212 :ナイ神父MK-2:2016/03/06(日) 21:06:04
日蘭世界 44年ゲート編 その9

国共内戦

1946年6月停戦から約半年ほど経ったこの月、戦中に棚上げされていた国民党と共産党の間で内戦が
再開された。この戦いはお互いに中華の市場を失いたくないアメリカとソ連の積極的な介入によって
2国による代理戦争と言う側面も持ち合わせていく。

アメリカから義勇兵と武器の支援を受けた国民党は共産党への大規模な攻勢を開始し、共産党でも
中国軍に対するソ連の武器供与が行われ内戦が激化していく。しかし、史実よりも国力の低下した
ソ連軍は未だにT-44を運用しアメリカもM4の改修型の機体を主力として運用している。そして、米ソ
から支援を受けている国共両政府もその煽りを受け、未だに極少数のM4装甲師団や在庫処分に近い
初期型T-34による戦車大隊が存在する程度であり、主力は歩兵等が中心となって行っている状態であった。

一方で枢軸陣営として独立を承認されていた満州と南京政府は戦後日本から輸出され始めたT-34やIS-3の他、
大陸日本側の烈風などの主力化によって行き場を失った四式戦闘機のライセンス生産が開始されるなど
何れも高性能といってよいレベルの兵器が輸入や生産によって揃えられ、更に日本軍が駐留することによって
その戦力を格段に高めていた。

同年7月満州の首都である新京では他の中華内勢力への威圧も兼ねた軍事パレードが皇帝である溥儀皇帝出席の
元執り行われ、晴れ空の中を日本から輸入した史実側の疾風が編隊を作り飛行していた。また、下に目をやれば
戦車大体や歩兵が軍楽隊の音楽の元理路整然と行進し、国民を沸かせている。

「日本からの機体の提供があったとは言え、見事な物ですな」

「はい、ライセンス生産で購入できたあの疾風は実際に使った兵士や性能を見た将軍からも好評です。
 此れ程の機体を頂けるとはありがたいことです。」

「いえ、これも満州国が我々の良き友人に成って貰えればと思っての事です。」

「日本やドイツほどの豊かな国に成るのはまだ先ですが、此れからもご指導の程頼みますよ。」

(我が国の技術力や国力では未だに日本から離れることは出来ない。増して他の二勢力ではどう扱われるか解からない、
日本の紐付きとは言え独立が出来た事は幸いだな・・・そして、此方の日本もまさか向こうの日本の傀儡に成る訳には行かない以上独自に
食糧の供給源等は必要な筈だ、何としてでも日本には此方を重要視させて支援を受け国力を上げねばな、私の代では無理でも
何れは完全な独立を・・・)

日本や南京、ドイツからの来賓を笑顔で迎えながらもその内心ではISA内での地位向上に向けられ、その方法を考えながら
満州は日本からの支援を受け続けいく。

戦力増強と技術協力

戦後の日本では未だに戦中に大陸日本やオランダから受けた支援の莫大な債務を抱えていたが、戦中に導入した工作機械や
民間での交流が可能になってから始った日蘭企業参入による市場の活性化と領土開発によって賄われている状況であった。
しかし、冷戦が始ったことによって日本は再び軍備増強を国内開発と平行して行う事となる。

軍備増強の際に大陸側へ研修や交流によって影響を受けた将校からは前大戦での反省を生かし、補給線維持の為の護衛能力の
向上や潜水艦対策が提示されるが、此方は大陸日本への朝霧型や丙型黒部建造注文で対処療法を行いそうした面への装備が
国産で充実するのは1970年以降の事である。

一方で正面戦力となる空母や戦艦は既存の物は金剛、扶桑、日向が終戦後直ぐに退役し、大和型と松島型そして長門を主軸に
置いている。空母に関してはレシプロ機では限界が来ることとジェット機運用可能な空母が必要と考えられ、既存の空母の改造と
信濃へのジェット機運用能力の試験的な付与、そしてジェット機対応型の新型空母の開発を日蘭の技術者を招いて行うことと成る。

陸軍では大陸日本の新型車両の配備が進んだことと、国内のインフラ整備が進み始めている事からT-55の供与が以前より多く進められている。
しかし、T-55の巨大な車体は島国である日本では不利に成ると考えられ大陸側の技術者から指導を受ける形で最新技術を導入、諸島防衛に
適した国産戦車の開発が進められていく。同時に航空隊では試験的に導入していた桜花が非常に優秀であった事から陸軍航空隊にて本格的な
ヘリ部隊が運用されていく事となる。

213 :ナイ神父MK-2:2016/03/06(日) 21:06:36
その頃、アメリカでは日本及びISA、OCUを見据えて更なる海空での軍事力増強の真っ最中であった。当初、艦隊決戦で
歴史的な大敗北を喫したアメリカであったが、最大の仮想敵国はやはり日本とその背後に存在するOCUで海軍の再建は
急務であった。また、両日本が何れも46cm砲を持つ大型艦を持つことから打撃力を持つ41cm砲艦以上の18in砲の搭載の
新型艦を建造していく事となる。

海軍が新型艦や建造待ちの艦を次々と収益させている頃、ルメイ肝いりの戦略空軍も戦力を充実させ始めていた、
しかし、艦隊の再建やハワイ復興、新型戦艦の開発費の分新型機が遅れることとなり、当面はB-29とB-50相当の
改修機で暫くは任務に挑むこととなる。また、戦後のレッドパージに間に合わずマンハッタン計画で製作された
核兵器の設計図がソ連に奪われたことからアメリカ空軍はソ連が核を使用した際の報復核攻撃の役割も兼ねることとなり
徐々に核兵器の量産へとアメリカを傾かせていく。

アメリカの動き

アメリカでは現在対OCUへ向けての戦略を練っている途中であったが、条約締結時はあくまで日本が向こうでの戦勝国であった事と
国土が本来の日本より広く核を保有している。といった大まかな情報しか掴む事が出来ていなかった、核を保有している以上安易な
戦争再開は前回同様に甚大な被害が予想される為、慎重論が唱えられ国務省と大統領によって意見が固められていた。

「つまりは枢軸に対しては外交で圧力を掛け、ソ連や共産主義には武力で当ると?」

「現状、最も弱っているのはソ連だ、ソ連の市場や中国の覇権を国民党に握らせることが出来れば東西から日本に対して圧力を掛けられる
そうすれば奴等の下に居るアジアの連中も我々に靡くからな」

「しかし、仮に日本への圧力を掛けるとなると向こうの日本が出てくるのではないですか?」

「仮に向こうの日本が領土を拡大していたとしても、限界があるだろう?前回の大戦にしても日本は早期の
講和を望んでいた節がある、ならば国力にもかなり余裕が無い中戦っていたはずだ。どれ位無理をしたかはわからないが
向こうも相当苦しい筈だ其処を突こう。」

「解かりました。国民党との寄り密接な協力を向こうに打診してみます。」

「頼んだぞ、それと東南アジア諸国に対する切り崩し工作も同時に行ってくれインドネシアやフィリピンで
影響力が高まれば日本の海上輸送ルートに一定の制限を設ける事が出来るからな。」

その後アメリカは日本とその背後に居るOCUへと経済や外交による攻勢を仕掛けるが、予想を超える両日本の経済力に
圧倒され、更には大陸側の日本が次々に出してくる兵器に対して逆にアメリカや西側諸国が圧力を掛けられる事となり
焦ったイギリスによるフォークランド戦争やインド内戦の切欠が出来ていく事になる。

ソ連の動き

アメリカが少しづつ国力を回復させているとは対照的にソ連は兵器開発と食糧生産に再建で残り少ないリソースを
振り分けて回復を図っていた。しかし、現状の範囲では既に限界が近くなりその為ソ連ではインドやベトナムにも
手を伸ばし、赤化を促していく。

その頃のインドではイギリスによる苛烈な搾取により、国力が一層減退していた。そんな中、国内ではインド共産党
が順調に勢力を拡大し、各地でソ連製の兵器を使用して反乱を開始した。それによってイギリスは少なくない犠牲を
払いながら、戦闘を続けていくが既に衰退が始ったイギリスは徐々に支配域を後退させ、アメリカの介入を招いている。

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最終更新:2016年03月07日 19:09