862 :Monolith兵:2016/01/06(水) 01:12:04
ネタSS「
憂鬱日本欧州大戦 -筆髭のいない戦場-」
「このままでは我が国は消滅してしまう。そうなれば、世界中で革命による解放を求めている同志達を救うことなど不可能となってしまう。」
1943年10月下旬、ソ連の新たな首都として定められた都市スヴェルドロフスク(現エカテリンブルグ)で行われた会議で、スターリンは上のような事を述べたとされる。戦略爆撃の激しくなったモスクワを放棄して遷都したのだが、ゴーリキ(現ニジニ・ノヴゴロド)もモスクワ同様に戦略爆撃の対象となりつつあったために、更に東方のスヴェルドロフスクに政府は避難していた。最も、最大の理由はゴーリキでは南方からヴォルガ川を北上してくる連合軍相手に無防備な為だった。
スターリンの言葉を聞いた閣僚たちは近くの席に座る者達と顔を見合わせて、スターリンの真意が何処にあるのかと視線で語り合っていた。
しかし、当のスターリンはこの言葉を述べた後完全に沈黙してしまい、代わってベリヤが後を引き継いだ。
それは余りにも衝撃的な内容だった。
「スターリン書記長同志が先ほど述べたように、現状では共産主義の芽を残す為には連合軍との講和も考慮する段階となっている。
これに反対意見のある者は名乗り出なさい。」
スターリンの言葉で薄々気付いた者も少なくなかったが、”講和”という言葉が出てくると会議室内は俄かに騒がしくなった。
なにせ、この戦争はスターリンが始めた戦争なのである。故に、それをソ連の不利な現状で講和すると言う事は、開戦の決断を下したスターリン自身の否定に繋がりかねなかった。
だが、同時にスターリンの考えをベリヤが代弁した事も大きな意味があった。ベリヤはスターリンの忠臣としてエジョフの後を継いで大粛清を取り仕切った過去があった。
そして、最後の言葉である。反対意見を出そうものなら、いや下手に発言する事すら命取りになりかねなかった。
それが故に、彼らはスターリンの決定にただ頷くしかできなかった。
(これでいい。後はこの男を処刑するタイミングを見定めて、それを材料として連合国に・・・。)
ベリヤは、全会一致でで連合国との講和を行うと可決したのを見ると、静かにスターリンの方に視線を向けた。スターリンはそんなベリヤの視線に何を思ったのか、一瞬視線を絡ませた物のすぐさま気難しくした顔を正面へと向け直した。
(この様子ではあの事を知る者は誰もいないな。)
ベリヤは内心笑みを浮かべながら、スターリンが会議室から出て行くのを見送った。
863 :Monolith兵:2016/01/06(水) 01:13:03
「これは絶対に謀略だ!軍の再編を行う為の時間稼ぎでしかない!!」
ロンドンで行われた連合国各国の首脳が集まっての会議の席上、フランスを代表して出席していたペタン首相は会議が始まるや否や口角泡を飛ばさんかの勢いでそう叫んだ。
11月に入り、一気に冬の様相を呈して来ていたロンドンだったが、この会議室の中は季節が逆戻りしたのかと思うほど熱気が篭っていた。室内の温度を上げているのは、むろんの事ペタンだった。
「ソ連は徹底的に叩き潰さねばならない!再びパリの悲劇を繰り返すのか!!講和などもってのほかだ!!!」
ペタンはそこまで言うと、大きな音を立てて椅子に座った。
今回開かれた会議の議題は、先日ソ連が第三国経由で打診してきた講和に関してだった。
最早勝利の可能性は無く、このまま消滅していく位ならばと思ったかどうかは解らないが、ソ連の講和案は現状をある程度追認した物で、レニングラード、ノブゴロド、モスクワ、ヴォロネジ、スターリングラード、マリウポリの線で国境線を引こうという物だった。
ソ連にとりかなり譲歩したこの講和案は、やはりフランスの気に召さなかったようであった。今のフランスは坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとばかりに、ソビエトや共産主義と名のつく物は全てこの世から消し去ろうとしていた。
国内は元より、フランス占領地でもその傾向はあり、ソ連時代に建てられたモニュメントは破壊され、書物は焼かれた。共産党員や委員は収容所へと収容され、激しい共産主義者狩りが行われていた。
フランスは共産主義者達によるクーデターでパリが破壊され、ソ連がばら撒いたペスト(と一般には思われている)が流行するなど、苦難の連続であった。その上、これまでの戦闘でフランスは30万を超える戦死者を出していた。
その為に、フランス国民達はソ連への報復を政府と軍に強く求めていた。それに答えられなかった場合、待っているのは大規模な暴動そして革命だった。
それが故に、戦時内閣の長であるペタンはソ連からの講和の呼びかけに対して断固として拒否する姿勢を貫かなければ無かった。また、もしここで講和してしまえば、何故勝ち続けているのに講和しなければならないのかという国民や議会からの突き上げがあるだろう事は、想像に難しくなかった。
864 :Monolith兵:2016/01/06(水) 01:15:01
「ペタン首相のいう事は最もです。ここで奴らを一掃しなければ、我々の子や孫に大きな負債を押し付ける事になるのですから。」
そんなペタンに同調するのは駐英
アメリカ大使ジョン・ワイナントだった。アメリカはフランス内戦に並ぶ第二次世界大戦における最大級の悲劇であるニューヨーク襲撃で被害を受けた国だった。この襲撃により、多くの市民が犠牲となり、それどころかペストをばら撒かれて今尚アメリカ全土は蝕まれていた。
ニューヨークでのペストの大流行を抑えるために、全米各地から医療従事者がニューヨークに派遣されたのはよかったが、既にその頃には全米各地へと感染が広がってしまっていた。米国経済を維持する為にニューヨークが優先された結果起きた悲劇だった。
その為、地方では医者や看護師不足でペストの感染は広がり続けており、ペスト患者が出た街からは大量の避難者が出るという、中世ヨーロッパのような光景が一部で見られるようになっていた。
それが故に、「リメンバー・ニューヨーク」を合い言葉に、国民はソ連に正義の鉄槌を下すことを政府と軍に求めていたのだ。
だが、それが全ての理由ではなかった。
アメリカは今次大戦に本格参入してからまだ日が浅かった。その為、現在はようやく戦時体制が整った所であり、これから大量の武器弾薬に各種物資を大量生産しようかという時でもあった。当然、それらの製造ラインの整備には多大な額の投資が必要だった。
それなのに、投資が改修できないまま戦争が終わってしまえば、ようやく立ち直ったアメリカ経済は再びどん底にまで叩き落とされてしまう事になりかねなかった。3年前の悪夢が再びアメリカを襲うかもしれないのだ。それは何としてでも避けねばならない事態であった。
また、経済が危機的状況になればウィルキー大統領の責任問題にもなりかねなかった。民主党はソ連のスパイ問題で党勢は衰えていたものの、共和党内にもウィルキーを追い落とそうとする者がいないわけではなかった。
それが故に、アメリカはフランスに同調して講和締結を阻止する必要があった。
だが、戦争が長引けば長引くほど各国の財政は悪化する。イギリスは戦争継続の為に、インド利権をアメリカに売り渡したので一息つけてはいたが、連合国の中には財政状況は目を覆い隠したくなるほど酷い国もあった。
それがフランスであった。フランスはパリが破壊され経済が混乱した上に、その後の軍備増強と本腰を入れた戦争計画を策定した為に、経済状況は連合国の主要構成国中で一番酷かった。だが、前述したように政治は戦争継続を望んでおり、大量に発行した戦時国債はアメリカが引き受けているが、戦後になれば容赦ない取り立てが始まる事は容易に想像できた。
866 :Monolith兵:2016/01/06(水) 01:16:20
次に財政状況がひどいのはドイツだった。元々ナチス時代の負債が重く圧し掛かっていたドイツだったが、戦争勃発により国債の償還期限を延長したり、日本やアメリカが国債を引き受けた事で何とか一息つけていた。(メフォ手形も現政権に移行後、通常の国債に組み込まれた)
また、日本との経済協力によって徐々に経済力が上がっており、更には英米仏の黙認の元、東ヨーロッパの殆どの国をほぼ自国の経済圏に組み込む事ができていた。
だが、それでも戦後になれば膨大な額の赤字国債や戦時国債の償還が待っていた。それに加えてポーランドを初めとする東欧諸国への再建支援も考えれば、ドイツの未来は決して明るくは無かった。
独仏はそんな事情から、今の内にソ連を滅ぼして将来の安全保障費用を節約しようと言う意図があった。新生ロシア帝国や独仏間の緊張という不安要素が残っていたが、前者は各国がロシア再建に人も金も出す予定であり、ロシアが軍事的な脅威となら無いよう各国間で手綱を握るつもりだった。最も、各国間で綱引きをした結果ロシアが一人勝ちをする可能性も無くはなかったが。
後者に関しては、今更独仏間で戦争が起きる可能性は低いと見られていた。東欧は英仏の黙認の元ドイツの勢力圏となっており、イギリス政府内部ではこの際頼りないフランスに見切りを付けて、頼りがいのあるドイツに欧州大陸の同盟国を乗り変えるべきではないかという話さえ出ていた。ドイツは最早海軍国であるイギリスのライバルになれる可能性はほぼ皆無であったからだ。その場合、フランスは強大な海軍国と陸軍国に挟まれる事になり、動きたくても動けない事になる。
最も、それは極端な話であり、実際は独仏間でのバランス外交になるだろうと多くの者は考えていた。
一方で日本は今のところアメリカに頭を下げてまで戦争資金を調達するような事は無かった。だが、このまま戦争が長引けばいつかは戦時国債をアメリカに引き受けてもらうしかなくなってしまう事は確実だった。
今回のソ連からの講和要請について
夢幻会は否定的だった。夢幻会としてはアメリカ相手に首が回らなくなる前に戦争を終わらせる事には賛成だったが、ソ連を生き残らせる事の方がデメリットが大きかったからだ。。ソ連をあえて残す事で、新生ロシア帝国と睨み合わせて将来の脅威を減らそうと言う意見も一部では出ていたが、大勢は変わらなかった。
つまり、今回の会議でも日本の基本方針はソ連の消滅だった。
867 :Monolith兵:2016/01/06(水) 01:18:14
米仏がソ連打倒を強く訴えている様子を見ながら、今回の会議に日本政府の全権代表として出席していた吉田茂は、イギリスが静かにしている事を不思議に思っていた。今回の会議では残念ながら本国から首相や外相が間に合わなかった為に、急遽吉田が出席する事になっていた。最も、元々こうした緊急の事態を想定して吉田を全権代表としてロンドンに送り込んでいたので、想定どおりではあったが。
それは兎も角、あのフランス嫌いで有名なチャーチルが米仏に言うがままにさせているのが不思議だった。この戦争でフランスは幾度としてイギリスの脚を引っ張ってきた。ポーランド戦役での救援部隊のあっけない潰滅から始まり、フランス内戦とフィンランドでの敗北と、連合国であるにも関わらずに味方の脚を引っ張ってばかりだった。
特にチャーチルの心象を大きく悪化させたのが、良き政治的な敵手であり盟友だったチェンバレンをフランス内戦の時に失った事だった。チェンバレンは日独が味方だった為か史実より長生きはしたが、フランス内戦の急報を聞いたチェンバレンは余りの事態に倒れてしまい、以降体調は悪化し続け、とうとう41年2月には死去してしまっていた。
このような経緯があったので、チャーチルは秘書に「フランスで連合軍と言えるのは海軍だけだ。」と愚痴を言うほどフランスを嫌っていた。
吉田はチャーチルの態度に不思議に思っていたが、当の本人はソ連と講和するつもりも無かったし米仏の言い分を認めるつもりも無かった。無論、ソ連を消滅させるのは規定事項だったが、このまま戦争を続ければイギリスは疲弊しきってしまい、アメリカの風下に立つ事になる可能性が高かったからだ。
その両立は以前ならば不可能な事であったが、つい最近になってそれが可能となったのだ。
「以前ならば諸君らの言う通りだろう。だが、状況が変わったのだ。」
ワイナントの主張が終わった後、チャーチルは静かに今までとは状況が変わったと言った。出席者達が怪訝な顔をする中、チャーチルは各国首脳達を見渡しながら口を開いた。
「スターリンが既に死亡している可能性がある。」
「そ、それは一体?」
「我が国が入手した情報では、スターリンは既に死亡した可能性があるのだ。今はソ連政府内部でも情報統制が敷かれているようだが、その内この情報は広まるだろう。そうなればソ連で政変が起きる可能性がある。」
チャーチルの語った事は各国首脳たちに衝撃を齎した。スターリンがソ連で恐怖政治をしいている事は既に常識であったが、スターリンが死んだとなると今まで圧政の元で押さえ込まれていた者達が活発に動き出す可能性があった。それがどの程度の物かは未だ予測できなかったが、上手くいけばソ連を崩壊させる事すら不可能ではなかった。
868 :Monolith兵:2016/01/06(水) 01:19:14
ざわめきで満たされる会議場の中にあって、吉田は背筋を凍らせていた。
実は、チャーチルの語った情報は日本も手に入れていた。それは日本独自で手に入れた情報ではなく、オリガネットワークが手に入れ、ロシア帝国亡命政府を通じて日本にもたらされた物であった。
故に、吉田は真っ先に日露両政府からの諜報活動で手に入れたのかと考えたが、暫くしてロシア帝国亡命政府が進んでイギリスに情報提供したのではないかと思い至った。
そういった可能性は以前から指摘されていたが、亡命政府が欧州に存在する以上それを止める手立ては無いのが実情だった。そこで、亡命政府が他国に傾くのは避けられないと判断し、できるだけ時間稼ぎをする事と日本との諜報関係での繋がりを何とか維持する事を現在は目的としていた。
だが、亡命政府がイギリスに傾いたのは思ったよりも早かった。同時に、日本にも同様の情報を渡している事から、亡命政府は日英双方から更なる支援を引き出す事を目的としているのではないかと吉田は推測した。
ならば、やりようは幾らでもある。そう気を取り直した吉田は、会議が始まって以降初めて口を開いた。
「我が国も同様の情報を手に入れております。
どうも、現在スターリンとされているのは影武者であるようだと。」
「そうだとも。だからこそ、ここで揺さぶりをかけるべきではないかと考えたのだ。
実を言うと、あるソ連政府高官と接触して自身と家族の生命と財産の保障と引き換えに、ソ連内部で政変を起こし連合国へ無条件降伏する段取りをすると言う提案があったのだ。
流石にこのような案件を決めるには我が国だけでは荷が重いのでな。」
チャーチルの言い分は早期にソ連を崩壊させる絶好のチャンスが来たので、各国の理解を得たいというものだった。だが、簡単に信じられる物ではなく、各国から矢継ぎ早に質問が投げかけられた。
それらを聞きながら吉田は背中に冷たい物が流れる感覚を感じていた。先ほどチャーチルが語ったソ連政府高官との接触は、日本には伝えられて無かったのだ。ロシアは本格的にイギリスに乗り換えたのかと考えたのだ。
869 :Monolith兵:2016/01/06(水) 01:19:47
実を言うと、吉田の想像は外れていた。イギリスはほぼ独力でこの情報を手に入れていたのだ。開戦前からイギリスはソ連政府内部に工作員を忍び込ませようと努力していたが、41年後半にはとうとうモスクワはクレムリンに工作員を忍び込ませる事に成功していた。
一方で、イギリスは日本の対ソ戦での情報源は何処なのかを執拗に探っていた。そして、42年の中頃にオリガ・ネットワークの存在を突きとめていた。
この巨大諜報組織の存在を知ったチャーチルは、「何処のスパイ小説の世界の話なんだ。」と最初は冗談と受け止めていたらしい。しかし、それが実在の組織であると知ると、「なんて巨大な組織なんだ。日本が先手先手を打てたのも当然だ。」と戦慄したと言う。
そうして、42年ごろから英国諜報部とオリガ・ネットワークは共闘体勢を構築していた。勿論、この事を日本へ伝える義務はオリガ・ネットワークには無かった。何故ならば、彼らはいつか復活するであろうロシアに、そしてアナスタシア皇女へ忠誠を誓っているのだから。
そして、スターリンが死亡した可能性があると情報を受けた英国諜報部は、密かにソ連政府内の役人達を通じてある政府高官と繋ぎを得る事に成功したのだった。
「亡命を許すのはその政府高官と家族だけだ。それ以外は戦争犯罪人として裁判にかける。」
チャーチルはそう言ってペタンを説得しようと試みた。以前の会議ではソ連の消滅(無条件降伏)意外を認めない事を確認し合っていたが、同時にソ連政府要人を戦争裁判にかける事も決定していた。
そして、その裁判を行う場所は現在フランス占領下にありロシア帝国亡命政府が暫定首都としているサンクト・ペテルブルグを予定していた。フランス占領下の都市で裁判を行う事で、フランスの心情に配慮した措置だったが、同時にロシア帝国亡命政府にも恩を売る為でもあった。
「・・・その相手は信用できるので?」
「そう思うのは最もだろう。私自身も余り信用しておらん。
だが、彼が約束を破ったとして、我々に不利になる事は少ない。モスクワやバクー油田を占領し、カスピ海からヴォルガ川を上ってソ連内陸部に進撃すれば良いのだ。」
ペタンの疑問に対し、チャーチルは楽観的だった。例えこの話が嘘だったとしても、これまでの計画通りに事を進めればいいだけなのだ。
だが、その場合に問題となるのは日本の動向だった。ソ連軍がバイカル湖以西に撤退して以降、日本はシベリアの西進を停止しており、それがソ連に余裕を与え兼ねないとチャーチルは疑問を投げかけた。
「シベリア鉄道を破壊された以上、シベリアを踏破してバイカル湖まで進出するのは困難です。よしんば、進出できたとしても再び焦土作戦を取られれば、我が軍になす術はありません。その為、戦力の誘引に全力を注ぎ、欧州方面での戦力増強を進めたほうが効率がいいと考えています。」
急に矛先を向けられた吉田だったが、特に慌てる事も無くこれまで何度も繰り返してきた建前を述べるに止めた。現在における経済的な問題に加え、戦後シベリアの割譲を防ぐ為の措置であったが、欧州各国は日本のこの態度に不満を抱いていた。その為、日本は遣欧軍の増強を行う事で矛先を鈍らせてはいたが、それでも限界はあった。
「・・・まあいいでしょう。兎に角、ソ連で政変が起き、無条件降伏を受け入れた場合はこの戦争は終わり、そうでなかった場合は戦争はまだ続くという事になる。
異議がある者はいますかな?」
チャーチルはそう締めくくると、部屋中を見渡して異議を唱える者がいないのを確認した。流石にここまで言われれば、いかなフランスといえども異議を唱える事は不可能だった。そして、フランスが賛成の立場に回った事でアメリカも異議を唱える事は憚れた。何せ、アメリカは連合国の中で半ば孤立している状態だったからだ。ここで異議を唱えれば、「それでは、後は御一人でどうぞ。」と言われかねなかった。欧州各国との連携をないがしろにしてまで戦争を続ける事は、いかなアメリカといえども不可能だった。
かくして、連合国の方針は決した。
870 :Monolith兵:2016/01/06(水) 01:20:42
おわり
とりあえず第二次世界大戦は終結に向けて進みました。会議だけで1話使うとか誰得だよ・・・。
次回で憂鬱日本欧州大戦は完結になります。既にプロットはできているのでそれ程時間は開かないと思いますが、何分最近は仕事や私事で忙しくて中々執筆にかけられる時間が無いので。
幾つか外伝も考えているのですが、時間が取れたら投稿する事になると思います。それでは、次回最終回をお楽しみに。
最終更新:2016年03月30日 22:00