―――宮藤研究所
501基地の使われてない倉庫を改造し、宮藤博士のために作られた研究所は
今や世界中のMADが集まって日々怪しい研究をする場所になっていた。
勿論、ジェットエンジンなど将来に役立つ技術研究も行なわれているが
脱線して変な技術を開発してしまうことが多かった。
そして、今も
「プラグもってこい!10番だ!!」
「駄目だ!この計算じゃ空中分解する!やり直しだ!!」
「いくぞ!一、二の三!」「よし、結合!!」
「インクーラ冷却能力が足りてないぞ!!」
怒号が響き渡っていた。
偵察機からの情報では、ネウロイの姿は視認こそできなかったものの
長年の偵察経験から、高度1万5千m付近にいると思われた。
そこで、バルクホルンのFw190Dを高高度戦闘に対応できるように研究員総がかりで改造作業に入っていたのである
改造点は大きく二つに分けられ、一つは魔導過給機の性能を向上し全開高度を押し上げ、高高度でのエンジン駆動を確実なものとする
もう一つは主翼を延長し、大気が薄くなる高高度での運動性を確保するものであった。
これにはバルクホルンによる実際に高高度で飛行テストした経験も取り入れられていた。
そんな男性ばかりの職場の中で女性が二人混じっていた。
シャーリーとバルクホルンであった。
シャーリーはストライカーユニット改造経験が買われ、このプロジェクトに参加していたのである。
バルクホルンも自分好みのセッテイングを伝えるためにいるのであった。
「ここを0,5秒反応を速くしてみたが、どうだ?」
「ん、いいぞ。私好みの設定だ。さすが改造が趣味なだけあって、腕前だけは一流だな」
「そりゃどうも・・・・なあ、堅物」
「ん?どうしたリベリアン?」
シャーリーは作業をしていた手を止めて言う
「なあ、なんでさっきはああ言ったんだ?そこまで厳しくする必要は無かっただろうに。アイツラもさ何も知らない新人じゃないんだよ」
「そのことか・・・・まあ、本来はこの任務は受けるべきではなかった。情報が曖昧な中での出撃がどれほど怖い事か
その中で、新人が役に立つとは思えん。だから、私一人で十分だ」
「そうか・・・・・やっぱり優しいよ」
「あえて、厳しく言ってやることで、宮藤達を離して、宮藤達が傷つくのを守ったんだろ?」
「・・・・・それはお前の勝手な想像だ。
それに命令されたからと言って、全員が貧乏籤を引く必要なぞない。ミーナと坂本少佐はなんだかんだで甘すぎる。
甘すぎるアイツラが私以外の奴が参加して、手遅れになったら、誰が責任とれる」
「へいへい。流石です。スーパーエース様は凄いですねー」
「無駄口叩いてないで速くセッテイングしろ」
「ハイハイ」
こうして、大掛かりな改造を行い、試験飛行をバルクホルンが行おうとしたが
シャーリーが実戦に行くバルクホルンは休むべきだと主張した
バルクホルンは自国のストライカーユニットのテストパイロットをシャーリーが務めるのを反対していたが
シャーリーが真剣な表情で「自分のセッテイングで誰かが事故で死ぬのを見るのはもう嫌なんだ。頼む、私にやらせてくれ」
という迫真の勢いによって流されたのであった。
こうして、シャーリーの手によって緻密な試験飛行を繰り返し、その都度にでた不具合を改修しては、再び大空に飛び上がり
深夜にもなってもテストを繰り返し、ストライカーユニットの爆音が止む日は無かった。
こうして、三日後の格納庫に、死屍累々の研究者たちと高高度戦闘に対応した
Fw190H-6があったのであった・・・・・
最終更新:2016年03月21日 21:35