- 979. 名無しさん 2011/11/10(木) 16:20:17
- 北米版が届いた勢いでカッとなって(ry
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「状況は?」
「ロシア軍が設置した電波妨害装置の影響で航空支援ができません。制空権を取り戻さなければ、何れは……」
「仙台を陥とさせる訳にはいかない。……すぐに行動に移せる特殊部隊は?」
「岩沼で特殊作戦集団隷下の<CRR(中央即応連隊)>が待機中。符号はメタルです」
「司令部、メタル0−1との衛星回線が繋がりました」
『こちら、砂岡です。司令部の指揮統制下に入ります』
「……君は救世主だよ。砂岡君」
―― Call of Duty : Modern Warfare 3 IN GLOOM WORLD ――
"Black Tuesday"
August 17th - 10:18:12
Sgt. Daisuke Sato
Central Readiness Regiment
Sendai, Miyagi
「RPG!」
車上で周囲警戒していた兵士が叫び、直後に車内を轟音が包む。
激しい衝撃と共に世界が横倒しになるのを感じながら、彼の視界は暗転した。
「―――藤! 佐藤!」
耳に怒鳴り声が届く。まだ自分は生きているようだ。
そう理解した瞬間、佐藤大輔軍曹の意識は現実に引き戻された。
目蓋を上げると、横倒しになった車内の様子が飛び込んでくる。
どうやら高機動車ごと引っ繰り返ったらしい。
目の前の助手席に座る兵士はぴくりとも動かない。
首が曲がってはいけない方向に曲がっている事から、彼は既に息絶えていると容易に想像ができた。
「おい、佐藤! しっかりしろ!」
再び、佐藤の耳に怒鳴り声が届く。
それに応じるように佐藤が視線を右にずらすと、シートベルトのお蔭で宙吊りになっている分隊長、砂岡曹長の姿が見えた。
「よし、生きているな!? 脱出するぞ!」
砂岡曹長はそう言うが早いか、シートベルトにサバイバルナイフの刃を当てる。
状況を理解した佐藤もそれに続く。
まず、五体満足である事を確認。
そして車内に転がっていた短突撃銃(アサルト・カービン)を引っ掴むと、横転した車内で立ち上がり、天井と化した扉を抉じ開けた。
扉の先は戦場だった。
かつてのオフィス街は見る影もなく焼け爛れ、その合間から覗く煤けた空の中を数機の攻撃ヘリが飛び抜けていく。
生憎、友軍機ではない。仙台市の半分を占拠しているロシア連邦軍のMi−24<ハインド>である。
あまりの光景に思わず絶句していた佐藤の周囲に、目標から逸れたらしいミサイルが突き刺さったビルの残骸が降り注ぐ。
幸い彼自身に大きな残骸が当たる事は無かったが、目と鼻の先に乗り捨てられていたタクシーは大きな残骸に直撃され、廃車の渋滞の仲間入りを果たした。
それを横目にしつつ、佐藤は横転した高機動車の脇に飛び降りる。
続いて、砂岡曹長も飛び降りてきた。
彼は手にしていた短突撃銃用の弾倉を佐藤に投げ渡し、矢継ぎ早に短突撃銃を構えて周囲の様子を伺う。
ここはもう敵地なのだ。少しの油断が死に招きかねない。
投げ渡された弾倉を短突撃銃に押し込みながら、佐藤は気を引き締めなおした。
「妨害装置(ジャマー)はここから北に五〇〇メートルだ! ここからは歩くぞ!」
砂岡曹長が叫び、戦場と化した街へと駆け出していく。
最早、油断も迷いも許されない。
佐藤はすぐさま、彼の後を追いかけた。
時は二〇一六年。
ソヴィエト連邦崩壊後、長い内戦を経て統一されたロシア連邦は未だに不安定な情勢にあった。
そんな最中、モスクワにある国際空港で無差別テロ事件が発生。
その事件現場からテロ実行犯の一人と思しき日本人の死体が見つかった瞬間、不安定だったロシアはついに爆発する。
間宮海峡の原潜から発射された弾道弾が大日本帝国本州北部の高高度で起爆し、電磁パルスが降り注いだ事で宣戦布告なき戦争の幕は上がった。
―――世界は再び、混迷へと向かう。
最終更新:2012年01月02日 20:14