくろんでいる。


※1910年にゼーラントにて行われた会議で、日蘭が進化しつつある兵器が民間に与える影響を予測し、対策を
呼び掛ける内容であった。性能が著しく伸びていく各種兵器やハーグ陸戦条約が想定していない可能性のある要項に
ついて各国から代表者を集めて話し合いが行われた。しかし多くの国が自国兵器の内容について口をつぐんだことで
『ゼーラント戦時協定案』と『試案』に留められたものの、概ね各国が共通認識及び行動規範を持つことになった。
特に通商破壊における病院船や捕虜受け渡し船への被害抑止のための旗や船体の色の指定、占領地での占領軍の振る舞いや
捕虜の扱いについてなど、改めて定義づけされる項目が多数あった。

使用例:捕虜の扱いはハーグ陸戦条約に準じ、ゼーラント戦時協定案に一部基づく。

892 :弥次郎:2016/02/04(木) 18:18:32

以上となります。wikiへの転載とネタやSSへの転用はご自由に。
史実のことも考えるとオランダや日本がアフリカを放置しないだろうと考えて生やしてみました。
比較的地味な企業ですね。

一応ジュネーヴ条約(策定されてませんけど)とハーグ陸戦条約には矛盾していないはず…
また抱えている病院船に関しても、一企業にしてはでっかいですが、無理ではないはず…
まあ、ここら辺はある程度自由に活用してもらって構いません。
史実と異なり日蘭世界では伝染病なんかが流行することは減っていると信じたいものですな

さて、あとはギニアだぁ…候補などがありましたらアドバイスお願いしますね。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年02月21日 15:38