712 :ナイ神父MK-2:2016/03/01(火) 23:27:10
日蘭世界 44年ゲート編 その6
満州防衛戦後の連合
ソ連の日本への宣戦布告から始った悪夢と言って良い程の枢軸からの逆襲は、連合側の国に悲鳴を上げさせるには
十分すぎる程の効果を持った物だった。樺太やウラル、ウクライナなど多数の資源や工業拠点そして人員と新型兵器を
失った被害は幾らソ連兵が畑から取れるとは言え無視できない被害である。当然、
アメリカに対する約定を果たしたとして
援助を要求するも、当のアメリカはソ連を潜在的な敵として見る様になり援助も最低限のレベルでしか渡さなかったのである。
此処に来てソ連と米国の対立が明確になって来た事に対して、一時的にでも再度協力関係を持つ為、1945年6月アメリカはソ連に対して
再度米英ソでの首脳会談を行うことを提案し、これをソ連が認めた事により第二回ヤルタ会談が行われる事となる。
この会談では当初、物資や兵力を握るアメリカ側が優位に立って交渉を進めていたが、此処で一つアメリカの誤算が起る、それはイギリスが
ソ連の肩を持ち、アメリカに対して非難を始めた為である。イギリスやソ連としてはドイツと言う身近な脅威が勢いを取り戻した大きな原因は
上陸戦の最中に自国の都合で一方的に戦力を引き上げさせたアメリカにあると考えての非難であったが、アメリカとしては独ソ戦と日ソ戦で
ソ連と日本を疲弊させる狙いがあった。
しかし、日本の陸空戦力が予想以上に精強でありソ連のみが一方的と言って良い程までに戦力を減少させたことは予想外であり、更に
枢軸との単独講和も視野に入れた停戦の準備が英ソ両国で進んでいると言う発言まで成され、米国は渋々ソ連への追加援助とイギリスへの
輸送強化を認めることと成った。
史実日本の現状
満州やレイテ沖にて連勝を続けた日本であったが、その実情は大陸から前線と言う椅子に縛り付けられて支援と言う名の点滴を
受け続けて無理やり延命させている状況に近いものであった、事実として北樺太やマリアナまで布陣した為本土には殆ど戦力が
居らず、大陸日本から沖縄を含めた九州周辺までを防衛してもらっているのが現状であった。
そんな中、ゲートの向こうでは協議によってオランダからの支援も開始され、日本と枢軸同盟を史実側での門番にする為の計画は
着々と進められ、
夢幻会でも会合が開かれていた。
「此処までは想定どおりに進んでいますが、現状向こうとの講和の打ち合わせはどうなっています?」
「向こうとの協議中だな、朝鮮の独立に関しては向こうも難色を示したが現状持て余しているのも確かだし、全体ではなく
北の一部を独立させれことになるみたいだな。」
辻の質問に嶋田が答えるとその横で東条が会話に加わってきた
「しかし、下手に朝鮮に独立の自由を与えると国民政府や中国共産党と組んで史実日本周辺が煩くならないか?
万が一にも朝鮮版キューバ危機なんて事になったら厄介だぞ?」
「その辺は監視を厳しくするしか無いでしょうね、下手に日本の一部として扱って日本人として面倒ごとを起こされた方が
厄介ですし」
「そうですね、彼らに戦勝国として傲慢な態度に出られて占領地域で暴れられたら迷惑でしかないですから、それに万が一のことを考えて
満州と史実における38度線相当の場所に爆撃機や戦力配置を行えば万が一の際も動けるでしょうし」
「それが一番と言う訳か・・・ところで最近史実日本の兵士達から此方の兵士から理想の女性像や、制服姿に付いての
意見がよく聞かれるらしいが、推進していると思われるMMJの首魁たる辻君からは何か無いかね?」
713 :ナイ神父MK-2:2016/03/01(火) 23:27:41
「・・・サア、ナンノコトデショウ?ワタシニハワカリマセン」
「まあ史実側との友好が進めば合同で動く際も連携の役に立つから問題は無いんだが」
辻と東条の遣り取りを聞いていると自分の胃や脳に非常に宜しくない感じた嶋田は強引に話しを本題へと持っていく
「兎に角、先ずは米国を殴りつけてでも交渉席へ就かせることですね」
「その方が良いだろうその為に現在マリアナに芙蓉が離着陸可能な飛行場を建設しているんだからな」
「しかし最初から芙蓉搭載型は不味いですし先ずは翔鶴と三浦を派遣しましょう。」
「戦術の方を先に使うのか?」
「最初から戦略級を使用すると相手もそれを作ろうと躍起になるでしょうし、無駄に核の威力を挙げさせる事は無いでしょうから」
嶋田の発言の後に会合は終了した、その後史実側での基地改装がマリアナやソ連を睨んで満州そして戦後T-55や大型重戦車を販売することを前提として
本土などで行われていく事となり、その効率の良さや厚遇振りから史実側の工兵や輜重科の人間からうらやましがられることと成る。
米国の窮状と戦力再編
アメリカでは現在日本に対して講和を行うべきだという勢力が日に日に増してきていたが、大統領やキング、ルメイを初めとした面々は核兵器や
新型兵器が完成すれば日本に対してより有利な条件で講和乃至は停戦が出来ると考えており、主戦派の人間も含めて未だに主流派を占めていた。
しかし、戦力については決して余裕のある状態とは言えず、偶々撃墜できた烈風の調査ではこの前まで使用されていたゼロ戦などとは比べ物に
成らない程の性能を持っていることが判明している上、二回目のヤルタ会談では何故かサウスダコタ級の戦艦が3隻も日本軍で運用されている
と言う状況で有った為である。
その為アメリカとしても新型兵器の配備を進めたかったのであるが、肝心の兵士が度重なる敗北で育成が追いついて折らずせっかくの新兵器も
中々実戦には出せないという状態が続いていた、これは特に海軍とその航空隊に多く見られ止む得終えず第10艦隊等を初めとした比較的に熟練兵
の多く残る大西洋側の艦隊から引抜が行われていた。しかし、このせいで再び活動が活発に成ったドイツのUボート部隊の発見が遅れるなどの弊害が
出始めてしまい、最終的には寄り多数の兵士を失うと言う自体が発生するようになる。
一方で陸上はと言うと太平洋側の兵士こそマッカーサーと共に多数が捕虜または戦死となっていたが、引き上げさせたパットンなどの欧州に派遣した
部隊にはいまだ熟練の戦車兵が残っており、西海岸やハワイへと割り振られている。しかし、戦車の面ではドイツのティーガーやパンター、日本の
T-34やIS-3には現状の戦車では犠牲が大きすぎるとして新型の開発が急がれるが、戦後大陸から日本に対して再び供給されたT-10やT-55の前にして
僅かな期間で再び新型の開発を急ぐことに成るのは又別の話しである。
その後アメリカは日本に対してマリアナ奪還の為の海戦を仕掛けるが、これが海軍に対する更なる悲劇を与える事となる。
最終更新:2016年03月02日 20:13