26 :影響を受ける人:2016/03/14(月) 22:41:13
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
今回、原作に近いセリフを入れいています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第八十七話 ―決戦前夜04 御前会議:中篇―



「是非も無し。どのような回答が来るのか・・・
 どのように納得させるのか。話し合いましょう。」

東条英機は視線だけを堀井大将の方に向けていた。

(おいおい・・・原作とだいぶ違うぞ。)

本来なら彼も罵詈雑言を言うはずなのに何も言わない。
そればかりか冷静にこちらに質問を投げかけてくる。

(やっぱり。“小娘”と言っていた加藤武子が立案したわけではないからか?)

ゲンドウポーズのままの堀井大将を見つつ考えた東条英機の考察は、見事に的中していた。
原作において彼等が加藤武子を侮辱し、計画に難色を示したのは よく知らなかった からだ。
おおまかな概要のみが伝えられ、いざ会議に出てみれば陸軍主導でありながら海軍をこき使うかのような作戦。
いかに陸軍と海軍の仲が伝統的に悪いとはいえ、これはいくら何でも酷過ぎた。
あと、陸軍の建てた反攻作戦で、いたずらに戦力を削られた苦い経験もある。

それ故に原作ではあのような対応になった。
それ以外にもウィッチに対する低評価もあるのだろうし、「女がでしゃばるなど」と言う思いもあったのだろう。
しかし現状堀井大将は冷静そのもの。
理由は前段階で、軍令部で“同様の作戦”が持ち上がっていて“知って”いたからだ。
知っているならある程度の気持ちの整理がつくし、作戦は海軍主導で進めるという記述もあった。
取り巻きが騒いだのは、陸軍側が説明しようとすることに対する嫌味である。

しかしここで隙を見せるわけにはいかない。
原作同様彼は「国体無くして皇国はあり得ない」と思っているに違いなく、きちんとした説明なしに戦力を出す気などないはずだ。

(だが、そこらへんの抜かりはない!)

東条は杉山元の方に目配せをすると、彼は小さくも強い意思でもって頷く。

(大丈夫だ。この時の為にデータ取りをしておいたのだからな!)

二人は視線を竹井元少将に戻す。
山本五十六を透して九鬼大将にお願いし、出席して頂いた竹井元少将は陛下の覚えめでたい人物。
そんな期待の視線を受けつつ、竹井は気になる点を質問する。

「まずは、そう・・・ですな。根本的な疑問から聞きましょう。
 たしか怪異は“水が苦手”。そうでしたな?」
「はい。大陸戦線で分析をした結果、大きな河川がある場所を徹底的に避けています。
 これは人工的に作った水たまりを避けたことからも、彼等が苦手としているという物的証拠となります。」

視線を少し堀井に向けると、彼は陸軍側を注視している。
どうやら質問自体に間違いはないようだ。
今彼の派閥は誰にでも噛み付く猛犬。気を付けて扱わないと、腕まで噛み千切られる。
たとえそれが、同じ海軍だろうと・・・

「ではお聞きしたい。彼等はどうやって【扶桑海】を抜けてくるとお考えか?」
「無論。飛翔して、です。」

竹井は堀井一派が最も聞きたい事を問い、佐久間は即答で答えた。
そして取り巻きの一人が「はっ!」といい、

「あの巨大構造物がどうやって飛ぶというのだ!」
「エッチラオッチラ歩いて進んでいるのだぞ?
 どやって飛ぶというのだ! それなら最初から飛べばいい!!」

ヤジを飛ばしてきた。
だがこれは想定内だ。ヤジを飛ばした取り巻きが、普通にたたずむ佐久間を怪訝そうにみやる。
すると堀井が組んでいた手を解き、太腿の上に置いた。

「ふむ。あれが飛ぶ・・・ その根拠がおありの様だな。」
「ええ、根拠はあります。 当初の私も思いました。あれが飛んでくるなど・・・
 その考え持ち出した者の頭が心配になったくらいです。」

あからさまに肩をとして見せると、堀井も苦笑する。

27 :影響を受ける人:2016/03/14(月) 22:42:07

「さて。根拠のひとつ目ですが、足跡の深さです。
 “ヤマ”が出現し、奴に対する様々な検証を行ってきました。
 以前海軍の方が供与してくださった改造大型砲を用いたのもあります。
 これらはどのくらいの戦闘力なのか、反応速度はどのくらいなのかを知る為です。
 そして防御力を調べるという課題もありました。
 その一環として、志願者を募って奴の後輩に回り込み、重量を調べるという事も行いました。
 これはネウロイの密度を調べるという事も含まれており。今後の研究に役立つはずだともわれています。
 その一環として、足跡の深さを調べました。
 細かい数値は省きますが、計測した結果・・・足跡はあまりにも 浅 い 事が判明しました。」
「浅い・・・ですかな?」

竹井が呟く。

「はい。分析していた者達は、取りあえず敵を鉄と同様の質量と仮定して計算していました。
 しかし足跡の深さは想定よりも浅すぎたのです。
 多脚という構造は、重量を分散しやすいと聞いています。
 その事実を入れた計算をもってしても浅かったのです。」
「それならば敵が構成している物質は、我々が作れない物質で構成されていると考えた方が良いと考えるが?」
「堀井大将がおっしゃる通り、当初はそれも考えられました。
 ですがそれを覆す事実を発見したのです。手元の資料・・・ああそれです。ご覧ください。」

佐久間はそう言って資料の一部を指差す。

「これはその日の天候を書き記したものです。そして風速と、どの方向に風が吹いていたのかも記されています。
 奴の行動は常に監視していると言ってよく、そして記録も詳細に集まっていました。
 その結果、奴は風の影響を強く受け、蛇行していることがわかります。
 また、向風になると進撃速度が落ち、追風になると加速しているのがわかりました。
 あれほどの巨体ともなれば確かに風の影響も受けるでしょう。
 ですが、あまりにも受け過ぎています。
 報告の中には、「河川を避けるために進行方向変えたが、勢いが付き過ぎていたのか河川の方に流されていた」と言うのもありました。
 決定的となったのは、奴の高さが全く変わらなかったという事です。」
「それは、どういう事かね?」
「いかに大陸が、平野部が多いとはいえ、起伏があるのは当たり前です。
 ですが奴の足跡は地面が低い場所では浅く、高いと深いという現象が起きました。
 そこで写真を全て確認したところ・・・本体の高度は一定の高さを保っているとわかりました。
 地形の高低差を0として奴は常に高度100mを維持していることが判明したのです。」

そこまで言うと、断りを入れて少しだけ御茶を飲む。
一息ついた佐久間を見つつ、堀井が更に問う。

「なるほど、奴が 浮いている と言うのはわかった。
 だがなぜ奴はそんな事をするのだ?」
「扶桑海を渡るためにエネルギー節約をしているではないか。これが、我々が出した結論です。」

堀井が「ふむ・・・」と言いつつ顎を撫で、

「エネルギーの節約か・・・ただ飛ぶのは力を使う。
 航空力学に基づいていないあの体系上、それなりの速度で飛翔させるには燃費が悪いという事か。」
「はい。足は“歩く為”というよりも、“水底を蹴る為”と言った方がよいでしょう。」
「確かに、な。力いっぱい泳ぐよりも、浮いて何かを使って移動した方が良いというのはわかる。」

納得して次なる問いは自身でした。

「だが、敵の攻撃力は皇国の戦艦では太刀打ちできん。
 報告が正しければ、一撃でも喰らえば最新型の紀伊型戦艦と言えど、瞬時に撃沈してしまう。
 その問題はどうするのか?」
「それについても腹案が有ります。
 その為に専門家をお呼びしているのですが、よろしいでしょうか?」

佐久間が問うと堀井はすぐに頷いく。
そしてすぐさま別室に待機していた法術士学校出身の気象予報士と、陸軍に所属する結界士も入ってきた。

「気象予報士で【予知能力:気象】持ちの田坂香苗(たさか かなえ)といいます。」
「結界士部隊総隊長、石渡みね(いしわた みね)です。」

自己紹介をした二人だが、女性と言う段階でどんな職業についているか、大体わかる。
しかし気象予報士と結界士・・・どのような関係性があるのかわからない。
困惑しつつ佐久間が続けるのを待つ。

28 :影響を受ける人:2016/03/14(月) 22:42:40

「このお二人に来ていただいたのは、囮を担う打撃艦隊を守ってもらう為の、秘策説明の為です。
 作戦過程において打撃艦隊は二つ編成され、囮を担う事になります。
 ですがこれらは飽く迄も敵の航空戦力を撃滅する為、脆弱な航空母艦を守る為です。
 敵航空戦力を撃滅するまでは、けして “ヤマ”に近づきません。」
「それはいいが“オニグモ”の火力も侮れんし、“アホウドリ” の速力も厄介だが?」
「“アホウドリ”に関しては、真正面からウィッチによる面攻撃を敢行します。
 更に緊急配生産を行っている加速ロケットによる追撃も行います。
 “オニグモ”に関しては・・・現在の航空戦力では、ウィッチ個人による絶技に便りしかありません。
 それよりも命中率が良い戦艦部隊による集中攻撃を行った方が良い、と考えています。
 陸上で撃つのとは違い、命中率は戦艦の方が圧倒的に上ですので。」
「・・・鋭意努力しよう。」
「お願いします。では“ヤマ”に対する策ですが・・・」ちらりと石渡を見て「お願いできますか?」
「はい。ここからは私がお答えします。」

佐久間は立ったままその横に田坂が並び立ち、お辞儀をした。

「現在扶桑皇国では、予知能力者が集まって気象予報を予測しているのはご存じだと思われます。
 それは近い未来であるほど、精度が高くなるという事も。
 しかし例外も存在します。それは ―災害― です。
 地震や噴火などの大規模なモノから、嵐や津波と言ったモノは漠然としたイメージが沸き起こり、複数人が感じ取れば半々の確率で起こり得ます。
 そして今現在、予知された未来8月未明前後において、台風による【災害】が起こるとわかりました。」

その言葉に、一同が騒然となる。
過去においても【災害】を予知した事は何度もあるので、実績が有るので厄介だ。
しかもこの予知は防ぐ事ができないときている。
戦場が【災害】で荒されるなど、あってはならない。

「それは、間違いなく台風による【災害】なのか?」
「過去の気象記録による統計、予知によるキーワード【南方】【黒い塊】【閃光】【乱れる渦】【押し流される人】これらにより、確度は高いかと。」
「そんな・・・戦争どころではないぞ!」
「今から対処をすれば、被害を抑えられるはずだ。」
「だ、だが。そちらにかまけては・・・」

「だまれ!!」

取り巻き達が騒然と慌て始め、好き勝手に言い始めようとしたのを堀井は怒鳴り声でもって止めた。

「貴様ら、それでも皇国海軍軍人か!
 皇女陛下の前で慌てるなど、恥を知れ!」

思わぬ出来事に、一同の思考が停止した。
だが言う事も最もで、堀井が立ち上がって二人の女性に謝罪する。

「申し訳ない。話がまだ続くようであるのに遮ってしまったな。」
「あ、いえ。そんな事は無いかと・・・」
「御配慮に感謝する。では続きをお願いしたい。」
「は、はい・・・
 た、確かに台風の【災害】が起きるとわかっていますが、軍の方からの要請によりある提案を行いたいと思います。」

軍属ではない田坂はまだ少し怯えが入っていたが、何とか石渡にバトンを渡す。

「提案とは台風を利用した、巨大魔方陣を形成する事であります。
 あまり思い浮かばないかと思われますが、この手の自然利用の儀式と言うのは古来から有ります。
 雨乞い然り、快晴然り。
 我々は台風の目を利用し、目標“ヤマ”を覆うほどの巨大シールドでもって封じ込めを行いたいと思っています。」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年03月21日 21:20