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215 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/13(日) 01:28:09
この作品はGATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりと憂鬱のクロスものです。
原作の平成日本とは繋がりません。
色々破茶けてます。
こんなの無いだろ、なオリ設定もあります。
笑い飛ばす程度に読んでください。
以上の事を留意してお読みください。


GATEネタ GATE 皇軍 彼の地にて、斯く戦えり 第5話 外務省の焦りと臨編捜索隊出動



1945年11月20日 日本 東京 新宿区近衛町(現:下落合) 近衛文麿本邸


現代で言えば山手線目白駅の西にある下落合一帯は、戦前は近衛家の本邸があった土地である。
大正時代に住宅不足解消で一部の土地を開放し、目白文化村と呼ばれる宅地が作られているが、今もこの地に近衛家の本邸は存在する。
近年、近衛文麿は同じ転生者仲間にして夢幻会の長老仲間である伏見宮殿下が危篤状態であるため、何時でも駆けつけられるように普段使う荻窪の別邸『荻外荘』よりも近いここに腰を据えている。
その近衛本邸に、この日、5人の来客を長男、近衛文隆と共に出迎えていた。

  • 吉田茂
  • 白洲次郎
  • 重光葵
  • 東郷茂徳
  • 杉原千畝

読者諸兄も知っている外務官僚の面々。
彼らが雁首を揃えて、文麿の前に座っていた。

「今日はどうしたんだ?」

そう言って文麿は、彼らに訊ねた。
だが、長男、文隆は元外交官ということも考えれば、文麿自身も彼らがやってきた理由は自ずと想像がついていた。

「公爵閣下もご存じの通りですが、此度の門の出現により予定されていた環太平洋諸国会議が残念なことに延期されてしまいました」

メンバーを代表して、吉田がそう言って切り出す。

「そして門から現れた特地の軍隊によって突如行われた宣戦布告無き攻撃。
 それも、帝都襲撃という異例の事態が発生したことにより、その復讐心から、武断主義へと世論が移りつつあります」
「先の陛下の御発言によって抑えられていますが、再び息を吹き返すとも限りません。
 そしてそれは外務省がますます軽んじられ、外交交渉という近代国家、文明国家にとって必要不可欠な行為を失うことになります」
「そうなれば帝国は、武力で物事を解決しようとする野蛮人の国家へと成り下がってしまいます。
 そんなことは断じて防がねばなりません!」

吉田の言葉に続いて白洲、重光、東郷が順に続けてそう言う。

216 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/13(日) 01:28:41


外務省の重役に就く彼らにとって、祖国の軍事力を信奉しようとする現状は大きな危機感を抱かせていた。
自分達外務省の利益が含まれているのは否定できないが、なによりも日本が武断主義に陥るのはなんとしても避けたかった。

『戦争とは他の手段を用いて行う外交の延長線上にあるもの』

戦争論の著者、カール・フォン・クラウゼヴィッツの言葉だ。
戦争というハイリスクな国家間交渉に頼るばかりではなく、外交というローリスクな国家間交渉にも頼る必要がある。

彼ら外務省の重役達は、軍事力が全てという風潮が祖国の常識として蔓延する前に、なんとしても外交の意義を取り返し、強硬論を、武断主義を排除したかった。
そのための外交の復活であり、環太平洋諸国会議であった。
彼らが属する夢幻会もこの考えに最初は優先すべき問題が多く、創設の意味に懐疑的であったが、
意外にも(表向き)強硬派と目される当時首相である嶋田が賛成し、積極的に動いたことで実現にこぎつけていた。
だがそれは、門の出現と異世界の軍隊による宣戦布告無き攻撃によって、台無しにされ、延期されるという事態になってしまった。

このことに最も慌てたのが、彼ら外務省であった。
外交の復活を掲げた彼らの目論見がとんでもない方向からの攻撃で見事にぶち壊されてしまった。
そして、帝都東京が襲撃され、それも民間人、女・子供・老人を問わずに行われた蛮行の凄まじさに、日本人は怒り心頭であった。
そしてそれは、強硬論への、武断主義への傾倒を増長させるものであった。
だがこれは、先の陛下の発言により、鎮静化の傾向に変わってはいるが、いつ息を吹き返すかも分からなかった。
外交の復活を目指す彼らとしては、それは断じて防がねばならないことであった。
ゆえに外務省としては強硬論が再燃する前に先手を打とうと考えていた。

「此度の武力衝突を我々の意向により"事変"と称しておりますが、それでも外交の復活にはまだほど遠いです」

最後に杉原がそう言った。
今回の特地の帝国(便宜上今後は"特地帝国"と称する)との戦闘を『銀座"事変"』と称しているのも彼ら外務省のこの思惑によるものである。
"戦争"ではなく"事変"とすることで、第三国が戦時国際法上、生じる中立義務によって、交戦国に対する軍事的支援は敵対行動と見なされるため、国際的な孤立を防ぎたい外務省としては戦争という体裁を望まぬものであった。
なお余談だが、最近は銀座での襲撃事件を『銀座事件』と称することもあるため、混同を避けるために『銀座事変』から『特地事変』への改称が検討されている。

「そのためにも、会合の重鎮たる近衛公に是非ともお願いしたい儀があります」

そう言って、吉田が本題に入る。

「此度の特地における戦争において各国から義勇軍が参戦しております。
 この義勇軍を派遣した国家との外務省主導による定期的な連絡会議や会談を行いたいのです」
「連絡会議?」

文麿はそう聞き返した。

「はい。今回の特地における"事変"は、"多国間で協力して"問題に当たっています。
 故に各国の事情によっては、派遣に問題が生じる場合があります。
 その調整を行うためにも定期的な連絡会議が必要です。
 その連絡会議を"外務省主導"によって"頻発に"行うことによって、我が国の"外交の復活"を促進したいのです」
「ふむ・・・」

吉田の言葉を聞き、文麿は思案する。

217 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/13(日) 01:29:13


「(外務省も相当焦っていると見えるな・・・。たしかに国家間の調整は必要不可欠かもしれない。
  現状、日本が戦争と公言せず、事変と称していること。
  そして、東南アジアで独立準備段階の新興国は書類上未だ軍が結成していない事などから、各国も義勇軍の名目で派遣しているが、そのために書類上我が軍の指揮下に収まっている。
  東南アジア諸国は新興国で今回は初めての実戦。それが日本の指揮下というのに不満が完全に無いとは言い切れんしな。
  環太平洋諸国会議には晴れの舞台と並々ならぬ期待を持っていた国もいたはず。彼らに再び晴れの舞台を与えることも必要か)」

インドネシアなどの独立準備政府は表向き未だ植民地宗主国領となっており、軍についても未だ健軍前の準備段階でしかなかった。
そのために、アジア太平洋諸国から派遣された義勇軍は、戦力というよりは政治的目的で派遣の意味合いが大きかった。
とはいえ事実上、初めての実戦であり、彼らとしては色々と期待も大きかった。
それが日本軍の指揮下で治安維持活動では、やりきれない思いもあるだろう。

また、東南アジア諸国の各独立準備政府では、ある特別な事情があった。
それは、彼らの独立が、彼ら主導し、宗主国を駆逐して勝ち得た独立ではないという問題を抱えていたことである。
彼らの独立は日本が札束で宗主国を張り倒して与えられた独立であった。
そして、独立準備政府が"正当な"政府と名乗り、大きな顔をすることに不満が出ないわけはなかった。
故に"正当な"政府を名乗る彼らを出し抜こうと派閥争いも生じていた。
そんな中で、日本が主催する『環太平洋諸国会議』は、自らの正当性を立証するためにも重要な会議として注目が集まり、各独立準備政府は大いに気炎を上げていたのだ。
それが延期という事態となったのでは、彼らも割り切れなかった。

近衛が思案する一方で、吉田も何が何でも通さなければ、と思っていた。

「(最近は田舎議員共が『特地の帝国への無条件降伏要求』などと戯けたことを言い出し、マスコミがそれに乗っかって囃し始めている。
  そもそも戦場で部隊に対しての無条件降伏ならまだしも、国家そのものへなどという苛烈な要求は近代史上皆無だ。
  第一、国家に対する無条件降伏要求とは"交渉による平和"ではなく"勝者が敗者に命じる平和"、つまりは交渉の完全否定と軍事力による解決を意味する。
  そしてそれは、連中が我々外務省は要らない、解体してしまえ、と言っているようなものだ。ふざけやがってぇ・・・(コマンドー風))」

銀座事件の1月後の頃、一部非夢幻会系主戦派及び好戦派、特地利権目当ての人間などから、「特地の勢力、『帝国』への無条件降伏要求によって、軍事力の除去と他民族の征服と隷属を求める思想を根絶すべき」とする『特地帝国無条件降伏要求論』が叫ばれていた。
吉田ら外務省の面々としては、この主張は自分らの存在を否定されるようなものであり、受け入れがたい事であった。

「(大和が征したアテルイら蝦夷、松前藩が支配したアイヌ、世界を見ればありとあらゆる民族が追い詰められた時に激しい抵抗を示した。
  そしてその勝者は多大な犠牲を強いられた。
  さらに戦争には金がかかる。
  フランスのルイ14世は多くの戦争を行い、勝利して領土を拡張したが、戦費に費やした多額の借金で革命が起き、ついには王政が倒れたのだぞ。
  人類の長い歴史でこれだけのことが立派に証明されているのだ。なぜそれが分からない。
  欲望にまみれた馬鹿共は、臣民の血で欲を満たそうというのか!そんなことは絶対にさせん!!)」

吉田は内心『特地帝国無条件降伏要求論』を声高く叫んだ連中に怒りの念を抱きつつある中、思案に暮れた近衛が口を開く。

「しかし・・・交渉は軍事的なもの。君らが危惧する軍の発言が高まらないかね?」

近衛はそう言って吉田に指摘する。
結局のところ、会議の内容は事変に関係するものであるのだから、軍事的な要素が多く、軍人達での会議が中心となり、それは軍の発言力が増すことを意味する。
近衛はそう指摘したのだ。
それに対し東郷が答える。

「だからこそ、我々外務省が中心となって行うのです。
 場合によっては、外相会談、首脳会談も行い、大々的に開催することで、外交の存在と重要性をアピールするのです」
「ふむ・・・(史実の連合国が行った様々な会議や会談みたいなものか。たしかにそれなら外交のアピールにはいいかもしれない、か・・・)」

吉田の返答を受けて近衛はそう考える。

218 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/13(日) 01:29:49


会合で検討する価値があるか思案する文麿。
その彼に長男文隆も働きかける。

「父さん。今の日本の世論は強硬論が蔓延しかけている危険な状況です。
 このまま武断主義になっては、ドイツもそして、いきなり攻め込んできた特地の国家を非難できない軍事独裁国家になってしまいます。
 会合の皆様がこれを望んでいないのは私も承知しています。
 だからこそ、この連絡会議、会談は外交の重要性を、外務省の重要性を示すためにも必要なのです!」

文隆はそう言って、更に頭を下げて言う。

「お願いです。どうかこの連絡会議の開催を会合に承認してもらうよう働きかけてください!」
「我々からもお願いです。どうか、どうかお願い致します!」
「「「「お願い致します!!」」」」

文隆に続いて、吉田が、そして残る4人が、文麿に頭を下げる。
文麿は腕を組んで目を閉じ、熟考した後、答えた。

「息子にまで頭を下げられちゃ、親としては答えなきゃならんな。
 わかった。会合に持ち込んで承認してもらうよう働きかけよう。
 ただし、引いた身だ。あまり期待しないでくれよ。」
「「「「「「ありがとうございます!!」」」」」」



1945年11月28日 特地 アルヌスの丘 六稜郭内日本陸軍司令部施設 近衛第三師団 近衛捜索第三旅団 近衛捜索第13連隊司令部


正直言って特地は謎だらけであった。

そもそもなぜ銀座に門が開いたのか?
そもそもなぜ連中はいきなり攻めてきたのか?
この世界の国家や宗教、人種はどうなっているのか?

それは夢幻会に属する転生者以外の日本人にとっては分からないことであった。
捕虜とした特地人の中でも協力的に動く者が積極的に喋ったり、時には尋問して聞き出したりすることもあるが、それでも分からないことが多かった。
そして、原作を知る転生者でも何でも知っているというほどではない。
原作では語られない物があるかもしれないし、断片的でしか語られなかったものもある。
そして、日本に攻めてきた特地帝国の首都の位置も精確には分からないし、特地帝国以外の国家や周辺都市の存在についても不明な所もあった。
また、特地の宗教や文化についても不明な所があったし、異文化交流において文化の違いで戦闘となるなんて洒落にもならない。
そのためにも、調査が必要だった。

「と、いうわけで、今後の方針を決めるためにもこの地の人間、産業、宗教や政治形態等、それこそ石ころ1個から街1つに至るまでありとあるゆる事柄への調査が必要であるという結論に達したわけだ」
「調査・・・ですか。それがいいかも知れませんねぇ・・・。で、なんで俺が呼ばれたんです?」

近衛捜索第13連隊長の檜垣統少佐にそう呑気に答えながら、伊丹はそう訊ねた。

219 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/13(日) 01:30:23


「決まっているだろう。君が行けってことだ」

檜垣は、物わかりの悪い部下に疲れたようにそう言った。
「こんな奴、よくも幹部にしたものだ」とは、誰のセリフか。
「自分、怠け者です」オーラがあふれ出る目の前の部下に少々頭痛を覚える。
そんな檜垣に対して伊丹が返した言葉は意外なものだった。

「嫌です」
「はあ!?」
「まさか、一人で行けと?」

伊丹は、そう言って面倒事が起きた、というような顔で答えた。
第三次会戦の夜襲で捜索中隊を率いていたが、あの後、連隊付士官として雑務を受けていた。
普段の怠け者過ぎる態度が、一部部下から不興を買ったからである。
そして連隊付士官は、基本的に副官や補佐役、そして連隊長または死傷した大隊長(捜索連隊の場合は中隊長)以下の指揮官の補充に充てられる。
伊丹の場合は補充に充てられるほう、つまりは、予備の隊長であった。
そんな彼には現在、部下はいない。

「そんなことは言う訳ないだろう・・・」

左手で頭を抑えながら檜垣は机の上から書類の束を手に持って伊丹に渡す。

「うちの捜索旅団が中心となって、各隊から選抜者を集め、
 東西南北、さらに南西、南東、北西、北東の計8方向、そして予備隊2個を含めた計10個の臨編(臨時編制)捜索中隊を編制し派遣する。
君はその内の1つの中隊の指揮だ。
担当地域の住民と接触し民情から風土、気候などあるゆる事柄を把握。
可能ならば、今後の協力が得られるよう、友好的な関係を結んできたまえ」
「はぁ・・・まぁ、そう言うことなら・・・」

そう言いながら渡された資料をペラペラと捲り、流し読みをする伊丹はそう生返事した。
と、1つ気になる項目を見つけた伊丹が檜垣に訊ねる。

「あの、少佐。この同行する部隊って?」
「あぁ、それはだな・・・まぁ、政治的な奴ってわけだ」

檜垣の解答から察した伊丹は、ポリポリと後頭部を掻きながら、ため息をつく。

「治安維持活動も立派な重要任務なんですがねぇ」
「地味な任務ばかりじゃ国内に示しがつかないみたいだ。大変だろうが、諍いなく頼む」
「努力しまーす」

そう言って伊丹は、自らが指揮する臨編捜索第3中隊とそれに同行するカリフォルニア人・オレゴン人・ワシントン人義勇兵団から集められた臨編捜索小隊、そして数人の学者と共に一路東部方面の調査に出発した。

220 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/13(日) 01:30:55


以上です。

今回は外務省と偵察隊、憂鬱日本では捜索隊の出発に焦点を合わせました。

近衛さんの本邸設定は史実に沿ったものです。
一時は麹町にも引っ越したそうですが、交通の便が良すぎて来客の多さがとんでもないことになり、疲れ果てて下落合に戻り、そして荻窪に移ったそうですが、
この世界だと麹町への引っ越しは無く、そのまま下落合に腰を下ろしたままでしょうね。
荻窪の荻外荘は、息抜きの場となるでしょう。

外務省の参加者ですが、吉田さんと白洲さん、重光さんは本編に登場していますが、
東郷さんと杉原さん、そして近衛さんの息子さんは本ネタ内での初登場となります。

東郷茂徳は、史実での評価は
「剛直で責任感が強く、平和主義者である一方で現実的な視野を併せ持った合理主義者だったが、正念場において内外情勢の急転に巻き込まれて苦慮するケースが多かった」とあるので、夢幻会も取り込もうとは考えたに違いないと判断しました。

杉原さんは、本編では奨学金制度で彼にみたいな掘り出し物が出るかもしれないとしか言っていないので、実質本編には出ていません。
まぁ、夢幻会もユダヤ人方面への交渉窓口として引き込みそうではある。

外務省の焦りですが、実際、特地を武力で征するとかするとますます強硬論が高まるんじゃないかなぁと思います。


捜索隊の出動は原作通りもありますが、実際原作読んでても分からないところがありますから、調査が必要ですしね。
で、捜索隊は原作より多い10個にしました。
予備隊もいるからなにかあっても大丈夫です(オイ)。

車輌については、本編で装甲車とかが新しく出たら・・・とちょっと様子見でしたが、待ってても仕方ないので、ジープとハーフトラックと九二式改造装甲車でいこうと思っています。

義勇兵部隊の調査参加ですが、実際のところ趣味です(笑)。
ちょっと出したい人がいましたので。

あと、学者先生は主に水質調査とかです。
飲み水は重要です。


今回はここまで。
更新も話の展開も亀ペースですが、なるべくエタらないようには頑張りたいです。
それでは、また次回に。

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最終更新:2025年03月05日 00:30